マゾメスおじさんの一人寝事情

せいいち

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1.おじさんの紹介(性事情)

 これから我々が観察するおじさんは、服を着ていればごく普通のおじさんである。
 四十一歳前厄、独身。身長180cm近く、体重だいたい70kgを超える程度。他の外見的特徴としては、おじさんにしては毛髪が長く、自分の身体をよく手入れしてやっていることくらいである。それなりに立派に職を持ち、大学を卒業してからは同世代と比べ特に出世することもなく今までやってきた。特に用事も無いのに残業を嫌っていることから、同僚には猫を飼っていると思われている。健康診断の結果は申し分なく、定期健診で病院に行くことは殆ど無い。政治思想はややリベラル寄り、公に出来る趣味としてよく料理を挙げている。
 どこにでもいそうなおじさんであるが、一皮剥けば変わったところが見えるものである。下着を脱いだおじさんの胸は妙に艶っぽく膨らんでいる。その先端にある乳首はぷっくりとして薄いココア色をしており、乳頭は伸びて経産婦のようである。ボクサーパンツの下にある陰茎はすっかり小さくなり、ここ十数年は勃起することなく股の間でぶらぶら揺れている。胸と大きな尻に挟まれて、引き締まった腰はやや括れて見える。
 服越しにはわからないおじさんの秘密は、人には決して言えない趣味に由来していた。
 アパートに帰り、一通りの家事を済ませ、風呂に入るついでにおじさんは洗面所の下の棚をごそごそ漁り、箱の中から個包装の小さな袋と、半分ぐらい中身が減ったボトル、陰茎を模した玩具を取り出した。
 中身を端に寄せて小袋を開け、吸盤付きディルドにコンドームを被せる。今日は尻穴を洗っていないから、これは単に掃除の手間を減らすためだ。
 ローションを節くれ立った指に絡ませ、尻肉に圧し潰されて女性器のように割れた尻穴を解す。
 ぐちゅ、ぐちゅ、と静かな洗面所に粘性の水音が立っている。
「あっ、ふ、うぐっ、ん……」
 不意に勃起しては困るから、外に出るときは胸当て付きの下着が手放せない。尻穴は開発済みで、日中も気を抜いていればたまに甘イキする身体である。日中、不意に発情することを防ぐため、おじさんは夜か休みの日だけと条件付けをして、性欲の発散をしている。
 今日のおじさんは、夜の数十分だけメスになることにしたらしい。
「ふ、うぅっ、んっ……お゙っ、……んぐっ♡ ……ふぅっ」
 前戯だけで軽くイきかけたところを止め、硝子製の風呂のドアにディルドを張っ付ける。位置決めには迷うことなく、四つん這いになり後ろから突かれるのに丁度良い位置にある。随分と慣れたものだ。
 香箱座りのような姿勢になり、風呂のドアに屹立した陰茎の先端にご挨拶とばかりに軽く口付けすると、ゴムの味が唇に一瞬だけ滲む。これをやったからどうなるというわけではない。おじさんのマゾヒズムを満たすための儀式のようなものだ。
 改めて四つん這いになったおじさんは、慎重に尻穴でディルドを呑み込んでいった。
「……んっ、ふ、ぅ゙、ぉ゙……ん゙っ♡」
 最奥までディルドを咥え、軽い絶頂に浸る。これで満足していては十分に発散できないと、腰を揺らして中を掻き回す。
「は……っ、あぁ゙っ、ふっ、ん゙っ、ふっ♡ ふぅっ、ぅ゙……ぐっ、ん゙ん♡ ぅ゙ぅ……♡」
 ぐちゃ、ぐちゃ、と結合部から音が立つ。おじさんは腹の内で響くこの音がたまらなく好きらしい。犯されている実感が湧くのだろう。口の端から垂れる涎をぢゅっと啜る。
「ぅっ、ぐ、あ゙♡ はん゙、ふ、ぅ゙っ、ぅ、あ、はぁっ、はぁ゙っ、ぁ゙っ、はぁ゙っ……♡」
 だんだんと息が荒く、腰の動きも激しくなっていく。使われていない性器がぶらぶら揺れているのも構わず、大きなお尻を曇り硝子に押し付けている。
「あ゙っ、はぁっ、ん、く、ぅ……っ!♡」
 ディルドを最奥にぐりぐり押し付け、かくかくと内腿が震える。おじさんは静かに絶頂した。息を整えながら脚を蟹股に広げて腰を落とし、吸盤を引っ掛けて壁から剥がした。
「は、ぁ゙っ♡ あっ、はぁっ、あっ、あぁ゙……」
 余韻に浸りながら自分の手でディルドを掴み、雁首で前立腺を掻きつつ徐々に引き抜いていく。今夜はこれで満足だ、ということにしておくらしい。これ以上は日中の行動に支障が出る。はっちゃけていいのは金曜の夜から土曜までだ。そう、おじさんは厳しく自分を律していた。
「ん゙……ふぅっ……ぁ゙ぁ……」
 床に腰で座り、背を壁に預け、痙攣が残る下腹を撫でる。自分の腸壁の中を掻き回していた玩具を眺め、おじさんは軽い虚脱感を覚える。自慰を終えた後はいつも訪れるものだ。
 腹の内の高揚感が抜けきる前に、ディルドの掃除を済ませてしまうことにしたらしい。コンドームをひっくり返して捨て、アルコール消毒の後軽く水洗いしてやる。この玩具ともかなり長い付き合いになる。色々なおもちゃを試してみても、手軽で丁度良い快楽を追い求めると、結局このベーシックな玩具に戻ることになる。おじさんの恋人と言ってもいいが、近頃では長い期間かけて広がっていった尻穴には小さくなってきた。そろそろ普段使いのおちんぽも買い替え時かもしれない。おじさんは愛おしいものにするように、玩具の亀頭を撫でてやった。
 玩具に対しては強気に出られるおじさんであるが、その心中は過度に臆病で、他の誰か――人間を抱くことも、人間に抱かれることも、その関係に至るまでの努力もしなかった。行きずりの男に抱かれる勇気は無い。誰か一人と添い遂げたいが、この性指向では一歩踏み出す勇気でもなければ望めないものである。おじさんはいつも一人で、飢えた精神と身体を玩具で埋めている。
 自慰を終えたおじさんは、風邪を引く前に風呂に入った。
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