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前編 (・∈∋・)
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ユウと連れ立って、川の土手に来た。花でも草でもとり放題、お気に入りの場所だ。むかしはここにカッパがいて、お酒の出てくる徳利を人間にくれたんだって。本当かな? 会えたら私にも何かくれるかな?
頭のてっぺんに毛がないオジサンが散歩していたので、私はそっとユウにささやいた。
「ハゲカッパだね」
「そんなこと言っちゃいけないんだよ」
ユウはすぐにいい子ぶる。
シロツメクサを探していると、おかしなものが転がっていることに気づいた。それはサッカーボールより少し小さいくらいの、からっぽの壺だった。
「古めかしいね」
「これはいいものかもしれないね」
二人で壺をいじくり回していると、突然穴から水が吹き出した。
「くさい、この水くさいよ!」
頭方つま先まで、ツキンとした臭いの水をかぶってしまった。ママに叱られてしまう。慌てて取り落とした壺から、水がどんどん流れてくる。手で穴を押さえようとしたけれど、止まらない。ユウがあわてて、壺を川に放り投げた。
じゃぼん。壺は沈んで見えなくなった。
「ユウ、いけないんだ! 川に物を捨てた」
「だったらどうすればよかったの? くさい水は川に流したらいいに決まってる」
壺を捨てたあたりの水面は、なにかが出てくるようにゆらゆらと揺れている。そのまま観察していると、フナが、コイが、プカリプカリと白いお腹を見せて浮いてきた。あの水は、ただの水じゃない、毒の水だったんだ。この服にも毒がついていると気づいて、ゾクリとした。川から目をそらせずにいると、ひっくり返ったカメが流されていった。
このままでは、川の生き物が全部死んでしまう。それどころか、土手を越えて毒の水があふれて、私もユウも、ママもパパも、みんな死んでしまう。
頭のてっぺんに毛がないオジサンが散歩していたので、私はそっとユウにささやいた。
「ハゲカッパだね」
「そんなこと言っちゃいけないんだよ」
ユウはすぐにいい子ぶる。
シロツメクサを探していると、おかしなものが転がっていることに気づいた。それはサッカーボールより少し小さいくらいの、からっぽの壺だった。
「古めかしいね」
「これはいいものかもしれないね」
二人で壺をいじくり回していると、突然穴から水が吹き出した。
「くさい、この水くさいよ!」
頭方つま先まで、ツキンとした臭いの水をかぶってしまった。ママに叱られてしまう。慌てて取り落とした壺から、水がどんどん流れてくる。手で穴を押さえようとしたけれど、止まらない。ユウがあわてて、壺を川に放り投げた。
じゃぼん。壺は沈んで見えなくなった。
「ユウ、いけないんだ! 川に物を捨てた」
「だったらどうすればよかったの? くさい水は川に流したらいいに決まってる」
壺を捨てたあたりの水面は、なにかが出てくるようにゆらゆらと揺れている。そのまま観察していると、フナが、コイが、プカリプカリと白いお腹を見せて浮いてきた。あの水は、ただの水じゃない、毒の水だったんだ。この服にも毒がついていると気づいて、ゾクリとした。川から目をそらせずにいると、ひっくり返ったカメが流されていった。
このままでは、川の生き物が全部死んでしまう。それどころか、土手を越えて毒の水があふれて、私もユウも、ママもパパも、みんな死んでしまう。
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