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4th
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眠気まなこに瑠花がブルブルと震えるスマホを手にした
「う~ん…メール?
…電話!?…だ…れ、朝から
!!…蓮っ!?」
慌てて通話ボタンを押す
「っ…おはよ、蓮」
『おはよう瑠花。…今日会える?』
「今日、大丈夫だよ」
『良かったぁ。…なかなか出ないから、無理かと思ったよ』
「えっ!?…そんなことないよ」
(昨日なかなか眠れなくて…寝坊したなんて恥ずかしくて言えないよ、、、)
『じゃあ、1時間後に駅で待ち合わせね。いいかな?』
「1時間後に駅ね。OK」
電話を切ると瑠花はベッドから飛び降り、クローゼットを開けた
「……準備しないと!」
ーーーーーー
「ごめんなさい、待ったよね?」
息を切らして走り寄り、改札前で待つ蓮の元に瑠花が立つ
「走らなくても大丈夫だったのに」
瑠花の額の汗に蓮がハンカチを押し当てる
「……あっ、ありがと蓮」
「じゃあ行こうか」
「うん」
先へ歩き出す蓮を見つめながら、昨日の花火の帰りを思い出し、瑠花は足元へ視線を落とす
(昨日は…どうして……)
夏祭りの帰り、駅から蓮のマンションに到着すると、部屋では無くて駐車場へ行き、バイクで家へと連れて来られたのだ
(迷惑だったの?…かな)
ーーーーーー
電車に乗り、到着した駅からしばらく歩くと、蓮の目的に場所に着いたようだ
「ココ…水族館?」
「水族館、嫌いだった?瑠花」
「えっ?そんな事ないよ」
「なら良かった…行こう」
優しく微笑む蓮に手を繋がれ、歩き出す
「うん」
館内に入ると、平日のせいか、人はまばらだった
「海岸は混んでたけど、水族館は比較的空いてるね」
「やっぱり夏は海だもんね」
「…蓮?…久しぶりじゃな~い」
突然、蓮に抱き付く女性
「もう、元気にしてた?」
ふんわり栗毛のロングヘアーの綺麗な女性(ひと)が蓮に話し掛ける
「ちょっと…」
「あれ?…この可愛い子…蓮の?」
蓮に抱き付きながら、瑠花に気付き声をかける
「もう、離れろって!」
「お邪魔って事?も~う…
あ!こんな事してる場合じゃなかった!
急がないと!
…っと、もう少ししたらイルカショーあるから見に来てね♪」
瑠花にウィンクして去っていく
「…あの……」
「ゴメン…姉貴だから」
「えっ?お姉さん?」
「相変わらずテンション高くて、落ち着きがなくて、姉貴って感じじゃないだろっ」
「…そんな事ないよ
やっぱり姉弟(きょうだい)だからかなぁ綺麗な顔してるね」
「そうか?
それより、イルカショーはまだ始まらないから館内廻ろっか」
瑠花の手を握り、指先を絡める
「うん」
大小様々な水槽が並ぶ
エリア毎に色々な魚達が泳いでいる
日本、海外と、見た事のない魚がたくさん展示されている
動く歩道でゆったり先に進んでいく
途中、トンネルが海の中を歩いている見たいな感覚に陥る
「綺麗…」
先には、高いガラスが壁一面にそびえ立ち、海の底にいるかの様だった
「うわぁ~凄~い…」
たくさん魚達が所狭しと泳いでいる
「蓮、見て…」
水槽の近くで並んで魚を見続ける
「なんか飽きないねぇ」
「そうだなっ」
「ずっとこうしていてもいいくらい」
「……瑠花」
蓮が言葉を続けようとした時、グルッグルっと大きなお腹虫が鳴る
「……」
大きな声で肩を揺らし、蓮が笑い出す
「そんなに笑わなくても…」
「いや、可愛いなぁって…
じゃあ…お昼にしようかっ」
「まだ笑ってる~」
「ゴメンゴメン…
食べたいものある?」
レストランへ向かって歩いていく
ーーーーーー
「イルカショー凄いんだね
初めてだからビックリしちゃった~」
「この水族館のメインだからなぁ」
「それにお姉さんも凄かったよ」
「ホント?ありがと」
「…オイっ!なんで居るんだよ~」
「細かいことは気にしないの、それより、女の子を紹介しに来るなんて滅多にない事だもの、来ちゃった♪」
「紹介に来たわけじゃ…」
「照れないのっ、蓮
それより名前、何ちゃん?」
「あっ、初めまして、黒川瑠花と言います」
「瑠花ちゃん、可愛い名前
蓮を宜しくね」
「…お姉さん」
「や~ぁ~、おねえさんだって
もう~蓮」
「痛っ!…ったくバカ力」
蓮の背中をバシバシ叩く
「じゃあ瑠花ちゃん楽しんでいってね。
蓮は、またにじゃなくて…前みたいに来てよね」
「それを言うなら姉貴の方こそ家に帰って来たらいいだろ?」
「フ、フッ…そうね。
じゃあ、瑠花ちゃんが遊びに来てくれるなら、私も家に行くわよ。
またね♪」
瑠花をハグすると嬉しいそうに仕事に戻っていた
「お姉さん行っちゃいましたね」
「自由人でゴメン」
「そんなぁ、楽しかったよ」
「疲れたろ、カフェにでも行こっ瑠花」
「蓮…」
「ほら行くよ」
蓮が右手を差し出す
ーーーーーー
カフェでゆったりと寛いでいると
「折角だし、海岸歩いて帰ろっか」
カフェから覗く海を見つめている瑠花に話し掛ける
「いいの?」
「だって、さっきから海ばっかりみてるから」
「…そうだった?」
(まともに蓮を見れないから海を見てたってのもあるんだけどね…)
「今の時期は海水浴とかプールの方が良かったかな?」
「そんな事ないよ。日焼けとか気になるし…」
「そっか」
「海見に行こうよ」
2人は席を立ち、会計を済まして、海岸へ向かう
近くにつれ波の音が聞こえてくる
昼間の賑わっていた海岸も、太陽が傾きかけてきた今は静かで、波の打ち寄せる音が大きく響いている
帰る人と逆流する様に、2人は砂浜へと足を踏み入れる
「わぁ~海~」
「靴だと砂入るね」
「靴脱いで波打ち際まで行ってくるね…蓮は?」
「もちろん行くよ」
履いていた靴を脱ぎ捨てて、波打ち際まで駆けていく
「気持ちいいよ」
瑠花が海に足をつけ、振り返る
「蓮も早く」
大きく手を振って呼ぶ
「元気だな~」
「もう少しで太陽も沈みそうだね」
「陽が落ちる前に帰ろっか…涼しくなっるだろうし」
「夕焼け見てからがいいなぁ」
「じゃあ…後少しだけね」
「ありがと」
太陽の傾きと共に
青と赤が混ざり合う時間
ただ空を眺める
二人の時間が穏やかに過ぎていく
波の音が徐々に大きくなっていく
青が消え、赤く色付く空
しばらく言葉もなく見つめる
「綺麗…」
「今日ここに来れて良かった」
「…蓮」
「瑠花…話がある…」
空を眺めていた蓮が、ゆっくり瑠花を見つめる
「えっ?…話っ…」
瑠花が蓮を見つめる
「しばらく二人で会うのはヤメにしよう…」
「う~ん…メール?
…電話!?…だ…れ、朝から
!!…蓮っ!?」
慌てて通話ボタンを押す
「っ…おはよ、蓮」
『おはよう瑠花。…今日会える?』
「今日、大丈夫だよ」
『良かったぁ。…なかなか出ないから、無理かと思ったよ』
「えっ!?…そんなことないよ」
(昨日なかなか眠れなくて…寝坊したなんて恥ずかしくて言えないよ、、、)
『じゃあ、1時間後に駅で待ち合わせね。いいかな?』
「1時間後に駅ね。OK」
電話を切ると瑠花はベッドから飛び降り、クローゼットを開けた
「……準備しないと!」
ーーーーーー
「ごめんなさい、待ったよね?」
息を切らして走り寄り、改札前で待つ蓮の元に瑠花が立つ
「走らなくても大丈夫だったのに」
瑠花の額の汗に蓮がハンカチを押し当てる
「……あっ、ありがと蓮」
「じゃあ行こうか」
「うん」
先へ歩き出す蓮を見つめながら、昨日の花火の帰りを思い出し、瑠花は足元へ視線を落とす
(昨日は…どうして……)
夏祭りの帰り、駅から蓮のマンションに到着すると、部屋では無くて駐車場へ行き、バイクで家へと連れて来られたのだ
(迷惑だったの?…かな)
ーーーーーー
電車に乗り、到着した駅からしばらく歩くと、蓮の目的に場所に着いたようだ
「ココ…水族館?」
「水族館、嫌いだった?瑠花」
「えっ?そんな事ないよ」
「なら良かった…行こう」
優しく微笑む蓮に手を繋がれ、歩き出す
「うん」
館内に入ると、平日のせいか、人はまばらだった
「海岸は混んでたけど、水族館は比較的空いてるね」
「やっぱり夏は海だもんね」
「…蓮?…久しぶりじゃな~い」
突然、蓮に抱き付く女性
「もう、元気にしてた?」
ふんわり栗毛のロングヘアーの綺麗な女性(ひと)が蓮に話し掛ける
「ちょっと…」
「あれ?…この可愛い子…蓮の?」
蓮に抱き付きながら、瑠花に気付き声をかける
「もう、離れろって!」
「お邪魔って事?も~う…
あ!こんな事してる場合じゃなかった!
急がないと!
…っと、もう少ししたらイルカショーあるから見に来てね♪」
瑠花にウィンクして去っていく
「…あの……」
「ゴメン…姉貴だから」
「えっ?お姉さん?」
「相変わらずテンション高くて、落ち着きがなくて、姉貴って感じじゃないだろっ」
「…そんな事ないよ
やっぱり姉弟(きょうだい)だからかなぁ綺麗な顔してるね」
「そうか?
それより、イルカショーはまだ始まらないから館内廻ろっか」
瑠花の手を握り、指先を絡める
「うん」
大小様々な水槽が並ぶ
エリア毎に色々な魚達が泳いでいる
日本、海外と、見た事のない魚がたくさん展示されている
動く歩道でゆったり先に進んでいく
途中、トンネルが海の中を歩いている見たいな感覚に陥る
「綺麗…」
先には、高いガラスが壁一面にそびえ立ち、海の底にいるかの様だった
「うわぁ~凄~い…」
たくさん魚達が所狭しと泳いでいる
「蓮、見て…」
水槽の近くで並んで魚を見続ける
「なんか飽きないねぇ」
「そうだなっ」
「ずっとこうしていてもいいくらい」
「……瑠花」
蓮が言葉を続けようとした時、グルッグルっと大きなお腹虫が鳴る
「……」
大きな声で肩を揺らし、蓮が笑い出す
「そんなに笑わなくても…」
「いや、可愛いなぁって…
じゃあ…お昼にしようかっ」
「まだ笑ってる~」
「ゴメンゴメン…
食べたいものある?」
レストランへ向かって歩いていく
ーーーーーー
「イルカショー凄いんだね
初めてだからビックリしちゃった~」
「この水族館のメインだからなぁ」
「それにお姉さんも凄かったよ」
「ホント?ありがと」
「…オイっ!なんで居るんだよ~」
「細かいことは気にしないの、それより、女の子を紹介しに来るなんて滅多にない事だもの、来ちゃった♪」
「紹介に来たわけじゃ…」
「照れないのっ、蓮
それより名前、何ちゃん?」
「あっ、初めまして、黒川瑠花と言います」
「瑠花ちゃん、可愛い名前
蓮を宜しくね」
「…お姉さん」
「や~ぁ~、おねえさんだって
もう~蓮」
「痛っ!…ったくバカ力」
蓮の背中をバシバシ叩く
「じゃあ瑠花ちゃん楽しんでいってね。
蓮は、またにじゃなくて…前みたいに来てよね」
「それを言うなら姉貴の方こそ家に帰って来たらいいだろ?」
「フ、フッ…そうね。
じゃあ、瑠花ちゃんが遊びに来てくれるなら、私も家に行くわよ。
またね♪」
瑠花をハグすると嬉しいそうに仕事に戻っていた
「お姉さん行っちゃいましたね」
「自由人でゴメン」
「そんなぁ、楽しかったよ」
「疲れたろ、カフェにでも行こっ瑠花」
「蓮…」
「ほら行くよ」
蓮が右手を差し出す
ーーーーーー
カフェでゆったりと寛いでいると
「折角だし、海岸歩いて帰ろっか」
カフェから覗く海を見つめている瑠花に話し掛ける
「いいの?」
「だって、さっきから海ばっかりみてるから」
「…そうだった?」
(まともに蓮を見れないから海を見てたってのもあるんだけどね…)
「今の時期は海水浴とかプールの方が良かったかな?」
「そんな事ないよ。日焼けとか気になるし…」
「そっか」
「海見に行こうよ」
2人は席を立ち、会計を済まして、海岸へ向かう
近くにつれ波の音が聞こえてくる
昼間の賑わっていた海岸も、太陽が傾きかけてきた今は静かで、波の打ち寄せる音が大きく響いている
帰る人と逆流する様に、2人は砂浜へと足を踏み入れる
「わぁ~海~」
「靴だと砂入るね」
「靴脱いで波打ち際まで行ってくるね…蓮は?」
「もちろん行くよ」
履いていた靴を脱ぎ捨てて、波打ち際まで駆けていく
「気持ちいいよ」
瑠花が海に足をつけ、振り返る
「蓮も早く」
大きく手を振って呼ぶ
「元気だな~」
「もう少しで太陽も沈みそうだね」
「陽が落ちる前に帰ろっか…涼しくなっるだろうし」
「夕焼け見てからがいいなぁ」
「じゃあ…後少しだけね」
「ありがと」
太陽の傾きと共に
青と赤が混ざり合う時間
ただ空を眺める
二人の時間が穏やかに過ぎていく
波の音が徐々に大きくなっていく
青が消え、赤く色付く空
しばらく言葉もなく見つめる
「綺麗…」
「今日ここに来れて良かった」
「…蓮」
「瑠花…話がある…」
空を眺めていた蓮が、ゆっくり瑠花を見つめる
「えっ?…話っ…」
瑠花が蓮を見つめる
「しばらく二人で会うのはヤメにしよう…」
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