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17太郎よりはあたたかくて、柔らかいと思います。
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一緒に並んで自分の部屋のドアの前に立つ。
変な感じ。
中に入ってもらう。
明かりをつけながら部屋に入って、あっ・・・・・いきなりダッシュして服の山を抱えた。
今朝鏡の前でのあれこれがそのままだった。
隣の寝室に運んで簡単に畳んでクローゼットの中にしまった。
リビングの小さなソファに座っていた郷里さん。
「すみません、ちょっとだけ今朝時間が無くなって・・・・。いつもはちゃんとしてます。」
そう言って見下ろしたテーブルにもアクセサリーの山があった。
服を変えるたびにいろいろ変えてみたのだ。
これでも今の姿は吟味に吟味を重ねた結果だった。
もちろん褒めてもらえてたからうれしい。
アクセサリーもかき集めて、ボックスの中に仕舞い込む。
「何か飲みますか?」
「ううん、今はいらない。」
そう言われて伸ばされた腕の方へ行ったら抱えるように引かれた。
小さいソファにくっつくように座り、軽く頭を抱き寄せられた。
「郷里さん、お家は大丈夫ですか?」
「大丈夫だよ。椎名とは違うし。あとで連絡はしておくけど、さすがに外泊はダメなんて言われないよ。」
「じゃあ、どうすればいいですか?」
「どう?」
頭を撫でられた手が少し止まった。
力を抜いて腕を郷里さんの腰に回す。
「今日、あの時に、どうしても伝えたくなりました。」
「その後は、確かに私が望んだんです。」
「初めてでした。」
「うん、さすがにあんな場所は照れるね。可愛い顔がおねだりしてるみたいだったから、確かに初めてだったな。間違ってなくて良かった。」
「郷里さん、シーン別の出来事じゃないです。」
動き出した手がまた止まった。
こっちを見られてると思う。
「だから、丸ごと、こんな感じも、初めてです。多分、この後もすべて。」
「そう。分かった。」
「どうしたらいいですか?お任せしてもいいですか?」
「何を任せられたの?そこは間違いたくないんだけど。」
「全てです。郷里さんにお任せしたいです。」
「それは、我慢しなくていいって事?それなら我慢しないよ。邪魔なものは全部取りのぞいて愛したい、愛し合いたい。でも、一応大人の男の気遣いで言うけど、無理はしなくていいよ。」
「しません。無理してるように見えてますか?」
「そうだね、そういえば、全然・・・・・見えてない・・・かな。希望的な感じも込みで。」
「してません。だから、お任せします。」
「了解。」
最後はすごく耳元で言われた。
「ねえ、柔らかい。すごく。」
そのまま耳元で髪を触りながら言われる。
「太郎と違って柔らかい、いい匂い、ずっと暖かいし、気持ちいい。」
首筋に鼻をくっつけてそう言う。
太郎・・・・・?
「何で犬と比べるんですか?」
「だって最近は太郎に抱きついて話をしてたから。骨太だし、毛ははりはりしてるし、ちょっとは暖かいけど、やっぱり獣の匂いがするんだよね。」
「冗談ですか?」
「うん?大丈夫、耳もとがってない、つるつるしてる、尻尾もないみたい。」
そう話をしながら耳に沿って動く唇を感じて、腰から少し下を撫でられた。
ゾワゾワとして小さく震えた。
自分でもびっくりするような声も出た。
「うん?」
耳にキスをされて、唇で挟まれて、軽く噛みつかれる。
「あ、牙はどうだろう。出ないといいなあ。」
さっきから耳元でしゃべり続けてる。
「郷里さん。もっとくっついて。」
我慢できなくて顔を離して見上げた。
抱えられるように膝に乗せられた。
声をあげてくっついた。
深いキスをする間、中途半端な声が出る私。どこから?
こんな感じで、いいの?
口がふさがれてるのに器用に鼻から声を出してる。
「唸り声も太郎と違って可愛い。もっと声を出していいよ。」
「唸ってない・・・・です・・・。」
「分かってるよ・・・・。」
キスの合間に声にした。
「郷里さん・・・・。」
泣きそうな声で言った。
「待って、ちょっと買い物に行ってきていい。下着とか歯ブラシとか、買って来たい。」
背中をポンポンとされて言われた。
私は何も持ってない。確かにない。
「一緒に行きます。」
「大丈夫だよ。暗いし急いで帰ってくる。ここで待ってて。」
うなずいた。
軽く一つキスをして玄関に向かう郷里さん。
「郷里さん、待ってます。行ってらっしゃい。」
「うん、すぐ帰ってくるから、ピンポンしたら開けてね。」
そう言って出て行った。
寝室に入り、お風呂の用意をする。
余分なバスタオルも出しておく。
歯磨きをして、ぼんやりと一人でソファに座る。
さっきまで郷里さんがいたところはまだ温かい。
その温かさを感じながらゆっくり横になる。
本当に早く帰ってきてくれた。
ドアを開けて、ちゃんと戻ってきてくれた姿を見た。
「ただいま、阿里ちゃん。」
「お帰りなさい。」
「シャワーはどうしますか?」
「借りていい?先に入ってきていいよ。」
「はい。じゃあ、時間がかかるので先に。テレビでも見ててください。」
「そうするから、ゆっくりでいいよ。」
本当にテレビの音がついて、先にシャワーを浴びた。
どうしよう。どうしたら自然なのか分からない。
いつものパジャマを着て、髪も乾かして。
ゆっくりリビングに戻った。
「郷里さん、タオルを置いておきました。パジャマは?」
「下着のままで許してもらえる?新しいTシャツも買って来たし。」
「はい。」
「じゃあ、借りるね。」
郷里さんがバスルームに消えるのを感じて、ソファにへたりこむ。
緊張してきた。
ドキドキしてる。うるさいくらいにドキドキしてる。
テレビは明るい笑い声をあげてる。
少しだけ照明を落とした。
スッピンだった・・・・今更だけど。
でもいきなり薄暗いのも変?
やっぱり元通りの明るさにした。
でも・・・・。
そうやって明るさについて悩んでたら郷里さんが出てきた。
照明の真下でぼんやり立ち尽くしてる私は変だったらしい。
「どうしたの?」
部屋の端まで後ずさりした。
「あの、スッピンです。」
「お風呂に入ったからね。」
そうですよね。
それに郷里さんの格好だって変と言えば、変。
見れない・・・・・。
しばらくして二人の距離もおかしいと思った。
郷里さんも近寄ってこないまま。
明らかに逃げてる私。
何かを諦めて、ドキドキしながら近寄った。
ゆっくり抱きつく。
「ソファに行く?」
首を振る。
「じゃあ、違う部屋に行きたい。」
結局悩んだあの照明はすぐに消された。
手をつないでベッドのある部屋に行く。
「郷里さん、抱いてください。」
「もちろん。」
そう言ってTシャツを脱いだ。さっき着たばかりなのに。
私もゆっくりボタンを外される。
真っ暗な部屋でパジャマを脱いでベッドに入った。
服の上からだって分かってたけど、肌が触れると本当に大きいと思う。
すっぽりと包み込まれる。
郷里さんが何かを握りこんでいた。
枕の下に入れられて気がついた。
『愛したい。』そう言われた。
『愛し合いたい。』と
やっぱり優しくて、安心して任せた。
ただ、時々物足りないと思って、もっとってお願いした。
唸り声も出たかも。太郎と同じくらい唸ったかも。可愛くなかったかも。
それでもやさしく抱きしめられて、可愛いと言ってくれた。
だって太郎のことだって可愛がってるから、慣れてるみたい。
わがままも椎名ちゃんで慣れてるし。
だから変じゃなかったと思いたい。
「郷里さん。」
目を閉じたまま、抱きしめられたまま、名前を呼んだ。
「阿里ちゃん、お休み。」
そう言われたから、そのまま目を開ける努力も手放した。
変な感じ。
中に入ってもらう。
明かりをつけながら部屋に入って、あっ・・・・・いきなりダッシュして服の山を抱えた。
今朝鏡の前でのあれこれがそのままだった。
隣の寝室に運んで簡単に畳んでクローゼットの中にしまった。
リビングの小さなソファに座っていた郷里さん。
「すみません、ちょっとだけ今朝時間が無くなって・・・・。いつもはちゃんとしてます。」
そう言って見下ろしたテーブルにもアクセサリーの山があった。
服を変えるたびにいろいろ変えてみたのだ。
これでも今の姿は吟味に吟味を重ねた結果だった。
もちろん褒めてもらえてたからうれしい。
アクセサリーもかき集めて、ボックスの中に仕舞い込む。
「何か飲みますか?」
「ううん、今はいらない。」
そう言われて伸ばされた腕の方へ行ったら抱えるように引かれた。
小さいソファにくっつくように座り、軽く頭を抱き寄せられた。
「郷里さん、お家は大丈夫ですか?」
「大丈夫だよ。椎名とは違うし。あとで連絡はしておくけど、さすがに外泊はダメなんて言われないよ。」
「じゃあ、どうすればいいですか?」
「どう?」
頭を撫でられた手が少し止まった。
力を抜いて腕を郷里さんの腰に回す。
「今日、あの時に、どうしても伝えたくなりました。」
「その後は、確かに私が望んだんです。」
「初めてでした。」
「うん、さすがにあんな場所は照れるね。可愛い顔がおねだりしてるみたいだったから、確かに初めてだったな。間違ってなくて良かった。」
「郷里さん、シーン別の出来事じゃないです。」
動き出した手がまた止まった。
こっちを見られてると思う。
「だから、丸ごと、こんな感じも、初めてです。多分、この後もすべて。」
「そう。分かった。」
「どうしたらいいですか?お任せしてもいいですか?」
「何を任せられたの?そこは間違いたくないんだけど。」
「全てです。郷里さんにお任せしたいです。」
「それは、我慢しなくていいって事?それなら我慢しないよ。邪魔なものは全部取りのぞいて愛したい、愛し合いたい。でも、一応大人の男の気遣いで言うけど、無理はしなくていいよ。」
「しません。無理してるように見えてますか?」
「そうだね、そういえば、全然・・・・・見えてない・・・かな。希望的な感じも込みで。」
「してません。だから、お任せします。」
「了解。」
最後はすごく耳元で言われた。
「ねえ、柔らかい。すごく。」
そのまま耳元で髪を触りながら言われる。
「太郎と違って柔らかい、いい匂い、ずっと暖かいし、気持ちいい。」
首筋に鼻をくっつけてそう言う。
太郎・・・・・?
「何で犬と比べるんですか?」
「だって最近は太郎に抱きついて話をしてたから。骨太だし、毛ははりはりしてるし、ちょっとは暖かいけど、やっぱり獣の匂いがするんだよね。」
「冗談ですか?」
「うん?大丈夫、耳もとがってない、つるつるしてる、尻尾もないみたい。」
そう話をしながら耳に沿って動く唇を感じて、腰から少し下を撫でられた。
ゾワゾワとして小さく震えた。
自分でもびっくりするような声も出た。
「うん?」
耳にキスをされて、唇で挟まれて、軽く噛みつかれる。
「あ、牙はどうだろう。出ないといいなあ。」
さっきから耳元でしゃべり続けてる。
「郷里さん。もっとくっついて。」
我慢できなくて顔を離して見上げた。
抱えられるように膝に乗せられた。
声をあげてくっついた。
深いキスをする間、中途半端な声が出る私。どこから?
こんな感じで、いいの?
口がふさがれてるのに器用に鼻から声を出してる。
「唸り声も太郎と違って可愛い。もっと声を出していいよ。」
「唸ってない・・・・です・・・。」
「分かってるよ・・・・。」
キスの合間に声にした。
「郷里さん・・・・。」
泣きそうな声で言った。
「待って、ちょっと買い物に行ってきていい。下着とか歯ブラシとか、買って来たい。」
背中をポンポンとされて言われた。
私は何も持ってない。確かにない。
「一緒に行きます。」
「大丈夫だよ。暗いし急いで帰ってくる。ここで待ってて。」
うなずいた。
軽く一つキスをして玄関に向かう郷里さん。
「郷里さん、待ってます。行ってらっしゃい。」
「うん、すぐ帰ってくるから、ピンポンしたら開けてね。」
そう言って出て行った。
寝室に入り、お風呂の用意をする。
余分なバスタオルも出しておく。
歯磨きをして、ぼんやりと一人でソファに座る。
さっきまで郷里さんがいたところはまだ温かい。
その温かさを感じながらゆっくり横になる。
本当に早く帰ってきてくれた。
ドアを開けて、ちゃんと戻ってきてくれた姿を見た。
「ただいま、阿里ちゃん。」
「お帰りなさい。」
「シャワーはどうしますか?」
「借りていい?先に入ってきていいよ。」
「はい。じゃあ、時間がかかるので先に。テレビでも見ててください。」
「そうするから、ゆっくりでいいよ。」
本当にテレビの音がついて、先にシャワーを浴びた。
どうしよう。どうしたら自然なのか分からない。
いつものパジャマを着て、髪も乾かして。
ゆっくりリビングに戻った。
「郷里さん、タオルを置いておきました。パジャマは?」
「下着のままで許してもらえる?新しいTシャツも買って来たし。」
「はい。」
「じゃあ、借りるね。」
郷里さんがバスルームに消えるのを感じて、ソファにへたりこむ。
緊張してきた。
ドキドキしてる。うるさいくらいにドキドキしてる。
テレビは明るい笑い声をあげてる。
少しだけ照明を落とした。
スッピンだった・・・・今更だけど。
でもいきなり薄暗いのも変?
やっぱり元通りの明るさにした。
でも・・・・。
そうやって明るさについて悩んでたら郷里さんが出てきた。
照明の真下でぼんやり立ち尽くしてる私は変だったらしい。
「どうしたの?」
部屋の端まで後ずさりした。
「あの、スッピンです。」
「お風呂に入ったからね。」
そうですよね。
それに郷里さんの格好だって変と言えば、変。
見れない・・・・・。
しばらくして二人の距離もおかしいと思った。
郷里さんも近寄ってこないまま。
明らかに逃げてる私。
何かを諦めて、ドキドキしながら近寄った。
ゆっくり抱きつく。
「ソファに行く?」
首を振る。
「じゃあ、違う部屋に行きたい。」
結局悩んだあの照明はすぐに消された。
手をつないでベッドのある部屋に行く。
「郷里さん、抱いてください。」
「もちろん。」
そう言ってTシャツを脱いだ。さっき着たばかりなのに。
私もゆっくりボタンを外される。
真っ暗な部屋でパジャマを脱いでベッドに入った。
服の上からだって分かってたけど、肌が触れると本当に大きいと思う。
すっぽりと包み込まれる。
郷里さんが何かを握りこんでいた。
枕の下に入れられて気がついた。
『愛したい。』そう言われた。
『愛し合いたい。』と
やっぱり優しくて、安心して任せた。
ただ、時々物足りないと思って、もっとってお願いした。
唸り声も出たかも。太郎と同じくらい唸ったかも。可愛くなかったかも。
それでもやさしく抱きしめられて、可愛いと言ってくれた。
だって太郎のことだって可愛がってるから、慣れてるみたい。
わがままも椎名ちゃんで慣れてるし。
だから変じゃなかったと思いたい。
「郷里さん。」
目を閉じたまま、抱きしめられたまま、名前を呼んだ。
「阿里ちゃん、お休み。」
そう言われたから、そのまま目を開ける努力も手放した。
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