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75話 マリアナ公国 その3
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「妹の名前はランファーリ……といっても、孤児院で一緒に育ったために、姉妹を名乗っているだけです。血のつながりがあるわけではありません」
エルメスも出身は孤児院であり、ランファーリ同様の戦争孤児であった。両方とも本当の家族は見た記憶がなく、なかなか厳しい幼少期を送っていたと推測できる。
「彼女の実際の強さは、私も把握はしておりません。序列2位のネロよりも強いことは確実ですが……また、ワイバーンを召喚したことはありますが、確実にそれ以上の魔物を呼び出せるでしょう」
エルメスの説明は以上であった。これでは、ランファーリが強いのかどうか、さっぱりわからない。しかし、最後に彼女は一言付け加える。
「彼女は二重人格です……」
「二重人格?」
思わず聞き返したのはハズキだ。さして興味があるわけでもないようだが、ランファーリの情報は少しでも多いに越したことはない。
「話し方は粗暴ですが、性格自体は謙虚……。それがベースで、時折、自信家な彼女が出てくる……私はその彼女がとても怖い……」
ハズキによってパワーアップしているエルメス。魔族に近い肉体になっているにも関わらず、身体を震えさせていた。自然と智司もハズキも真剣な眼差しになる。
「強さが変わっているということはある?」
智司はなんとなく自分と似ていると感じ質問した。人間状態の彼と魔神状態の彼……智司はそれを、二重人格と言われているランファーリと掛け合わせたのだ。
「変わっているように感じます。自信家の彼女の闘気はとても緩やかですが、力強さはまるで違う……」
エルメスの説明はその段階で完全に終了した。結局、ランファーリの実力の説明はなかったが、得体の知れない人物だということは、嫌でも理解することができた。警戒しておくに越したことはない。
アリスは退屈な話になっていると感じたのか、近くのソファでレジナとじゃれ合っていた。とても可愛らしい光景が傍らでは起きている。温度感の違いも相当なものだ。
「ねえ、ハズキ。今後の方針で言いたいことがあるんだけど」
「はい、智司様。如何いたしましたか?」
「アルビオン王国と休戦協定を結ぶというのはどうかな?」
智司の提案を聞いたハズキとエルメスは、意外な言葉だったのか、少々驚いていた。
「休戦協定……で、ございますか?」
「ああ。もちろん、それで向こうが攻撃を止めるとは思えないけど……」
「……脅し的に行うのであれば、攪乱することができるかもしれません。やってみる価値はあるかもしれませんね」
すんなりハズキが同意してくれた為、智司は胸をなで下した。「脅し的」という文言に一抹の不安がよぎったが……。
「あくまでも、こちらが上位者であることを示せば、余計な攻撃は収まるかもしれない。レドンドを連れて、本国に行けばインパクト抜群じゃないかな?」
「なるほど、確かに……。それではお付きとしてエルメスを向かわせましょう。元天網評議会の彼女が交渉を行えば、相手としては驚異でしょうから」
「なかなかエグイこと考えるな~ハズキ……。エルメスはそれでいいの?」
「ご命令であれば、よろこんで」
エルメスは交渉役として、アルビオン王国に向かうことを厭わなかった。レドンドを連れての、半強制的な休戦協定……。どのような結果を招くのかは、行ってみるまでわからない状態と言えた。
エルメスも出身は孤児院であり、ランファーリ同様の戦争孤児であった。両方とも本当の家族は見た記憶がなく、なかなか厳しい幼少期を送っていたと推測できる。
「彼女の実際の強さは、私も把握はしておりません。序列2位のネロよりも強いことは確実ですが……また、ワイバーンを召喚したことはありますが、確実にそれ以上の魔物を呼び出せるでしょう」
エルメスの説明は以上であった。これでは、ランファーリが強いのかどうか、さっぱりわからない。しかし、最後に彼女は一言付け加える。
「彼女は二重人格です……」
「二重人格?」
思わず聞き返したのはハズキだ。さして興味があるわけでもないようだが、ランファーリの情報は少しでも多いに越したことはない。
「話し方は粗暴ですが、性格自体は謙虚……。それがベースで、時折、自信家な彼女が出てくる……私はその彼女がとても怖い……」
ハズキによってパワーアップしているエルメス。魔族に近い肉体になっているにも関わらず、身体を震えさせていた。自然と智司もハズキも真剣な眼差しになる。
「強さが変わっているということはある?」
智司はなんとなく自分と似ていると感じ質問した。人間状態の彼と魔神状態の彼……智司はそれを、二重人格と言われているランファーリと掛け合わせたのだ。
「変わっているように感じます。自信家の彼女の闘気はとても緩やかですが、力強さはまるで違う……」
エルメスの説明はその段階で完全に終了した。結局、ランファーリの実力の説明はなかったが、得体の知れない人物だということは、嫌でも理解することができた。警戒しておくに越したことはない。
アリスは退屈な話になっていると感じたのか、近くのソファでレジナとじゃれ合っていた。とても可愛らしい光景が傍らでは起きている。温度感の違いも相当なものだ。
「ねえ、ハズキ。今後の方針で言いたいことがあるんだけど」
「はい、智司様。如何いたしましたか?」
「アルビオン王国と休戦協定を結ぶというのはどうかな?」
智司の提案を聞いたハズキとエルメスは、意外な言葉だったのか、少々驚いていた。
「休戦協定……で、ございますか?」
「ああ。もちろん、それで向こうが攻撃を止めるとは思えないけど……」
「……脅し的に行うのであれば、攪乱することができるかもしれません。やってみる価値はあるかもしれませんね」
すんなりハズキが同意してくれた為、智司は胸をなで下した。「脅し的」という文言に一抹の不安がよぎったが……。
「あくまでも、こちらが上位者であることを示せば、余計な攻撃は収まるかもしれない。レドンドを連れて、本国に行けばインパクト抜群じゃないかな?」
「なるほど、確かに……。それではお付きとしてエルメスを向かわせましょう。元天網評議会の彼女が交渉を行えば、相手としては驚異でしょうから」
「なかなかエグイこと考えるな~ハズキ……。エルメスはそれでいいの?」
「ご命令であれば、よろこんで」
エルメスは交渉役として、アルビオン王国に向かうことを厭わなかった。レドンドを連れての、半強制的な休戦協定……。どのような結果を招くのかは、行ってみるまでわからない状態と言えた。
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