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令嬢教育は大変!!
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メイ・ドライモスは、高熱から体力も徐々に回復し2カ月が経った。記憶の中に、生まれ変わる前の記憶が時折相交じり混乱する。
そんな中でも、まだ5歳になったばかりとは言え男爵家の令嬢としての教育も始まっている。幸い、メイとしての記憶の中で文字の読み書きは少しできていた。
家庭教師のレディ・サディランは、経験は浅いようだったが教え方が丁寧で話し方も柔らかい。
「メイ様、ここでの文字のハネ方は少し猫の尻尾のように柔らかくしてみてください」
「ねこの、しっぽ? ですか? サディラン先生」
「えぇ、猫の尻尾の動きを今度観察してみるとわかりますよ?」
「はい!!」
「猫の尻尾もいいが、メイはもう少し自分の名前をしっかりかけたほうがいいぞ」
「お、おにいさま……今は、剣のれんしゅうの時間ではないのですか?」
「俺はもうとうに剣の稽古は終わらせて、メイと一緒にいる時間を作ったんだ!! すごいだろ!!」
どうだ!! と言わんばかりに自慢するリゲルに、レディ・サディランは「勉強の邪魔をされるなら、お部屋から出ていただきます」と窘める。
このやりとりが、勉強の時間やマナーレッスンの時間全てにおいて行われていてメイは慣れてきてしまった。
――お兄さまは、まだケガのことが心配なのね――
メイは、ぼんやりとそう考えているとリゲルの顔が近くにあったことに驚いた。ふいにリゲルが、メイの頬に口づけし「お前は可愛い」と言う。
兄妹でのスキンシップなのかしら? メイはよくわからない。高熱を出す前の記憶では、兄はやたらとメイに「邪魔だ!!」「目障りだ!!」とののしられるように言われたり、実際廊下で突き飛ばされるようなこともあった……記憶がある。
休憩のお茶の時間には、メイを膝の上に乗せてお茶を飲ませようとしたり、お菓子を口に運び「メイの好きなメイプルクッキーだよ?」とどこから出るのか分からない甘い声で言う。
『私はメイ様の将来が心配になってきました』
レディ・サディランは、時折、ため息をついては言うようになった。
文字の読み書きがひと通りの段階が終えると、簡単な歴史書や文学書、手紙の書き方を学ぶようになった。加えて、上位貴族、下位貴族。つまり、自身よりも上や下の位の貴族。従者たちとの立ち居振る舞いの違いもマナーの一環として、徹底的に覚えるようになる。
歴史書の絵本の題名に【リエル国のなりたち】とあった。読み始めていくと、習った文字から少しずつ分かったのが聖女という存在がいて聖杯を教会で護る役目を持っているということ。昔、魔災という魔法の大きな災厄がが100数年前に起き、魔法のバランスが崩れたのを当代の聖女が治めた。
魔災のバランスが崩れると、土地や天候だけでなく、人の感情のコントロールにも大きな影響を及ぼした。人々の感情が荒れ、欲を満たそうとする災厄にまで至った。
その時に魔法のバランスを取り戻すのに必要だったのが、【聖杯】と【聖女の魔法】だった。
絵本とは言え、魔災の状況がありありと描かれており、人々の剥き出しの欲望や抑え込まれていた負の感情などが表情に描かれていた。メイはその絵がとても恐ろしく、ヒヤリと背筋が凍った。
ここまで読み終えると、メイの中で何かがカチリと音を立てた。記憶の片隅にあった、生前の記憶の何かが知っている記憶。
「わたし、知ってる……聖女さまが、どんな方だったか……」
「メイ? そんな筈ないだろ?! 100年以上もの聖女様だぞ?」
「でも、でも!! わたし分かるの!! みんな、みんな、奪い合ったり、それだけじゃなくて……お兄さま、わたし怖い!!」
涙流しながらメイはリゲルに抱きついた。今まで、自ら抱きつこうとはしない妹が小さな体を震わせて涙流して訴えている。
小さな妹の背中を抱きしめ、「俺がずっとずっと傍にいてやるから。一緒にいるからな?」とリゲルは心の底から想い言った。5歳の妹の記憶は、火傷の後の高熱を出した日から変わった。
初めて兄を見たような表情であったり、リゲルが兄であることを驚いていたり。以前のように、顔色を窺い逃げ惑うことはないが戸惑いながら彼からの言葉を素直に受け止めている。
ひとしきり泣いて落ち着いた彼女は、リゲルの胸の中で小さな吐息を立てて眠っている。
愛らしく、小さな瞳を覆う少し長いまつ毛に涙の粒。彼は妹の涙を優しく指で拭い、少し塩気のある味だなと涙を口にした。
あの日以来、メイは勉強をする時間に時折ぼんやりしていたり。本を読んで、突然泣き出したりしまうこともあった。
何度か医師が診察をしたが、原因は『火傷の高熱の後遺症なのかもしれません』だった。リゲルは両親に王宮の魔法士に診て貰いたいと懇願した。しかし、王宮の魔法士も、そう簡単に診ることはできない。
特に、男爵家という貴族位の中でも下位になるドライモス家にとっては……。貧乏貴族とまではいかないが、権力がある訳でもない。父は勤勉で実直な男で、真面目に領地を治め王都へ出向いてでの王宮勤めも黙々と仕事をしている。そして、家では家族を大事にし、家に仕える者たちへの配慮も忘れず人望も厚い。母は、優しく2人の子どもを見守ってきたがリゲルのメイに対する態度を気にはしていた。火傷の一件以来、態度を改め接するようになったのは安心していた。が、両親はリゲルのメイに対する過剰なまでの接し方には心配を感じている。
マナーレッスンの一環で、王宮の茶会以来足しげく通うフォンテーヌもメイを心配していた。茶席で急に、「フォンテーヌ様がシェノン殿下に嫌われてしまうのがイヤです!!」と泣いたりするのだ。
フォンテーヌは、メイに嫌われるのだけはイヤだし、大好きな第一王子のシェノン・リエルには嫌われたくない。
フォンテーヌは、ワガママを言わない約束を教会で立てたが今回はメイのためにと父に懇願した。
「おとうさま!! お願いがあります!!」
「どうした? ワガママを言いたくなったのか?」
「わ、ワガママかも……しれません。友達の、わたくしの大事なメイのために王宮の魔法士さまに。メイを診てもらえるようにして欲しいのです!!」
「…………」
「お、おとうさま?」
「フォンが、フォンが人のために頼みごとをするとは!! よし、王宮魔法士長に今すぐ魔法鳩を飛ばして頼んでおく!!」
言うが否や、フォンの父、ラインレス伯爵はその場で書簡を書き魔法鳩を飛ばした。魔法鳩は、鳩の姿はしているが魔法により生み出された伝書鳩。早さも格段に違う。魔法の力によっては、魔法鷹もある。
鳩といえど、飛ぶのではなく一瞬にして姿を光と供に消えて相手方に書簡を送る。
魔法鳩の陣が光ると、返書の書簡が届いていた。
【あい分かった】
とだけの返事。どうやら、魔法士による診察が可能となった。フォンは急いで自分の魔法鳩で、リゲル宛てに書簡を送った。
後日、王宮魔法士長自らがドライモス家に訪れメイを診察にしに来た。メイの魔法力量の測定、記憶をメイの奥底にあるものを確認するための魔道具まで様々な診察のための魔道具も取り揃えてきていた。供に、治癒魔法士も同行していた。
「それでは、診察を行わせていただきます」
「は、はい……よろしく、おねがいします」
「大丈夫です。無理な時は、治癒魔法士もおります。今から、あなたの今の身体と心のバランスの状態を確認するのです」
「からだとこころの、バランス?」
「えぇ、身体と心のバランスが崩れると魔力にも影響を与えたり。不安定になるのです」
「おにいさま、手を……つないでいてくださいますか?」
「もちろんだ、メイ!!」
「では、はじめます」
魔力量の測定を始め、あらゆる魔道具で状態をみていく。リゲルと手を繋いでいても、王宮の魔道具は秀でて素晴らしく反応はメイのだけを測定していく。
魔法士長自身も、メイの表情や身体からでている魔力の波動の色を見極める。
不思議なことに、波動が2つ揺らめいている。2つの波動は、さらに揺らめき4つ6つと2の倍数で増えた。色合いも水色、青色、赤、桃色、黄色、緑。青は冷静、赤は興奮、黄色は喜び。しかし、他の色は似ているが見たことがない淡い色。
魔力量も潜んでいる力と、生まれ持った力の2つ。
魔法士長は診たことも感じたこともない彼女の力に驚いた。しかし、その力は、不吉さを覚えるのではなくむしろ心地よさを与えた。
「……正直に申し上げます」
部屋で供にいた父は、妻の手を握り次の言葉を待つ。リゲルはメイを優しく抱きしめ、「大丈夫だ」という。
「メイ・ドライモス嬢には、不思議な力をお持ちです。それも、我々、魔法士に心地よさを与えてくださる、とても良い力といえます」
「と、いいますと?」
「この力は、外部に漏らさず。王宮の管理で行います。力の制御や成長のためにも、リエル国立学園には必ず入学して頂きたい」
「し、しかし……当家にはそのような財力までは……」
「ご安心ください。王宮魔法士長である私が、保証人となります。そして、リゲル殿」
「な、なんだ!!」
「貴方には、妹のメイ嬢を護る力としての魔力がかなりあります。それだけでなく、魔法と剣の使い手として成長が見受けられます」
「ほ、本当か?!」
「お二方には、学園入学のためにこれからもより一層の勉学に励める環境を我々も微力ながら手伝わせていただきたい」
両親は、子どもたちへの学園入学のために魔導士長みずから助力してくれることとなり驚きを隠せなかった。そして、王宮魔導士長は約束をたがえることはしなかった。
翌日から、レディ・サディランとの勉学に加え、メイは魔力の基礎学を王宮魔法士から直接学び始めた。その席には、兄・リゲルもいる。
6歳になろうとしていたメイは、フォンテーヌやラインレス伯爵達の取り計らいにより勉学の幅が広がった。6歳になった時には、フォンテーヌも勉強の席に同席する日が増えた。
「メイを守ると決めた以上、わたくしも一緒に学びますわ!!」と、意気込んでいた。
そんな中でも、まだ5歳になったばかりとは言え男爵家の令嬢としての教育も始まっている。幸い、メイとしての記憶の中で文字の読み書きは少しできていた。
家庭教師のレディ・サディランは、経験は浅いようだったが教え方が丁寧で話し方も柔らかい。
「メイ様、ここでの文字のハネ方は少し猫の尻尾のように柔らかくしてみてください」
「ねこの、しっぽ? ですか? サディラン先生」
「えぇ、猫の尻尾の動きを今度観察してみるとわかりますよ?」
「はい!!」
「猫の尻尾もいいが、メイはもう少し自分の名前をしっかりかけたほうがいいぞ」
「お、おにいさま……今は、剣のれんしゅうの時間ではないのですか?」
「俺はもうとうに剣の稽古は終わらせて、メイと一緒にいる時間を作ったんだ!! すごいだろ!!」
どうだ!! と言わんばかりに自慢するリゲルに、レディ・サディランは「勉強の邪魔をされるなら、お部屋から出ていただきます」と窘める。
このやりとりが、勉強の時間やマナーレッスンの時間全てにおいて行われていてメイは慣れてきてしまった。
――お兄さまは、まだケガのことが心配なのね――
メイは、ぼんやりとそう考えているとリゲルの顔が近くにあったことに驚いた。ふいにリゲルが、メイの頬に口づけし「お前は可愛い」と言う。
兄妹でのスキンシップなのかしら? メイはよくわからない。高熱を出す前の記憶では、兄はやたらとメイに「邪魔だ!!」「目障りだ!!」とののしられるように言われたり、実際廊下で突き飛ばされるようなこともあった……記憶がある。
休憩のお茶の時間には、メイを膝の上に乗せてお茶を飲ませようとしたり、お菓子を口に運び「メイの好きなメイプルクッキーだよ?」とどこから出るのか分からない甘い声で言う。
『私はメイ様の将来が心配になってきました』
レディ・サディランは、時折、ため息をついては言うようになった。
文字の読み書きがひと通りの段階が終えると、簡単な歴史書や文学書、手紙の書き方を学ぶようになった。加えて、上位貴族、下位貴族。つまり、自身よりも上や下の位の貴族。従者たちとの立ち居振る舞いの違いもマナーの一環として、徹底的に覚えるようになる。
歴史書の絵本の題名に【リエル国のなりたち】とあった。読み始めていくと、習った文字から少しずつ分かったのが聖女という存在がいて聖杯を教会で護る役目を持っているということ。昔、魔災という魔法の大きな災厄がが100数年前に起き、魔法のバランスが崩れたのを当代の聖女が治めた。
魔災のバランスが崩れると、土地や天候だけでなく、人の感情のコントロールにも大きな影響を及ぼした。人々の感情が荒れ、欲を満たそうとする災厄にまで至った。
その時に魔法のバランスを取り戻すのに必要だったのが、【聖杯】と【聖女の魔法】だった。
絵本とは言え、魔災の状況がありありと描かれており、人々の剥き出しの欲望や抑え込まれていた負の感情などが表情に描かれていた。メイはその絵がとても恐ろしく、ヒヤリと背筋が凍った。
ここまで読み終えると、メイの中で何かがカチリと音を立てた。記憶の片隅にあった、生前の記憶の何かが知っている記憶。
「わたし、知ってる……聖女さまが、どんな方だったか……」
「メイ? そんな筈ないだろ?! 100年以上もの聖女様だぞ?」
「でも、でも!! わたし分かるの!! みんな、みんな、奪い合ったり、それだけじゃなくて……お兄さま、わたし怖い!!」
涙流しながらメイはリゲルに抱きついた。今まで、自ら抱きつこうとはしない妹が小さな体を震わせて涙流して訴えている。
小さな妹の背中を抱きしめ、「俺がずっとずっと傍にいてやるから。一緒にいるからな?」とリゲルは心の底から想い言った。5歳の妹の記憶は、火傷の後の高熱を出した日から変わった。
初めて兄を見たような表情であったり、リゲルが兄であることを驚いていたり。以前のように、顔色を窺い逃げ惑うことはないが戸惑いながら彼からの言葉を素直に受け止めている。
ひとしきり泣いて落ち着いた彼女は、リゲルの胸の中で小さな吐息を立てて眠っている。
愛らしく、小さな瞳を覆う少し長いまつ毛に涙の粒。彼は妹の涙を優しく指で拭い、少し塩気のある味だなと涙を口にした。
あの日以来、メイは勉強をする時間に時折ぼんやりしていたり。本を読んで、突然泣き出したりしまうこともあった。
何度か医師が診察をしたが、原因は『火傷の高熱の後遺症なのかもしれません』だった。リゲルは両親に王宮の魔法士に診て貰いたいと懇願した。しかし、王宮の魔法士も、そう簡単に診ることはできない。
特に、男爵家という貴族位の中でも下位になるドライモス家にとっては……。貧乏貴族とまではいかないが、権力がある訳でもない。父は勤勉で実直な男で、真面目に領地を治め王都へ出向いてでの王宮勤めも黙々と仕事をしている。そして、家では家族を大事にし、家に仕える者たちへの配慮も忘れず人望も厚い。母は、優しく2人の子どもを見守ってきたがリゲルのメイに対する態度を気にはしていた。火傷の一件以来、態度を改め接するようになったのは安心していた。が、両親はリゲルのメイに対する過剰なまでの接し方には心配を感じている。
マナーレッスンの一環で、王宮の茶会以来足しげく通うフォンテーヌもメイを心配していた。茶席で急に、「フォンテーヌ様がシェノン殿下に嫌われてしまうのがイヤです!!」と泣いたりするのだ。
フォンテーヌは、メイに嫌われるのだけはイヤだし、大好きな第一王子のシェノン・リエルには嫌われたくない。
フォンテーヌは、ワガママを言わない約束を教会で立てたが今回はメイのためにと父に懇願した。
「おとうさま!! お願いがあります!!」
「どうした? ワガママを言いたくなったのか?」
「わ、ワガママかも……しれません。友達の、わたくしの大事なメイのために王宮の魔法士さまに。メイを診てもらえるようにして欲しいのです!!」
「…………」
「お、おとうさま?」
「フォンが、フォンが人のために頼みごとをするとは!! よし、王宮魔法士長に今すぐ魔法鳩を飛ばして頼んでおく!!」
言うが否や、フォンの父、ラインレス伯爵はその場で書簡を書き魔法鳩を飛ばした。魔法鳩は、鳩の姿はしているが魔法により生み出された伝書鳩。早さも格段に違う。魔法の力によっては、魔法鷹もある。
鳩といえど、飛ぶのではなく一瞬にして姿を光と供に消えて相手方に書簡を送る。
魔法鳩の陣が光ると、返書の書簡が届いていた。
【あい分かった】
とだけの返事。どうやら、魔法士による診察が可能となった。フォンは急いで自分の魔法鳩で、リゲル宛てに書簡を送った。
後日、王宮魔法士長自らがドライモス家に訪れメイを診察にしに来た。メイの魔法力量の測定、記憶をメイの奥底にあるものを確認するための魔道具まで様々な診察のための魔道具も取り揃えてきていた。供に、治癒魔法士も同行していた。
「それでは、診察を行わせていただきます」
「は、はい……よろしく、おねがいします」
「大丈夫です。無理な時は、治癒魔法士もおります。今から、あなたの今の身体と心のバランスの状態を確認するのです」
「からだとこころの、バランス?」
「えぇ、身体と心のバランスが崩れると魔力にも影響を与えたり。不安定になるのです」
「おにいさま、手を……つないでいてくださいますか?」
「もちろんだ、メイ!!」
「では、はじめます」
魔力量の測定を始め、あらゆる魔道具で状態をみていく。リゲルと手を繋いでいても、王宮の魔道具は秀でて素晴らしく反応はメイのだけを測定していく。
魔法士長自身も、メイの表情や身体からでている魔力の波動の色を見極める。
不思議なことに、波動が2つ揺らめいている。2つの波動は、さらに揺らめき4つ6つと2の倍数で増えた。色合いも水色、青色、赤、桃色、黄色、緑。青は冷静、赤は興奮、黄色は喜び。しかし、他の色は似ているが見たことがない淡い色。
魔力量も潜んでいる力と、生まれ持った力の2つ。
魔法士長は診たことも感じたこともない彼女の力に驚いた。しかし、その力は、不吉さを覚えるのではなくむしろ心地よさを与えた。
「……正直に申し上げます」
部屋で供にいた父は、妻の手を握り次の言葉を待つ。リゲルはメイを優しく抱きしめ、「大丈夫だ」という。
「メイ・ドライモス嬢には、不思議な力をお持ちです。それも、我々、魔法士に心地よさを与えてくださる、とても良い力といえます」
「と、いいますと?」
「この力は、外部に漏らさず。王宮の管理で行います。力の制御や成長のためにも、リエル国立学園には必ず入学して頂きたい」
「し、しかし……当家にはそのような財力までは……」
「ご安心ください。王宮魔法士長である私が、保証人となります。そして、リゲル殿」
「な、なんだ!!」
「貴方には、妹のメイ嬢を護る力としての魔力がかなりあります。それだけでなく、魔法と剣の使い手として成長が見受けられます」
「ほ、本当か?!」
「お二方には、学園入学のためにこれからもより一層の勉学に励める環境を我々も微力ながら手伝わせていただきたい」
両親は、子どもたちへの学園入学のために魔導士長みずから助力してくれることとなり驚きを隠せなかった。そして、王宮魔導士長は約束をたがえることはしなかった。
翌日から、レディ・サディランとの勉学に加え、メイは魔力の基礎学を王宮魔法士から直接学び始めた。その席には、兄・リゲルもいる。
6歳になろうとしていたメイは、フォンテーヌやラインレス伯爵達の取り計らいにより勉学の幅が広がった。6歳になった時には、フォンテーヌも勉強の席に同席する日が増えた。
「メイを守ると決めた以上、わたくしも一緒に学びますわ!!」と、意気込んでいた。
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