【完結】べつに平凡な令嬢……のはずなのに、なにかと殿下に可愛がれているんです

朝日みらい

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 王宮の中庭でお茶会が催された。

 フィリップ殿下が自らホスト役を務め、お茶会を主催する。出席しているのは高貴な貴族たちだけで、アリー・エッヘンホルト公爵令嬢も招待されていた。


 平凡すぎるアシェリーがフィリップ殿下にあんなに溺愛されるのが理解できなかった。家柄も教養も容姿も、何もかも自分より劣るはずのアシェリーが……。

「アリー様、お茶会はどう?」

 取り巻きの令嬢たちが尋ねる。

「つまらないわね!」

 アリーは素っ気なく言った。

「それはいけませんわね」

「アリー様、もう少し愛想良くしてくださいませ」

「アシェリー様のことが気になりますか?」

「ただ腹が立つの!」

とアリーは言った。

「なんであんな子が……。おかしいわよ! あんな地味な子が王太子妃なんて! 絶対に認めないわ!」

「でも、もう決まったことですし……」

「でも、あの田舎娘に王妃なんてできるわけないじゃない! 殿下もどうかしてるのよ!」

 そこにフィリップ殿下がアシェリーを伴ってやってきた。

 アリーはギョッとした。

「やあ、みんな。王太子妃になるアシェリーをよろしく頼む」

 フィリップ殿下は朗らかに言った。アシェリーは恥ずかしそうだ。

「あ、あの……はじめまして……」

と挨拶する。

「よろしくお願いします」

「まあ、こちらこそよろしくお願いいたしますわ!」

と他の令嬢たちが口々に言った。

 しかし、アリーは面白くなさそうにそっぽを向いている。

「アシェリー、こちらへおいで」

とフィリップ殿下がアシェリーを手招きする。

 アシェリーは遠慮がちにフィリップ王太子のそばに近寄っていく。

「今日は皆さんに、正式に私の愛する人を紹介しようと思う」

 フィリップ殿下はそう言うと、アシェリーの肩を抱いて自分のそばに引き寄せた。

「あ、あの……」

「アシェリーだ。私が選んだ未来の妃だ」

「あ、あの……王太子殿下……。わ、私はまだ結婚はまだ……」

 アシェリーが真っ赤になって言うが、フィリップ殿下は気にしていないようだった。

「恥ずかしがっているんだ」

とフィリップ殿下は言った。

「可愛いだろう?」

「はい!」

 他の貴族たちも口々に褒める。

「天使のようだ!」

「いや、女神だよ!」

「美しい!素晴らしいですわ!」

「あ、ありがとうございます……」

 アシェリーは真っ赤になってうつむいた。

 フィリップ殿下はそっとアシェリーのピンク色の頬に、

「愛しているよ」

とキスした。
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