猫縁日和

景綱

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第8章 幸せの扉

(8-2)

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 目を覚ますと薄暗かった。夜だろうか。それとも夜中だろうか。
 それはそうと、ここはどこだろう。

 確か、退院祝いをしていて……。

 あっ、酔っぱらって寝てしまったのか。飛び起きるとツバキが驚いた顔をしてみつめていた。ここは節子の家だろうか。ああ、やってしまった。

「おや、梨花さん、目が覚めたかい」
「あの、すみません。私ったら恥ずかしい」
「ふふふ、いいんだよ」
「反省しています」
「たまには羽目を外すのも大事だよ。気にすることないからねぇ」
「はい」

 申し訳ない。迷惑をかけてしまった。これは仕事で挽回ばんかいするしかないか。

「ニャニャッ」
「ほら、ツバキも気にするなって言っているねぇ」

 梨花はフッと笑ってしまった。

「ありがとう、ツバキ」と頭を撫でる。

「あっ、そうそう颯さんが迎えに来てくれるからね」
「えっ、颯さんに連絡したんですか」
「いけなかったかい」
「いや、そんなことはないです」

 どうしよう。颯に嫌われないだろうか。自分ではよくわからないけど、きっとまだ酒臭いはず。怒られちゃうかもしれない。それとも笑って許してくれるだろうか。

 来たら、すぐに謝ろう。
 ああ、もう。なんて大失態を犯してしまったのだろう。
 大酒飲みだと認識されたらどうしよう。

『馬鹿、馬鹿。本当に私って、馬鹿』

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