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9話 嫉妬 その2
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「何、その顔……おもしろいっ!」
「ちっ、笑ってんじゃねぇよ……!」
レオン・アンバートとのことで嫉妬しているカイルは、むくれた顔になっている。それを見たアミーナは思わず吹き出してしまった。二枚目な彼だけに変顔とのギャップが面白かったのだ。
一緒のベッドで寝ている二人ではあるが、その気恥ずかしさはどこかに飛んでしまっていた。アミーナは嬉しく思っている。カイルが嫉妬してくれていることに。
「な~に? 気になるんだ? あの人とどういうことしてたのか」
「べ、別に気になるってほどでも……ねぇけど」
カイルは正直に認めてしまうことが癪なのか、アミーナの方向は見ていない。とりあえず、言葉だけを出している感じだ。
「もう……今、付き合ってるのはカイルなんだし、そんなに妬かなくてもいいじゃない」
「うっせ」
「んも~~。別に何もなかったわよ、レオン・アンバートとは」
アミーナは事実を語っている。そもそも、彼女は側室候補になっていただけなので、キスすらすることなく婚約破棄にまで至っていた。彼女からしてみれば、家族の負担を軽減したいという思いから受けたことであり、レオン本人を好きだったわけではない。
その為、手切れ金もたっぷりと貰った婚約破棄については、特に恨み言もないのだ。正室の方と幸せになってくださいという思いすら持っている。
「そうかよ、わかった」
「なによその言い方。安心したの?」
「……した」
「あ、あそ……」
カイルの不意打ちとも言える嬉しい言葉だ。アミーナはついつい顔を赤らめてしまう。ごまかすように、そのまま毛布の中へと潜り込んだ。恋人同士……本当にカイルとはそういう関係になったのだ。短いやり取りではあったが、アミーナはその事実をしっかりと実感することになった。
「アミーナ……おやすみ」
「うん。おやすみ、カイル」
自然と二人は言葉を発する。そして、目線はまだ合わせられないが、身体は近づけて夜を過ごした。恋人として迎えた初めての夜……特に期待する現象が起きたわけではないが、二人にとっては貴重な体験となっていた。
「ちっ、笑ってんじゃねぇよ……!」
レオン・アンバートとのことで嫉妬しているカイルは、むくれた顔になっている。それを見たアミーナは思わず吹き出してしまった。二枚目な彼だけに変顔とのギャップが面白かったのだ。
一緒のベッドで寝ている二人ではあるが、その気恥ずかしさはどこかに飛んでしまっていた。アミーナは嬉しく思っている。カイルが嫉妬してくれていることに。
「な~に? 気になるんだ? あの人とどういうことしてたのか」
「べ、別に気になるってほどでも……ねぇけど」
カイルは正直に認めてしまうことが癪なのか、アミーナの方向は見ていない。とりあえず、言葉だけを出している感じだ。
「もう……今、付き合ってるのはカイルなんだし、そんなに妬かなくてもいいじゃない」
「うっせ」
「んも~~。別に何もなかったわよ、レオン・アンバートとは」
アミーナは事実を語っている。そもそも、彼女は側室候補になっていただけなので、キスすらすることなく婚約破棄にまで至っていた。彼女からしてみれば、家族の負担を軽減したいという思いから受けたことであり、レオン本人を好きだったわけではない。
その為、手切れ金もたっぷりと貰った婚約破棄については、特に恨み言もないのだ。正室の方と幸せになってくださいという思いすら持っている。
「そうかよ、わかった」
「なによその言い方。安心したの?」
「……した」
「あ、あそ……」
カイルの不意打ちとも言える嬉しい言葉だ。アミーナはついつい顔を赤らめてしまう。ごまかすように、そのまま毛布の中へと潜り込んだ。恋人同士……本当にカイルとはそういう関係になったのだ。短いやり取りではあったが、アミーナはその事実をしっかりと実感することになった。
「アミーナ……おやすみ」
「うん。おやすみ、カイル」
自然と二人は言葉を発する。そして、目線はまだ合わせられないが、身体は近づけて夜を過ごした。恋人として迎えた初めての夜……特に期待する現象が起きたわけではないが、二人にとっては貴重な体験となっていた。
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