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第八章

二人の人生が交わる瞬間②

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「悪質だな」
「別のコテージをご用意させていただきました。ご迷惑をお掛けしますが、移動をお願いできますか?」
「ああ」

 面倒だが、移動しないと落ち着かない。ストーカーから逃げているかのようだ。

 一体何のようがあるのだろうか。さくらの敵は、怜の敵でもある。田崎が落ちぶれて、多少なりとも来栖食品に影響は出ただろうが、娘が経営にノータッチだったこともあり、特に何もしていない。

 今、亜美が動いて怜を怒らすことの方が危険だと、気づいていないのだろうか。

 夕食は、近隣には店がないため、ホテルのレストランを予約した。ここの宿泊客は、ほとんどがホテル内で食事をするため、レストランが充実している。

 和食のお店の個室は落ち着く。

「レストランは充実させるべきだな」
「例えば?」
「ホテルの客だけじゃなく、外からも食事のためにやって来るくらいの魅力がないと」

 陸斗は食事をしながらも、怜の言葉をパソコンに打ち込んでいく。

「先ずは、定番のバイキング。子連れには必要だろう。あとは、和食、フレンチ、イタリアン、中華、ステーキ」
「そこは定番だな」
「バーベキューに沖縄料理。沖縄料理は、先日の『彩』みたいなアットホームな方がいいだろう」
「二号店を出してもらうか?」

 軽く冗談交じりに言った陸斗だったが、怜は真剣に何かを考えているようだ。そしてニヤリと笑って一言。

「ありだな」

 経営者としてなのか、個人的な感情なのか分からない。

「あとは?」

 パソコンに打ち込みながら、怜の考えの続きを聞く。

「都会では当たり前に夜遅くまでやってる店、ラーメン屋とか」
「なるほど、若者にはルームサービスは高いし、身近な存在ではないな。他にも手軽に食べれる物がいいな」
「長期滞在者には、飽きないように考えないとな。フレンチばかり毎日とか無理だろう?」
「だな」
「ホテルも、タワーとコテージが選べるほうがいい」
「今流行のグランピングもありじゃないか?」
「ああ。カフェは何ヶ所かいるな」

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