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最終章
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深夜になっても、邸中の皆が見守り続ける中、カイゼルはずっとユアンに語り続けていた。
傍らにいる医者がユアンの脈を取りながら、居た堪れない表情で首を振る。
脈は少しずつ、弱まっている。
微かな脈すら、もう途絶え途絶えだ。
「……ユアン様に、お別れの、言葉を……」
ずっと語り続けていたカイゼルは息を呑んで固まる。
医者の言葉に、見守る人々の啜り泣く声が一際大きく響き渡る。
「だめ!まだ、あきらめないで!!カイゼル様、もっと、もっとユアン様を呼んで!!!」
マリが身を乗り出し、カイゼルに詰め寄ろうとする。
「やめろ、マリ、ユアン様はもう充分に頑張ったんだ!」
リヒトがマリを抑えつけ、止めようとする。
「だめ!まだ、だめ!カイゼル様の声なら、きっとユアン様に届くから!ユアン様はカイゼル様が戻ってくるまでずっと待っていたんだ!」
カイゼルが戻るまで、すでにユアンは堪えていた。
カイゼルが戻った途端、安心したのか弱り続ける一方だ。
「マリ、やめろ!これ以上は……もう、やめてくれ…」
マリを抑えつけるリヒトの声にも、嗚咽が混じる。
「お願い、カイゼル様!最後にもう一度でいい、ユアン様を呼んで!呼び戻してっ!!!」
泣き叫ぶマリに、啜り泣く声は鳴咽に変わる。
はっと我に返ったカイゼルは、ユアンに届くよう、声を張り上げて叫んだ。
「ユアン!戻って来い!わたしはここにいる!ユアン、聴こえているか!」
脈は、ぷつりと、途絶えた。
「ユアンっ!!!」
医者が臨終を告げようと口を開こうとした時、その身体は微かにぴくりと動いた。
カイゼルはそれを見逃さなかった。
「ユアン!ユアン!ユアンっ!!!」
驚く医者の前で、ユアンの口が微かに動く。
「……………み………ず……の、ど…」
傍らにずっと控えていた執事も、ユアンの微かな言葉を聞き逃さなかった。
震える手で、カイゼルに吸い飲みを渡す。
「ユアン、水か!水が欲しいのか!!」
急いでユアンの口元に水を注ぐが、水はたらたらと口から溢れ落ちるばかりだ。
みな、何が起こっているのかわからない。
固唾を飲んで、その状況を見守るしかない。
傍らにある水差しから、自らの口に水を含むと、カイゼルはゆっくりと、少しずつユアンの口にそれを注ぎ込んだ。
初めはたらたらと流れ落ちるだけだったそれは、少しずつユアンの中へ注ぎ込まれていく。
こくりと、僅かに喉元が上下する。
こくり、、、、こくり、、、と少しずつ。
カイゼルは何度も口に水を含んでは、ユアンへと注ぎ込む。
こくり、、こくり、こくり、、、
「んんっ……ふはっ…」
もう充分だと言わんばかりに顔を背けると、ユアンの瞳がゆっくりと開く。
そして、ゆっくりと、数回瞬きをし、カイゼルの姿をとらえる。
「……ふぅ……なんだ、か、いきかえっ、た、きぶ、ん、です…」
カイゼルの目の前には、カイゼルを不思議そうに見つめるユアンがいる。
「……カイゼル、さま?…ずっ、と、さがし、て、いたの…こんな…ちかく、に……」
「ユアン!戻って来たのか!ユアン、ユアンっ」
「だっ、て、ずっと、そば、にいる、て、やくそ、く……した、か、ら…」
ユアンが、生きている。動いている。
生きていて、自分へと話し掛けてくれる。
横たわったままのユアンを前に、カイゼルは号泣した。
誰の目を気にする事もなく、号泣した。
自分がこんな風に泣くなど、想像もつかなかった。
鳴咽と共に、溢れ出す涙が止まらない。
「…カイゼ、ル、さま?」
「ユアン、良かった。戻ってくれて、本当に……。愛してる。ユアン、愛してる。愛してるんだ…」
号泣するカイゼルに、ユアンは少し驚いた表情をして、それからふわっと微笑んだ。
「ぼく、も、あい、して、ます、よ…」
ふふふと笑う、いつものユアンだ。
見守っていた人々は歓喜の声を上げた。
ユアンが戻ってきた。
辺境に、この邸に、カイゼルの元に、ユアンが戻ってきた。
久しぶりに耳に届くユアンの声は、まだ弱々しく、辿々しいものだが、それでも、優しく響くユアンの声だ。
マリは座り込んだまま立ち上がることが出来ない。
安堵で、腰が抜けたままだ。
「…マリ、また、いい仕事をしたな。」
リヒトはマリを抱き上げた。
「よかった…ほんとに、よかった!リヒト、ユアン様が、戻ってきた……」
泣きじゃくるマリを抱え、リヒトはその場を後にした。
きっと、もう大丈夫だ。
他に見守っていた人々も、静かにその場を立ち去った。
ただ1人、まだ何が起こったのか分からない医者が、念のためにもう一度ユアンの脈を測ると、それはしっかりと脈打つものに変わっていた。
不思議そうに首を傾げる医者を執事が促し、部屋にはユアンとカイゼルだけが残された。
カイゼルはずっと号泣したままだ。
ユアンがそっと手を差し伸べると、その手を掴んで、顔を擦り付けたまま、号泣している。
「愛してる。愛してる。ユアン、愛してる。」
まるで一生分の愛を告げるかのように、カイゼルはユアンへと愛を伝え続ける。
そんなカイゼルを、ユアンは穏やかにずっと見つめている。
カイゼルから告げられた初めてのその言葉は、ユアンの傷付いた身体をゆっくりと、少しずつ癒してくれるかのように、身体の隅々まで染み渡っていく。
ぼくも、愛してる。
カイゼル様を、本当に、心から、愛しているよ…
傍らにいる医者がユアンの脈を取りながら、居た堪れない表情で首を振る。
脈は少しずつ、弱まっている。
微かな脈すら、もう途絶え途絶えだ。
「……ユアン様に、お別れの、言葉を……」
ずっと語り続けていたカイゼルは息を呑んで固まる。
医者の言葉に、見守る人々の啜り泣く声が一際大きく響き渡る。
「だめ!まだ、あきらめないで!!カイゼル様、もっと、もっとユアン様を呼んで!!!」
マリが身を乗り出し、カイゼルに詰め寄ろうとする。
「やめろ、マリ、ユアン様はもう充分に頑張ったんだ!」
リヒトがマリを抑えつけ、止めようとする。
「だめ!まだ、だめ!カイゼル様の声なら、きっとユアン様に届くから!ユアン様はカイゼル様が戻ってくるまでずっと待っていたんだ!」
カイゼルが戻るまで、すでにユアンは堪えていた。
カイゼルが戻った途端、安心したのか弱り続ける一方だ。
「マリ、やめろ!これ以上は……もう、やめてくれ…」
マリを抑えつけるリヒトの声にも、嗚咽が混じる。
「お願い、カイゼル様!最後にもう一度でいい、ユアン様を呼んで!呼び戻してっ!!!」
泣き叫ぶマリに、啜り泣く声は鳴咽に変わる。
はっと我に返ったカイゼルは、ユアンに届くよう、声を張り上げて叫んだ。
「ユアン!戻って来い!わたしはここにいる!ユアン、聴こえているか!」
脈は、ぷつりと、途絶えた。
「ユアンっ!!!」
医者が臨終を告げようと口を開こうとした時、その身体は微かにぴくりと動いた。
カイゼルはそれを見逃さなかった。
「ユアン!ユアン!ユアンっ!!!」
驚く医者の前で、ユアンの口が微かに動く。
「……………み………ず……の、ど…」
傍らにずっと控えていた執事も、ユアンの微かな言葉を聞き逃さなかった。
震える手で、カイゼルに吸い飲みを渡す。
「ユアン、水か!水が欲しいのか!!」
急いでユアンの口元に水を注ぐが、水はたらたらと口から溢れ落ちるばかりだ。
みな、何が起こっているのかわからない。
固唾を飲んで、その状況を見守るしかない。
傍らにある水差しから、自らの口に水を含むと、カイゼルはゆっくりと、少しずつユアンの口にそれを注ぎ込んだ。
初めはたらたらと流れ落ちるだけだったそれは、少しずつユアンの中へ注ぎ込まれていく。
こくりと、僅かに喉元が上下する。
こくり、、、、こくり、、、と少しずつ。
カイゼルは何度も口に水を含んでは、ユアンへと注ぎ込む。
こくり、、こくり、こくり、、、
「んんっ……ふはっ…」
もう充分だと言わんばかりに顔を背けると、ユアンの瞳がゆっくりと開く。
そして、ゆっくりと、数回瞬きをし、カイゼルの姿をとらえる。
「……ふぅ……なんだ、か、いきかえっ、た、きぶ、ん、です…」
カイゼルの目の前には、カイゼルを不思議そうに見つめるユアンがいる。
「……カイゼル、さま?…ずっ、と、さがし、て、いたの…こんな…ちかく、に……」
「ユアン!戻って来たのか!ユアン、ユアンっ」
「だっ、て、ずっと、そば、にいる、て、やくそ、く……した、か、ら…」
ユアンが、生きている。動いている。
生きていて、自分へと話し掛けてくれる。
横たわったままのユアンを前に、カイゼルは号泣した。
誰の目を気にする事もなく、号泣した。
自分がこんな風に泣くなど、想像もつかなかった。
鳴咽と共に、溢れ出す涙が止まらない。
「…カイゼ、ル、さま?」
「ユアン、良かった。戻ってくれて、本当に……。愛してる。ユアン、愛してる。愛してるんだ…」
号泣するカイゼルに、ユアンは少し驚いた表情をして、それからふわっと微笑んだ。
「ぼく、も、あい、して、ます、よ…」
ふふふと笑う、いつものユアンだ。
見守っていた人々は歓喜の声を上げた。
ユアンが戻ってきた。
辺境に、この邸に、カイゼルの元に、ユアンが戻ってきた。
久しぶりに耳に届くユアンの声は、まだ弱々しく、辿々しいものだが、それでも、優しく響くユアンの声だ。
マリは座り込んだまま立ち上がることが出来ない。
安堵で、腰が抜けたままだ。
「…マリ、また、いい仕事をしたな。」
リヒトはマリを抱き上げた。
「よかった…ほんとに、よかった!リヒト、ユアン様が、戻ってきた……」
泣きじゃくるマリを抱え、リヒトはその場を後にした。
きっと、もう大丈夫だ。
他に見守っていた人々も、静かにその場を立ち去った。
ただ1人、まだ何が起こったのか分からない医者が、念のためにもう一度ユアンの脈を測ると、それはしっかりと脈打つものに変わっていた。
不思議そうに首を傾げる医者を執事が促し、部屋にはユアンとカイゼルだけが残された。
カイゼルはずっと号泣したままだ。
ユアンがそっと手を差し伸べると、その手を掴んで、顔を擦り付けたまま、号泣している。
「愛してる。愛してる。ユアン、愛してる。」
まるで一生分の愛を告げるかのように、カイゼルはユアンへと愛を伝え続ける。
そんなカイゼルを、ユアンは穏やかにずっと見つめている。
カイゼルから告げられた初めてのその言葉は、ユアンの傷付いた身体をゆっくりと、少しずつ癒してくれるかのように、身体の隅々まで染み渡っていく。
ぼくも、愛してる。
カイゼル様を、本当に、心から、愛しているよ…
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