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26 まさかとは思いますが・・・・ちょっとだけ相談しました
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相変わらずいろんなお店を回って、担当の人と話をしていろんな提案をする。
ずっとやってきた作品写真展示は本当に好評で、実物を作って持って行っても飾ってくれるところがほとんどだった。
友永さんの指導のもと頑張った一年生。
そしてあれからやっぱり仲良しの四人。
そろそろ新しい提案もしたい。皆でいろいろ考えてる。
システムと広報の人にお願いして、今までの作品を会社のホームぺージに乗せてもらうようにお願いしている。
自分たちのページがもらえるかもしれない。
仕事が終わるといつも通り。
ほんわりと優しく甘い時間だ。
最近しおりとも喧嘩もせず、甘く過ごせてるのだ。
でもここ一週間はちょっとすっぱい気がする。
「しおり、なんだかレモン絞り過ぎてない?すっぱそうだよ。」
しおりがパスタに二度もレモンを足している。
ギュギュっと絞ってもう果汁も尽きたようレモン。
最近レモンにはまってるらしい。
国産は高いとぼやいていた。
「すっぱい刺激が病みつきになってきた。」
「ふ~ん。」って鼻で軽く答えたけど・・・・ちょっと待って。
すっぱいものがが欲しくなったって。
平然とレモンがけパスタを食べるしおり。
見てるこっちが唾液があふれるようだけど。
それはさておき、え?大丈夫だよな。
しおりが言わないから大丈夫だよな。
えっと・・・この間ついつい切らしてしまって、気を付けてたのに。
注文したと思ったのに最終決定ボタンを押すのを忘れてたらしい?
それでも平気だって言ってたし、すぐ注文したし、次の日には近場で調達してしのいだし。
普通女性が気が付くよな。なんだか不安が押し寄せてくる。
良くは分からないリズムと仕組み。
1人でネットで調べても変だよな。
しおり、大丈夫だよね?
兄弟二人揃って順番が変って、犯したくないミスだし。
ちょっと心が落ち着かない。
機械的にパスタを口に詰め込む。
今日は控えてた方がいいかな、そうしようかな。
コーヒーを飲み少し仕事の話をする。
しおりに何かいい案がないか、時々聞いている。
しおりは自分とは逆に売り場に立つ仕事だから、
「しおりのところのディスプレイってどうしてるの?」
二度ほど、ちょっとだけど顔を出したことがある。
話に聞いていた先輩の女性にも紹介された。
見事なくらいにきれいに整えられ、ディスプレイされていた。
「決まってるからあんまり工夫とか考えてないかも。ブランド、アイテムごとに揃えたら後は色をきれいに見えるようにして。プライスは見えないようにして。イベントごとに合わせてポップみたいなのを立てたり包装を工夫したり。」
あんまり参考にならないと言われた通り、そうかも。
隣でしおりがお腹をさするようにしている。
「しおり、食べ過ぎた?気持ち悪い?」
「うん、ちょっと食べ過ぎたかな。なんだか太りそう。ちょっと太った気もするし。」
「え・・・・。」
「何?タスク、そんなに顔して。不満ある?」
「違うよ、ないない。」
じっとりと自分を見るしおり。
きっと気のせいだからと、自分に言い聞かす。
結局お腹がいっぱい過ぎて苦しいというしおりの横で、大人しく寝た。
いつもとは違う理由で眠れない。
すっかり寝息をたてるしおりを見ながら思う。
だからと言って別にどうすることもできない。
本当の本当に困ることはないから。
そこは自分でも不安はない。
ハッキリするまで無理をさせないようにしよう。
自分でも少し調べてみようかと、ただただそう思った。
やっぱり変わりないようなしおりと一緒に出掛けた朝。
「よ、今日の昼は?」
堺が声をかけてきた。
「今日はずっと内勤だよ。」
「じゃあ、外に行かないか?」
「うん、良かった。ちょっと話があったんだ。」
「おう、あとでな。」
そうは言ってもまだ悩んでる。
この悩みは人に話していい物だろうか?
でもするなら堺がいいかもしれない。
年齢、職業など立場が重なる。
それに危機感を持ったことも何度かあるのでは?とか。
はっきり言われたら、いっそスッキリするのに。
全く気が付かない、思ってもいないということなんだろうか?
もちろん自分の考え過ぎということもある。
あ~、なんだかモヤモヤする。
こんな時に噂のひらりさんと連絡が取れたら、こっそり確認したりできるのに。
絶対紹介してもらおう。
最悪しおりの部屋の隣の部屋の人に名刺を残してきていい。
名前でわかるだろう。手紙をつけたり・・・・。
・・・・しおりに一言確認すれば済むことなのに。
しおりが喜んでいないのでは、認めたくないのでは?
自分に言われて、しおりの困り顔の反応を見るのが怖い。
しおり、喜んでくれないの?
ひとりで頭の中だけでグルグルと考えが巡っていた。
「播野?」
声を掛けられて、やっと現実に戻れた。
「あ、ごめん。」
パソコンを閉じて財布と携帯を持って外に行く。
堺の後をついて行く。
少し歩いて小さい老舗の蕎麦屋さんへ。
「なんだかぼんやりしてたけど、どうかしたのか?相談ってその事か?」
「ああ、そうなんだけど、ちょっとここでは。」
「じゃあ、まず食ってから場所変えよう。」
そういえば昨日も麺だったなあ。
今日はしおりはいない。ゆっくり部屋で考えたい。
あ~、もうだめだ。
可能性だけが白黒反転を繰り返し、その考えが離れない。
味わえないお蕎麦のお昼を終えて、珈琲屋に入って向き合う。
ゆったりとした席の老舗のお店で内緒話もできる。
勿論奢るつもりだ。ちょっと高いから。
蕎麦も急いで食べてくれたし。
「で、なんだよ。蕎麦も味わえてなかっただろう?しおりちゃんと喧嘩したのか?」
「・・・・いや、そうじゃなくて。」
「じゃなくて?」
「しおりが急にレモンにはまって、あまりにも取り過ぎなんだよ。何で急にすっぱいもの欲しがる?」
「・・・・・で?」
「なんだかだるいって。昨日もお腹さすってた。食べ過ぎって言ってたけど。それに最近太ったって。」
「・・・・で?」
「だって、昨日も久しぶりだったのに・・・・・三日ぶりに一緒にいたのに、結局大人しく寝てた。」
「・・・・で。」
「だから・・・・なんだかそんな気がして。」
「・・・・・で、心当たりは?」
「ある。ちょうど切らしてた時があった、一日だけ。しおりが大丈夫だって言うから・・・・。その夜だけ。」
「・・・・・で、聞いたの、しおりちゃんに?」
「まさか、聞けないよ。」
「だろうな。それで一人でうんうんと唸って悩んでるわけだ。」
はい、そうです。
「ちなみに何か問題あるの?二人と家族。」
「多分何もない。環境は。しおりの仕事だけなんとかなれば。」
「で、播野は恐れてもいないのに、何でしおりちゃんに聞けないわけ?」
「・・・・・しおりが隠してたらどうする?しおりは僕よりずっと当事者だから、僕より悩むよ、考えるよ。自分の中でもっと考えてから、僕にって思ってるかもしれないし。もしかして欲しくないって思ってるかも。」
「しおりちゃんの決意を受け止めればいいだけだろう。播野の場合は今か未来かの問題だろう?欲しくないって思うとは思えないけど。喜ぶよ、きっと。」
「・・・・・・。」
しおりの気持ちを知った風に語る堺。
それを聞いても、そうだよな、としか思えない自分もいて。
何だか何を悩んでいるのか自分でもわからなくなってくる、やっぱり、しおりの考え次第だ。
確かに言う通り一人で唸り過ぎだ。
ちょっと脳の休憩が必要。
「堺、今までこんなことはあった?」
「あるか!ないよ。」
「え、ないの?」
「逆に何であるって思うんだよ。そんな下手はうたないし。」
だって大丈夫って言ったし、信じるしかない。
「悪いが俺も詳しくは語れない。とりあえずあるものがなくて、初めて気が付くと思うけど、どうなんだよ?」
「え、知らない。そんなの知らないよ。」
「なんで?計算できるだろう。1週間くらご無沙汰してた時だよ。思い出せ。」
「・・・・・、それは時々はあるかも。」
「どんな具合だよ。何でか知らなかったのか?まさか・・・・。」
「考えてなかった。しおりだって仕事がいろいろだし。」
「マジか?どんだけ余裕があるんだよ。とりあえずしおりちゃんの様子を見て聞いてみるしかないよ。ストレートじゃなくて、具合悪いのかなって心配するふりして。」
「うん。」
「あ~、疲れた。結構重い相談内容なのに播野がとぼけすぎて・・・どうでもいい感じだ。」
「よくないよ。いろいろ僕も考えなきゃ。」
「いらないよ、覚悟だけだよ。」
そうか?
「だってそうだとしてもあと数ヶ月は何も変わらないから。しおりちゃんは実家に帰って休めば大切にされるし。しかも二人の両親に。問題ないじゃん。」
「・・・・そうかな。」
「ああ、そう思うけどな。でも多分大丈夫だな。」
「なんで?」
「だってしおりちゃんだったら悩むより絶対相談するよ。タスクが喜ぶって分かってるだろう?」
「うん。多分。」
「ちゃんちゃん。おしまい。」
「・・・ありがとう。ちょっとすっきりした・・・・かも。」
「そりゃ、良かった。」
まあ、めでたい事だ、そうなったら。
そう言ってコーヒーを飲んで休憩を終わりにした。
午前中仕事にならなかったから、午後はそれなりに頑張った。
定時で終わって、わざわざしおりの職場に寄ろうと思った。
そのついでに近くのお店いくつかで、ディスプレイのヒントを探そうと思った。
さすがに老舗のデパートは明るい。
ショーウィンドーもプロに依頼してるから、人の目を引く仕上がり具合だ。
ゆっくりといろんな売り場を見る。
ただ圧倒的に女性向けのお店だ。
隣にメンズ館があるからしょうがない。
世の中買い物は女性の趣味ということか、財布は女性が握ってるということか。
チラチラと見ながら気に入ったディスプレイには足を止めて。
でもうっかり店員さんが寄ってきたら大変だ。
気配を感じたら離脱。
遠くにしおりが見えた。
・・・・・お腹に手を当ててさすってる。
やっぱり体調悪いのかな?笑顔もない。
まだこっちには気が付いてないみたいだ。
見てる間に先輩に声をかけて、どこかへ行ってしまった。
その後ろ姿を見ながらうっかり売り場に近づくと、先輩女性に気付かれた。
「あら、しおりちゃんの。祐君ですよね。」
「はい、見つかってしまいましたか。ちょっとお店のディスプレイを見ながら仕事のふりして、しおりの顔を見に来たんですが?体調悪そうでした?」
「ああ、そうみたいね。最近ちょっとね。」
・・・・・・。
表情をうかがわれてる気がするけど、気のせいだろうか?
ちょっと後ろめたいような、気まずい感じがするのだが。
「あんまり時間もないので帰りますが、僕が来たことは内緒にしてください。しおりをよろしくお願いします。」
そう言い訳して売り場を去った。
やっぱり心配だ。
今度会えるのは週末の土曜日予定。しばらくある。
今夜電話をしよう。
せっかく来たので、予定通り近くの文具専門店を上からゆっくり見ていく。
それでも心も頭も上の空で。
あんまり意味がなかった。
ずっとやってきた作品写真展示は本当に好評で、実物を作って持って行っても飾ってくれるところがほとんどだった。
友永さんの指導のもと頑張った一年生。
そしてあれからやっぱり仲良しの四人。
そろそろ新しい提案もしたい。皆でいろいろ考えてる。
システムと広報の人にお願いして、今までの作品を会社のホームぺージに乗せてもらうようにお願いしている。
自分たちのページがもらえるかもしれない。
仕事が終わるといつも通り。
ほんわりと優しく甘い時間だ。
最近しおりとも喧嘩もせず、甘く過ごせてるのだ。
でもここ一週間はちょっとすっぱい気がする。
「しおり、なんだかレモン絞り過ぎてない?すっぱそうだよ。」
しおりがパスタに二度もレモンを足している。
ギュギュっと絞ってもう果汁も尽きたようレモン。
最近レモンにはまってるらしい。
国産は高いとぼやいていた。
「すっぱい刺激が病みつきになってきた。」
「ふ~ん。」って鼻で軽く答えたけど・・・・ちょっと待って。
すっぱいものがが欲しくなったって。
平然とレモンがけパスタを食べるしおり。
見てるこっちが唾液があふれるようだけど。
それはさておき、え?大丈夫だよな。
しおりが言わないから大丈夫だよな。
えっと・・・この間ついつい切らしてしまって、気を付けてたのに。
注文したと思ったのに最終決定ボタンを押すのを忘れてたらしい?
それでも平気だって言ってたし、すぐ注文したし、次の日には近場で調達してしのいだし。
普通女性が気が付くよな。なんだか不安が押し寄せてくる。
良くは分からないリズムと仕組み。
1人でネットで調べても変だよな。
しおり、大丈夫だよね?
兄弟二人揃って順番が変って、犯したくないミスだし。
ちょっと心が落ち着かない。
機械的にパスタを口に詰め込む。
今日は控えてた方がいいかな、そうしようかな。
コーヒーを飲み少し仕事の話をする。
しおりに何かいい案がないか、時々聞いている。
しおりは自分とは逆に売り場に立つ仕事だから、
「しおりのところのディスプレイってどうしてるの?」
二度ほど、ちょっとだけど顔を出したことがある。
話に聞いていた先輩の女性にも紹介された。
見事なくらいにきれいに整えられ、ディスプレイされていた。
「決まってるからあんまり工夫とか考えてないかも。ブランド、アイテムごとに揃えたら後は色をきれいに見えるようにして。プライスは見えないようにして。イベントごとに合わせてポップみたいなのを立てたり包装を工夫したり。」
あんまり参考にならないと言われた通り、そうかも。
隣でしおりがお腹をさするようにしている。
「しおり、食べ過ぎた?気持ち悪い?」
「うん、ちょっと食べ過ぎたかな。なんだか太りそう。ちょっと太った気もするし。」
「え・・・・。」
「何?タスク、そんなに顔して。不満ある?」
「違うよ、ないない。」
じっとりと自分を見るしおり。
きっと気のせいだからと、自分に言い聞かす。
結局お腹がいっぱい過ぎて苦しいというしおりの横で、大人しく寝た。
いつもとは違う理由で眠れない。
すっかり寝息をたてるしおりを見ながら思う。
だからと言って別にどうすることもできない。
本当の本当に困ることはないから。
そこは自分でも不安はない。
ハッキリするまで無理をさせないようにしよう。
自分でも少し調べてみようかと、ただただそう思った。
やっぱり変わりないようなしおりと一緒に出掛けた朝。
「よ、今日の昼は?」
堺が声をかけてきた。
「今日はずっと内勤だよ。」
「じゃあ、外に行かないか?」
「うん、良かった。ちょっと話があったんだ。」
「おう、あとでな。」
そうは言ってもまだ悩んでる。
この悩みは人に話していい物だろうか?
でもするなら堺がいいかもしれない。
年齢、職業など立場が重なる。
それに危機感を持ったことも何度かあるのでは?とか。
はっきり言われたら、いっそスッキリするのに。
全く気が付かない、思ってもいないということなんだろうか?
もちろん自分の考え過ぎということもある。
あ~、なんだかモヤモヤする。
こんな時に噂のひらりさんと連絡が取れたら、こっそり確認したりできるのに。
絶対紹介してもらおう。
最悪しおりの部屋の隣の部屋の人に名刺を残してきていい。
名前でわかるだろう。手紙をつけたり・・・・。
・・・・しおりに一言確認すれば済むことなのに。
しおりが喜んでいないのでは、認めたくないのでは?
自分に言われて、しおりの困り顔の反応を見るのが怖い。
しおり、喜んでくれないの?
ひとりで頭の中だけでグルグルと考えが巡っていた。
「播野?」
声を掛けられて、やっと現実に戻れた。
「あ、ごめん。」
パソコンを閉じて財布と携帯を持って外に行く。
堺の後をついて行く。
少し歩いて小さい老舗の蕎麦屋さんへ。
「なんだかぼんやりしてたけど、どうかしたのか?相談ってその事か?」
「ああ、そうなんだけど、ちょっとここでは。」
「じゃあ、まず食ってから場所変えよう。」
そういえば昨日も麺だったなあ。
今日はしおりはいない。ゆっくり部屋で考えたい。
あ~、もうだめだ。
可能性だけが白黒反転を繰り返し、その考えが離れない。
味わえないお蕎麦のお昼を終えて、珈琲屋に入って向き合う。
ゆったりとした席の老舗のお店で内緒話もできる。
勿論奢るつもりだ。ちょっと高いから。
蕎麦も急いで食べてくれたし。
「で、なんだよ。蕎麦も味わえてなかっただろう?しおりちゃんと喧嘩したのか?」
「・・・・いや、そうじゃなくて。」
「じゃなくて?」
「しおりが急にレモンにはまって、あまりにも取り過ぎなんだよ。何で急にすっぱいもの欲しがる?」
「・・・・・で?」
「なんだかだるいって。昨日もお腹さすってた。食べ過ぎって言ってたけど。それに最近太ったって。」
「・・・・で?」
「だって、昨日も久しぶりだったのに・・・・・三日ぶりに一緒にいたのに、結局大人しく寝てた。」
「・・・・で。」
「だから・・・・なんだかそんな気がして。」
「・・・・・で、心当たりは?」
「ある。ちょうど切らしてた時があった、一日だけ。しおりが大丈夫だって言うから・・・・。その夜だけ。」
「・・・・・で、聞いたの、しおりちゃんに?」
「まさか、聞けないよ。」
「だろうな。それで一人でうんうんと唸って悩んでるわけだ。」
はい、そうです。
「ちなみに何か問題あるの?二人と家族。」
「多分何もない。環境は。しおりの仕事だけなんとかなれば。」
「で、播野は恐れてもいないのに、何でしおりちゃんに聞けないわけ?」
「・・・・・しおりが隠してたらどうする?しおりは僕よりずっと当事者だから、僕より悩むよ、考えるよ。自分の中でもっと考えてから、僕にって思ってるかもしれないし。もしかして欲しくないって思ってるかも。」
「しおりちゃんの決意を受け止めればいいだけだろう。播野の場合は今か未来かの問題だろう?欲しくないって思うとは思えないけど。喜ぶよ、きっと。」
「・・・・・・。」
しおりの気持ちを知った風に語る堺。
それを聞いても、そうだよな、としか思えない自分もいて。
何だか何を悩んでいるのか自分でもわからなくなってくる、やっぱり、しおりの考え次第だ。
確かに言う通り一人で唸り過ぎだ。
ちょっと脳の休憩が必要。
「堺、今までこんなことはあった?」
「あるか!ないよ。」
「え、ないの?」
「逆に何であるって思うんだよ。そんな下手はうたないし。」
だって大丈夫って言ったし、信じるしかない。
「悪いが俺も詳しくは語れない。とりあえずあるものがなくて、初めて気が付くと思うけど、どうなんだよ?」
「え、知らない。そんなの知らないよ。」
「なんで?計算できるだろう。1週間くらご無沙汰してた時だよ。思い出せ。」
「・・・・・、それは時々はあるかも。」
「どんな具合だよ。何でか知らなかったのか?まさか・・・・。」
「考えてなかった。しおりだって仕事がいろいろだし。」
「マジか?どんだけ余裕があるんだよ。とりあえずしおりちゃんの様子を見て聞いてみるしかないよ。ストレートじゃなくて、具合悪いのかなって心配するふりして。」
「うん。」
「あ~、疲れた。結構重い相談内容なのに播野がとぼけすぎて・・・どうでもいい感じだ。」
「よくないよ。いろいろ僕も考えなきゃ。」
「いらないよ、覚悟だけだよ。」
そうか?
「だってそうだとしてもあと数ヶ月は何も変わらないから。しおりちゃんは実家に帰って休めば大切にされるし。しかも二人の両親に。問題ないじゃん。」
「・・・・そうかな。」
「ああ、そう思うけどな。でも多分大丈夫だな。」
「なんで?」
「だってしおりちゃんだったら悩むより絶対相談するよ。タスクが喜ぶって分かってるだろう?」
「うん。多分。」
「ちゃんちゃん。おしまい。」
「・・・ありがとう。ちょっとすっきりした・・・・かも。」
「そりゃ、良かった。」
まあ、めでたい事だ、そうなったら。
そう言ってコーヒーを飲んで休憩を終わりにした。
午前中仕事にならなかったから、午後はそれなりに頑張った。
定時で終わって、わざわざしおりの職場に寄ろうと思った。
そのついでに近くのお店いくつかで、ディスプレイのヒントを探そうと思った。
さすがに老舗のデパートは明るい。
ショーウィンドーもプロに依頼してるから、人の目を引く仕上がり具合だ。
ゆっくりといろんな売り場を見る。
ただ圧倒的に女性向けのお店だ。
隣にメンズ館があるからしょうがない。
世の中買い物は女性の趣味ということか、財布は女性が握ってるということか。
チラチラと見ながら気に入ったディスプレイには足を止めて。
でもうっかり店員さんが寄ってきたら大変だ。
気配を感じたら離脱。
遠くにしおりが見えた。
・・・・・お腹に手を当ててさすってる。
やっぱり体調悪いのかな?笑顔もない。
まだこっちには気が付いてないみたいだ。
見てる間に先輩に声をかけて、どこかへ行ってしまった。
その後ろ姿を見ながらうっかり売り場に近づくと、先輩女性に気付かれた。
「あら、しおりちゃんの。祐君ですよね。」
「はい、見つかってしまいましたか。ちょっとお店のディスプレイを見ながら仕事のふりして、しおりの顔を見に来たんですが?体調悪そうでした?」
「ああ、そうみたいね。最近ちょっとね。」
・・・・・・。
表情をうかがわれてる気がするけど、気のせいだろうか?
ちょっと後ろめたいような、気まずい感じがするのだが。
「あんまり時間もないので帰りますが、僕が来たことは内緒にしてください。しおりをよろしくお願いします。」
そう言い訳して売り場を去った。
やっぱり心配だ。
今度会えるのは週末の土曜日予定。しばらくある。
今夜電話をしよう。
せっかく来たので、予定通り近くの文具専門店を上からゆっくり見ていく。
それでも心も頭も上の空で。
あんまり意味がなかった。
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