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14〈???side〉転生少女の想い02

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セラフィム様ほんとうに素敵…無理…
前世のゲームでも好きだった、ヒロインが令嬢たちにいじめられるのを颯爽と助けるシーンを生で見られたことで私は限界オタク化していました。

落ち着くのよ、私。状況を整理しないと。
えっと、まず間違いなく今は王太子√が進行中の筈。
ゲームだと夏季休暇までで1番好感度が高い攻略対象とヒロインがデートするイベントが起きます。
王太子√の場合は、ヒロインが街中に買い物へ出かけると庶民の格好をしたアルビオン殿下と遭遇します。色々と悩んでいる様子の彼を元気づけるためにお気に入りのカフェへ連れて行って、プリンアラモードをご馳走するのですよね。
実は甘いもの好きだけど、完璧な王太子のイメージに合わないと考えて殿下は秘密にされている。なのにヒロインが甘いものを注文したから理由を尋ねると、

『悩んで頭が疲れたり心が落ち込んでいる時は甘いものが良いんですよ。』

ただ、それだけ。
そこで彼はヒロインが自分に対し王太子としてではなくただの学友、ただのアルビオンとして接してくれていることに気付きます。
それは彼にとって初めての経験でした。
セラフィムはの婚約者であり、友人たちもあくまで王太子として接するのに彼女だけ違う。
この時、彼は確かな胸の高鳴りを感じた。

…とまあ、これが王太子√のデートイベントです。
このベント以降、王太子の中でヒロインの存在が大きくなりすっごくデレるようになるんですよね。一部のプレイヤーからワンコ殿下と言われるくらいに…
そんな殿下にヒロインもいつの間にか恋心を自覚するようになって、でも自分を助けてくれたセラフィム様が彼の婚約者だから諦めないといけなくて…と思い悩んでいって爆発するのが秋の学園祭。

学園祭は家の力を借りず個人でどこまで出来るか挑戦する学生や、学園にいる未来の貴族に媚を売っておきたい商人たち、更には異国の来訪者など多くの人々が関与します。
生徒会はそれらの人々を管理しないといけないのですけど、全然手が足らなくなってしまいます。
結局セラフィム様にお手伝いを依頼した結果、それまでの苦労が嘘のように解決しました。
最終的にはセラフィム様とアルビオン殿下が大半の仕事をこなしてしまわれます。そこで学園祭打ち上げの場でセラフィム様ファンの令嬢が言うのですよね。

『さすが未来の王太子夫妻です!お2人が率いてくださるのでしたら、この国の将来は安泰ですね!』

その言葉を聞き、ヒロインは自分が恋焦がれる男性が王太子であることを思い出し、隣に立つ女性にも優れた能力が求められる現実を思い知るのです。
大活躍したセラフィム様と学園祭でむしろ足手まといになった自分を比較したヒロインは絶望し、ひっそりと打ち上げの場から消えます。
1人学園の隅で隠れ泣いているとセラフィム様が見つけ出してくれて、イベントが起きるのです。
セラフィム様が王太子の婚約者から退くことを決意される、決定的なイベントが。


 私はどうするべきなのでしょう?
 私はどうしたらいいと思う?
 ねえ、未来を知る私。
 ねえ、この世界で生きてきた私。
 は一体どうするべきなの?
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