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12 委員長が姉に会った夏休みのある日
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午前中、お母さんにおかずを持たされて隣に行った。
何故か面白がってお姉ちゃんまでついてきた。
「ちゃんと挨拶しなきゃね。」
そう言ってる顔が・・・・・信じられない。
そんな良識の欠片を見たことがあっただろうか?
「こんにちわ~。」
元気に声を出したのはお姉ちゃんで、驚いて出てきたのは委員長で。
後ろにいる私を見て、分かったらしい。
「ああ、やっぱりそうかも。面影あるね。」
そう言いながら上がり込むお姉ちゃん、本物の孫の前で図々しいです、すみません。そんな思いで私は小さくなる。
どうぞ、と委員長の声が私に聞こえた。
お姉ちゃんはとっくに奥へ行ってるから。
おじゃまします、とつぶやいて上がった。
「おじいちゃん、母の手料理を持ってきた。いつもしおりがごちそうになってばかりですみません。」
まさか、そんな言い草で言われるとは。
お姉ちゃんも同じかそれ以上お世話になってると思うのに。
「やっと姉妹一緒に来てくれてんだね。」
「はい。私はデート前に挨拶だけです。」
そう言って委員長見る。
「いつもしおりがお世話になってます。お兄ちゃんは元気?」
堂々とそう聞く神経を疑う。
「はい、元気です。」
委員長は大人だ。そつなく答える。
「あの時はありがとう。しおりをずっと慰めてくれたんだよね。」
なんの話?
委員長が私を見たあと、姉に視線を戻す。
しばらく沈黙。
「何?いつの話?」
流石に私が話をすすめる。
お礼を言わないといけない事があったのなら、言うべきは私だし。
「だから私が委員長のお兄ちゃんとじゃれてた時に、しおりが大泣きしたでしょう?その時ずっと近くに居てくたのよ。覚えてないの?それは失礼よね?」
記憶から消したいくらいの、きっとそれほどの恐怖体験だったんだと思う。
だいたい『じゃれてた』ってなに?
委員長は何も否定しない、出来事も覚えてた。
私の事も?
「まあ、時効だね!」
勝手に結論づけた。
それは『じゃれ合い。』の事でしょうか?
加害者にそれと言い切る権利があるか疑問です。
時効だと思うのはお姉ちゃんだけだと思うのに。
「じゃあ、おじいちゃん、また遊びに来るね。しおり、迷惑かけたらダメよ。」
面の皮が厚い、それは姉にピッタリの表現だ。
「毎回お騒がせですみません。」
「楽しいからいいね。しおりちゃんのことも可愛いんだよね。成績が上がったって喜んでたよ、お礼も言われたし。」
そんなおじいさんの言葉をそのままは信じられない。
ずいぶん甘い解釈をしてくれた上での表現だろう。
そして・・・・。
私の記憶にはないこと。
委員長と目が合ったので、ありがとう、いろいろ、そう言った。
お母さんのお手製のお昼を出して、おじいさんの野菜も足されてお昼にした。
しばらく話をしたあと宿題にとりかかった。
夏休み。
よく考えると一ヶ月ちょっともあって長い。
外国はもっと長いって聞いた。
子どもたちが遊びすぎないように、おバカにならないように、本当に毎年毎年宿題がたんまりと出る。
だいたいこんなの提出しても見てないと思う。
もっと私たちの自主性を信じて、宿題は少なく・・・・。
そんなふうだったら今年も遊んでばかりいたと思う。
たいていは一人でだったから、今年はあんと二人で。
でも、今年は塾まで行ってるんだから勉強してる。
来年もきっと。
大人しく真面目に午後の三時間ほど勉強して。
自分で覚えないと何も答えられない歴史。
こればかりは委員長に手伝ってもらうこともないと思ったのに。
日本史は好きだと言って語呂合わせや楽しい覚え方を教えてくれた。
委員長は楽しいと言いながらも、私にはその文章も覚えるのが苦痛。
「何でこれが楽しいの?」
つい正直に言ったら、ちょっとびっくりされた。
「興味がないんだね。ゲームが好きだったり、漫画が好きだったりすると人物は覚えられるんだよね。どっちもダメ?」
「うん。」
「歴史と漢字と英単語、これは本当に覚えるしかないね。その中でも社会は楽しく覚えられると思うんだ。昔の人だけど、頑張った人たちの人生だから。ほとんどが辛い事が多い人生かもしれないけど、いろんなドラマがあるからね。親子兄弟夫婦上司部下敵味方、その中でいろいろあるよね。」
楽しそうに言う委員長は本当に楽に覚えられそう。
だって興味ないんだもん。
「今度本を貸してあげる。少しは覚えやすいかもしれないよ。」
「うん、ありがとう。」
「もうこれでいいかな。今日はお終いにしたい。すごく頑張った。頭がギュウってなってる。」
「じゃあお終いにしようか。楽しかったね。」
そう言う委員長を見た。
決して楽しいとは思えない。
ついて行くのに必死だった。
「僕は楽しかったけど。」
私の気持ちは伝わったみたいだ。
「ありがとう。随分真面目に進んだよ。一人だと自習室じゃないと集中できないから。」
パタパタと片づけをする。
「麦茶のおかわり持ってくるね。」
そう言ってキッチンに行った委員長。
おじいさんと一緒に茹でたトウモロコシを持ってきてくれた。
すごくいい匂いがしていた。
醤油の匂い。
トウモロコシを茹でて、さらに醤油を塗って焼いてくれたらしい。
昨日の露店の匂いだ。
一本を丸かじりしていただいた。
口の周りが汚れるのも構わずに。
勉強で糖分を使ったから、すごくお腹も空いてる。
「おじいさんはマメだから、私よりいいお嫁さんになれると思います。」
「宿題もないし、ナオのお世話だけで暇な身分だからね。」
「いいなあ、私も一日中あんと遊んでいたいなあ。」
「しおりちゃん、それはおばあちゃんになってからでもできるから。今は一総と遊んでね。」
「何で遊ぶになるの?勉強してるのに。」
委員長が言う。
「たまには遊びに一緒に出掛けたらいいのにね。しおりちゃんは嫌かな?」
ビックリして委員長を見る。
だってここで以外会う?
ここに来たら会える、ここが会うところって思ってたから。
「しおりちゃんの塾が終わったら、少し時間もできるし、良かったら寂しい孫と遊んでくれる。」
「・・・・・はい。」
「ほら、一総、しおりちゃんとどこかにでも行って来ればいい。たまには勉強を忘れて太陽の下で遊んで来い。」
「う、ん。」
そんな・・・・約束をしたような、しないような。
「あんも夏休みはしおりちゃんがいる時間が多くてうれしいだろうね。」
「はい。私もうれしいです。あんは大人しく近くで寝てるだけですが。」
「外に出たがらないの?」
「まったく。家の中も滅多にウロウロしないくらい。」
「大人しい性格なんだね。」
「そうかもしれないです。猫じゃらしにもあんまり飛びつかなくなりました。尻尾が動いて、時々手が出るくらいです。」
「それでもしつこくやってるとその内飛びついて来ない?」
「くるくる。いきなりくるんでびっくり。でもそこまでが時間かかるから、つい諦めちゃう。」
「猫と遊ぶのにも根性が要るからね。たまに根競べみたいに同じことを繰り返してるよ。ゲームしてるとすぐ邪魔してくるから、払いのけて、また邪魔しに来て、払いのけてって・・・・何度も繰り返す感じ。」
「一路はナオと同じくらいの大きさ?」
「そうだね。あんよりは相変わらず大きいのかな?」
「うん、やっぱり女の子と男の子は違うね。」
「委員長がいないと寂しがってない?」
「ううん、マイペースな感じ。いたら遊んでやるぞみたいに近寄ってくるけど、遊ぼうって言っても気分が乗らないと見向きもされない。」
「やっぱりツンデレだね。」
「本当にツレない時の方が多いくらい。」
写真を見せてもらった。
委員長が抱いてる写真も何枚かあった。
明らかな自撮りだ。
お兄さんの写真もあった。
ちょっとタイプが違う。かっこいい感じだ。頭は良さそうだけど、勉強を教わろうとしても分からない所を馬鹿にされそうな・・・・、それは気のせいでしょうが。
お姉ちゃんはこんな人をコテンパンにいじめ・・・・じゃれ合ったんだ。
忘れてくれてますように、そう思った。
「お兄さんの写真見たらお姉ちゃんもかっこいいって言うかも。モテそうだね。」
「まあまあ、そうだね。」
悔しそうな委員長の表情は子供っぽかった。
負けてはいないと思うのに。相変わらず本人は気がついてないらしい。
「委員長とは違うタイプだね。」
「良く言われる。」
「うん。かっこいいなあ。」
こんなお兄ちゃんでも良かったな。
本当のお兄ちゃんだったら妹には優しいよね?
あんな独善的なお姉ちゃんよりいいかも?
「こんな男の人が好きなタイプなの?」
写真を見続けてたらそう聞かれた。
「うん、お兄ちゃんに欲しい。友達に自慢できそう。」
「外面はいいからね。多分お姉さんはそんなところがムカついて、いじめたんじゃない?」
いじめた・・・・・・、明らかに被害者の言い分はそうなのだ。決してじゃれ合った訳じゃない。
「すみませんでした。」
今更謝る。
さすがに今なら止める。全力でお姉ちゃんを止める。
あの頃はびっくりして、怖くて泣いてただけだったけど。
そういえば誰か近くにいて頭を撫でてくれたかも。
うっすらとそんな手を思い出した。
でもお姉ちゃんの話を聞いて作った記憶かもしれない。
分からない。
それが委員長だったの?
顔を見たけど分からない、そこまでは覚えてないから。
熱くなった携帯を返した。
お礼は言った、今聞いたら変だと思う?
でも・・・・。
「委員長、ちょっと思い出した。あの時誰かが近くにいて頭を撫でてくれた。泣いてた私の横にいてくれた?」
「うん。怖がって泣いてたから。大丈夫だよって言ったかも。僕もよく覚えてない。激しい喧嘩だったからね。」
「ありがとう。すっかり忘れててごめんなさい。」
姉の乱暴な事件としか覚えてなかった。
あれからは会うこともなかった。
いい印象があるとは思ってなくて、避けるようにしていたから。
それに、あの日より前にも会ってたのかな?
思い出せない。
記憶はとても遠すぎる。
何故か面白がってお姉ちゃんまでついてきた。
「ちゃんと挨拶しなきゃね。」
そう言ってる顔が・・・・・信じられない。
そんな良識の欠片を見たことがあっただろうか?
「こんにちわ~。」
元気に声を出したのはお姉ちゃんで、驚いて出てきたのは委員長で。
後ろにいる私を見て、分かったらしい。
「ああ、やっぱりそうかも。面影あるね。」
そう言いながら上がり込むお姉ちゃん、本物の孫の前で図々しいです、すみません。そんな思いで私は小さくなる。
どうぞ、と委員長の声が私に聞こえた。
お姉ちゃんはとっくに奥へ行ってるから。
おじゃまします、とつぶやいて上がった。
「おじいちゃん、母の手料理を持ってきた。いつもしおりがごちそうになってばかりですみません。」
まさか、そんな言い草で言われるとは。
お姉ちゃんも同じかそれ以上お世話になってると思うのに。
「やっと姉妹一緒に来てくれてんだね。」
「はい。私はデート前に挨拶だけです。」
そう言って委員長見る。
「いつもしおりがお世話になってます。お兄ちゃんは元気?」
堂々とそう聞く神経を疑う。
「はい、元気です。」
委員長は大人だ。そつなく答える。
「あの時はありがとう。しおりをずっと慰めてくれたんだよね。」
なんの話?
委員長が私を見たあと、姉に視線を戻す。
しばらく沈黙。
「何?いつの話?」
流石に私が話をすすめる。
お礼を言わないといけない事があったのなら、言うべきは私だし。
「だから私が委員長のお兄ちゃんとじゃれてた時に、しおりが大泣きしたでしょう?その時ずっと近くに居てくたのよ。覚えてないの?それは失礼よね?」
記憶から消したいくらいの、きっとそれほどの恐怖体験だったんだと思う。
だいたい『じゃれてた』ってなに?
委員長は何も否定しない、出来事も覚えてた。
私の事も?
「まあ、時効だね!」
勝手に結論づけた。
それは『じゃれ合い。』の事でしょうか?
加害者にそれと言い切る権利があるか疑問です。
時効だと思うのはお姉ちゃんだけだと思うのに。
「じゃあ、おじいちゃん、また遊びに来るね。しおり、迷惑かけたらダメよ。」
面の皮が厚い、それは姉にピッタリの表現だ。
「毎回お騒がせですみません。」
「楽しいからいいね。しおりちゃんのことも可愛いんだよね。成績が上がったって喜んでたよ、お礼も言われたし。」
そんなおじいさんの言葉をそのままは信じられない。
ずいぶん甘い解釈をしてくれた上での表現だろう。
そして・・・・。
私の記憶にはないこと。
委員長と目が合ったので、ありがとう、いろいろ、そう言った。
お母さんのお手製のお昼を出して、おじいさんの野菜も足されてお昼にした。
しばらく話をしたあと宿題にとりかかった。
夏休み。
よく考えると一ヶ月ちょっともあって長い。
外国はもっと長いって聞いた。
子どもたちが遊びすぎないように、おバカにならないように、本当に毎年毎年宿題がたんまりと出る。
だいたいこんなの提出しても見てないと思う。
もっと私たちの自主性を信じて、宿題は少なく・・・・。
そんなふうだったら今年も遊んでばかりいたと思う。
たいていは一人でだったから、今年はあんと二人で。
でも、今年は塾まで行ってるんだから勉強してる。
来年もきっと。
大人しく真面目に午後の三時間ほど勉強して。
自分で覚えないと何も答えられない歴史。
こればかりは委員長に手伝ってもらうこともないと思ったのに。
日本史は好きだと言って語呂合わせや楽しい覚え方を教えてくれた。
委員長は楽しいと言いながらも、私にはその文章も覚えるのが苦痛。
「何でこれが楽しいの?」
つい正直に言ったら、ちょっとびっくりされた。
「興味がないんだね。ゲームが好きだったり、漫画が好きだったりすると人物は覚えられるんだよね。どっちもダメ?」
「うん。」
「歴史と漢字と英単語、これは本当に覚えるしかないね。その中でも社会は楽しく覚えられると思うんだ。昔の人だけど、頑張った人たちの人生だから。ほとんどが辛い事が多い人生かもしれないけど、いろんなドラマがあるからね。親子兄弟夫婦上司部下敵味方、その中でいろいろあるよね。」
楽しそうに言う委員長は本当に楽に覚えられそう。
だって興味ないんだもん。
「今度本を貸してあげる。少しは覚えやすいかもしれないよ。」
「うん、ありがとう。」
「もうこれでいいかな。今日はお終いにしたい。すごく頑張った。頭がギュウってなってる。」
「じゃあお終いにしようか。楽しかったね。」
そう言う委員長を見た。
決して楽しいとは思えない。
ついて行くのに必死だった。
「僕は楽しかったけど。」
私の気持ちは伝わったみたいだ。
「ありがとう。随分真面目に進んだよ。一人だと自習室じゃないと集中できないから。」
パタパタと片づけをする。
「麦茶のおかわり持ってくるね。」
そう言ってキッチンに行った委員長。
おじいさんと一緒に茹でたトウモロコシを持ってきてくれた。
すごくいい匂いがしていた。
醤油の匂い。
トウモロコシを茹でて、さらに醤油を塗って焼いてくれたらしい。
昨日の露店の匂いだ。
一本を丸かじりしていただいた。
口の周りが汚れるのも構わずに。
勉強で糖分を使ったから、すごくお腹も空いてる。
「おじいさんはマメだから、私よりいいお嫁さんになれると思います。」
「宿題もないし、ナオのお世話だけで暇な身分だからね。」
「いいなあ、私も一日中あんと遊んでいたいなあ。」
「しおりちゃん、それはおばあちゃんになってからでもできるから。今は一総と遊んでね。」
「何で遊ぶになるの?勉強してるのに。」
委員長が言う。
「たまには遊びに一緒に出掛けたらいいのにね。しおりちゃんは嫌かな?」
ビックリして委員長を見る。
だってここで以外会う?
ここに来たら会える、ここが会うところって思ってたから。
「しおりちゃんの塾が終わったら、少し時間もできるし、良かったら寂しい孫と遊んでくれる。」
「・・・・・はい。」
「ほら、一総、しおりちゃんとどこかにでも行って来ればいい。たまには勉強を忘れて太陽の下で遊んで来い。」
「う、ん。」
そんな・・・・約束をしたような、しないような。
「あんも夏休みはしおりちゃんがいる時間が多くてうれしいだろうね。」
「はい。私もうれしいです。あんは大人しく近くで寝てるだけですが。」
「外に出たがらないの?」
「まったく。家の中も滅多にウロウロしないくらい。」
「大人しい性格なんだね。」
「そうかもしれないです。猫じゃらしにもあんまり飛びつかなくなりました。尻尾が動いて、時々手が出るくらいです。」
「それでもしつこくやってるとその内飛びついて来ない?」
「くるくる。いきなりくるんでびっくり。でもそこまでが時間かかるから、つい諦めちゃう。」
「猫と遊ぶのにも根性が要るからね。たまに根競べみたいに同じことを繰り返してるよ。ゲームしてるとすぐ邪魔してくるから、払いのけて、また邪魔しに来て、払いのけてって・・・・何度も繰り返す感じ。」
「一路はナオと同じくらいの大きさ?」
「そうだね。あんよりは相変わらず大きいのかな?」
「うん、やっぱり女の子と男の子は違うね。」
「委員長がいないと寂しがってない?」
「ううん、マイペースな感じ。いたら遊んでやるぞみたいに近寄ってくるけど、遊ぼうって言っても気分が乗らないと見向きもされない。」
「やっぱりツンデレだね。」
「本当にツレない時の方が多いくらい。」
写真を見せてもらった。
委員長が抱いてる写真も何枚かあった。
明らかな自撮りだ。
お兄さんの写真もあった。
ちょっとタイプが違う。かっこいい感じだ。頭は良さそうだけど、勉強を教わろうとしても分からない所を馬鹿にされそうな・・・・、それは気のせいでしょうが。
お姉ちゃんはこんな人をコテンパンにいじめ・・・・じゃれ合ったんだ。
忘れてくれてますように、そう思った。
「お兄さんの写真見たらお姉ちゃんもかっこいいって言うかも。モテそうだね。」
「まあまあ、そうだね。」
悔しそうな委員長の表情は子供っぽかった。
負けてはいないと思うのに。相変わらず本人は気がついてないらしい。
「委員長とは違うタイプだね。」
「良く言われる。」
「うん。かっこいいなあ。」
こんなお兄ちゃんでも良かったな。
本当のお兄ちゃんだったら妹には優しいよね?
あんな独善的なお姉ちゃんよりいいかも?
「こんな男の人が好きなタイプなの?」
写真を見続けてたらそう聞かれた。
「うん、お兄ちゃんに欲しい。友達に自慢できそう。」
「外面はいいからね。多分お姉さんはそんなところがムカついて、いじめたんじゃない?」
いじめた・・・・・・、明らかに被害者の言い分はそうなのだ。決してじゃれ合った訳じゃない。
「すみませんでした。」
今更謝る。
さすがに今なら止める。全力でお姉ちゃんを止める。
あの頃はびっくりして、怖くて泣いてただけだったけど。
そういえば誰か近くにいて頭を撫でてくれたかも。
うっすらとそんな手を思い出した。
でもお姉ちゃんの話を聞いて作った記憶かもしれない。
分からない。
それが委員長だったの?
顔を見たけど分からない、そこまでは覚えてないから。
熱くなった携帯を返した。
お礼は言った、今聞いたら変だと思う?
でも・・・・。
「委員長、ちょっと思い出した。あの時誰かが近くにいて頭を撫でてくれた。泣いてた私の横にいてくれた?」
「うん。怖がって泣いてたから。大丈夫だよって言ったかも。僕もよく覚えてない。激しい喧嘩だったからね。」
「ありがとう。すっかり忘れててごめんなさい。」
姉の乱暴な事件としか覚えてなかった。
あれからは会うこともなかった。
いい印象があるとは思ってなくて、避けるようにしていたから。
それに、あの日より前にも会ってたのかな?
思い出せない。
記憶はとても遠すぎる。
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