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第6章:心に傷を負う者たち
第9話:兄と妹
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同じ釜の飯を食う間柄に似た言葉として、【背中を洗い合う間柄】という言葉が存在する。どちらも寝食を共にする仲間や家族という意味だ。同じベッドでなんたらかんたらは、さすがに意味合いが違うので、ここでは省かせてもらおう。エーリカはおちんこさんが膨らんでいるタケルお兄ちゃんに対して、ちょっとした疑問を抱く。そして、そのままの感情を口からポロっと出すのであった。
「タケルお兄ちゃんは、妹のあたしに女を感じているの? それとも男の性として?」
これはなかなかに鋭い質問であった。男にとってはこの上なく答えにくい。男という生き物は愛する女性相手にだけ、おちんこさんを起たせたいという【願望】を持っている。だが、男は同時に【絶望】を抱いている。自分の性癖にヒットすれば、それだけでおちんこさんがムクムクッ! と元気に反応してしまうどうしようもない生き物なのだ。
エーリカの言わんとしていることは、タケルもわかっている。妹のエーリカを【特別な存在】として見てくれているのか。それとも、ただ女の裸体を見てしまったがゆえに、生き物の生存本能が発揮されただけなのかと。
実際のところ、タケルはどっちなのかがよくわかっていない。先ほどまで、エーリカが身体を洗っている最中にエーリカの身体を見ていた時は、まったくもって、おちんこさんは無反応で大人しくしていた。だが、いざ、エーリカが自分の眼の前で隠すべき場所をまったく隠さず、さらには自分の真横に侵入してきた。
エーリカは【お兄ちゃんなら間違いが起きない】という安心感? に似た感じでそうしてきたのだろう。だからこそ、自分はお兄ちゃん失格なことをしでかしている。
「わからん。はっきり言って、俺がエーリカをどう思っているのかわからん」
「じゃあ、質問を変える。お兄ちゃんはセツラお姉ちゃんのことをどう思っているの?」
「んん?? セツラ?? なんでここでセツラの名前が出てくるんだ??」
タケルは混乱の境地に陥っていた。なんで藪から棒にセツラの名前が出てくるのだろうか? と首を傾げる他無いタケルである。いくら頭をひねっても、セツラの名前が出てくる理由がこれっぽちもわからない。眉をひそめ、答えの意味を自問自答しているタケルに対して、エーリカは何故か、ホッとした感情が芽生えるのであった。
「タケルお兄ちゃんって、もしかして、セツラお姉ちゃんのことも可愛い妹だと考えたりする?」
「あ、ああ……。エーリカ同様、どっちも自分にとっては可愛い妹だなって。エーリカがセツラを護るために俺を彼女の近くに配置させているのはそういう理由だろ?」
タケルお兄ちゃんの答えにプフッ! と噴き出してしまうエーリカであった。エーリカはセツラお姉ちゃんに気を利かせているだけだ。血濡れの女王の団において、大魔導士:クロウリー=ムーンライトとセツラ=キュウジョウは同じ場所に置いている。そんな物理的戦力が足らぬ彼らを守護する人物が必要だ。
攻撃は最大の防御という言葉があり、せっかくの拳王:キョーコ=モトカードと彼女の妹弟子であるアイス=キノレを大魔導士:クロウリー=ムーンライトとセツラ=キュウジョウの守護に回すのは、血濡れの女王の団の突破力を著しく損なうことになってしまう。
クロウリーとセツラは確かに血濡れの女王の団にとって、欠かせない人物である。だが、文官を護るための防衛力を過剰にするのは、それはそれで間違いだと軍師であるクロウリー自身がエーリカにそう進言していた。ならば、せめて、セツラお姉ちゃんの騎士役として、セツラが少なからず特別な好意を寄せているタケルお兄ちゃんを側に置いたのだ。
タケル殿は中途半端な戦力なので、ちょうど良いでしょうと良い意味で太鼓判を押すクロウリーであった。先の大戦では、クロウリーたちを護るためにともう2人ほど、護衛の数を増やした。そのひとりが弓使いのロビン=ウィル。もうひとりが、金でどちらでも転ぶ『忍』と呼ばれる人物であった。この人物のことは後の機会で紹介しよう。
それよりもだ。今、問題なのはタケルお兄ちゃんがセツラに対して、特別な感情を抱いているのか? という質問に対して、その質問の意味すら、タケルお兄ちゃんは理解しきれていないといった雰囲気を出していた。エーリカは段々と、セツラお姉ちゃんに対して、要らぬ気を回しすぎてたのかなぁ? と思うようになる。
「わかった。タケルお兄ちゃんとセツラお姉ちゃんは仲の良い兄妹なのね。でも、タケルお兄ちゃんは同じ妹のあたしに対して、おちんこさんを起っきさせちゃうケダモノだしなぁ? 今、タケルお兄ちゃんの隣で湯舟に浸かっているのがあたしじゃなくて、セツラお姉ちゃんだった場合でも、タケルお兄ちゃんはケダモノだからなぁ?」
「う、うっせえっ! 勘違いするんじゃねえよっ! 俺のおちんこさんが反応してんのはあくまでもエーリカだからだっ。こんな状況で他の女性の名前を出すな」
「うぅ……??」
「この際、はっきりと言っておく」
タケルお兄ちゃんがいつもの飄々とした雰囲気を掻き消し、真摯な眼差しでエーリカの顔を間近で見つめてくる。エーリカは温泉の湯に当てれたのか、顔が急激に赤くなってしまう。さらには今から何を言われてしまうのだろうかと、ドッキンドッキン! と心臓の音が跳ね上がり、さらにはその鼓動が湯を通じて、タケルお兄ちゃんに伝わってしまうのではなかろうかと思ってしまう。
「エーリカ。お前はこんなほぼほぼ男所帯の軍の中にいるから、自分から女を捨てているのはわかる。でも、今、俺と裸の付き合いをしているのは、エーリカ、お前本人だ」
「う、うん……」
「お前はお前自身を卑下してんだ。他の女の名前を出すことでな。でも、安心しろ。俺のおちんこさんを見ろ。俺のおちんこさんが立派に存在感を示しているのは、エーリカ。お前がどうしようもなく可愛いからだっ!!」
「そ、それは妹としてじゃなくて、ひとりの女性として??」
「そ、そう受け取ってもらっても困るんだが……。如何せん。妹相手に女を意識しているダメなお兄ちゃんなんだっ。でも、これだけは言わせてくれ。エーリカは立派な女なんだ。もし、俺以外の男と裸の付き合いをすることがあったら、自分にもっと自信をもってほしいんだ」
エーリカはようやく、タケルお兄ちゃんが言っている意味を理解する。この先の未来において、自分を好いてくれる男性が現れた時に、自分は女じゃないという捻じ曲がった主張と過度な拒否反応を示すなと言いたいのだと。好いた男に可愛いと言われたら素直に喜べと、タケルお兄ちゃんはそう言ってくれているのだと。
「タケルお兄ちゃんは、妹のあたしに女を感じているの? それとも男の性として?」
これはなかなかに鋭い質問であった。男にとってはこの上なく答えにくい。男という生き物は愛する女性相手にだけ、おちんこさんを起たせたいという【願望】を持っている。だが、男は同時に【絶望】を抱いている。自分の性癖にヒットすれば、それだけでおちんこさんがムクムクッ! と元気に反応してしまうどうしようもない生き物なのだ。
エーリカの言わんとしていることは、タケルもわかっている。妹のエーリカを【特別な存在】として見てくれているのか。それとも、ただ女の裸体を見てしまったがゆえに、生き物の生存本能が発揮されただけなのかと。
実際のところ、タケルはどっちなのかがよくわかっていない。先ほどまで、エーリカが身体を洗っている最中にエーリカの身体を見ていた時は、まったくもって、おちんこさんは無反応で大人しくしていた。だが、いざ、エーリカが自分の眼の前で隠すべき場所をまったく隠さず、さらには自分の真横に侵入してきた。
エーリカは【お兄ちゃんなら間違いが起きない】という安心感? に似た感じでそうしてきたのだろう。だからこそ、自分はお兄ちゃん失格なことをしでかしている。
「わからん。はっきり言って、俺がエーリカをどう思っているのかわからん」
「じゃあ、質問を変える。お兄ちゃんはセツラお姉ちゃんのことをどう思っているの?」
「んん?? セツラ?? なんでここでセツラの名前が出てくるんだ??」
タケルは混乱の境地に陥っていた。なんで藪から棒にセツラの名前が出てくるのだろうか? と首を傾げる他無いタケルである。いくら頭をひねっても、セツラの名前が出てくる理由がこれっぽちもわからない。眉をひそめ、答えの意味を自問自答しているタケルに対して、エーリカは何故か、ホッとした感情が芽生えるのであった。
「タケルお兄ちゃんって、もしかして、セツラお姉ちゃんのことも可愛い妹だと考えたりする?」
「あ、ああ……。エーリカ同様、どっちも自分にとっては可愛い妹だなって。エーリカがセツラを護るために俺を彼女の近くに配置させているのはそういう理由だろ?」
タケルお兄ちゃんの答えにプフッ! と噴き出してしまうエーリカであった。エーリカはセツラお姉ちゃんに気を利かせているだけだ。血濡れの女王の団において、大魔導士:クロウリー=ムーンライトとセツラ=キュウジョウは同じ場所に置いている。そんな物理的戦力が足らぬ彼らを守護する人物が必要だ。
攻撃は最大の防御という言葉があり、せっかくの拳王:キョーコ=モトカードと彼女の妹弟子であるアイス=キノレを大魔導士:クロウリー=ムーンライトとセツラ=キュウジョウの守護に回すのは、血濡れの女王の団の突破力を著しく損なうことになってしまう。
クロウリーとセツラは確かに血濡れの女王の団にとって、欠かせない人物である。だが、文官を護るための防衛力を過剰にするのは、それはそれで間違いだと軍師であるクロウリー自身がエーリカにそう進言していた。ならば、せめて、セツラお姉ちゃんの騎士役として、セツラが少なからず特別な好意を寄せているタケルお兄ちゃんを側に置いたのだ。
タケル殿は中途半端な戦力なので、ちょうど良いでしょうと良い意味で太鼓判を押すクロウリーであった。先の大戦では、クロウリーたちを護るためにともう2人ほど、護衛の数を増やした。そのひとりが弓使いのロビン=ウィル。もうひとりが、金でどちらでも転ぶ『忍』と呼ばれる人物であった。この人物のことは後の機会で紹介しよう。
それよりもだ。今、問題なのはタケルお兄ちゃんがセツラに対して、特別な感情を抱いているのか? という質問に対して、その質問の意味すら、タケルお兄ちゃんは理解しきれていないといった雰囲気を出していた。エーリカは段々と、セツラお姉ちゃんに対して、要らぬ気を回しすぎてたのかなぁ? と思うようになる。
「わかった。タケルお兄ちゃんとセツラお姉ちゃんは仲の良い兄妹なのね。でも、タケルお兄ちゃんは同じ妹のあたしに対して、おちんこさんを起っきさせちゃうケダモノだしなぁ? 今、タケルお兄ちゃんの隣で湯舟に浸かっているのがあたしじゃなくて、セツラお姉ちゃんだった場合でも、タケルお兄ちゃんはケダモノだからなぁ?」
「う、うっせえっ! 勘違いするんじゃねえよっ! 俺のおちんこさんが反応してんのはあくまでもエーリカだからだっ。こんな状況で他の女性の名前を出すな」
「うぅ……??」
「この際、はっきりと言っておく」
タケルお兄ちゃんがいつもの飄々とした雰囲気を掻き消し、真摯な眼差しでエーリカの顔を間近で見つめてくる。エーリカは温泉の湯に当てれたのか、顔が急激に赤くなってしまう。さらには今から何を言われてしまうのだろうかと、ドッキンドッキン! と心臓の音が跳ね上がり、さらにはその鼓動が湯を通じて、タケルお兄ちゃんに伝わってしまうのではなかろうかと思ってしまう。
「エーリカ。お前はこんなほぼほぼ男所帯の軍の中にいるから、自分から女を捨てているのはわかる。でも、今、俺と裸の付き合いをしているのは、エーリカ、お前本人だ」
「う、うん……」
「お前はお前自身を卑下してんだ。他の女の名前を出すことでな。でも、安心しろ。俺のおちんこさんを見ろ。俺のおちんこさんが立派に存在感を示しているのは、エーリカ。お前がどうしようもなく可愛いからだっ!!」
「そ、それは妹としてじゃなくて、ひとりの女性として??」
「そ、そう受け取ってもらっても困るんだが……。如何せん。妹相手に女を意識しているダメなお兄ちゃんなんだっ。でも、これだけは言わせてくれ。エーリカは立派な女なんだ。もし、俺以外の男と裸の付き合いをすることがあったら、自分にもっと自信をもってほしいんだ」
エーリカはようやく、タケルお兄ちゃんが言っている意味を理解する。この先の未来において、自分を好いてくれる男性が現れた時に、自分は女じゃないという捻じ曲がった主張と過度な拒否反応を示すなと言いたいのだと。好いた男に可愛いと言われたら素直に喜べと、タケルお兄ちゃんはそう言ってくれているのだと。
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