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番外編 〜巡る季節〜
夏.1
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梅雨は明け、本格的に夏はやって来た。
アテンド案件は一時より減ったものの、リアムたちに急に対応することになり、みんな他の仕事が押していた。私のせいではないが、申し訳ないと思いながら精一杯仕事に励んでいた。
明日から会社は、夏休みに入る。今年は連続九日間。これまでそれを目標に、休み前に片づけたい仕事に掛かりきりだった。
「早くビール飲みてー!」
「黒岩さん、今日それ、何回目ですか?」
黒岩さんの悲壮感漂う声が、向かいから聞こえてくる。その隣でキーボードを叩きながら、深瀬くんが呆れた様子だ。まだまだ窓の外は明るいが、時間は夕方六時前。黒岩さんがそう言いだすのも無理はない。
「もうちょっとなんですから、早く仕事片付けてくださいよ。黒岩さん待ちなんですよ?」
深瀬くんは仕事を終わらせたのか、デスク上を片付けている気配がする。私もそろそろと、締め切りはまだずっと先の翻訳書類を保存するとパソコンの電源を落とした。
「えっ! マジ?」
顔を上げてこちらを見る黒岩さんに、無言で頷く。私の両隣、羽瑠ちゃんと紗里ちゃんは一足先に退社している。私も特に急ぎではない仕事をしていたし、深瀬くんも同じだったようだ。
「もう少しで終わる!」
黒岩さんの叩くキーボードの音がカチャカチャ響いている間に、私はデスクの上を綺麗にする。それと同時に、「これで終わり!」と黒岩さんの叫びと派手に立てたキーを叩く音がした。
「得意げに言わないでくださいよ。締め切りギリギリでしょ? それ」
「細かいな、深瀬。間に合えばいいんだよ」
いつもながら、どっちが年上なのかわからないやりとりを聞きながら、私は立ち上がった。
「私、お手洗いに行ってきますから、二人とも出る用意しておいてくださいね。できてなかったら置いていきますよ? 特に黒岩さん」
そう釘を刺し席を立つ。
今日はこれから、チームメンバーで食事会だ。
『暑気払いがてら、みんなでご飯でも』と言い出したのは私だ。みんな乗り気で、次の日のことを考えなくていい、長期休みの前日となった。
これを企画したのには、別の理由がある。それは、結婚が決まったことをみんなに報告すること。
羽瑠ちゃんには相談済みで、「頑張れ!」と応援されていた。そして、「みんながどんな反応するか、今から楽しみね」なんて、少し悪い顔をして笑う羽瑠ちゃんの横顔が、依澄さんにそっくりだと思ったのは秘密だ。
「とりあえず、がんばろ!」
一人廊下で自分を励ますと、私は歩き出しだ。
アテンド案件は一時より減ったものの、リアムたちに急に対応することになり、みんな他の仕事が押していた。私のせいではないが、申し訳ないと思いながら精一杯仕事に励んでいた。
明日から会社は、夏休みに入る。今年は連続九日間。これまでそれを目標に、休み前に片づけたい仕事に掛かりきりだった。
「早くビール飲みてー!」
「黒岩さん、今日それ、何回目ですか?」
黒岩さんの悲壮感漂う声が、向かいから聞こえてくる。その隣でキーボードを叩きながら、深瀬くんが呆れた様子だ。まだまだ窓の外は明るいが、時間は夕方六時前。黒岩さんがそう言いだすのも無理はない。
「もうちょっとなんですから、早く仕事片付けてくださいよ。黒岩さん待ちなんですよ?」
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「えっ! マジ?」
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「もう少しで終わる!」
黒岩さんの叩くキーボードの音がカチャカチャ響いている間に、私はデスクの上を綺麗にする。それと同時に、「これで終わり!」と黒岩さんの叫びと派手に立てたキーを叩く音がした。
「得意げに言わないでくださいよ。締め切りギリギリでしょ? それ」
「細かいな、深瀬。間に合えばいいんだよ」
いつもながら、どっちが年上なのかわからないやりとりを聞きながら、私は立ち上がった。
「私、お手洗いに行ってきますから、二人とも出る用意しておいてくださいね。できてなかったら置いていきますよ? 特に黒岩さん」
そう釘を刺し席を立つ。
今日はこれから、チームメンバーで食事会だ。
『暑気払いがてら、みんなでご飯でも』と言い出したのは私だ。みんな乗り気で、次の日のことを考えなくていい、長期休みの前日となった。
これを企画したのには、別の理由がある。それは、結婚が決まったことをみんなに報告すること。
羽瑠ちゃんには相談済みで、「頑張れ!」と応援されていた。そして、「みんながどんな反応するか、今から楽しみね」なんて、少し悪い顔をして笑う羽瑠ちゃんの横顔が、依澄さんにそっくりだと思ったのは秘密だ。
「とりあえず、がんばろ!」
一人廊下で自分を励ますと、私は歩き出しだ。
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