寡黙な消防士でも恋はする

晴 菜葉

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続編 愛くらい語らせろ

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 まず舌を尖らせ、下から上へと滑らせる。
 それから、口を半開きにして先端に吸い付く。
 確か、こんなんだっけ。
 元嫁とは元から冷めた関係だったから、こんなシーンは皆無。十数年前のうろ覚えの記憶を頼りに舌を動かす。
 チラリと日浦を見上げてみれば、目を眇めて前髪を掻き上げているところだった。
「バカ」
 溜め息混じりに貶される。
 バカとは何だよ。人にこんな真似させといて。
 頭を撫でるな。ご主人様の言いつけに従った犬じゃないんだから。
 何だか余裕のある日浦が悔しくて、口を大きく開けて一気に咥え込んでやる。めいいっぱい開いた口内に隙間なくびっちり埋まり、持て余した舌をゆっくり上下させる。
 急に大きさを変えるな。溜め息に微かに呻き声を混じらせるな。脳が刺激される。
 一旦口から離せば、ぬらぬらと唾で光り、硬質具合からいってもう準備万端だ。
 こんなんで突かれたら、確実に意識飛びそう。狭い道を無理繰り拓かされて、奥壁をガンガン叩かれたら……想像するだけで、全身の血が沸き立つ。
 俺、すっかり「オンナ」になっちまったな。
 失望よりも、諦めよりも、早く体内に取り込みたくて堪らないくらいに、俺の体は堕ちてしまった。
 俺の体の変調に日浦も気付き、さすが日頃の訓練の賜物で器用にベルトとファスナーを外すと、一気に下半身剥き出しにされた。
 俺の先端からは恥ずかし気もなく粘液が滴り、とっくに下着ごとズボンはぐっしょりだ。生地を濡らすことには飽き足らず、滴りは後ろまで回って、ジェルの役目を充分果たしていた。どろどろに蕩けて、早く埋め込まれたくて、さっきからずっと収縮している。
「市局の女の子達に見せてやりたいよ」
 日浦の声が楽しそうに揺れた。
「普段は表情筋死んでるとか散々な言われようだけど」
 うるせーな。
 いちいち余計なこと言われないように、幾分強めに先端を吸ってやると、思惑通りに微かに呻いた。
「こんな痴態、俺以外、誰も知らないんだよな」
 当たり前だ。誰彼構わず見せびらかすもんじゃねえだろ。
 感慨深く語る日浦。まだまだ余裕ありそうで悔しい。
「もういいよ」
 後ろ髪を捕まれ、引き剥がされる。
 俺と日浦の間を粘液の糸が引いた。
 意外にこいつも限界近いのかも。
「あっ……」
 俺の頭の中がくらくらしているうちに、日浦は四つん這いになった俺の背後に回り込むと、いきなり尻を掴んだ。
 あっと声を上げたときには、ガチガチに固まったもので肉を割られて内部への侵入を許してしまった。
 勢いよく潜り込み、直腸を容赦なく抉る。
「ひ、日浦!」
 がくがくと前後に揺すられ、堪らず叫んでしまった。
 スプリングのよくきいたフランス製の高級ベッドは、ちょっとやそっとじゃ壊れないはずだ。だけど、ギシギシと奇妙に擦れる音がひっきりなしで、心配になってくる。
 少しは加減しろ。抗議するために首を捻れば、目元を赤らめ眉根を寄せた苦悶の表情が、バッチリ俺の瞳に入った。
 いつもの、飄々とした余裕っぷりがない。
 前髪が目の下に落ち、額の汗を吸って滴る。頬から顎へと滑る滴りの、色っぽいこと。
 思わず粘膜が蠕動して、日浦を締め付けてしまった。
 同時に、目の前の獣が唸る。
 ああ!くそっ!
 俺、マジでこいつのモンになっちまってる。
 この官能的な獣にめちゃくちゃにされたいなんて。
 
 
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