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第1章 ざまぁがしたいっ!!

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「シェリー様、卒業パーティーの件でございますが、リハーサルの日程が決まりました」

 わたくしは秘密のお部屋で肩揉みの真っ最中だった。先程の授業まで影武者を演じていたけど、コイツが急に授業へ出ると言うので、慌ててエミリーがヘアメイクを施し、目覚めのマッサージをわたくしが行なっているのだ。

「卒業パーティーか。ね、お酒出るのかしら?」

「…出ないと思います」

 お酒の事が一番気になんのかーい! それよりアンタ、パーティーで婚約破棄されるんだぞー! ぷぷぷっ…まあ、今のうちに余裕こいてなさーい!

「それとですね、パーティーではエリオット様のエスコートがあると思いますので、事前に打ち合わせをなさった方が宜しいかと存じますが?」

「えーっ⁈ 打ち合わせー⁈ …まあ、そうだろうねえ。わたくし婚約者だし、エスコートされて当然だわね」

 いえいえ、エスコートされない気がするなァ。

 ここは敢えて意地悪な仕掛けをした。コイツはこれまで殆ど王子様と話してない。会話すればするほどボロが出るだろうと予測しての策略だ。しかもエスコートはお断りになられるだろうから、婚約破棄を少しは予感するかもしれない。

「あー、でも彼とお話するのは面倒臭いわ。アンタが確認しといて頂戴」

「ーーはい⁈」

「いいわね! 明日、わたくしの代わりに王子と打ち合わせするのよ!」

「あ…」

 馬鹿女はそう言い残し、秘密のお部屋を颯爽と後にした。

 し、しまったー! そーきたかー? 影武者のわたくしが、あの御方とお話するなんて想像もしてなかったわ! どうしましょうー?


 ***


 翌日、何時もの様に影武者として登校した…。

 ああ、やっぱり用務員に戻ってからお話した方が良いよね。「卒業パーティーでシェリー様をエスコートしますかー?」ってね。「いや、しないよ」「あー、そうですわね。分かりましたー。伝えておきまーす」で済むお話。よし、アイツを待つか!

 と、思いながらこんな時に限ってあの馬鹿女は現れなかった。

 くそお、このままでは帰れないじゃん。さあどうする? 馬鹿女不在だけど放課後、用務員として接触するか? それとも影武者で会いに行くか?

 アイツは確か「わたくしの代わりに…」と言ったっけ。取り巻きの目もあるし、やはり影武者で会うのが妥当でしょうね…。まあどうせ冷たくお断りされるでしょうから、さっさと済ませるか。それに突然の訪問に王子様がどう対応するのか興味深いわ。あ、そうだ! そこで態とわたくしの印象を悪くするって手もあるわね。

 悩みに悩んだ末、取り巻きを引き連れて生徒会室へ足を運んだ。

 ああ…ドキドキするう!

 取り巻きがドアをノックする。「はい、どうぞ」とミーア様の声で返答があった。

 いや、こりゃ、ややこしいっ! 彼女が居ると、とってもややこしいわ! 修羅場になっちゃうよ?
最悪、女兵士にやっつけられるかもしれないかも⁈

 わたくしは激しく後悔したーー。













 
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