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第1章:オベール家の娘
6:レディ
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「そ、そろそろ帰ろうかっ、クロ。チワには小一時間ほど森のほうに出かけてくるって言っておいたけど、屋敷のほかの皆には黙ってきちゃったから、心配しているかも?」
顔を真っ赤に染めたまま、まともにクロードの顔を見れぬローズマリーがそう控えめの声量で隣に座るクロードに告げる。クロードも、あ、ああと生返事しかできない。クロードもまた、自分が慣れぬ賛辞をローズマリーに送ったことで照れくさくて、顔を下に向けたままである。
「そ、そうだな。あまり帰りが遅くなると、チワさんがここにすっ飛んでくるかもしれないからな……。チワさんはただでさえ忙しいのに、俺たちのために森にやってきたら大変だもんな」
2人が言う【チワ】とは、今のオベール家に仕える従者や侍女のまとめ役である【チワ=ワコール】であった。以前、オベール家に仕えていたヌレバ=スオーが5年前に修行の旅に出てしまったために、チワ=ワコールは女性でありながらも、オベール家の従者や侍女たちをまとめ上げてきた人物である。
チワ=ワコールはとにかく活発なエルフであり、特に彼女の親族であるローズマリーの母親:オルタンシア=オベールのためならば、例え火の中、水の中といった感じで行動を起こしまくる。
そのオルタンシアが夫のカルドリア=オベールと共に帝が開く酒宴に出席している今は、チワ=ワコールがオベール家の当主代理として、オベール家を取り仕切っている状態であった。そんな彼女がなかなか戻ってこないローズマリーのことを心配して、森の中へローズマリーを探索しにくるのは2人にとって忍びないのであった。
クロードは立ち上がり、尻の当たりを手でぱんぱんと叩いたあと、まだ座りこんでいるローズマリーにそっと右手を差し出す。ローズマリーはまだ顔がほんのり赤いままだが、彼の手を取り、それを支えとして、草の上から立ち上がる。
彼女もまた、薄紅色のドレスの尻の部分に付いた背の低い草を手でパンパンと叩き、振り払う。クロードが彼女のしぐさをつぶさに観察しながら、ロージーも出るとこ出るようになってきたなあ、やっぱり15歳にもなれば、そうだよなあ? と思うのであった。
ローズマリーはハーフエルフであり、純粋なエルフに比べれば、身体の成熟が早いほうであった。まさに薔薇の蕾が段々と開きかけ、その見事な華の姿を見せる直前を思わせるだけの肉付きとなっていた。
「ロージーって、あと2~3年もすれば、立派な女性になりそうだな?」
クロードがなんとなくだが、口からそう声をこぼしてしまう。クロード自身は悪意の欠片もなく言ってしまうのであるが、如何せん、相手は少女から大人にまさに変わろうとしている多感な時期なのだ。
「わ、わたしはこれでも立派な女性なのっ! 何よっ! もしかして、あたしの胸を見て、そう思ったわけ!?」
ローズマリーは心外なことを言われたとばかりに、ほっぺたを膨らませ、さらには唇を尖らせて、クロードを非難するのであった。クロードとしては、ローズマリーが何故、怒っているのかがわからないといった感じで困惑し
「い、いや……。俺は褒めたつもりなんだけど……」
「褒めてないっ。全然、褒めてないっ! さっきはわたしのことをキレイだと言っておきながら、今は子供扱いじゃないのっ! キレイって言葉は大人の女性に使う言葉よ!? わたしはクロードに大人の女性として扱われたと思って、嬉しく思ってたのにっ!」
(なんなのよっ。わたしの胸のサイズがまだまだ小さいからって、そんな風に言わなくたって良いじゃない! きっとクロは大きな胸が好きなんだっ。クロがチワの大きな胸を見て、たまにだらしなく鼻の下を伸ばして知っているだからっ!)
ローズマリーはそう思うと、何だか悲しい気分になってしまう。自分の身体がクロード好みじゃないことにやきもきしてしまう。
「ご、ごめん……。俺は本当に悪気があって、言ったわけじゃないんだ……。ただ、ロージーがこれからどんどんキレイになっていくんだろうなと思うと嬉しくなって、そう言っただけなんだよ……」
クロードが謝罪を込めて、ローズマリーに頭を少し下げる。だが、それでもローズマリーの怒りは収まらない。
「わたし、知ってるもんっ! クロードがチワの大きな胸を見て、鼻の下を伸ばしていることくらいっ! クロードが大きな胸が好きなことくらい、わたしはわかっているもんっ!」
ローズマリーはそう言いながら、涙目になっていく。自分の肉付きの少ない身体に不満があるのだ。
「いや、そもそも、俺はチワさん自身に興味なんて、これっぽちもないって! 俺はロージーが好きだからこそ、ロージーがキレイだって言ったんだよ!」
クロードが必死に弁明するが、ローズマリーはそれでも怒りが収まらない。ローズマリーはますますほっぺたを膨らませるばかりである。
「嘘よっ! じゃあ、なんでチワさんの大きな胸をちらちら見てるのよっ!」
「い、いや。それは……。男って生き物は大きな胸の女性を見たら、自然とそこに眼がもっていかれるというか……」
「クロの馬鹿っ! スケベっ!」
(何よ、何よ! あたしのことをキレイだって言っていながら、なんでチワの胸を見てるのよっ! しかも、男ならしかたないってどういうことよっ!)
怒りの収まらないローズマリーに対して、クロードはどうしたものかと悩んでしまう。そんな彼は意を決する。なんと、彼が取った行動は怒りに染まる彼女の両肩にそっと手を置くのであった。
「えっ!? ク、クロ!?」
突然、両肩に手を置かれたローズマリーは怒りがどこかに吹き飛び、心臓が跳ね上がりそうになる。クロードは両手をローズマリーの両肩から背中、さらに腰へと移動させる。そして、ローズマリーを包み込むように抱きしめる。
ローズマリーもクロードが今から何をしようとしているかが理解できる。クロードは自分に口吸いをしようとしているのがだ。
(近い! 近い! クロードの顔がすぐそこにあるっ!)
「ロージー。眼を閉じてくれないか? あの、その。顔を凝視されていると口吸いしにくいっていうか……」
「は、はひっ!」
ローズマリーはうわずった声をあげてしまったことに、失敗したわっ! と思いながらもギュッと眼を閉じる。
(わ、わたし、クロードと口吸いをするんだ……。そして、それから押し倒されて!?)
ロージーは自分の唇に向かって、だんだんとクロードの体温が近づいてくるのがわかるのであった。
顔を真っ赤に染めたまま、まともにクロードの顔を見れぬローズマリーがそう控えめの声量で隣に座るクロードに告げる。クロードも、あ、ああと生返事しかできない。クロードもまた、自分が慣れぬ賛辞をローズマリーに送ったことで照れくさくて、顔を下に向けたままである。
「そ、そうだな。あまり帰りが遅くなると、チワさんがここにすっ飛んでくるかもしれないからな……。チワさんはただでさえ忙しいのに、俺たちのために森にやってきたら大変だもんな」
2人が言う【チワ】とは、今のオベール家に仕える従者や侍女のまとめ役である【チワ=ワコール】であった。以前、オベール家に仕えていたヌレバ=スオーが5年前に修行の旅に出てしまったために、チワ=ワコールは女性でありながらも、オベール家の従者や侍女たちをまとめ上げてきた人物である。
チワ=ワコールはとにかく活発なエルフであり、特に彼女の親族であるローズマリーの母親:オルタンシア=オベールのためならば、例え火の中、水の中といった感じで行動を起こしまくる。
そのオルタンシアが夫のカルドリア=オベールと共に帝が開く酒宴に出席している今は、チワ=ワコールがオベール家の当主代理として、オベール家を取り仕切っている状態であった。そんな彼女がなかなか戻ってこないローズマリーのことを心配して、森の中へローズマリーを探索しにくるのは2人にとって忍びないのであった。
クロードは立ち上がり、尻の当たりを手でぱんぱんと叩いたあと、まだ座りこんでいるローズマリーにそっと右手を差し出す。ローズマリーはまだ顔がほんのり赤いままだが、彼の手を取り、それを支えとして、草の上から立ち上がる。
彼女もまた、薄紅色のドレスの尻の部分に付いた背の低い草を手でパンパンと叩き、振り払う。クロードが彼女のしぐさをつぶさに観察しながら、ロージーも出るとこ出るようになってきたなあ、やっぱり15歳にもなれば、そうだよなあ? と思うのであった。
ローズマリーはハーフエルフであり、純粋なエルフに比べれば、身体の成熟が早いほうであった。まさに薔薇の蕾が段々と開きかけ、その見事な華の姿を見せる直前を思わせるだけの肉付きとなっていた。
「ロージーって、あと2~3年もすれば、立派な女性になりそうだな?」
クロードがなんとなくだが、口からそう声をこぼしてしまう。クロード自身は悪意の欠片もなく言ってしまうのであるが、如何せん、相手は少女から大人にまさに変わろうとしている多感な時期なのだ。
「わ、わたしはこれでも立派な女性なのっ! 何よっ! もしかして、あたしの胸を見て、そう思ったわけ!?」
ローズマリーは心外なことを言われたとばかりに、ほっぺたを膨らませ、さらには唇を尖らせて、クロードを非難するのであった。クロードとしては、ローズマリーが何故、怒っているのかがわからないといった感じで困惑し
「い、いや……。俺は褒めたつもりなんだけど……」
「褒めてないっ。全然、褒めてないっ! さっきはわたしのことをキレイだと言っておきながら、今は子供扱いじゃないのっ! キレイって言葉は大人の女性に使う言葉よ!? わたしはクロードに大人の女性として扱われたと思って、嬉しく思ってたのにっ!」
(なんなのよっ。わたしの胸のサイズがまだまだ小さいからって、そんな風に言わなくたって良いじゃない! きっとクロは大きな胸が好きなんだっ。クロがチワの大きな胸を見て、たまにだらしなく鼻の下を伸ばして知っているだからっ!)
ローズマリーはそう思うと、何だか悲しい気分になってしまう。自分の身体がクロード好みじゃないことにやきもきしてしまう。
「ご、ごめん……。俺は本当に悪気があって、言ったわけじゃないんだ……。ただ、ロージーがこれからどんどんキレイになっていくんだろうなと思うと嬉しくなって、そう言っただけなんだよ……」
クロードが謝罪を込めて、ローズマリーに頭を少し下げる。だが、それでもローズマリーの怒りは収まらない。
「わたし、知ってるもんっ! クロードがチワの大きな胸を見て、鼻の下を伸ばしていることくらいっ! クロードが大きな胸が好きなことくらい、わたしはわかっているもんっ!」
ローズマリーはそう言いながら、涙目になっていく。自分の肉付きの少ない身体に不満があるのだ。
「いや、そもそも、俺はチワさん自身に興味なんて、これっぽちもないって! 俺はロージーが好きだからこそ、ロージーがキレイだって言ったんだよ!」
クロードが必死に弁明するが、ローズマリーはそれでも怒りが収まらない。ローズマリーはますますほっぺたを膨らませるばかりである。
「嘘よっ! じゃあ、なんでチワさんの大きな胸をちらちら見てるのよっ!」
「い、いや。それは……。男って生き物は大きな胸の女性を見たら、自然とそこに眼がもっていかれるというか……」
「クロの馬鹿っ! スケベっ!」
(何よ、何よ! あたしのことをキレイだって言っていながら、なんでチワの胸を見てるのよっ! しかも、男ならしかたないってどういうことよっ!)
怒りの収まらないローズマリーに対して、クロードはどうしたものかと悩んでしまう。そんな彼は意を決する。なんと、彼が取った行動は怒りに染まる彼女の両肩にそっと手を置くのであった。
「えっ!? ク、クロ!?」
突然、両肩に手を置かれたローズマリーは怒りがどこかに吹き飛び、心臓が跳ね上がりそうになる。クロードは両手をローズマリーの両肩から背中、さらに腰へと移動させる。そして、ローズマリーを包み込むように抱きしめる。
ローズマリーもクロードが今から何をしようとしているかが理解できる。クロードは自分に口吸いをしようとしているのがだ。
(近い! 近い! クロードの顔がすぐそこにあるっ!)
「ロージー。眼を閉じてくれないか? あの、その。顔を凝視されていると口吸いしにくいっていうか……」
「は、はひっ!」
ローズマリーはうわずった声をあげてしまったことに、失敗したわっ! と思いながらもギュッと眼を閉じる。
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