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第2章 何故、わたくしを!?
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宮廷にあるシュルケン公爵の執務室で嫡男ジャックと面会を試みた。当主である理事長は貴族院へ行って不在だと分かっての行動だ。
因みに皇室とシュルケンは長年不仲だったが、僕との縁談を機に少しづつ関係は改善されていた。最も今の理事長である当主は信用できない。油断も隙もない反乱分子と皇室は見ていた。
だが、時期当主のジャックは父親とは違う。子供の頃から交流を深めていたから、彼が如何に愛国心溢れる優秀な青年かは知ってるつもりだ。
『ジャックを味方に引き入れなければならない』
そう考えていた。
「やあ、ジャック。急な話で申し訳ない」
「いえ、とんでもない。エリオット様、如何されましたか?」
「実は君の妹の事だが…」
「シェリーが何か?」
「何か気づいた事はなかったか?」
「いえ、特には…何かあったのですか?」
本当に彼は何も知らないのか? 一緒に住んでいたにも関わらず…? どうも怪しいな。
「まあ、それを話す前に結論から言おう」
「はあ…」
「僕はシェリーとの婚約を破棄する!」
「えっ⁈ は、破棄だって⁈ 何故ですかっ⁈」
「ふん、シェリーは頻繁に影武者を使って僕を騙していたんだ。長年ね」
「影武者ーーっ?? どう言う事ですか⁈」
「本当に知らないんだな。…ポピーだよ。察するにシェリーでは難しい貴族院の入学試験や首席の保持、そして君とペアーで優勝したダンス、全て体裁の為に影武者が行ってたんだ。気づかなかったのか?」
「ま、まさか…、とても信じられない」
「そうか? 僕は君を疑っている。最近まで一緒に住んでいたからな。気づかない方がおかしい。だから家族ぐるみの犯罪だと思っていたんだが?」
「私は本当に気づかなかった」
「…まあ、良い。そこは深く追求するまい。これは陛下にも相談する事案だ。公爵家は何らかの処分を受けるだろうな」
「王子、この件、お父様…いや理事長はご存知なのですか?」
「さあ…? 君が知らないなら同じ可能性がある」
「ああっ、これはお母様が首謀者に違いない。何て事してくれたんだ…」
ジャックはその場で頭を抱え、しゃがみ込んでしまった。まだ信じられない話だと思っているのだろう。とても演技とは思えない。
よし、ここから丸め込むぞ。
「ジャック、君とは長年の付き合いだ。親友だと思っている。だから公爵家を救う手立てがない訳じゃない」
「…王子、それは?」
「僕の言う通りに動くんだ。そうすれば陛下にも上手く進言してやろう」
僕は作戦を指示する。卒業パーティーで婚約破棄を宣言した際、激怒するであろうシュルケン公爵を説得する役割を与えたのだ。
「分かったな、ジャック。あ、それとこの件、誰にも言うなよ。下手に動いたら僕にも考えがあるぞ? いいな?」
「か、かしこまりました…」
準備は整った。あとはポピーが自白してくれれば良いが…そこは強要出来ない。その為にジャックを利用するんだ。
バトラー、これで僕の我儘と君の任務である公爵家の弱体化が一気に解決するだろう。
ーーそして明日、卒業式を迎える。
因みに皇室とシュルケンは長年不仲だったが、僕との縁談を機に少しづつ関係は改善されていた。最も今の理事長である当主は信用できない。油断も隙もない反乱分子と皇室は見ていた。
だが、時期当主のジャックは父親とは違う。子供の頃から交流を深めていたから、彼が如何に愛国心溢れる優秀な青年かは知ってるつもりだ。
『ジャックを味方に引き入れなければならない』
そう考えていた。
「やあ、ジャック。急な話で申し訳ない」
「いえ、とんでもない。エリオット様、如何されましたか?」
「実は君の妹の事だが…」
「シェリーが何か?」
「何か気づいた事はなかったか?」
「いえ、特には…何かあったのですか?」
本当に彼は何も知らないのか? 一緒に住んでいたにも関わらず…? どうも怪しいな。
「まあ、それを話す前に結論から言おう」
「はあ…」
「僕はシェリーとの婚約を破棄する!」
「えっ⁈ は、破棄だって⁈ 何故ですかっ⁈」
「ふん、シェリーは頻繁に影武者を使って僕を騙していたんだ。長年ね」
「影武者ーーっ?? どう言う事ですか⁈」
「本当に知らないんだな。…ポピーだよ。察するにシェリーでは難しい貴族院の入学試験や首席の保持、そして君とペアーで優勝したダンス、全て体裁の為に影武者が行ってたんだ。気づかなかったのか?」
「ま、まさか…、とても信じられない」
「そうか? 僕は君を疑っている。最近まで一緒に住んでいたからな。気づかない方がおかしい。だから家族ぐるみの犯罪だと思っていたんだが?」
「私は本当に気づかなかった」
「…まあ、良い。そこは深く追求するまい。これは陛下にも相談する事案だ。公爵家は何らかの処分を受けるだろうな」
「王子、この件、お父様…いや理事長はご存知なのですか?」
「さあ…? 君が知らないなら同じ可能性がある」
「ああっ、これはお母様が首謀者に違いない。何て事してくれたんだ…」
ジャックはその場で頭を抱え、しゃがみ込んでしまった。まだ信じられない話だと思っているのだろう。とても演技とは思えない。
よし、ここから丸め込むぞ。
「ジャック、君とは長年の付き合いだ。親友だと思っている。だから公爵家を救う手立てがない訳じゃない」
「…王子、それは?」
「僕の言う通りに動くんだ。そうすれば陛下にも上手く進言してやろう」
僕は作戦を指示する。卒業パーティーで婚約破棄を宣言した際、激怒するであろうシュルケン公爵を説得する役割を与えたのだ。
「分かったな、ジャック。あ、それとこの件、誰にも言うなよ。下手に動いたら僕にも考えがあるぞ? いいな?」
「か、かしこまりました…」
準備は整った。あとはポピーが自白してくれれば良いが…そこは強要出来ない。その為にジャックを利用するんだ。
バトラー、これで僕の我儘と君の任務である公爵家の弱体化が一気に解決するだろう。
ーーそして明日、卒業式を迎える。
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