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74話 マリアナ公国 その2
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「北のマリアナ公国が動き出したか。ラーデュイの話では大陸でも相当な強国のはずだ」
「はい。おそらくは総合戦力はアルビオン王国を超えるかと思われます」
ハズキの情報とラーデュイから聞いた話では、若干の差異があった。
「確かラーデュイの話では、アルビオン王国と互角程度と聞いているけど」
「今現在では、マリアナ公国が上回っているという見解もあるようです。アルビオン王国は天網評議会の序列1位である、ランファーリという人物の実力で、進軍を免れている模様です」
ランファーリ……初めて聞く名前ではあるが、それが評議会最強の人物の名前か。
「しかし……一人の人物で、強国の進軍を止めているというのも、凄い話だな」
「はい。ランファーリなる人物は、世界的なサモナー……つまりは、召喚能力に長ける人物のようです。本人の強さ以上に召喚能力が凄まじいかと思われます」
ハヅキの調査でも、ランファーリの詳細情報は入って来ていない。ほとんど何もわかっていないのと同義だ。と、その時、身体が治っているエルメスが口を開いた。
「恐れながら申し上げます。ランファーリについて……」
「姉妹らしいわね、あなたたち」
「……ご存知でしたか、ハヅキ様」
「ええ。大丈夫よ、このことについて不問にしてあげる」
「ありがとうございます……」
ハヅキなりの優しさだろうか。レドンドによって死を与えられたエルメスではあるが、現在はハヅキにより疑似的な魔族化を達成している。多少の情も生まれているのだろう。
「私の知っている限りの情報を申し上げます」
「聞かせてくれ」
智司の言葉に、エルメスは頷いた。そして、自らの妹……アルビオン王国の切り札、ランファーリについて話し始めた。
--------------------
時を同じくして、アルビオン王国の首都デイトナ……。
街中には見慣れぬ衣装を身に纏った二人の男の姿があった。陽気さが滲み出ており、美しい黒髪の長髪を後ろで結わえている男性。そしてもう一人は角ばった形のメガネを掛けた、やや線の細いイメージのある男性だ。二人とも目つきは鋭く、すれ違う一般人に視線を合わせる勇気を持たせない。
彼らはマリアナ公国からの使者であった。
「クカカカ、アルビオン王国から協力要請の打診があるとは驚きだな」
「まったくだね」
陽気な男に合わせるように、メガネの男も返答するが、彼の視線は周囲に向けられていた。
「15、19、36……10か。まあ、一般人ではこの程度だろうね」
「おいおい、何やってんだよグウェイン。一般人の戦闘能力指数なんざ測っても、意味ないだろうが」
「……単なる暇つぶしさ」
グウェインと呼ばれた眼鏡の男は、暇つぶしにすれ違う者達の戦闘能力を測っているのだ。彼は、闘気から戦闘能力を数値化できる「コンバットサーチ」というスキルを習得していた。技や魔法などはサーチできないが、彼の数値化は相当な正確性を持っているとのことで、マリアナ公国でも重宝されている。
「そういや、お前のコンバットサーチで、俺は幾つになってんだっけ?」
「15600……はっきり言ってとても高い戦闘能力だ、ギリアン」
「はっ、一気に5桁かよ」
陽気な男、ギリアン。適当な態度の彼ではあるが、長髪の手入れはしっかりとされており、その顔つきや体格も申し分ない人物だ。ナンパでもしようものなら、何人をゲットできるかわからないレベルと言える。
「老師とメドゥシアナも、別ルートでデイトナに来ているだろう。さて、アルビオン王国の天網評議会がどの程度のものか……とても楽しみだね」
グウェインは自らのコンバットサーチでの戦闘力換算を楽しみにしている。二人は明らかに周囲と異質な闘気をまき散らしながら、デイトナの中央部へと歩いて行った。
また一つ、波乱の展開を予見させながら……。
「はい。おそらくは総合戦力はアルビオン王国を超えるかと思われます」
ハズキの情報とラーデュイから聞いた話では、若干の差異があった。
「確かラーデュイの話では、アルビオン王国と互角程度と聞いているけど」
「今現在では、マリアナ公国が上回っているという見解もあるようです。アルビオン王国は天網評議会の序列1位である、ランファーリという人物の実力で、進軍を免れている模様です」
ランファーリ……初めて聞く名前ではあるが、それが評議会最強の人物の名前か。
「しかし……一人の人物で、強国の進軍を止めているというのも、凄い話だな」
「はい。ランファーリなる人物は、世界的なサモナー……つまりは、召喚能力に長ける人物のようです。本人の強さ以上に召喚能力が凄まじいかと思われます」
ハヅキの調査でも、ランファーリの詳細情報は入って来ていない。ほとんど何もわかっていないのと同義だ。と、その時、身体が治っているエルメスが口を開いた。
「恐れながら申し上げます。ランファーリについて……」
「姉妹らしいわね、あなたたち」
「……ご存知でしたか、ハヅキ様」
「ええ。大丈夫よ、このことについて不問にしてあげる」
「ありがとうございます……」
ハヅキなりの優しさだろうか。レドンドによって死を与えられたエルメスではあるが、現在はハヅキにより疑似的な魔族化を達成している。多少の情も生まれているのだろう。
「私の知っている限りの情報を申し上げます」
「聞かせてくれ」
智司の言葉に、エルメスは頷いた。そして、自らの妹……アルビオン王国の切り札、ランファーリについて話し始めた。
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時を同じくして、アルビオン王国の首都デイトナ……。
街中には見慣れぬ衣装を身に纏った二人の男の姿があった。陽気さが滲み出ており、美しい黒髪の長髪を後ろで結わえている男性。そしてもう一人は角ばった形のメガネを掛けた、やや線の細いイメージのある男性だ。二人とも目つきは鋭く、すれ違う一般人に視線を合わせる勇気を持たせない。
彼らはマリアナ公国からの使者であった。
「クカカカ、アルビオン王国から協力要請の打診があるとは驚きだな」
「まったくだね」
陽気な男に合わせるように、メガネの男も返答するが、彼の視線は周囲に向けられていた。
「15、19、36……10か。まあ、一般人ではこの程度だろうね」
「おいおい、何やってんだよグウェイン。一般人の戦闘能力指数なんざ測っても、意味ないだろうが」
「……単なる暇つぶしさ」
グウェインと呼ばれた眼鏡の男は、暇つぶしにすれ違う者達の戦闘能力を測っているのだ。彼は、闘気から戦闘能力を数値化できる「コンバットサーチ」というスキルを習得していた。技や魔法などはサーチできないが、彼の数値化は相当な正確性を持っているとのことで、マリアナ公国でも重宝されている。
「そういや、お前のコンバットサーチで、俺は幾つになってんだっけ?」
「15600……はっきり言ってとても高い戦闘能力だ、ギリアン」
「はっ、一気に5桁かよ」
陽気な男、ギリアン。適当な態度の彼ではあるが、長髪の手入れはしっかりとされており、その顔つきや体格も申し分ない人物だ。ナンパでもしようものなら、何人をゲットできるかわからないレベルと言える。
「老師とメドゥシアナも、別ルートでデイトナに来ているだろう。さて、アルビオン王国の天網評議会がどの程度のものか……とても楽しみだね」
グウェインは自らのコンバットサーチでの戦闘力換算を楽しみにしている。二人は明らかに周囲と異質な闘気をまき散らしながら、デイトナの中央部へと歩いて行った。
また一つ、波乱の展開を予見させながら……。
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