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29.甘いケーキとミルクティー
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夕食を食べて一休みした後、今日買ったケーキが入った箱を取り出す。
「2人ともご飯いっぱい食べたけど、ケーキは食べれそう?」
リビングに置いてあるソファに仲良く並んで座っていた2人に声をかけた。
ちなみに2人が今座っているソファも今日購入したものだ。ふかふかしていてとても座り心地が良いものを選んだ。
「うーん…らいじょぶ!」
「ん。たべれる」
2人とも頷いたので、食器棚から皿とフォークを取り出して準備する。箱からケーキを取り出そうとしたところで、一度手を止めた。
飲み物も欲しいよなぁ…。ケーキに合うもの……うーん。ケーキといったら俺は紅茶とかコーヒーなんだけど、ノワールとルーチェはまだ子どもだからカフェインはあまり取らない方がいいだろうし。
あ、でも、確か大体4歳以上位からならカフェインが含まれてても少しなら飲んでも大丈夫だったはず。
苦味や渋味がないものといえば……ミルクティーなら飲みやすいかな。
茶葉にもよるけど、渋味が少ないものもあるし。ちょうどぴったりな茶葉もある。
うん。ミルクティーにしよう。
異空間から必要な茶葉を取り出す。取り出した茶葉はキーマン。キーマンは渋味がなく、マイルドで程よいコクのある飲みごたえだ。ただ、少し個性的なので好みは別れる。
この世界には地球にあった茶葉と同じ名前で同じ味や香りのする茶葉がある。理由は分からないけど、日本にいた時に好んで紅茶を飲んでいた身としてはありがたかった。
確かキーマンは地球だと世界三大銘茶のひとつだったはず。他の2つはダージリンとウヴァだったかな。
日本では手頃に買えた紅茶だったけど、この世界では紅茶は貴族の嗜みとされていて、高級品に分類される。だから、一般の民間人はなかなか飲むことができない。まあ、茶葉の品質の悪いものであれば少し安めに売られてはいるんだけど、だからといって手軽に買える値段ではない。
俺も最初に値段を聞いた時にはびっくりした。それでも、紅茶はどうしても飲みたかったので買える機会があれば買っている。金銭的に余裕もあるからね。
茶葉を取り出した後、小さい鍋に水を入れて火にかける。お湯が沸いたら弱火にして茶葉を入れて2分ほどにかける。この時に沸騰させないことがポイントだ。
2分経過したらミルクを鍋に入れて、弱火で数分程火にかけて沸騰する直前で火からおろす。茶葉をこしながらカップに注げば完成!
もし甘さが足りない時には好みで砂糖か蜂蜜を加えれば大丈夫。
ミルクティーが完成したところで、ケーキも箱から取り出してお皿に乗せる。ケーキが乗った皿とフォーク、カップをトレーに乗せて、さっき夕食を食べたテーブルではなく、ノワールとルーチェが座っているソファの前にあるソファのサイズに合わせた低めのテーブルへと持っていく。
それぞれの前にケーキが乗った皿とミルクティーが入っているカップ、フォークを並べた。
俺はノワールとルーチェの隣に座ってもよかったが、そちらではなく2人の斜め右側にあるソファへ座った。
ケーキは買った時に2人とも見ているけど、ミルクティーは初めてだ。好き嫌いはあるだろうから、もし苦手なようだったら飲み物は別の物を用意しよう。
「こえなあに?」
ノワールが気になったのか、テーブルの上に置いたミルクティーを覗き込みながら聞いてきた。ルーチェも鼻をひくひくさせて香りを嗅いでいる。
「これはね、ミルクティーだよ。俺が好きな紅茶っていうお茶の中の1つなんだ」
「ふーん…おいしいの?」
「うーん…俺は美味しいと思うけど、苦手って人もいるかな。もし、2人が嫌だったら別の物に変えるよ」
2人はカップを手に取って香りを嗅いだり、じっと見つめている。俺はそんな2人を気にかけながら、自分のカップを手に持ち、ゴクリとミルクティーを飲んだ。
うん。香りも味も美味しい。
思わず口角が上がってしまう。
そんな俺の様子をじっと見つめていたルーチェが、ノワールよりも先に「ふー、ふー」と息を吹きかけてからカップを傾けてミルクティーを一口飲んだ。
隣に座っているノワールも自分のはまだ飲まず、ルーチェが飲んでいるところを見ていた。
「るー?」
「……おいしい」
「よかった。ルーチェの口には合ったみたいだね。苦くはなかった?」
「だいじょうぶ」
「蜂蜜も入れてみる?これを入れるとね、甘みが増してもっと美味しくなるよ」
試しに俺がスプーンで容器に入った蜂蜜を掬って、ミルクティーに入れて混ぜる。
ルーチェも俺の真似をするように、蜂蜜を掬ってミルクティーに混ぜ入れた。そして、ミルクティーを一口飲む。すると、耳と尻尾がピンッと立ち上がった。
お?
ルーチェは両手でカップを持ったまま、少し上目遣いで俺の方を見てきた。
何かな?と思っていると「はちみつもっといれてもいい?」と聞いてきた。
「蜂蜜気に入った?」
「うん」
「甘くて美味しいもんね。入れすぎなければ好きなだけ混ぜて大丈夫だよ」
ルーチェは余程蜂蜜が気に入ったのかスプーンで追加で3杯位蜂蜜を掬ってミルクティーに入れていた。
もしかして、ルーチェは甘い物が好きなのかな。それならケーキも好きになってくれそうだ。
ルーチェはミルクティーを飲むと口角がほんの少しだけ上がり、頬を染めてほわぁ~と周りに花が飛んでいるような雰囲気で、尻尾もゆらゆらと左右に揺れてリラックスしているみたいだ。
そんなルーチェを隣で見ていたノワールも「ふー、ふー」と息を吹きかけてからミルクティーを口にしていた。
「ノワールも蜂蜜入れてみる?」
そう声をかけると「うん!」と、返事をした後に蜂蜜をスプーン1杯掬ってミルクティーに混ぜ、また一口飲んだ。
「わあ!おいちい!!」
ノワールもお気に召したみたい。
目をキラキラさせてニコニコしている。
2人の口にあったみたいでよかった。
ただ、ルーチェがごくごくと飲んでいるので、このままだとケーキを食べる前にミルクティーがなくなってしまいそうだったので、ミルクティーの次はケーキを食べることにした。
ケーキはフラーゴラやミルティッロ、ランポーニ、ぺスカなどのたくさんの果物が飾り付けられスポンジの間にもクリームと一緒に小さく刻まれた果物が挟まっている。可愛らしい見た目だ。
因みに、名前は違うが日本で例えるとフラーゴラはいちご、ミルティッロはブルーベリー、ランポーニはラズベリー、ぺスカは桃といった感じだ。見た目も味も似ている。
「ケーキも甘くて美味しいだろうから2人とも食べてみて」
2人にケーキを食べるように促しながらも自分も一口分をフォークに刺して口へと運んだ。果物がクリームの甘さとマッチしていて美味しい。果物の甘さがクリームの甘さとはまた違っていて、果物の酸味があることで甘すぎず、さっぱりしていて食べやすい。
ノワールとルーチェも美味しそうにケーキを食べている。
ミルクティーとの相性もいい感じだ。
3人ともあっという間に食べ終わってしまった。
「おいちかったー!もうおにゃかいっぱい~」
「もうはいらない…」
「ふふ、そうだね。今日はいっぱい食べたもんね。ただ、2人とも……」
ソファの背もたれに背中を預けてダランとしているノワールとお腹に手を当てているルーチェ。そんな2人の顔、正確にいうと口周りには髭のように白いクリームが付いている。
子どもっぽく、可愛らしい顔に思わず笑ってしまう。
きっと幼い頃のあるあるだね。
皿やカップを片付けるのにキッチンへ行き、布を水で濡らしてから2人の元へ戻り、口周りに付いたクリームを綺麗に拭き取った。
「ゆづる、あしたものみたい」
2人をお風呂に入れて、髪を乾かしているとルーチェがそう言ってきた。
ルーチェが自分から何かを欲しがるなんて珍しいなと思うと同時に、気持ちを伝えてくれたことが嬉しい。
「ミルクティーのこと?」
「ん」
「いいよ。ただ、飲みすぎないようにね」
「ぼくものむー!」
「ノワールも気に入ったの?」
「うん!だって、ゆづにいとおんなじいろだもん!」
「同じ色?」
「うん!ゆづにいのかみのきぇとおしょろい!ね!るー!」
「ん。いっしょ」
ああ、なるほど。
確かに俺の髪の毛はミルクティー色をしている。それで、同じと言ったのか。
「この色が好きなの?」
「うん!だって、ゆづにいのいろだもん!」
「やさしいいろ」
「そっか…」
俺の色……優しい、か。
まさか2人がそんなことを思ってくれてるとは思わなかった。
今までも髪の毛を褒めてくれる人はいたけど、それとはまた違う…。
2人が心から好きだと思っていることが、2人の目を見れば伝わってきた。
俺たち3人は出会ってまだ日が浅い。初めて会った時と比べたら、ずっと一緒にいたから仲良くはなれたと思っていた。
俺が触れても警戒はしなくなったし、自ら話しかけてきて、笑顔も見せてくれるようになった。
それでも、まだお互いに知らないことはあるし、2人が心の底から俺のことを信頼してくれたとは限らない。
表では平気な顔をしていても心の奥底では、まだ怖いと思っている部分もあるだろう。
それでも、俺を頼ろうとしてくれる。
いつか、本当に心から信頼してくれるようになったのならば、それはきっと血が繋がってなくても本当の家族だといえる。そんな日が来たら、俺は———
「ゆづにい?」
「ゆづる?」
ノワールとルーチェが俺の手を握ってきた。
2人の温かい小さな手を握り返して、誓う。
俺はこの2人に愛情をたくさん与えようと。例え、何があろうとも俺はずっとノワールとルーチェを守り続ける。
俺は2人の手を引き、ぎゅっと2人を抱きしめた。
「2人ともご飯いっぱい食べたけど、ケーキは食べれそう?」
リビングに置いてあるソファに仲良く並んで座っていた2人に声をかけた。
ちなみに2人が今座っているソファも今日購入したものだ。ふかふかしていてとても座り心地が良いものを選んだ。
「うーん…らいじょぶ!」
「ん。たべれる」
2人とも頷いたので、食器棚から皿とフォークを取り出して準備する。箱からケーキを取り出そうとしたところで、一度手を止めた。
飲み物も欲しいよなぁ…。ケーキに合うもの……うーん。ケーキといったら俺は紅茶とかコーヒーなんだけど、ノワールとルーチェはまだ子どもだからカフェインはあまり取らない方がいいだろうし。
あ、でも、確か大体4歳以上位からならカフェインが含まれてても少しなら飲んでも大丈夫だったはず。
苦味や渋味がないものといえば……ミルクティーなら飲みやすいかな。
茶葉にもよるけど、渋味が少ないものもあるし。ちょうどぴったりな茶葉もある。
うん。ミルクティーにしよう。
異空間から必要な茶葉を取り出す。取り出した茶葉はキーマン。キーマンは渋味がなく、マイルドで程よいコクのある飲みごたえだ。ただ、少し個性的なので好みは別れる。
この世界には地球にあった茶葉と同じ名前で同じ味や香りのする茶葉がある。理由は分からないけど、日本にいた時に好んで紅茶を飲んでいた身としてはありがたかった。
確かキーマンは地球だと世界三大銘茶のひとつだったはず。他の2つはダージリンとウヴァだったかな。
日本では手頃に買えた紅茶だったけど、この世界では紅茶は貴族の嗜みとされていて、高級品に分類される。だから、一般の民間人はなかなか飲むことができない。まあ、茶葉の品質の悪いものであれば少し安めに売られてはいるんだけど、だからといって手軽に買える値段ではない。
俺も最初に値段を聞いた時にはびっくりした。それでも、紅茶はどうしても飲みたかったので買える機会があれば買っている。金銭的に余裕もあるからね。
茶葉を取り出した後、小さい鍋に水を入れて火にかける。お湯が沸いたら弱火にして茶葉を入れて2分ほどにかける。この時に沸騰させないことがポイントだ。
2分経過したらミルクを鍋に入れて、弱火で数分程火にかけて沸騰する直前で火からおろす。茶葉をこしながらカップに注げば完成!
もし甘さが足りない時には好みで砂糖か蜂蜜を加えれば大丈夫。
ミルクティーが完成したところで、ケーキも箱から取り出してお皿に乗せる。ケーキが乗った皿とフォーク、カップをトレーに乗せて、さっき夕食を食べたテーブルではなく、ノワールとルーチェが座っているソファの前にあるソファのサイズに合わせた低めのテーブルへと持っていく。
それぞれの前にケーキが乗った皿とミルクティーが入っているカップ、フォークを並べた。
俺はノワールとルーチェの隣に座ってもよかったが、そちらではなく2人の斜め右側にあるソファへ座った。
ケーキは買った時に2人とも見ているけど、ミルクティーは初めてだ。好き嫌いはあるだろうから、もし苦手なようだったら飲み物は別の物を用意しよう。
「こえなあに?」
ノワールが気になったのか、テーブルの上に置いたミルクティーを覗き込みながら聞いてきた。ルーチェも鼻をひくひくさせて香りを嗅いでいる。
「これはね、ミルクティーだよ。俺が好きな紅茶っていうお茶の中の1つなんだ」
「ふーん…おいしいの?」
「うーん…俺は美味しいと思うけど、苦手って人もいるかな。もし、2人が嫌だったら別の物に変えるよ」
2人はカップを手に取って香りを嗅いだり、じっと見つめている。俺はそんな2人を気にかけながら、自分のカップを手に持ち、ゴクリとミルクティーを飲んだ。
うん。香りも味も美味しい。
思わず口角が上がってしまう。
そんな俺の様子をじっと見つめていたルーチェが、ノワールよりも先に「ふー、ふー」と息を吹きかけてからカップを傾けてミルクティーを一口飲んだ。
隣に座っているノワールも自分のはまだ飲まず、ルーチェが飲んでいるところを見ていた。
「るー?」
「……おいしい」
「よかった。ルーチェの口には合ったみたいだね。苦くはなかった?」
「だいじょうぶ」
「蜂蜜も入れてみる?これを入れるとね、甘みが増してもっと美味しくなるよ」
試しに俺がスプーンで容器に入った蜂蜜を掬って、ミルクティーに入れて混ぜる。
ルーチェも俺の真似をするように、蜂蜜を掬ってミルクティーに混ぜ入れた。そして、ミルクティーを一口飲む。すると、耳と尻尾がピンッと立ち上がった。
お?
ルーチェは両手でカップを持ったまま、少し上目遣いで俺の方を見てきた。
何かな?と思っていると「はちみつもっといれてもいい?」と聞いてきた。
「蜂蜜気に入った?」
「うん」
「甘くて美味しいもんね。入れすぎなければ好きなだけ混ぜて大丈夫だよ」
ルーチェは余程蜂蜜が気に入ったのかスプーンで追加で3杯位蜂蜜を掬ってミルクティーに入れていた。
もしかして、ルーチェは甘い物が好きなのかな。それならケーキも好きになってくれそうだ。
ルーチェはミルクティーを飲むと口角がほんの少しだけ上がり、頬を染めてほわぁ~と周りに花が飛んでいるような雰囲気で、尻尾もゆらゆらと左右に揺れてリラックスしているみたいだ。
そんなルーチェを隣で見ていたノワールも「ふー、ふー」と息を吹きかけてからミルクティーを口にしていた。
「ノワールも蜂蜜入れてみる?」
そう声をかけると「うん!」と、返事をした後に蜂蜜をスプーン1杯掬ってミルクティーに混ぜ、また一口飲んだ。
「わあ!おいちい!!」
ノワールもお気に召したみたい。
目をキラキラさせてニコニコしている。
2人の口にあったみたいでよかった。
ただ、ルーチェがごくごくと飲んでいるので、このままだとケーキを食べる前にミルクティーがなくなってしまいそうだったので、ミルクティーの次はケーキを食べることにした。
ケーキはフラーゴラやミルティッロ、ランポーニ、ぺスカなどのたくさんの果物が飾り付けられスポンジの間にもクリームと一緒に小さく刻まれた果物が挟まっている。可愛らしい見た目だ。
因みに、名前は違うが日本で例えるとフラーゴラはいちご、ミルティッロはブルーベリー、ランポーニはラズベリー、ぺスカは桃といった感じだ。見た目も味も似ている。
「ケーキも甘くて美味しいだろうから2人とも食べてみて」
2人にケーキを食べるように促しながらも自分も一口分をフォークに刺して口へと運んだ。果物がクリームの甘さとマッチしていて美味しい。果物の甘さがクリームの甘さとはまた違っていて、果物の酸味があることで甘すぎず、さっぱりしていて食べやすい。
ノワールとルーチェも美味しそうにケーキを食べている。
ミルクティーとの相性もいい感じだ。
3人ともあっという間に食べ終わってしまった。
「おいちかったー!もうおにゃかいっぱい~」
「もうはいらない…」
「ふふ、そうだね。今日はいっぱい食べたもんね。ただ、2人とも……」
ソファの背もたれに背中を預けてダランとしているノワールとお腹に手を当てているルーチェ。そんな2人の顔、正確にいうと口周りには髭のように白いクリームが付いている。
子どもっぽく、可愛らしい顔に思わず笑ってしまう。
きっと幼い頃のあるあるだね。
皿やカップを片付けるのにキッチンへ行き、布を水で濡らしてから2人の元へ戻り、口周りに付いたクリームを綺麗に拭き取った。
「ゆづる、あしたものみたい」
2人をお風呂に入れて、髪を乾かしているとルーチェがそう言ってきた。
ルーチェが自分から何かを欲しがるなんて珍しいなと思うと同時に、気持ちを伝えてくれたことが嬉しい。
「ミルクティーのこと?」
「ん」
「いいよ。ただ、飲みすぎないようにね」
「ぼくものむー!」
「ノワールも気に入ったの?」
「うん!だって、ゆづにいとおんなじいろだもん!」
「同じ色?」
「うん!ゆづにいのかみのきぇとおしょろい!ね!るー!」
「ん。いっしょ」
ああ、なるほど。
確かに俺の髪の毛はミルクティー色をしている。それで、同じと言ったのか。
「この色が好きなの?」
「うん!だって、ゆづにいのいろだもん!」
「やさしいいろ」
「そっか…」
俺の色……優しい、か。
まさか2人がそんなことを思ってくれてるとは思わなかった。
今までも髪の毛を褒めてくれる人はいたけど、それとはまた違う…。
2人が心から好きだと思っていることが、2人の目を見れば伝わってきた。
俺たち3人は出会ってまだ日が浅い。初めて会った時と比べたら、ずっと一緒にいたから仲良くはなれたと思っていた。
俺が触れても警戒はしなくなったし、自ら話しかけてきて、笑顔も見せてくれるようになった。
それでも、まだお互いに知らないことはあるし、2人が心の底から俺のことを信頼してくれたとは限らない。
表では平気な顔をしていても心の奥底では、まだ怖いと思っている部分もあるだろう。
それでも、俺を頼ろうとしてくれる。
いつか、本当に心から信頼してくれるようになったのならば、それはきっと血が繋がってなくても本当の家族だといえる。そんな日が来たら、俺は———
「ゆづにい?」
「ゆづる?」
ノワールとルーチェが俺の手を握ってきた。
2人の温かい小さな手を握り返して、誓う。
俺はこの2人に愛情をたくさん与えようと。例え、何があろうとも俺はずっとノワールとルーチェを守り続ける。
俺は2人の手を引き、ぎゅっと2人を抱きしめた。
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