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トップアイドルの屈辱

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「…くっ…」

堪りかねたように、少女が嫌悪の息を漏らした。
この少女こそは、華やかなブルーのステージ衣装に身を包んだ、今をときめくアイドルグループ、StarNightAngel24ー通称SNA24のセンターを務める風見栞ー
つまり例によって俺なのだがすぐ忘れてもらって構わない。

頭の後ろで両手を組まされた栞の汗ばんだ脇が、剥き出しになっている様はひどく扇情的だった。
シトラスの制汗剤に入り混じって微かに立ち上る、甘ったるさの中にほんのりと酸味が混じったような香りこそ、栞の汗の匂いだろう。
その汗ばんだ脇に鼻を近づけ、深々と息を吸い込む男が一人。

「うーん、いい香りだねぇ。アイドルも人間だから、汗をかくんだねぇ…」

そしてこの男が今回の転生候補者、37歳一応非童貞だけど相手はアプリで捕まえたというか捕まったドム、というタカシさんなのだが、今後この話に登場する奴はおおむねニートで独身で童貞である男性なので、この紹介はもうどうでもいいかもしれない。

激しいライブ直後なのか、汗だくになった栞の頬は上気し、呼吸は荒くなっているが、
それは必ずしもライブのせいだけではない。
自分の汗の匂いを嗅がれるという屈辱と、これからされることへの恐怖に震えていた。

「ところで、ちゃんと約束は守ってくれたかな?」

にやにやと問うタカシに、栞は屈辱感に死にそうになりながらもなんとか頷いた。

「そうそう、それは偉いねぇ。じゃ、さっそくだけどスカート持ち上げてくれるかな?」

「…いや…」

涙を浮かべて首を振る栞に、タカシが声を荒げる。

「お前、逆えると思ってんのか?写真バラまくぞ!いいのか!」

そう、17歳の栞は一瞬の気の緩みから、友人と飲酒しているところを写真に撮られてしまい、事務所と週間文○にばらすぞ、という脅迫を受けていた。
…という設定であった、念のため。

「…わかりましたから、お願いだから、写真は…」

悔しさと情けなさのあまり唇を噛み破りそうになりながら、栞はおずおずとスカートに手をかけた。
ステージ衣装の短いチェックのスカートが捲りあげられ、薄いピンクの下着が顔をのぞかせる。
じっとりと汗に濡れたそれは、ところどころに沁みのような模様が浮かんでいた。

「おお、ちゃんとライブツアーの3日間下着を替えなかったんだな、えらいぞえらいぞ」

汚れた下着を褒められるという、これ以上ない辱めを受けた栞はただ嗚咽を堪えていた。

「では、ちょっと失礼して…と」

タカシがおもむろにゴロン、と床に寝転ぶと、栞に命じる。

「俺の顔の上にまたがれ」

「…うぐっ…ひくっ…」

涙ながらにも、逆らうことなく素直にタカシの顔の上に立つ。
それから、ゆっくりと腰を下ろすと、ちょうどタカシの顔の真上に、栞の下半身が覆いかぶさる形になる。

「まずはこの辺から…クンクン」

犬のように鼻をひくつかせ、下着の表面につくかつかないかというギリギリのラインを保ちながら、
匂いを堪能しはじめる。

「うーん、濃密ですなぁ」

嬉しそうなタカシの声に耐え切れず、栞は目を伏せた。

「もう…やめて…」

「ここからが本番なのに、やめるはずがあろうか。いや、ない、というわけでふおおおおおお!!」

タカシが咆哮し、猛烈な勢いで下着に顔を埋めはじめた。
超至近距離から栞の下着の匂いを、肺活量の許す限り吸い込んでいるようだ。

「ひぃぁ…いやぁっ…」

強烈な鼻の動きが、栞の秘裂を刺激したのか、思わず嬌声をあげる。
その声に火を付けられたかのように、ますます鼻を激しく動かすタカシ。

「うーん、トップアイドルも三日間下着を替えないとこんなかぐわしい香りになっちゃうなんて…ファンはどう思うかな?」

「…やめて!やめてください…」

「でも、みんな栞ちゃんと5秒握手するのに三千円ぐらい払ってるんだよ?」

「…ひっく…うぁ…」

「アイドルの栞ちゃんのパンツがこんなに臭いって知ったら、ファンが怒っちゃうんじゃないかな?」

「やめて…言わないで…」

「週間文○がインタビューに来ちゃうかもしれないよ、いや、週間文臭かな?」

下卑た男に下着の匂いを嗅がれた挙句、匂いを責め立てられ、栞のトップアイドルとしてのプライドは粉々になっていた。
ついでによく分からないギャグも言っていたようだが…。

「ふぅ~、じゃあ今度は後ろの方をチェックしないとな…」

下着の前の部分を堪能し終えた、タカシが、今度は体を下の方にずらした。
そして、下着の後ろの部分を、再び鼻がくっつかない程度の距離からクンクンと嗅ぎ始めた。
まずは鼻をくっつけずに嗅ぎ、それから思うさま鼻を突っ込む、というのがこだわりの流儀らしかった。

「うぅ…うぅぅぅっ…」

心の限界を超えた恥辱に、壊れた人形のように呻く栞の尻に、タカシが鼻を擦り付ける。

「いや…いやだぁ…」

「おい、俺に今何をされているか言ってみろ!」

「そんなの…言えません…」

「言うんだよ。言え。風見栞はお尻の穴の匂いをかがれていますってな」

「うっ…か、かざみしおり…は…おひりの…うぅっ…」

途中まで言いかけるものの、最後まで言い切れず嗚咽が溢れてくる。
タカシが容赦なく要求を続けた。

「最後まで言え。ほれ、どうした」

「風見…栞は…お尻の…えぐっ…あ…なの…ひぅっ…においを…かがれています…」

栞が泣きじゃくりながらそう言い終えた瞬間、最高潮に達したタカシの興奮が暴発し、
シリーズ二度目のノータッチ射精を果たした。
もちろん俺はきっちりとタカシの心臓を刺し貫き、無事今回も転生を阻止したのだった。

「よう、順調じゃのう」

いつものようにふっとどこかから現れた神様らしき人が、ねぎらいの言葉をかけてくる。

「まぁ、そうなんだけど、今回、服も脱いじゃいないよ」

「いろんな趣味の人がおるでのぅ」

「それでええのかな」

「タカシにとっては鼻こそがチンポだったんじゃ…」

「そういうもん?」

「ニーズがあるのかどうか、それは24hポイントが答えをくれるじゃろう…」

「え?」

「いや、げふんげふん、それはこちらの話じゃ、忘れてくれ」

「お、おう」

「まぁとにかくお主が異世界転生を阻止してくれているお陰で、ラノべ界も新たな境地を開かざるを得んじゃろうて…」

「???」

「いや、ごほんごほん、それもこちらの話じゃ、流してくれ」

「お、おう」

「そんじゃまた次も頼むぞぃ」

「…これ、いつまで続くの?」

「それは、24hポイントが答えを以下略」

とりあえずしばらくは、続きそうだと解釈しておこう。
チートスキル発動後に襲われる眠気の中で、俺はぼんやりとそんなことを思った。
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