【オメガの疑似体験ができる媚薬】を飲んだら、好きだったアルファに抱き潰された

亜沙美多郎

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「え、ウソ。イッたのに」
『郁人のエッチな体は、こんなんじゃ満足しないよな? だって、まだ俺の挿れてないし』

 隼瀬が男根の先を、郁人の孔に押し付けてくる。
「や、ひゃんっ、はい……入ってくる……」
『これが欲しかったんだろ。ほら、オメガちゃん。大好きなアルファのちんこ、咥えたいんだよな?』
「欲しい……欲しい! 隼瀬のちんこが欲しいぃぃぃ」
『じゃあ、全部受け取れよっ!!』
「はぁっぁぁああああ!!」

 一度絶頂に達した体は、感度が上がっている。それを隼瀬は知ってて、いきなり最奥まで突き上げてきた。郁人は瞬く間に果てた。
『挿れただけでイッちゃったんだ? 可愛いね。俺のオメガは』
「か、かわいい?」
『可愛いよ。郁人はいつでも可愛い。お前のイキ顔、他の誰にも見せんなよ?』
「うん、うん……俺には、隼瀬だけだから」
『じゃあ、俺がイくまで付き合ってくれるよな?』

 隼瀬の腰がゆらりと揺れた。
「え、はっ、ぁあん……」
『郁人、感度サイコーじゃん。自分から腰振って。本当に可愛いな』
「らって、隼瀬のちんこ気持ち良すぎて……なんも考えられない」

 自ら腰を押し付ける。自分の奥まで、隼瀬の男根が届いている。

『だったら郁人が上から乗って?』
 突然体を起こされる。
 隼瀬に跨る体勢で座ると、反り立った男根がズブズブと媚肉を擦りながら入ってきた。

「あ、これ……」
『なに? 郁人の体重だけで入ってんだよ? 俺は座ってるだけだろ?』
「はっ、ぁ、ん……でも入っちゃいけない所まで届いちゃう」
『困ったね、郁人、妊娠しちゃうかもね』
「はっあああ!! んんんん~~~っっ!!」
 
 腰を両脇から鷲掴みにすると、思いきり押し込む。
 郁人はまた頂点に達した。
 それでも隼瀬はやめてくれない。

「や、隼瀬ぇ、イってるっ、イってるからぁ!!」
『なに? 今からが本番でしょ?」

 意識が飛びそうになる。
「あ、はぁ、ん……もう、だめ……イくの止まんない」
 突かれるたびに白濁を飛ばす。
「止まんないよぉ! もう、やめてぇ!」
『今やめても良いわけ? 俺、まだイってねぇよ?』

 隼瀬は郁人をうつ伏せにさせると、今度は後ろから挿入した。
 もう、感じすぎてなにも考えられない。
 ただ快楽に溺れていたい。

「隼瀬、隼瀬……」
 朦朧とする意識の中で、何度も隼瀬の名前を呼ぶ。
 
 何度果てても、媚薬の効果が持続されている限り、体の昂りが覚めることはない。
 オメガになると、これが一週間も続くのか。
 なぜかもう、オメガになる気満々だ。
 実際バース性が変わるなど、突然変異でもしない限り実現しない。

 それでも、この快感を味わってしまうと、相手が隼瀬ならオメガになりたいとさえ思ってしまう。

 孔に入ったままのディルドさえ抜きたくない。
 ほんの少し飲んだだけの媚薬で、こんな長時間興奮状態が続くなんて思いもよらない。

 少しでも動くと、奥まで入ったディルドが気持ちいいところを刺激し、また快楽の海へと引き摺り込む。
 
「ぁん、隼瀬……また腰が揺れて……」
『お前の中、気持ち良すぎて癖になりそう』
「はぁっ、ふぅ、ん……隼瀬の、まだ太い」
『全然萎えねぇよ。郁人と余程相性がいいんだろうな』
「あっ、あっ、また……くる……」
『何度でもイケよ。ほら、気持ちいいところ、突いてやるから』

 もう何度目かも分からないくらい絶頂に達した時、郁人はぐったりとベッドに横たわった。
 孔がじんっと熱を持っている。

 ヨダレも汗も涙もぐちゃぐちゃに混じり合い、きっと今の郁人は情けない顔をしているだろう。
 でももう体力の限界を何度も超え、一ミリも動けない。
 手で顔を拭うことすら、できないほどの疲労だ。

「媚薬……良かった……」
 あと半分残してある。
 こんなの癖になってしまいそうだ。
 直ぐにでも注文して、残りの半分はストックが届いてからじゃないと使えないとまで考えた。

 ベッドの上で放心状態になっていると、いきなり部屋のドアが開く。

「郁人、鍵開いてるけどいる? 入るぞ?」
「へ? ま、まって……」

 部屋の鍵を閉め忘れるなんて、どれだけ意識が散漫になっていたんだ。
 急いで身を隠したいのに体が動かない。
 あられのない姿を、あっさりと隼瀬に見つかってしまった。

「郁人? 体調が悪いって聞いて一次会で抜け出してきたんだけどって……」

 今日ばかりはそんな気遣い要らなかった。

「もしかして、一人でしてた?」

 そんなのは見れば分かるだろう。
 一人で、そんな激しくするんだ。なんて思ったに違いない。
 それは本当のことだから。
 今、目の前にいる隼瀬に抱かれる妄想をしながら、自分がオメガになったつもりで何度も果てた。

 ベッドの上はそれを物語っている。

「で、出ていって……お願いだから、見なかったことにして」

 息も絶え絶えお願いしたが、隼瀬はベッドに近づき郁人の隣に腰を下ろす。

「はぇ? 何してるんだよ。汚いだろ。スーツが汚れる」
「……郁人、何をおかずにしてやってるの?」
「そ、そんなの……隼瀬には関係ない」
「教えてよ。こんな甘い香り撒き散らして、誰かに抱かれるのを想像してたんじゃないの?」

 全くその通りだ。
 でもそんなこと言えるはずはない。
 隼瀬はアルファでストレート。かたや郁人はベータのゲイだ。
 理解してもらえるわけはない。

 頑なに口を継ぐんだが、隼瀬は少し苛立ちをあらわにしつつ、郁人の体に触れた。
「はんっ」
 ついさっきイッたばかりだから、ちょっとの刺激にも反応してしまう。
 
 隼瀬は郁人の感度にニヤリと口角を上げると、上肢に指を滑らせていく。
「や、ぁあ、やめ……ひゃっ」
 隼瀬の指が胸の突起を弾いた。

「郁人、まだ足りないんじゃない?」
「へ? 隼瀬?」
 気付けば、隼瀬の呼吸が乱れている。
 もしかして、擬似オメガのフェロモンに当てられているのか?
 郁人に話しかけながらも、手早く自分のネクタイを外し、郁人の手首を縛る。

「な、何して……隼瀬? お前はゲイじゃないだろ? 俺はオメガでもない、ただの同僚じゃないか。落ち着けって」
「郁人のこんな姿見せられて、黙って出て行けって言うのかよ」

 隼瀬の目が座っている。
 それは、オメガを狙うラット状態のアルファの視線だ。

「え、そんな……」
 潤んだ瞳で一瞬目が合った気がしたが、次の瞬間には、唇が重なっていた。

「んっ、ふぅ、ん……」
 隼瀬の大きな舌が、郁人の口腔で蠢く。
 繰り返し想像していたキスよりも、さらに情熱的で官能的だった。
 こんなキスを、今までの恋人にもしてきたのか。そんな現実は知りたくなかったと思う。
 思わず、顔を背けてしまった。

「郁人? 嫌だった?」
「い……やじゃない……けど……」
「じゃあ、なんで?」
「なんでって、それは俺のセリフ。隼瀬はストレートだと思ってた」
「俺も、ついさっきまでは思ってた。でも、郁人のえっちな姿を目の当たりにした瞬間、なんか凄いしっくり来たんだ」
「なにが?」
「俺、郁人のこと抱きたいって思った」
「は? そんなの、雰囲気に流されてるだけだろ?」
「違う。だって、今までいろんな人と付き合ってきたけど、今ほど興奮したことない」
「そんな……んっ……」

 もう喋るな、とでも言うように、再び口が塞がれる。
 体力なんて残っていないはずなのに、本物の隼瀬を目の前に逃げ出すなんてできない。

 きっと媚薬に当てられているだけだ。
 正気に戻ったら、なかったことにしてくれって言うに決まってる。
(それでも……今のたった一度でも隼瀬に抱かれるなら、俺は……抱かれたい)

 心の中でごめん、と謝る。
 隼瀬にとっては黒歴史になるかもしれない。
 媚薬を飲んでた男のベータを抱きました。なんて、飲み会のネタにもならない。

(ちゃんと、普通に接するから。何事もなかったように、このことは、俺が全て抱え込めばいい。隼瀬は忘れるといいんだ)
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