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元旦那編

家令の指摘

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「はぁ……」
家令だった男の取り調べで言われた事が耳から離れない。
確かに初夜自体も行わず言いたいこと言ってあとはヤツに任せっきりで鬱陶しい女からのアプローチが減ったと喜んでいた。
ヤツがまだ体調は安定していないようだが穏やかに過ごしている、そのうち商人を呼んで買い物を程々に済ませて居た、お庭のお散歩を楽しんでいます。そういうように少しづつ元気になっていると聞いてホッとして来年辺り1度社交シーズンの夜会に連れていこうかと思っていた時にこのような事になった。

ヤツ曰く蔑ろにしている妻は使用人も蔑ろにしても問題ないと認識するものだと言われた。
そんな意識の低い人間だらけの屋敷に驚くが目を向けていなかった自分にも責任があるが今まで母上がいかに上手く家政をまとめていたのかよく分かった。
慌てて妻を探したが門番に聞いても灰色の髪の女性が出ていくのは見ていないというでは無いか……
私が渡していた手当の1部しか手に届いていなかったとはいえそれすらも持って出ていないのであればそう遠くは行けないはずと近隣の村にまで捜索隊を派遣したがそれらしき女は見つからなかったという。

悔しいがアイツに言われた事が頭から離れない、試しにスラム近くに行って見たが確かに妻となったリディア(この件があるまで名前すら覚えていなかったのは反省だ。)が初夜として着る夜着の下の身体はガリガリだったがこのスラム近くにいる人間ですらもう少ししっかりした身体をしていそうだ。
髪は風呂に入ってない為にボサボサになっているのは彼女もそんな感じだったかもしれないと思う。
念の為彼女の実家に人をやって戻っていないのか聞こうとしたら第二王子殿下によっておとり潰しの真っ最中でリディアは戻っていない上捜索の使者に義両親に援助をして欲しいと伝言されたと言う。

流石の使者も妻が家出していてこちらも探しているので援助を求めて来てもまずは妻が見つからないと出来ないと伝えて帰ってきたそう。
あそこで私に確認してから返事をすると言うと着いてきそうな勢いだったそうなので振り切って帰ってくれた事はよくやったと褒めておいた。

しばらく探したが見つからず家令は辺境の砦に使い込みの金が返済されるまで働かせる手筈を整えてくれた騎士がいて助かった。
そういう事を取り仕切る家令が罪を犯したのだから手配をするのにも一苦労で家政の大切さを思い知らされた。
偽妻役は家令の恋人らしく計画を聞いて便乗していたが本人が自分から行った訳では無いとなり別邸にある彼らが購入したものを売り払い、彼女は実家に帰されたが勘当され平民になったそうだ。

諸々の手続きが終わり妻が見つからない以外は一段落着いた時リリーのいるカフェに久しぶりに顔を出すと彼女は実家に帰ったと言う。
残念に思い実家に帰ったが店は残っているのならそのうち戻ってくるだろうと気楽に考え帰ってきたら好きだと伝えどこか分家の養女にしてもらいリディアと別れたあとに結婚しようなんてひとりよがりな事をこの時はまだ考えていたのだ。
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