マゾメスおじさんの一人寝事情

せいいち

文字の大きさ
6 / 6

6.おじさんと自撮り

しおりを挟む
 おじさんのおかずは専らネットの海を漂う男の艶姿である。おかず無しで自慰をすることも多々あるが、妄想の種として間接的に使っている。
 気の迷いがあった。ある日、おじさんはよく見る艶姿を真似て、自分でも動画を撮ってみようという気になった。
 ネットに上げるということはもちろんしない。自分で見て楽しむために撮るだけだ。おじさんはネットに顔を晒したが最後、その全てを死ぬまで、いやたとえ死んだとしてももちゃにされると思っている。なのでまかり間違ってもどこかにこの動画をアップロードすることはない。
 だとしても、録画ボタンを押すのはかなり躊躇った。おじさんは何度も画角を調整し、自分の顔が移らない位置を探り、ディルドを置く位置を変え、スマホの設定を確認していた。
 そうして自分をさんざん興奮させた後、おじさんは画面に尻を向けてすることにした。
「ふっ、ぅ゙……♡」
 いつも通り、ディルドを尻たぶで愛撫する。カメラの向こうで見ている人を予測したりはしてしない。わざとらしい喘ぎ声を上げて視聴者を喜ばせたりしない。そもそもこの動画の視聴者はおじさん一人である。おじさんは自分でも何が目的なのかわからなくなってきたところだ。
 今更ながら、おじさんはこの動画のコンセプトを“自分の普段の自慰を撮る”ということした。壁ではなく、床にくっつけてやるときの、普段の自慰だ。
「ん゙っ、ん゙、ん゙ぅ、ふ、んっ♡」
 まずは蟹股になって手を膝につき、浅いところを掻き回す。亀頭が尻穴に引っ掛かり、ぐぽぐぽ下品な音を立てる。おじさんは自分の尻穴で潤滑液が泡立つ音が堪らなく好きだった。単純な愛欲が満たされていく。
「は、ん゙♡ ぅ゙、ぁ゙っ、は、ぁ゙っ♡ ん゙、ひっ♡ ぁ゙、く、ん゙、ぅ゙……♡」
 浅いところだけ充分掻かれ、音でも感触でも十分興奮してくると、奥の方にも欲しくなってきた。脛を床に付けて腰を弾ませると、床でやわらかな尻を叩くたびに音が響く。おじさんは平気で女の子座りできる体の持ち主であり、床に接すると太腿の柔らかい肉が溢れ、脚が閉じ切れないほどに広がる。
「ん゙、ぅ、ふっ♡ ぉ゙、ん゙、ん゙ふっ、ふっ、ぅ゙っ♡ ぅ、ぁ゙♡ ……はっ、ぁ゙♡ ん゙っ、ん゙っ♡ ぁ゙、きもちい、ぁ゙~っ♡ すき、ぅ、ふ、ん゙♡ ぁ゙、すき……♡」
 また態勢を変える。膝を立てて蛙のように座り、尻を持ち上げ振り下ろし、最奥から入口までを万遍なく掻き回す。おじさんは今している、股を開いた下品な恰好で絶頂するのが好きだった。
「ぁ゙、はっ、ぁ゙っ♡ ん゙っ、ん゙ぅっ、ふっ、うっ、く、ぁっ♡ ぁ゙……♡」
 ビクン、ビクンと痙攣しながら、だんだんと腰を落としぺたんと座る。おじさんは絶頂しているとき、ディルドを腹の中全体でぎゅっぎゅっと締め付けるのが好きだ。
「はぁっ、はぁっ、あぁっ、ぅ……♡」
 余韻を長引かせるため尻を揺さぶり、ぐりぐりと亀頭を奥に擦り付ける。おじさんはこのディルドの先端が硬くてむちむちしていて、腰を落とすと奥の一番気持ちいいところを抉ってくれるところが気に入っている。おじさんは人間だから、人間の形のおちんぽを一番のお気に入りにすべきだと考えているし、このディルドは値段以上に働いてくれていると思っている。おじさんは偽物おちんちんでイくのが大好きだった。
「ふ、ぅ……♡ ん゙、ふぅ、ぅ゙ん……」
 腰を上げ、床に伏せる。尻だけ持ち上げた格好で余韻に浸り、しばしスマホに閉じつつある尻穴を見せつける。
「……あ゙っ!」
 ここでおじさんは撮影をしていたことを思い出し、急いで這ってスマホのカメラを塞ぎ、動画を止めた。
 どく、どく、と心臓が喧しく、頬が嫌に熱いらしい。掌を当てて冷まし、露わな腿と尻を床に付けたまま、おじさんは動画を再生した。
 年の割には妙に綺麗なデカ尻が弾んでいる。腹の中を掻き回す音は聞こえないし、呻き声がノイズのように走る。下品なポーズで亀頭を撫でた後は、ぱん、ぱん、とディルドで腹を抉り、尻を床に打ち付けるたびに思っていた以上にうるさい音が響く。やる場所をもうちょっと考えるべきかもしれない。自分の自慰を客観的に見ると反省点ばかり思い浮かぶ。馬鹿馬鹿しいことこの上ない。おじさんは顔の前に垂れてきた前髪を耳に掛けた。
「……ハハ」
 最後まで見終える前に、おじさんはその動画を完全に消去した。
しおりを挟む
感想 0

この作品の感想を投稿する

あなたにおすすめの小説

上司、快楽に沈むまで

赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。 冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。 だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。 入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。 真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。 ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、 篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」 疲労で僅かに緩んだ榊の表情。 その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。 「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」 指先が榊のネクタイを掴む。 引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。 拒むことも、許すこともできないまま、 彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。 言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。 だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。 そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。 「俺、前から思ってたんです。  あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」 支配する側だったはずの男が、 支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。 上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。 秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。 快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。 ――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。

BL団地妻-恥じらい新妻、絶頂淫具の罠-

おととななな
BL
タイトル通りです。 楽しんでいただけたら幸いです。

敗戦国の姫は、敵国将軍に掠奪される

clayclay
恋愛
架空の国アルバ国は、ブリタニア国に侵略され、国は壊滅状態となる。 状況を打破するため、アルバ国王は娘のソフィアに、ブリタニア国使者への「接待」を命じたが……。

完成した犬は新たな地獄が待つ飼育部屋へと連れ戻される

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

敗戦国の王子を犯して拐う

月歌(ツキウタ)
BL
祖国の王に家族を殺された男は一人隣国に逃れた。時が満ち、男は隣国の兵となり祖国に攻め込む。そして男は陥落した城に辿り着く。

騙されて快楽地獄

てけてとん
BL
友人におすすめされたマッサージ店で快楽地獄に落とされる話です。長すぎたので2話に分けています。

仕方なく配信してただけなのに恋人にお仕置される話

カイン
BL
ドSなお仕置をされる配信者のお話

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

処理中です...