51 / 144
第51話
しおりを挟む
「なるほど。ぶっきらぼうな態度だけど、あなたも私のことを、お友達だと思って信頼してくれてるわけね。嬉しいわ」
「お友達かどうかは置いておくとして、俺、なんとなくなんだけど、あんたのこと、疑う気にならないんだよ。……たぶん、あんたの言動に、裏表がまったくないからだろうな。あんたみたいな魔法使いって、めずらしいよ。俺の知ってる魔法使いは皆、心の中に、どろどろとした複雑なものを抱えてるからな」
「なんか、遠回しに私のこと、単純な人間だって馬鹿にしてるみたい」
「ほら、それ。そういうところだよ。思ったことを、すぐに口に出すシンプルさ。そういうとこ、好きだぜ。それじゃな」
そしてリーゼルは、風のような軽やかさで駆けて行った。
……『そういうとこ、好きだぜ』か。
子供みたいなナリのくせに、なかなか言うじゃない。
私はちょっぴり良い気分で、そのまま路地を歩き続ける。
そして歩きながら、ふと思う。
なんでリーゼルは、『至高なる魔女の会』を相手にスリを続けているんだろう。それも、半年近くもの長期間。……不思議だわ。『至高なる魔女の会』を壊滅させたいなら、もっと別の行動をとるのが普通よね。スリを重ねたって、ただの嫌がらせにしかならないもの。
まあ、話が途中になってしまったので詳しいことは分からないが、『至高なる魔女の会』の実力者たちが持っている『プラチナカード』とやらを集めることに、何か重大な意味があるんでしょうね。
でも、よく考えたら、プラチナカードを集めるためにスリを続けているっていうのも、ちょっと妙だ。リーゼルほどの魔法使いなら、『至高なる魔女の会』の連中を見つけ出して戦いを挑むなり何なりすれば、少なくとも、スリをするよりはよっぽど効率的にプラチナカードを集めることができると思うんだけど……
私は一人歩きながら、うんうんと唸り、思案したが、結局のところリーゼルの真意は分からなかった。……まっ、夕方には戻って来るって言ってたから、そのとき改めて話を聞けばいいか。
さて、これからどうしようかな。やりたいことも、やるべきことも特にないので、リーゼルの家に戻って休んでもいいのだが、誰もいない家の中、一人でぼおっとしているというのも、時間の無駄である。ここはやはり、リーゼルのアドバイス通り、町を見て回るのが有意義だろう。
「よし、せっかくだから、観光でもしてみようかな」
誰に言うでもなくそう宣言すると、私は町のあちこちを歩いて回ることにした。
それにしても、どこを歩いても、人、人、人。なんて、人の多い町だろう。最初は新鮮な驚きの方が大きかったが、ここまでどこに行っても人だらけだと、いい加減に少々疲れてくる。
「お友達かどうかは置いておくとして、俺、なんとなくなんだけど、あんたのこと、疑う気にならないんだよ。……たぶん、あんたの言動に、裏表がまったくないからだろうな。あんたみたいな魔法使いって、めずらしいよ。俺の知ってる魔法使いは皆、心の中に、どろどろとした複雑なものを抱えてるからな」
「なんか、遠回しに私のこと、単純な人間だって馬鹿にしてるみたい」
「ほら、それ。そういうところだよ。思ったことを、すぐに口に出すシンプルさ。そういうとこ、好きだぜ。それじゃな」
そしてリーゼルは、風のような軽やかさで駆けて行った。
……『そういうとこ、好きだぜ』か。
子供みたいなナリのくせに、なかなか言うじゃない。
私はちょっぴり良い気分で、そのまま路地を歩き続ける。
そして歩きながら、ふと思う。
なんでリーゼルは、『至高なる魔女の会』を相手にスリを続けているんだろう。それも、半年近くもの長期間。……不思議だわ。『至高なる魔女の会』を壊滅させたいなら、もっと別の行動をとるのが普通よね。スリを重ねたって、ただの嫌がらせにしかならないもの。
まあ、話が途中になってしまったので詳しいことは分からないが、『至高なる魔女の会』の実力者たちが持っている『プラチナカード』とやらを集めることに、何か重大な意味があるんでしょうね。
でも、よく考えたら、プラチナカードを集めるためにスリを続けているっていうのも、ちょっと妙だ。リーゼルほどの魔法使いなら、『至高なる魔女の会』の連中を見つけ出して戦いを挑むなり何なりすれば、少なくとも、スリをするよりはよっぽど効率的にプラチナカードを集めることができると思うんだけど……
私は一人歩きながら、うんうんと唸り、思案したが、結局のところリーゼルの真意は分からなかった。……まっ、夕方には戻って来るって言ってたから、そのとき改めて話を聞けばいいか。
さて、これからどうしようかな。やりたいことも、やるべきことも特にないので、リーゼルの家に戻って休んでもいいのだが、誰もいない家の中、一人でぼおっとしているというのも、時間の無駄である。ここはやはり、リーゼルのアドバイス通り、町を見て回るのが有意義だろう。
「よし、せっかくだから、観光でもしてみようかな」
誰に言うでもなくそう宣言すると、私は町のあちこちを歩いて回ることにした。
それにしても、どこを歩いても、人、人、人。なんて、人の多い町だろう。最初は新鮮な驚きの方が大きかったが、ここまでどこに行っても人だらけだと、いい加減に少々疲れてくる。
35
あなたにおすすめの小説
【完結】婚約者と仕事を失いましたが、すべて隣国でバージョンアップするようです。
鋼雅 暁
ファンタジー
聖女として働いていたアリサ。ある日突然、王子から婚約破棄を告げられる。
さらに、偽聖女と決めつけられる始末。
しかし、これ幸いと王都を出たアリサは辺境の地でのんびり暮らすことに。しかしアリサは自覚のない「魔力の塊」であったらしく、それに気付かずアリサを放り出した王国は傾き、アリサの魔力に気付いた隣国は皇太子を派遣し……捨てる国あれば拾う国あり!?
他サイトにも重複掲載中です。
婚約破棄され森に捨てられました。探さないで下さい。
拓海のり
ファンタジー
属性魔法が使えず、役に立たない『自然魔法』だとバカにされていたステラは、婚約者の王太子から婚約破棄された。そして身に覚えのない罪で断罪され、修道院に行く途中で襲われる。他サイトにも投稿しています。
【完結】偽物聖女として追放される予定ですが、続編の知識を活かして仕返しします
ユユ
ファンタジー
聖女と認定され 王子妃になったのに
11年後、もう一人 聖女認定された。
王子は同じ聖女なら美人がいいと
元の聖女を偽物として追放した。
後に二人に天罰が降る。
これが この体に入る前の世界で読んだ
Web小説の本編。
だけど、読者からの激しいクレームに遭い
救済続編が書かれた。
その激しいクレームを入れた
読者の一人が私だった。
異世界の追放予定の聖女の中に
入り込んだ私は小説の知識を
活用して対策をした。
大人しく追放なんてさせない!
* 作り話です。
* 長くはしないつもりなのでサクサクいきます。
* 短編にしましたが、うっかり長くなったらごめんなさい。
* 掲載は3日に一度。
【完結】使えない令嬢として一家から追放されたけど、あまりにも領民からの信頼が厚かったので逆転してざまぁしちゃいます
腕押のれん
ファンタジー
アメリスはマハス公国の八大領主の一つであるロナデシア家の三姉妹の次女として生まれるが、頭脳明晰な長女と愛想の上手い三女と比較されて母親から疎まれており、ついに追放されてしまう。しかしアメリスは取り柄のない自分にもできることをしなければならないという一心で領民たちに対し援助を熱心に行っていたので、領民からは非常に好かれていた。そのため追放された後に他国に置き去りにされてしまうものの、偶然以前助けたマハス公国出身のヨーデルと出会い助けられる。ここから彼女の逆転人生が始まっていくのであった!
私が死ぬまでには完結させます。
追記:最後まで書き終わったので、ここからはペース上げて投稿します。
追記2:ひとまず完結しました!
婚約破棄されたら、実はわたし聖女でした~捨てられ令嬢は神殿に迎えられ、元婚約者は断罪される~
腐ったバナナ
ファンタジー
「地味で役立たずな令嬢」――そう婚約者に笑われ、社交パーティで公開婚約破棄されたエリス。
誰も味方はいない、絶望の夜。だがそのとき、神殿の大神官が告げた。「彼女こそ真の聖女だ」と――。
一夜にして立場は逆転。かつて自分を捨てた婚約者は社交界から孤立し、失態をさらす。
傷ついた心を抱えながらも、エリスは新たな力を手に、国を救う奇跡を起こし、人々の尊敬を勝ち取っていく。
出来損ないと呼ばれた伯爵令嬢は出来損ないを望む
家具屋ふふみに
ファンタジー
この世界には魔法が存在する。
そして生まれ持つ適性がある属性しか使えない。
その属性は主に6つ。
火・水・風・土・雷・そして……無。
クーリアは伯爵令嬢として生まれた。
貴族は生まれながらに魔力、そして属性の適性が多いとされている。
そんな中で、クーリアは無属性の適性しかなかった。
無属性しか扱えない者は『白』と呼ばれる。
その呼び名は貴族にとって屈辱でしかない。
だからクーリアは出来損ないと呼ばれた。
そして彼女はその通りの出来損ない……ではなかった。
これは彼女の本気を引き出したい彼女の周りの人達と、絶対に本気を出したくない彼女との攻防を描いた、そんな物語。
そしてクーリアは、自身に隠された秘密を知る……そんなお話。
設定揺らぎまくりで安定しないかもしれませんが、そういうものだと納得してくださいm(_ _)m
※←このマークがある話は大体一人称。
【完結】婚約破棄はいいですよ?ただ…貴方達に言いたいことがある方々がおられるみたいなので、それをしっかり聞いて下さいね?
水江 蓮
ファンタジー
「ここまでの悪事を働いたアリア・ウィンター公爵令嬢との婚約を破棄し、国外追放とする!!」
ここは裁判所。
今日は沢山の傍聴人が来てくださってます。
さて、罪状について私は全く関係しておりませんが折角なのでしっかり話し合いしましょう?
私はここに裁かれる為に来た訳ではないのです。
本当に裁かれるべき人達?
試してお待ちください…。
S級パーティを追放された無能扱いの魔法戦士は気ままにギルド職員としてスローライフを送る
神谷ミコト
ファンタジー
【祝!4/6HOTランキング2位獲得】
元貴族の魔法剣士カイン=ポーンは、「誰よりも強くなる。」その決意から最上階と言われる100Fを目指していた。
ついにパーティ「イグニスの槍」は全人未達の90階に迫ろうとしていたが、
理不尽なパーティ追放を機に、思いがけずギルドの職員としての生活を送ることに。
今までのS級パーティとして牽引していた経験を活かし、ギルド業務。ダンジョン攻略。新人育成。そして、学園の臨時講師までそつなくこなす。
様々な経験を糧にカインはどう成長するのか。彼にとっての最強とはなんなのか。
カインが無自覚にモテながら冒険者ギルド職員としてスローライフを送るである。
ハーレム要素多め。
※隔日更新予定です。10話前後での完結予定で構成していましたが、多くの方に見られているため10話以降も製作中です。
よければ、良いね。評価、コメントお願いします。励みになりますorz
他メディアでも掲載中。他サイトにて開始一週間でジャンル別ランキング15位。HOTランキング4位達成。応援ありがとうございます。
たくさんの誤字脱字報告ありがとうございます。すべて適応させていただきます。
物語を楽しむ邪魔をしてしまい申し訳ないですorz
今後とも応援よろしくお願い致します。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる