運命と運命の人

なこ

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第1章

7

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あの日から、1ヶ月が過ぎた。

ユアンは、何事もなかったかのように、
黙々と侯爵である父の仕事の補佐をしている。

2週間ほど寝込んでいたが、急に起き出すと仕事を始めた。

食べては吐いて、まともに食事もできず、
おそらく、夜も眠れていないのであろう、目の下には薄らとくまができてきている。

仕事などできる状態でないのは、明らかだが、今はそれだけが生きがいのような働きぶりに、両親も兄もユアンを止めることができなかった。

実際、婚姻の儀が急遽中止になり、出席予定だった貴族たちへの謝罪周りなど、侯爵も妻も忙しかった。平常の業務を兄とユアンが行うことで、両親の負担も軽減されていた。

やっと落ち着いてきた頃、侯爵家に手紙が届いた。

「ユアン、公爵家から連絡がきている。お前に謝罪し、違約金の支払いもしたいそうだ。」

考えないようにしていたが、一度はきちんと向き合って終わらせなければならないことは、ユアンも理解していた。

それでも、ラグアルのことを思い出すだけで、胸がしめつけられて、苦しくてたまらない。

長めの銀色の髪、すっとした中性的な顔立ち。すらっとした体躯で、紫の瞳はいつもユアンを優しく見守ってくれていた。
 
ラグアルにあいたい。

一目あいたい。


「無理する必要はない。公爵夫妻がこちらに来る際は、お前の要望だけ伝えればいい。」

「父上、最後に、ラグアル様と話しをしたいのです。みっともないと思われるかもしれませんが、きちんと終わらせたいのです。それ以上は何も望みません。」

ユアンは儚げな見た目とは裏腹に、芯のしっかりした子だった。

もっと泣いて、我儘を言っても、今はだれも咎めることはないのに。

この子が、弱音を吐き、安心して甘えられる唯一の存在となるはずだったラグアルが
この子を傷つけてしまった。

複雑な気持ちを抱えて、侯爵は頷いた。

「わかった。公爵家にはその旨連絡しておく。無理はするな。」

「ありがとうございます。」

気丈に振る舞う自分の息子の姿に、侯爵の心は痛んだ。

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