がさつと言われた私の言い分は。

羽月☆

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4 欲しいご縁もあれば切れないご縁もあるわけで。

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最初から人の嫌なところをグリグリとしてくる高田。

「でもなあ、白石は本当に綺麗好きだぞ。お前指導してもらえばいいし、なんなら面倒みてもらえば?」

「面倒って何よ。だから週末努力したって言ったじゃない。」

「白石、こんな女どう思う?年下の『尽くし君』になりたいか?」

「やめてっ。」

思わず大きな声になる。そして睨んだ。
高田もいつもの軽口に、あまりに過剰な反応をした私を見てびっくりしている。

「すみません。」謝りの言葉が出たのは何故か竜君からで。

「あの・・・僕は・・・。」

その言葉をさえぎる。
すごく悲しそうな顔をしてる竜君を見てると、こっちまで切なくなるから。

「高田、いい加減にして。その口縫うわよっ。」

縫えるものならって言い返されそうだけど、さすがに黙ったらしい。

「ごめん。竜君が悪いんじゃないから。全部高田が悪い。」

悲しい顔でうつむいて、また謝られてしまった。
その頭を撫でてやる。
体を軽くこっちを向けられて、椅子ではなくソファの席で隣通しで。

軽く頭を引き寄せて慰めた。

・・・・ちょっと過剰だったかもしれない。
あとで気がついた。

竜君の視線をさえぎって思いっきりののしりたかったけど、口パクでは限界があり。
それでも単語を羅列した。
キッと睨んで『馬鹿、アホ、まぬけ。』芸のない語彙でののしった。
驚いた表情でアホ面のままの高田。

何で怒られたのか気がついたか?

引き寄せていた頭を解放してあげても、そのまま頭を撫でた。

「あんなアホ、上司なんて思わなくていいから。本当に、縁が切れたら・・・切れたらいいのにね。」

それは願ってないことだろうから、私が代わりに同期の縁を切りたい。
もしかして私が気がついたと竜君も気がついたかもしれない。
耳まで真っ赤になってる。うつむいたまま。

「高田、お代わり、二人分。トイレにでも行ってきて、注文も済ませてきて。」

大人しく席を立つ高田。言われるがまま。
・・・・・やっぱり分かってない。
さっきまで浮かんでた表情が笑ってた。

アホ。
心の中で、またののしった。

二人になって自分のグラスを一気にあおった。

「ごめんね。あいつは唐変木で気がついてないと思うけど。ねえ、本当にどうしようね。つらいでしょう?実際お勧めは出来ないし、一緒に飲みに行っても永遠に報われないかもしれないけど、いいの?」

顔を上げてぼんやりしてる。

「私でよかったら相談に乗るし、『鈍感ボケ』ってののしりたかったらいつでも付き合うし。」

頭を撫でながら慰めた。

「でも・・・・彼女いること知ってるよね。隠してないでしょう?」

竜君が顔を上げた。口も半分開いてる。

「つらいね。他にももっといい男いるよ。次行こう、次。」

元気な返事は聞けなかったけど。
ぼんやりと考えてる竜君。
ふっと顔を上げてもそのままで。

「頑張ろう。」

笑って見せた。

「私は物を捨てて。竜君は・・・まあ、何かとね。」

高田が帰ってくるより先にお酒のお代わりが届いた。
半分残った竜君の飲みかけは高田のほうへ押しやり、新しい二つのグラスで乾杯した。

「私とは完全にタイプが違うね。かぶらない。安心安心。」

「・・・・皐月先輩はどんな人がいいんですか?」

「え~、困るなあ。散らかっててもしょうがないなあって言ってくれる人。
さすがに努力するけど、そんな人じゃないと駄目だ。」

「・・・・僕なら大丈夫ですけど。」

「そう。残念。でも一応言うけどちゃんと掃除はしてるのよ、物が多いから狭い部屋がごちゃごちゃしてるだけ。あとちょっと片づけをするのに、一度座ると・・・数日かかるだけ。洗濯とか食器とか、洗い物はまあまあだし、不潔とは違うのよ。そこ誤解しないでね。着替えもちゃんとしてるし。」

恥ずかしがるべき暴露は高田に小出しにされて、もうどうでもいい。

「分かってます。そんなことまで思ってませんよ。」

「そう、良かった。さすがに竜君にまで呆れられたら悲しい。」

「そうですか?」

「そりゃあ、そうよ。」

「どうしてですか?」

「どうしてって、まあ、普通そうじゃない?ちなみにそんな私の弱点を知ってるのも男では高田だけ。あいつが言いふらしてなければ同期でも誰も知らない。うっかりバレたのは痛かった。」

しばらく飲みながら話をしてたら高田が帰ってきた。

反省したか?よく考えたか?

笑顔で帰ってきたところを見ると全然だろう。
竜君に笑顔を振りまいて座る。

「高田はこれでも飲んで。」

目の前の竜君の飲み残しを指差す。

「こんな扱い?奢るって言ったのに。」

「いいじゃん。」

それは狙ってたわけじゃないけど、竜君うれしい?
高田が普通に飲んだ。

「ぬるくなってる。」

そう言ってすぐ下ろされたグラス。

「白石、今度樋渡に奢ってもらえな。」

「いいよ、いつでも声かけて。あ、連絡先知らない。交換する?」

携帯を出して交換する。

『高田抜きで飲みたい夜は声かけてね。』
そう送った。

『よろしくお願いします。』
登録終了。

にっこり笑う。
さすがに竜君はちょっとぎこちなくて。

「あ、悪い、俺ちょっと、そろそろ帰りたいんだけど。もう少しゆっくりしたかったら・・・・・。」

「帰るわよ。明日仕事なんだから。ご馳走様。」

「別にいいのに。」

「何で週末に誘わないのよ、ボケ。」

「今日は機嫌悪いなあ。今までで一番荒れてる気がするけど。」

「私のことはいいから。ほら、お会計お願いね。」

一緒に外に出て高田を待つ。

「本当に誘ってもいいですか?」

「もちろん。どうせ・・・暇だし。週末でもいいくらいよ。」

「土日でもって事ですか?」

「うん、大丈夫。あいつの悪口で盛り上がろう。」

また微妙な顔をされた。

「まあ、まだ頑張るなら、ちょっとくらいは教えてあげれるエピソードあるよ。無理はしないようにしよう。」


そのまま駅まで歩いて別れた。

竜君がどこに住んでるのか知らない。
二人に手を振って改札へ。
まあ、奢りだったし、私はいい気分。

あ、途中離脱のつもりだったんだ・・・・・。あ~あ、忘れてた。
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