えっ、婚約破棄ですか? 承知いたしました!!

あめり

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8話 嫉妬 その1

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 レオン・アンバートから手切れ金として受け取った30万ゴールドを元手に進められたどんちゃん騒ぎ……それも日付が変わる頃には収束していった。そして、晴れて恋人同士になったアミーナとカイルの二人には一室が宛がわれたのだ。本日はアミーナの家で過ごすことになった。

「あれとかそれとかするにしても、ゆっくりやんなさいよ? 声とか聞こえまくると気まずいでしょ?」

「し、しませんよ……!」

「もう、母さん!」

「あはははは~~それじゃあ、ごゆっくり~~~!」


 アミーナの母親であるクラリス……とても情熱的な結婚を経験しており、娘のそれにも情熱的に接する素晴らしい女性だ。しかし、今のアミーナやカイルにとっては迷惑以外の何物でもなかった。

「と、とりあえず寝るか……?」

「そ、そうね……うん」

 二人は寝室に設けられた、それほど大きくはないベッドに緊張した表情で入って行く。途中でお互いの手が触れ、一気に事態は一触即発のムードだ。ただでさえ赤い顔がりんごよりも真っ赤になっていく二人。

「ご、ごめん……」

「いや、謝らなくてもいいだろ? お、俺達、恋人同士なんだし」

「う……そうね。そうだったわ……」

 改めて認めてしまうのはとても恥ずかしいが、本日なったばかりとはいえ、二人の想いは通じ合っている。そもそも一緒のベッドで寝る仲なのだから、手が触れるだけで照れる方がなにかとやりにくい。

 恥ずかしい気持ちを持ちながらも男気を見せたカイルであった。

 二人はとりあえずベッドに入って眠りに入る。お互いなかなか眠れないのは確定事項ではあったが。

「そういえば、アミーナ。お前さ」

「なに?」

 顔はお互いそっぽを向いている。アミーナは彼の声だけが聞こえて来る状況だった。

「婚約者だったレオン・アンバートとも、こういうことしてたのか?」

「え? なによ、突然……」

 このタイミングで聞いてくることだろうか? あまりにも唐突過ぎるし、意味がわからないアミーナであった。

「別にどうでもいいでしょ、そんなこと。昔の話じゃない」

「どうでもよくねぇよ……」

 カイルは意外にも食いついて来ている。思わずアミーナは彼の方向に視線を向けた。身体の関係ではなかったことはなんとなくわかっているようだが……そこには可愛らしくむくれているカイルの顔があった。どうやら彼は、嫉妬の感情を剥き出しにしているようだ。
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