すべての事件は裏の家でおきていました。

羽月☆

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30 一総の目標、兄より素晴らしい『初めて』。

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次の日にも玄関が元気な声と一緒に開くこともなく、連絡もなく。
ナオに構いながら時々うざい!と爪を出されて。

どうしたんだろう?


「野菜と一緒に少し様子を見に行ったらどうだ?」


おじいちゃんが見かねたように声をかけてきた。

「うん。」



また誰かに何か言われたとか?

だけど、昨日は楽しそうに元気に歩いてたみたいなのに。
僕の知らない誰かと。
きっと一緒に見ただろうあの・・・誰かと。


玄関でピンポ~ンと家の中に響くベルを聞く。

何度か顔を合わせたお母さんが出てきた。
かおりさんはお母さんに似ていると思う。


「こんにちは。裏の庭で採れたものです。おじいちゃんから。」

「一総君、おじいさんにはいつも頂いてばかりで。本当にありがとう。かおりとしおりもお世話になってばかりで。」

「いえ、しおりさんがおじいちゃんの収穫を手伝っててくれてるらしくて、おじいちゃんが嬉しそうです。」

「そんな、手伝ってその後もらってくるのだからね、もう。本当にありがとう。おじいさんにもお礼を伝えててね。」

「はい。今日、しおりさんは?」

「あ、部屋にいるわよ。どうぞ上がって。」

「しおり、裏の一総君よ。降りてらっしゃい。」

彼女に会えなかったら上がる意味はないから、そのまま玄関で待った。

「ごめんね、昨日はしゃぎ過ぎたのかしらね?ちょっと疲れて帰って来たみたいだったから。」

彼女が顔を出して下をのぞいた。
やっぱり元気はない。

「大丈夫?体調悪かったら、また来るよ。」

残念だけどそう言うしかない。

「大丈夫、一総君、上がって来てくれる。」

お母さんの顔を見た。
彼女は降りてくる気がないけど、部屋に入っていいのだろうか?

リビングには入ったことがあるけど、部屋に入ったことはなかった。

「じゃあ、どうぞ。何か飲む?」

「あ、いえ、朝ごはんを食べたばっかりなので大丈夫です。少しだけお邪魔します。」


そう言って、ゆっくり二階に上がった。ちょっと緊張する。


「大丈夫?ごめんね。心配したんだ。」


ゆっくり彼女が向きを変えて部屋に入る。
その後に続いた。


「約束してたのに、ごめんなさい。」

「うん、しょうがないよ。・・・・・でも、どうかしたの?」

特に何も言われない。

「昨日は女の友達だけじゃなくて、男の子もいたの?名前は知らないけど同級生だったよね。」

「帰る時に偶然一緒になったの。同じ方向だからって、途中まで一緒に帰っただけ。見たのは女の子とだけ。」

「そうなんだ。」

ちょっと自分の肩が落ちるのがわかった。
さり気なく聞いたつもりだけど、少し・・・・・気になってた。


「じゃあ、一総君は?」

「僕が何?」

「あれは誰だったの?すごく仲良さそうだった。」

「斎藤さんの事?」

「・・・・・知らない。」

「昨日一緒にいたのを見られたのは斎藤さん、一年の頃同じクラスだったんだ。あそこでしおりちゃんを待ってたんだけど。ビックリしてくれるかなって思ったのに、先に斎藤さんに声をかけられて話をしてたんだ。花火を見て帰るところだってふりをしてた。」

「そう。」

「斎藤さんは見てないらしくて全然バレてないけど。いろいろ聞かれて話が長くなっちゃって。」

「何を聞かれたの?」

「えっと志望校の事、塾の事、クラスの事とか・・・・、夏休みの事とか。」

「そう。」

「うん、急いで追いかけたんだけど、追いつけなかった。歩くの早いね?それともどこかに寄った?」

背中を向けられたまま。
部屋に立ち尽くす彼女が座らないと、自分が座るのもおかしいし、なんとなくうっかりとは近づけない雰囲気で。

「どう・・・・したの?」

「誰かに何か言われた?」


具合が悪いなら座るだろうけど、違うのだろう・・・・か。


いつも座ってることが多くて、こうやって見るとやっぱり自分が身長が伸びたのが分かる。
彼女がうつむくと本当に小さく感じる。
痩せたんだろうか?


緩く結ばれた髪の毛と細い首をぼんやり見ていた。
昨日も髪の毛をあげていたけど、ちゃんと見て褒めたかった浴衣姿、それに一緒に写真を撮られたかった。


彼女が振り向いた。

ちょっとびっくりして後ろに下がった。
そんなに近くはなかったのに、何でだろう?
反射的に・・・・。


顔をあげた彼女が僕を見てがっかりした顔をした。

何?ちょっとびっくりしたけど、何か?


そんなにドアから離れてはいなかったから、すぐ後ろにはドアがある。
少し近寄られたら、もう後ろには下がれないくらいのところに。

「相変わらず、全然気がついてない。」

「・・・・何?」

「斎藤さんだよ。」

「うん、斎藤さんだけど・・・・。」

「すごくすごく近かったね。波留君が『あの二人絶対怪しい。』って言ってた。」

ハル君・・・あの二人・・・・

「えっ、僕と斎藤さん?怪しいの?」

怪しい・・・あ、そっちの意味?
ええっ???

「だってそんなの、否定してよ。去年もあそこで声かけたし、しおりちゃんは分かってるのに。」

「私が違うって言うのはおかしいでしょう?波留君が『どうして知ってるの?』って思うじゃない。それに本当に彼女は背伸びまでしてた。顔が一度近寄って離れたみたいだった。」


まさか・・・・・。
普通に待ってただけなのに。
ただ、おしゃべりしてただけだし。

ああ・・・・。

「あれは身長が伸びたねって言われたんだよ。だから・・・・・だよ。別に、それだけで。」


「・・・・もしかして、しおりちゃんもそう思ったの?怪しいって。」

「楽しみにしてたんだよ。こっそり迎えに行ってまた一緒に去年と同じように帰ろうと思って。おじいちゃんに浴衣を借りて、一緒に写真撮るつもりだったのに。」


少し責めるように言ってしまったかもしれない。
だって、そんな事で怒って勝手に帰ったの?

彼女が一歩近づいてきて、思わず少しだけ後ろに体をひいたら、やっぱりドアが背中の後ろ、すぐそこにあった。

「私だって気がついてる。背が伸びたなあって。急に顔が遠くなって、横にいても上の方を見て話をするようになったし。」



「何で私だと逃げるの?彼女とはあんなに近くにいたのに、絶対逃げたよね。今も。」


そう言われても、どうしてだろう。
ちょっとドキドキするし、ここは彼女の部屋だし、やっぱり、逃げるよ。
彼女からか、自分のヨコシマな思いからか。





兄に言われた。

「中学最後の夏の思い出はご飯の後は止めろよ。」

「ん、何?」

「だからしおりちゃんと一緒に食事した後は歯磨きするか、ガムを噛むか、うがいをしろ。いつそのチャンスが来るか分からないからな。逃すなよ。一度目は大切だからな。」

兄のアドバイスらしきものに思い当たった後、自分が赤くなるのが分かった。
ビックリするほど顔と言わず体が熱くなった。

「何言ってんだよ・・・。」

「思い出の話だよ。まだならちゃんと覚えてろよ。いっそアイスクリーム食べた後とか、甘くていいかもな。唇についてるよなんて言ってな~。あ~、いいなあ、初めてなんて、俺もやり直したい。全力で筋書き考えるのに。」

そんなことをグダグダと言われた。
兄が自分の初めてを失敗だったと思ってることは分かった。

「完全な暗がりはやめろ、目標すら見えないとアホなことになるぞ。」

そう言っていたのは実体験の反省からなのか。
そんな事を弟に言う兄こそ、アホじゃないか。どうかしてる。

・・・別にだからといって昨日アイスを買った訳じゃない、違う、偶然だ。
別に兄の話を今思い出さなくても良かったのに。

何で思いだした。

見上げられた顔のそこに目がいきそうになる。

だから近寄ったら危険なのに。




「えっと・・・・なんだっけ?」

そう言ったらお腹を殴られた。

「ううっっ。」

思いっきりグーで殴られた。
まさかかおりさん直伝?ちょっと薄いお腹を直撃しましたが・・・・。

思わず腰が落ちた自分を見て、ハッとする彼女。


「ごめんなさい。」

「大丈夫っ。」

伸ばされた手を止めるようにして、起き上がって後ろに引いたら、とうとう肩がドアに当たった。
とうとう追い込まれるくらいに詰め寄られた。
気がついたんだろう、少し後ろに引いた彼女。

悲しい顔で見られて、背中を向けられた。


「だって、一緒にいても、猫友だし、おじいさんが間に入った関係で。忙しくて、前ほど一緒にいれなくて、懐かしいくらいな関係だね。お姉ちゃんや沼田君が良くしてくれても、全然だった。それでいいと思ってるけど。・・・・でも、そんなに避けなくてもいいのに。」

「ごめん、そんなつもりはなくて。」

向けられた背中がまた小さくなる。

「ねえ、もしかして怒ってる?昨日のことも、だから昨日来てくれなかったの?」

「ねえ、こっちを見てよ。・・・・・・すぐ拗ねるんだね。子供みたいだ。」

殴られるほど怒らせた?
分からなくて冗談のように言ってみたのに、こっちを向いた顔が本当に怒ってた。

あ・・・・間違った・・・・みたい。


見たこともない、ビックリするくらいの睨み顔。

やっぱり姉妹だね。
ちょっとだけ迫力が足りないけど。

「なんでそんなに余裕で笑ってるの?」



「背が伸びたらからって、自分だけ大人になったみたいに。」

何でそんな風に思う?
変な言いがかりだけど。

「可愛いからっていじけてばかりなのもどうかと思うよ。思ってる事をちゃんと言えばいいのに。すぐにお母さんを心配させるじゃない。子供だよ、しおりちゃんこそ。」

「そんなの関係ないじゃない。」

結構大きな声だった。

その声が部屋に響いて、下にも聞こえただろうか?

聞こえたんだろう。

「しおり~、喧嘩は止めなさい。」

お母さんの一声が聞こえた。
かおりさんと違って、その声だけで冷静にはなれるとお母さんも思ってるのだろう。上がってくる足音も、続く声もなかった。


何と思われてるんだろう?
元気がない事はあっても、こんなに怒る子だと思ってるだろうか?
怒らせてる自分はどう思われてるだろうか?

「ねえ、何で?一緒にいたいって何度も言ったし、昨日も楽しみにしてたのに、何で勝手に他の男と帰るの?せめてどこかで待っててくれてもいいよね。僕があそこにいたんだから、しおりちゃんを待ってたんだって思ったよね。本当は分かってるよね。」


しょうがないのでドアから離れて、正面にまわった。

腕をつかんで、すごく近くに立った。


「誰だか知らなかったし、全然普通じゃなかったから、怪しかったよ。私だってそう思うくらいに怪しかったもん。だから、きっとあの人もそのつもりだったんだよ。本当に気がついてないんだったら、相変わらず鈍感なのよ。勉強できるのに全然鈍感なんだから。」


それはあの子と同じパターン?
気のせいだよ、そんなに特別に誰にでも好かれるわけじゃないのに、何で?


「普通だったってば。別に斎藤さんも懐かしかっただけだよ。」

「もういいよ。」

それでも顔は上がらない


「今度は本気で喧嘩する気なの?前みたいに無視して、目も合わさなくて、避けて、今度は誰も手伝ってくれないかもね。かおりさんも沼田もいないよ。喧嘩したままがいいの?」


掴んだ腕に少し力を入れた。

「喧嘩は止めなさいって、お母さんも言ってるのに。」

「元気な顔見せられるの?心配するよ。」


そんな他人事のように言ってるけど、自分だってそんなのは嫌だし。

「あんなのはもう嫌だよ。どんなに辛かったか分かってない?」


「さっきから避けるように何度も離れたくせに、偉そうに言ってる。」


「だってここはしおりちゃんの部屋だから、気にするよ。不用意に近寄られたら、困る。」


「昨日の時も困ってた?」

「困ってたけど、何も感じないし。ドキドキがバレたりしない。今はずっとドキドキしてる。階段上がってくる時からずっと。バレてた?」

「知らない。」


「そんなに・・・興味持ってくれないの?」

一瞬顔が上がったけど、すぐ俯かれた。
その一瞬でも怒ってる表情じゃないのは分かったし、耳まで赤い。
自分の手が感じる脈が自分のか、彼女のか分からないけど、速い。


「ごめんね。いろいろ言って。昨日は残念だったけど、まだこれからだっていろいろあるから。」

ゆっくり腕を離す。

でも二人の距離はそのまま、近いまま。
見下ろした頭がそこにあって、触れた。

「昨日ちゃんと可愛いって褒めたかったのに、写真あるんでしょう?後で見せてよ。」


顔にかかりそうな髪をゆっくりと耳にかけてやって、そっと触れる。

そんなことしたことないけど。
自分でもびっくりだけど、頬に手をやった。

やっと上を向いてくれた。


兄の声がする。

チャンスを逃がすなと。

うるさい、分かってる。心で答える間もなく、行動で示したんだろう。


ゆっくり彼女の手が腰に来て背伸びをして、自分は顔を近づけていって、彼女が目を閉じて。

それなりの順番がうまくいったのかもしれない。
朝ごはんが終わった時間、午前中で、暗闇じゃなかったし。

その注意点も守れた。

初めてが一回だとは限らなくて。
ゆっくり繰り返した。


少し離れて顔を見て、お互い真っ赤だと思うけど、彼女が掴んだ腰の手はそのまま、背伸びしたままだし。

ゆっくり短くから、少し焦るような感覚で長くキスした。


背伸びした彼女が少し小さくなり俯いて、そのまましがみついてきた頭を撫でながら抱きしめた。

気がつかれないようにゆっくり安堵のため息を漏らす。
満足のため息でもあった。

頭を繰り返し撫でながらも、キスをして。

「仲直りでいいよね。」

うなずかれた。



「お母さんが静かになったって心配してないかな?」

「仲直りしたって言ってくる。飲み物もらってくる。」

そう言ってそのままドアから出て行った。
そんな意味じゃなかった、むしろ逆だったのに。
そう言ったのは自分のやましい気持ちの為だったのかもしれない。

彼女は単純に喧嘩のことだと思ったらしい。


大丈夫だろうか?
絶対バレると思うけど。

自分も平然とお邪魔しましたなんて言えるとは思えない。

見送りは無しでお願いしたいくらいだ。



うっすらと下の声が聞こえる。

ハッキリとは聞きとれないけど。


部屋の中央に座り込んで待つ。
机とベッドと棚がある部屋。
ベッドにもたれかかるわけにはいかない。
そこからは距離を取る。

さすがに兄もそこまでのアドバイスはしてない。

男兄弟だけのことなんだろうか?
かおりさんは彼女にそんな事は聞いたり、教えたりしないのだろうか?


今度かおりさんに会うのも恐怖に思えてくる。
敢えて大っぴらに揶揄わずにチクチクといじめられそうだ。
お母さん以上に隠すのが難しそうだし。


結局兄も敵わなかった相手だから、自分が敵うわけがない。
そしてその妹のなんと回りくどい事か。


結局誰なんだ、ハル君。
仲良さそうじゃないか。

自分とは猫友で満足してるとか言いながら、仲良くハル君と帰る彼女。

その癖に勝手にいじけて部屋に引きこもる。

本当に子供じゃないか。
さっき見た表情はちょっと違ってたけど。


おじいちゃんも知らないだろう、あんな彼女の一面を。



夏の思い出。
懐かしく思い出す日が来るんだと思う。

いろんな幼い頃の大切な物を。
その内手放すことになるかもしれないけど、今はすごく大切な存在を。

一緒にいれる時間なんて本当にいつまでか分からないから、だから喧嘩なんてしてる場合じゃない。
ちゃんと伝えておこう。

二度と引きこもられないように。

かおりさんとは違う意味で厄介だから。

ちょっと沼田に愚痴りたくなった。



階段を上る足音が聞こえてきた。

グラスに二つ麦茶が入れられてる。
目が合うと赤くなって、視線をそらされた。

やっぱり誰にも隠せる気がしない。

本当にそんなところだけ素直なんだから。
それでも可愛くて、お母さんが撮った浴衣の写真を見せてもらった。

携帯に送ってもらって自分の写真と並べるように加工した。
余白に花火の絵を入れれば背景も誤魔化せる。

そんな写真を見せ合ってたら顔が近いのに気がついて。




兄は一度でやめられたんだろうか?
繰り返ししたものを一つと数えたのだろうか?
ちょっと間は空いても今日の分は全部ファースト・・・・でいいんだろうか?
それとも、このリプレイはちょっとだけ価値が落ちるんだろうか?

顔が離れた。

俯くように胸におでこをつけられた。

肩に乗った手が熱い。

自分の手も彼女の頬を離れて、背中に回った。


「大好きだって。忘れないで。」

思わず背中の手に力がこもる。

「私も大好き。近くにいたい。忘れそうになったら思い出させて。」

「いいよ。」

頭にキスをする。



中学最後の夏の思い出。
きっと兄の初めてよりはいい思い出だと思う。
少しも悔いがない。

あのアドバイスは役に立ったよ。

チャンスを逃すこともなかった。
それが彼女が仕掛けた部分が大きいような気がしても。


いつでも思い出して満足できる、そんな初めてだったから。



「しおり、お留守番お願いね。」

下からお母さんの声がして急いで離れた。


「は~い。」

ドアを開けて返事をしながら、そのまま下に誘われた。

「一総君、あんと遊ぼう。」

お気に入りのおもちゃを貸してくれるように言う。
一瞬自分たちが小さかった時、こうして遊んだのかもと思った。
そうだったんだろうか?

四人でおじいちゃんの家にいる時に、それは何度もあったのかもしれない。
そうだったらきっと二人で遊んだこともあったかもしれない。

思い出せない記憶、それでもそんな事があったと思ったら、なんだかこの先もいろんな思い出を作っていけそうな気がしてきた。

今度こそ記憶に残るくらいはっきりとした思い出を。
だって絶対忘れない、そう思える。


あの時とは違う、背も伸びて、ちょっとだけ大人に近づいてる。

彼女の後ろをついて歩きながら、階段を降りる。

お母さんは出かけてくれてる。
是非帰ってくる前に裏の家に一緒に行きたい。
アイスだって買ったんだから。

一緒に食べようと誘おう。
おじいちゃんが心配してると思うから。


あんを撫でて、ブラシをかけてあげて。
大人しく自分のクッションベッドでされるがままだった。

大人しいあん。
でも調子に乗るとやっぱり・・・・、ふたりの飼い猫だから油断はしないように。

きっかけの三分の一。
あんナオ一路。
みんな元気でそれぞれ可愛がられてる。

また春になったら三匹が揃うだろう。

それはとても楽しみなイベントにしたいと思う。
一年に一回。
皆で集まる日。

きっとそうなると思う。

長生きして欲しい、おじいちゃんも、三匹も。

変わらないでいたい、自分も、彼女も。
それは無理かもしれないけど、無理じゃないかもしれないと思いたい気持ちもある。


「おじいちゃんが心配してるから、遊びに来ない?」

「うん。」

あんに手を振って裏の家に行った。

「あ、留守番はいいのかな?」

「うん。別にいいと思う。」

「そう。」


手をつないで裏の家に行った。

おじいちゃんに見られる前に手は離したのに、こっそり後ろを見たら、かおりさんがいてビックリした。

わざわざ目を隠して見てませんアピール。

ああ、しばらく内緒にって思ったのに。
やっぱり無理そうだった。

油断大敵。


「おじゃましま~す。」

気がついてない彼女が元気な声を響かせて、上がり込む。

そのあたりもかおりさんと変わらなくなってきたね。
怒られるから言わないけどね。



まだまだ夏休みはある。
塾のない日も。

また二人で出かけようと誘おう。
手をつないで。
笑って。

夏の思い出の続きを作るんだから。




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