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とにかく橋本だ。
きょろきょろと辺りを巡らせる。いた。
橋本は瓦礫の山からちょうど飛び降りたところだった。
住宅の半分が炭化し、梁から滴り落ちる化学車の泡を受けながら、俺は一直線に目指す。
ぴちゃん、と肩に落ちた泡状の塊が生々しい。
すっかり使い物にならなくたってしまったフローリングを突っ切り、斜め向いて棚からずり落ち画面の割れた五十インチのテレビを一足飛びで越え、ずんずん歩いて、火元であるキッチンの最早、原型のないシンクの前で立ち止まる。
「ん?何や?」
いきなり現れた無言の俺に、橋本は露骨に不審がった。
食い入るように橋本を黙って見つめた。
恋は人を狂わせる。
こんな、どこらからどう見ても図体のでかい男が、愛おしいなんて。
もう、抱きしめてやれ。
「お、おい。何や何や」
不意打ちで抱きつかれ、橋本は目を丸くして狼狽した。自分から攻めるのは得意とするが、逆パターンはどうやら苦手らしい。
橋本は消防士としては失格だが、男としては最高だ。
「橋本さん、あんたって人は」
俺は橋本の背に手を回すと、思い切り力を込めた。
ようやく、分厚い壁を飛び越えた。武者震いがする。がくがくと膝が戦慄き、肩が小刻みに揺れる。
憧れなんて生易しいものではない。理解不能の熱さが全身の血を沸騰させる。面体を外してその頬に何度もキスをくれてやりたい。すっかり舞い上がってしまっていた。
「おいおい。ラブシーンにはまだ早いって」
唐突な俺に橋本は全く事態が呑み込めないらしく、取り敢えず背中を何度か擦って宥め、どうにか引き剥がした。
「桜庭に話があるんだ、俺は」
その言葉に、ハッと微睡から醒めた。
麗子さんは救急車の荷台に腰掛け、警察からの質疑応答を受けていた。
救出時こそ朦朧としていた彼女だが、思ったよりはダメージを受けてはおらず、現在は意識をしっかりと取り戻し、繰り返される質問にもきびきびと応えている。
ふと、彼女は言葉を止めた。
救急車の扉の外で佇む俺と橋本の二人に対し、悔しそうに目を眇め、膝の布地をぎゅうっと握り締めた。手の甲に青い筋が浮き出る。
「何で助けたのよ」
俺に対しての第一声は非難だ。
「やっぱり私なんて幸せになっちゃいけないのよ」
死への執着を拒絶され、行き場のない怒りが一心に俺に向けられる。
その眼差しに挫けそうになるのを奮い立たせ、どうしても言わなければならないことがあった。開いた唇が震える。
「麗子さん。こんなことをすると」
「笠置」
亜里沙が悲しむ。そう続けかけた俺を、背後の橋本が肩を掴んで止め、言うなと小さく首を横に振った。
「あんた、大橋の作った爆弾を自宅に持ち帰ったやろ」
たちまち麗子さんの顔から血の気が引いた。
握り締めたスカートの裾にはくっきりと放射線状の跡がついていた。それすら気付いていないように、尚も握り締めた手が小刻みに痙攣している。
「威力の弱いの知っとってんろ。だから、生石灰を使こて、燃焼率を上げようとした」
淡々と橋本は指摘する。
どこから生石灰を手に入れたのかはすでに判明している。理科の授業に使用するといって取り寄せることは容易だ。
現場の片付けをしていた消防隊員が、キッチンのテーブルの上に敷いたマットの上に、白い粉上のものを見つけたと叫んでいる。やはり、橋本の直感は的中していた。
「亜里沙やな。こっそりあんたんちから取ったのは」
橋本が指摘した途端、わっと麗子さんが体を二つ折りにして膝の上に顔を伏せた。
助けられてからずっと堪えていたものを一気にここで吐き出す、そんな泣き方だった。
彼女に聴取していた警察官が困ったように頭を掻いて、橋本の方を向く。聴取を中断されたが話の続きを促す状況ではない。かといって巧い慰めも思いつかない。どうにかしろ、と目が訴えている。
ひとしきり声を上げると、麗子さんは鼻を啜った。
「蕎麦屋九庵が燃えた日でした。夕方、突然、あの子が家に来たんです。特に用もなくて、すぐに帰ったんですけど」
「その後で爆弾と助燃剤が無くなった」
「まさか、あの子が。気付いたときには、店が火事になってて」
またもや麗子さんが顔を伏せる。
蕎麦屋九庵から火が出る直前の夕方、亜里沙は思い詰めたような表情で道を歩いていた。
彼女は大橋が爆弾を作製していたことも、それを盗んで麗子さんが自らの命を断とうと画策していたことも、その幼い眼で見抜いていたのだ。
「大橋は、いつものように無人の倉庫にあるもんやとばかり思って、起爆した」
顛末を知った大橋はかなり焦ったのだろう。
蕎麦屋九庵の火事以降、大橋は仕事を休んでいた。
ほとぼりが冷め、亜里沙の無事も確認し、周辺が落ち着いた頃に再び起爆装置を使おうと企んだ末の逮捕劇だ。
「隠し場所がないから、取り遭えず装置は家の脇、助燃剤は天井裏。それが仇になったんやな」
麗子さんを助けたい一心の亜里沙だったが、まさか人の目に触れさせるわけにはいかない。取り敢えずの隠し場所で、運悪く遠隔スイッチが押された。
「私のせいで、あの子にまで危険な目に」
強張る体をぶるぶると震わせる麗子さんの顔は、血の気が全くない。嫌な予感が掠める。瞬間、息を呑んだ。
どこに隠してあったのか、おもむろにカッターナイフを取り出した麗子さんが、己の喉に刃先を突きつけたのだ。
傍らの警察は驚いて、慌ててそれを取り上げようと腕を伸ばす。
「触らないで!」
びくっと警察の腕が止まった。彼女はさらに刃を喉の先に付ける。目は血走り、瞬きすらせず、躊躇いが見えない。本気だ。
俺は唾を呑み下した。
ただ一人、橋本は怯まなかった。
「このドアホ!何で亜里沙がそこまでしたんか、まだわからへんのか!」
一喝するなり、間髪入れずに麗子さんの腕を叩く。
呆気なく凶器が足元に落下した。すぐさま橋本はそれを爪先で蹴って、遠くへ飛ばす。
「全てはお前を救うためやないか!」
橋本の一言に、麗子さんの瞳孔がこれでもかと見開く。
「小沢親子は、過去に何があったんか承知の上で、お前を選んだんやろ。まだわからんのか」
再び麗子さんの目が潤んだかと思えば、次々に涙が零れ落ちる。煤だらけの顔をくしゃくしゃにさせ、美人を気取っていた面影は最早そこにはない。本能の赴くままに涙を零している。
「あの親子はな、あんたが色んな男に気のある素振りを演じてんのを、ちゃんと見抜いとる。本当はあんたが人一倍臆病なことも、過去の贖罪に囚われていることも、小沢親子のことを愛してんのも、ちゃんとわかってる。わかって、あんたがいいって言うてるんや」
諭すような口調で述べてから、橋本は軽く麗子さんの肩を叩く。それに対し、麗子さんはしきりにうんうんと首を縦に振った。
確かに彼女は不可抗力とはいえ、小沢道文から妻を、亜里沙から母を奪った。
それでも、小沢は彼女を選んだ。
亜里沙も新たな母として認めた。
たとえそこに変えることの出来ない過去が存在していようと、新たな繋がりを求めたのだ。
きょろきょろと辺りを巡らせる。いた。
橋本は瓦礫の山からちょうど飛び降りたところだった。
住宅の半分が炭化し、梁から滴り落ちる化学車の泡を受けながら、俺は一直線に目指す。
ぴちゃん、と肩に落ちた泡状の塊が生々しい。
すっかり使い物にならなくたってしまったフローリングを突っ切り、斜め向いて棚からずり落ち画面の割れた五十インチのテレビを一足飛びで越え、ずんずん歩いて、火元であるキッチンの最早、原型のないシンクの前で立ち止まる。
「ん?何や?」
いきなり現れた無言の俺に、橋本は露骨に不審がった。
食い入るように橋本を黙って見つめた。
恋は人を狂わせる。
こんな、どこらからどう見ても図体のでかい男が、愛おしいなんて。
もう、抱きしめてやれ。
「お、おい。何や何や」
不意打ちで抱きつかれ、橋本は目を丸くして狼狽した。自分から攻めるのは得意とするが、逆パターンはどうやら苦手らしい。
橋本は消防士としては失格だが、男としては最高だ。
「橋本さん、あんたって人は」
俺は橋本の背に手を回すと、思い切り力を込めた。
ようやく、分厚い壁を飛び越えた。武者震いがする。がくがくと膝が戦慄き、肩が小刻みに揺れる。
憧れなんて生易しいものではない。理解不能の熱さが全身の血を沸騰させる。面体を外してその頬に何度もキスをくれてやりたい。すっかり舞い上がってしまっていた。
「おいおい。ラブシーンにはまだ早いって」
唐突な俺に橋本は全く事態が呑み込めないらしく、取り敢えず背中を何度か擦って宥め、どうにか引き剥がした。
「桜庭に話があるんだ、俺は」
その言葉に、ハッと微睡から醒めた。
麗子さんは救急車の荷台に腰掛け、警察からの質疑応答を受けていた。
救出時こそ朦朧としていた彼女だが、思ったよりはダメージを受けてはおらず、現在は意識をしっかりと取り戻し、繰り返される質問にもきびきびと応えている。
ふと、彼女は言葉を止めた。
救急車の扉の外で佇む俺と橋本の二人に対し、悔しそうに目を眇め、膝の布地をぎゅうっと握り締めた。手の甲に青い筋が浮き出る。
「何で助けたのよ」
俺に対しての第一声は非難だ。
「やっぱり私なんて幸せになっちゃいけないのよ」
死への執着を拒絶され、行き場のない怒りが一心に俺に向けられる。
その眼差しに挫けそうになるのを奮い立たせ、どうしても言わなければならないことがあった。開いた唇が震える。
「麗子さん。こんなことをすると」
「笠置」
亜里沙が悲しむ。そう続けかけた俺を、背後の橋本が肩を掴んで止め、言うなと小さく首を横に振った。
「あんた、大橋の作った爆弾を自宅に持ち帰ったやろ」
たちまち麗子さんの顔から血の気が引いた。
握り締めたスカートの裾にはくっきりと放射線状の跡がついていた。それすら気付いていないように、尚も握り締めた手が小刻みに痙攣している。
「威力の弱いの知っとってんろ。だから、生石灰を使こて、燃焼率を上げようとした」
淡々と橋本は指摘する。
どこから生石灰を手に入れたのかはすでに判明している。理科の授業に使用するといって取り寄せることは容易だ。
現場の片付けをしていた消防隊員が、キッチンのテーブルの上に敷いたマットの上に、白い粉上のものを見つけたと叫んでいる。やはり、橋本の直感は的中していた。
「亜里沙やな。こっそりあんたんちから取ったのは」
橋本が指摘した途端、わっと麗子さんが体を二つ折りにして膝の上に顔を伏せた。
助けられてからずっと堪えていたものを一気にここで吐き出す、そんな泣き方だった。
彼女に聴取していた警察官が困ったように頭を掻いて、橋本の方を向く。聴取を中断されたが話の続きを促す状況ではない。かといって巧い慰めも思いつかない。どうにかしろ、と目が訴えている。
ひとしきり声を上げると、麗子さんは鼻を啜った。
「蕎麦屋九庵が燃えた日でした。夕方、突然、あの子が家に来たんです。特に用もなくて、すぐに帰ったんですけど」
「その後で爆弾と助燃剤が無くなった」
「まさか、あの子が。気付いたときには、店が火事になってて」
またもや麗子さんが顔を伏せる。
蕎麦屋九庵から火が出る直前の夕方、亜里沙は思い詰めたような表情で道を歩いていた。
彼女は大橋が爆弾を作製していたことも、それを盗んで麗子さんが自らの命を断とうと画策していたことも、その幼い眼で見抜いていたのだ。
「大橋は、いつものように無人の倉庫にあるもんやとばかり思って、起爆した」
顛末を知った大橋はかなり焦ったのだろう。
蕎麦屋九庵の火事以降、大橋は仕事を休んでいた。
ほとぼりが冷め、亜里沙の無事も確認し、周辺が落ち着いた頃に再び起爆装置を使おうと企んだ末の逮捕劇だ。
「隠し場所がないから、取り遭えず装置は家の脇、助燃剤は天井裏。それが仇になったんやな」
麗子さんを助けたい一心の亜里沙だったが、まさか人の目に触れさせるわけにはいかない。取り敢えずの隠し場所で、運悪く遠隔スイッチが押された。
「私のせいで、あの子にまで危険な目に」
強張る体をぶるぶると震わせる麗子さんの顔は、血の気が全くない。嫌な予感が掠める。瞬間、息を呑んだ。
どこに隠してあったのか、おもむろにカッターナイフを取り出した麗子さんが、己の喉に刃先を突きつけたのだ。
傍らの警察は驚いて、慌ててそれを取り上げようと腕を伸ばす。
「触らないで!」
びくっと警察の腕が止まった。彼女はさらに刃を喉の先に付ける。目は血走り、瞬きすらせず、躊躇いが見えない。本気だ。
俺は唾を呑み下した。
ただ一人、橋本は怯まなかった。
「このドアホ!何で亜里沙がそこまでしたんか、まだわからへんのか!」
一喝するなり、間髪入れずに麗子さんの腕を叩く。
呆気なく凶器が足元に落下した。すぐさま橋本はそれを爪先で蹴って、遠くへ飛ばす。
「全てはお前を救うためやないか!」
橋本の一言に、麗子さんの瞳孔がこれでもかと見開く。
「小沢親子は、過去に何があったんか承知の上で、お前を選んだんやろ。まだわからんのか」
再び麗子さんの目が潤んだかと思えば、次々に涙が零れ落ちる。煤だらけの顔をくしゃくしゃにさせ、美人を気取っていた面影は最早そこにはない。本能の赴くままに涙を零している。
「あの親子はな、あんたが色んな男に気のある素振りを演じてんのを、ちゃんと見抜いとる。本当はあんたが人一倍臆病なことも、過去の贖罪に囚われていることも、小沢親子のことを愛してんのも、ちゃんとわかってる。わかって、あんたがいいって言うてるんや」
諭すような口調で述べてから、橋本は軽く麗子さんの肩を叩く。それに対し、麗子さんはしきりにうんうんと首を縦に振った。
確かに彼女は不可抗力とはいえ、小沢道文から妻を、亜里沙から母を奪った。
それでも、小沢は彼女を選んだ。
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