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第1話
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私の名は、ローレッタ。
世界でも有数の魔術大国、ヘンリアム聖王国の聖女である。
……いや、『聖女だった』というべきかしら。
私が聖女だったのは、昨日までなのだから。
生まれつき、人より魔力が高く、剣術の才能もあった私は、魔物たちを討伐する聖騎士団の象徴である『聖女』に祭り上げられ、14歳の誕生日から三年間、普通の女の子とは全く違う、血で血を洗うような闘いの日々を過ごすこととなった。
ヘンリアム聖王国の何がそんなに癇に障るのか、魔物たちはほぼ毎日、どこからともなく出現しては、都への侵攻を続けた。それを防ぐのが、聖騎士団と、『聖女』だった私の仕事。
魔物たちはいつ現れるか分からないから、この三年間、まったく休みはなし。自由な時間すら、ほとんど持てた記憶がない。
それでも、自分が聖王国の人々を守っていると思うと、とても誇らしい気持ちだったし、仕事に対する責任感もあったから、なんとか激務に耐えることができた。
だが、数ヶ月前、名門貴族の子息であるエグバートが聖騎士団の長官になって、すべてが変わってしまった。
エグバートは、美しい顔だけが取り柄の、無能な男である。
……自分でも、辛辣で、嫌な言い方をしていると思うが、私が受けた仕打ちを考えれば、心中でこの程度の毒を吐くことくらい、神様も許してくださるだろう。
どういう方法を使ったのかは分からないが、エグバートは、随分と上手に国王陛下のご機嫌を取ったらしく、なんの軍務経験もないのに、ある日突然聖騎士団のトップとなり、『聖女』であった私と聖騎士団員たちに、あれこれと命令してくるようになった。
もちろん、軍務経験がなくても、真剣に学ぶ意志さえあれば、優秀な長官になることは可能だろう。しかし、彼にそんな意欲はなく、聖騎士団員たちに無理難題を吹っかけて、彼らが困惑する様子を楽しんでいるそぶりすらあった。
エグバートの横暴に耐えかねた私は、聖騎士団の象徴である『聖女』として、振る舞いを正すように直訴した。そんな私を見て、彼はつまらなそうに舌打ちをして、次のように言い放った。
『きみさあ、聖女とか何とか祭り上げられて、調子に乗ってない? 僕を誰だと思ってるの? このヘンリアム聖王国で、もっとも由緒あるフェリック家の長男、エグバート・フェリックだよ? 本来なら、きみごときが口をきける存在じゃないんだよ?』
ふざけた物言いだった。
必要さえなければ、こっちだって、こんなくだらない男と口なんてききたくない。
だが、私だけならまだしも、他の騎士団員たちを困らせているエグバートを無視することはできない。私はカッとなりそうな心を静めて、粘り強く説得を試みた。だが、それが良くなかったらしい。エグバートはこちらを小馬鹿にするように笑い、シッシッと手を振って、こう言ったのだ。
『あー、わかったわかった、もういいよ。きみ、鬱陶しいから、クビ。すぐに新しい聖女を探してくるから、もう出てってくれるかな。手続きは全部やっとくから。それじゃ、さよなら』
あまりにも軽い言い方だったので、最初は冗談かと思った。
だが、私の聖騎士団除名手続きは滞りなく進み、三十分後には、私は着の身着のままで、聖騎士団の寮から追い出されてしまった。……本当に、あっという間のことだった。
世界でも有数の魔術大国、ヘンリアム聖王国の聖女である。
……いや、『聖女だった』というべきかしら。
私が聖女だったのは、昨日までなのだから。
生まれつき、人より魔力が高く、剣術の才能もあった私は、魔物たちを討伐する聖騎士団の象徴である『聖女』に祭り上げられ、14歳の誕生日から三年間、普通の女の子とは全く違う、血で血を洗うような闘いの日々を過ごすこととなった。
ヘンリアム聖王国の何がそんなに癇に障るのか、魔物たちはほぼ毎日、どこからともなく出現しては、都への侵攻を続けた。それを防ぐのが、聖騎士団と、『聖女』だった私の仕事。
魔物たちはいつ現れるか分からないから、この三年間、まったく休みはなし。自由な時間すら、ほとんど持てた記憶がない。
それでも、自分が聖王国の人々を守っていると思うと、とても誇らしい気持ちだったし、仕事に対する責任感もあったから、なんとか激務に耐えることができた。
だが、数ヶ月前、名門貴族の子息であるエグバートが聖騎士団の長官になって、すべてが変わってしまった。
エグバートは、美しい顔だけが取り柄の、無能な男である。
……自分でも、辛辣で、嫌な言い方をしていると思うが、私が受けた仕打ちを考えれば、心中でこの程度の毒を吐くことくらい、神様も許してくださるだろう。
どういう方法を使ったのかは分からないが、エグバートは、随分と上手に国王陛下のご機嫌を取ったらしく、なんの軍務経験もないのに、ある日突然聖騎士団のトップとなり、『聖女』であった私と聖騎士団員たちに、あれこれと命令してくるようになった。
もちろん、軍務経験がなくても、真剣に学ぶ意志さえあれば、優秀な長官になることは可能だろう。しかし、彼にそんな意欲はなく、聖騎士団員たちに無理難題を吹っかけて、彼らが困惑する様子を楽しんでいるそぶりすらあった。
エグバートの横暴に耐えかねた私は、聖騎士団の象徴である『聖女』として、振る舞いを正すように直訴した。そんな私を見て、彼はつまらなそうに舌打ちをして、次のように言い放った。
『きみさあ、聖女とか何とか祭り上げられて、調子に乗ってない? 僕を誰だと思ってるの? このヘンリアム聖王国で、もっとも由緒あるフェリック家の長男、エグバート・フェリックだよ? 本来なら、きみごときが口をきける存在じゃないんだよ?』
ふざけた物言いだった。
必要さえなければ、こっちだって、こんなくだらない男と口なんてききたくない。
だが、私だけならまだしも、他の騎士団員たちを困らせているエグバートを無視することはできない。私はカッとなりそうな心を静めて、粘り強く説得を試みた。だが、それが良くなかったらしい。エグバートはこちらを小馬鹿にするように笑い、シッシッと手を振って、こう言ったのだ。
『あー、わかったわかった、もういいよ。きみ、鬱陶しいから、クビ。すぐに新しい聖女を探してくるから、もう出てってくれるかな。手続きは全部やっとくから。それじゃ、さよなら』
あまりにも軽い言い方だったので、最初は冗談かと思った。
だが、私の聖騎士団除名手続きは滞りなく進み、三十分後には、私は着の身着のままで、聖騎士団の寮から追い出されてしまった。……本当に、あっという間のことだった。
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