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7 トランプを使って披露された技は?
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ドアホン越しの表情はとてもトイレを我慢してる風でもない。
敢えて言いださずにその行動を観察してやる。
玄関でドアを開けて、多めの手荷物を持った藤井さんを部屋に迎えた。
スッピンにパジャマの私だけど、部屋の明かりは普通についてる。
トイレを聞かれることなく後をついてきて、リビングのソファに座り、満足そうにリラックスしてる。
やっぱりトイレは危急の要件じゃなかったらしい。
「何か飲みますか?」
礼儀として聞いてみた。
「お構いなく。もう遅いし。」
そこのところ本当に分かってたら、ここにはいないでしょう?
泊まりたいんだろう。
明らかに荷物が多いと思う。
今日会った時には手ぶらだったと思う。
ポケットに携帯とお財布があればいいタイプだろう。
じゃあ、そこには何が入ってる?
いつ準備した?
「あ、いろいろなパターンを想定して。備えあれば何とやらって言うし。」
私の視線に気がついたらしい。
ヘラヘラと答えてる。
一人立っているのもバカバカしくなってきた。
距離をあけてソファに座り、聞いた。
「いつもこんなことをしてたんですか?」
「まさか。」
返事は早かった。
チラリと顔を見ると嫌そうな顔をしてる。
その表情をするのは私でもいいはず。
私はもう諦めただけだ。
呆れるのすら諦めただけ。
「会いたかったんです。どうしても。もっと一緒にいたいと思ったんです。どうしても。気がついたら車を運転して、駅近くにいました。」
最寄り駅はちゃんと覚えてたんだろう。
「夕方、お酒を飲まなかったですよね。」
「・・・・あ、気がついてた?」
当たり前だ。実際聞いたのだ。
『お酒を飲みたかったんじゃないんですか?』って。
『ほろ酔いの有希さんを見る方を優先させます。』
そう言われて、照れてしまいそうになる自分の心を無理に抑えたのに。
「あの部屋に泊まらないと言ったところから、決めてたんですよね。ここまで車で来ることを。」
「飲酒運転にはならなくて良かったです。我慢したおかげで問題なく運転も出来ました。」
飲んだら電車で来ただろうに。
「で、そのバッグに入ってる『備え』は何ですか?地震ですか?それとも?」
「もちろん、それともの方です。でも地震で悲惨なことになったとしても、一人よりはいいです。一緒にいたいです。助け合いましょう。一緒に避難して、励まし合って。でもそんなことまでは考えてませんでした。」
それはそうでしょう。
敢えて、私も聞いたんですから。
「本当にいつもこんな感じなんですよね。適当なふりして強引に進めて。最後に丸く収めようとするんでしょう?」
「違います。もしそうだったら、最初の運命の出会いの日に、スリッパででも追いかけました。」
それはあんまり関係ないと思う。
あんなすれ違い、あちこちであるから。
あそこで待ち時間が長かったらもう少しは仲良くなったり、運命を感じさせるくらい訳なく出来たんじゃないかと。
少なくとも楽しんでお酒が飲めそうな相手と思われれば、連絡先くらい交換する人はいるかもしれない。あの名刺の情報はそれくらいの信用はありそうだし。
「どうしても、もっとしっかり、確かめたいんです。ここまで自分のペースで進めて、本当はどう思われてるのか、そこははっきり言うと半分くらいしか自信はないです。信じてるのは自分の心だけです。有希さんの分はまだまだ。」
「何でそんなに急に距離を詰めたいんですか?そんなやり方じゃなくてももっとゆっくり何度かデートしてからでもいいじゃないですか?」
今、デートに誘われれば断りませんと言ったも同然だけど。
喜んでもいないから気がついてないらしい。
「それじゃあ、あの気取り屋に並べないです。連絡が来たらどうしますか?」
「来ないです。」
「来たら、です。」
「必要なら挨拶だけです。それも多分必要ないです。」
「無視します、断ります、とは言わないんですね。」
「それは誘われる前提です。私が振られたんです。明らかに私は見限られたんです。もう一度なんて絶対にないです。私もないです。」
まったく、イライラする理由をまた思い出させてくれる。
だいたい最初から下の名前で呼んできて、礼二だって訳ありだろうかってちょっとは思ったと思う。そうじゃなくても二度はない。最後に見たあの目を思いだす。
あんな視線、礼二が心が海のように広くならない限りまた同じことが繰り返されるだろう。
本当に・・・・ない。
「だから、そんな顔をするから・・・・。」
近くに来られて肩に手をかけられた。
「じゃあ、二度とあの気取り屋の話はしないでください。」
「したくない。したいわけじゃない。ただ、なんとなく消せないだけで。」
「綺麗に消してください。残しておく意味もないです。」
顔を見た。
思った以上近くに顔があった。
なんで叫ぶように喋っていたのか、こんなに近くにいたんだったら囁く声でも良かったらしい。
「泊まってもいい?」
「そのつもりじゃないですか。」
「一応そこは許可がないと。・・・・玄関じゃなくてソファでもなくて、できたら寝室がいい。勿論同じ高さの、すぐ隣の、隙間なくくっつくところでお願いします。」
「ソファ以外、寝るのに貸せる場所はないんです。狭いソファと固い床が嫌なら、狭いベッドで我慢してください。」
「する。我慢する。」
「じゃあ、それで、よろしくお願いします。」
結局トイレは全く言い出さずに、丸く収めたじゃない。
スパイというよりも・・・・・・策士。
じゃあ、いつまでも普通の恰好じゃなくて、パジャマにどうぞ。
シャワーに案内する。
当然バッグを持って行く藤井さん。
「あっ。」
途中でバッグを見て止まる足。
情けない顔になり、こっちを見た。
「パジャマを忘れた。」
はい?
「パジャマがないとしたら、その大きなバッグの中には何が入ってるのでしょうか?」
聞きたい、そんなに重くはなくてもかさばるものが入ってるだろう。
「着替えのTシャツと下着と、後はそれとあれかな。」
それとあれが何かは分からない。
入れたものを思い出せないの?何て思わない。
『備え』の部分だろう。
なにか必要だと思ってるものが入ってるんだろう。
じゃあ、中身はスカスカじゃない。
「とりあえず・・・・適当、それなりの恰好で出て来てください。貸してあげれる服は期待しないでください。」
バスタオルと小さいタオルを渡す。
「歯ブラシは?」
「大丈夫。ちゃんと入ってるよ。」
バッグを叩いて答えてくれた。
サクッと音がした。やっぱり軽いらしい。
本当に申告通りに下着とTシャツくらいなんだろう。
「じゃあ、ごゆっくり。」
そう言ったのにあっという間に出てきた。
また手にはバッグ。
Tシャツと下着を着てる。
じゃあ中はほとんど空だろう。
脱いだ服は手に持っている。
「ハンガー使いますか?」
「大丈夫。」
バッグを置いてその横に綺麗に畳んで置いてる。
几帳面らしい。
部屋も綺麗だったからそうなんだろう。
ソファに戻ってくる時に、手にはトランプの箱があった。
何?・・・・・それに入れてるの?
だとしても持ってこなくていいよね?
「する?」
カラカラと手に持ったトランプの箱を振る。
音がした。多分中身もぎっしり入ってる音。
本当に中身もトランプ?
冗談?
それともカードマジック披露?
二人で何をするの?
「あ、嫌いだった?やっぱり夜はこれかなって思って、修学旅行には絶対持って行ったよね。」
嬉しそうに懐かしそうに語りたいらしい。
全く同意も出来ない。
トランプが好き嫌いの判断が必要なものだとも思わない。
「実はマジックが得意でカードマジックを披露してくれるつもりじゃ・・・・ないんですね。」
一応確認してみた。
修学旅行の話の後に確かめることでもないけど、それくらい現実感のない娯楽、彼女の・・・・・部屋に持って行く娯楽で選ぶもの?
「ああ、そんな器用だったら毎年の忘年会で披露するけど。」
どうぞご自由に。
「やっぱり二人だと少ないか。修学旅行は五人以上は集まってたからね。あんまり多すぎてババ抜きが終わらないんだよね。ほどほどの人数がいいよね。」
修学旅行以降の思い出がないのだろうか?
大学の頃とか、その後とか。
じゃあ、何で今回持ってこようとした?
トランプの箱をテーブルに置く。
「じゃあ、することないか。寝る?」
思わず顔を見る。
箱を見る。
二度の往復。
もしかして小道具だった?
普通に『もう、寝よう。』というよりも、ちょっとだけ自然に・・・・って、不自然でしょう!!
「トランプでもいいです。」
「ええ~っ、二人でするの~。」
はい、小道具決定。
・・・・疲れる。
こうなったらパジャマもワザとよね。
脱ぎ着しやすいように、とりあえず脱ぎやすいように。
ため息が出る。
また真剣に考えてしまった自分に腹が立つ。
トランプに手を伸ばしてカラカラと音を出してる。
あんまり楽しそうでもない。
「もう寝ますよ。私は予定ではすっかり夢の中のはずだったんです。」
私が立ち上がると、藤井さんもトランプの箱を手放して立ち上がった。
先に寝室に行く。後ろについて来てるのを感じて、電気を消した。
ベッドまであと少し。
「ああっ。」
またですか?今度は何ですか?
後ろを見ると急いで寝室を出た藤井さん。
本当に落ち着かない人。
「忘れ物。」
トランプより大きな箱を持ってフリフリと軽い音を立てながらやってきた。
「おやすみなさい。」
先にさっさとベッドにもぐりこんだ。
後は好きにどうぞ。
どう丸め込むのか、まだ何か腹案があるならさっさとどうぞ。
気が向いたら・・・・ってもいい。
そう思ってる事なんて、まったく見せたくないから大人しく寝た・・・ふりで。
奥にいってベッドの半分は空けた。
「お邪魔します。」
小さな声で言いながら入ってきた藤井さん。
私は仰向けのまま目を閉じている。
大人しくしてくれるなら、そのまま眠れるかもしれない。
敢えて言いださずにその行動を観察してやる。
玄関でドアを開けて、多めの手荷物を持った藤井さんを部屋に迎えた。
スッピンにパジャマの私だけど、部屋の明かりは普通についてる。
トイレを聞かれることなく後をついてきて、リビングのソファに座り、満足そうにリラックスしてる。
やっぱりトイレは危急の要件じゃなかったらしい。
「何か飲みますか?」
礼儀として聞いてみた。
「お構いなく。もう遅いし。」
そこのところ本当に分かってたら、ここにはいないでしょう?
泊まりたいんだろう。
明らかに荷物が多いと思う。
今日会った時には手ぶらだったと思う。
ポケットに携帯とお財布があればいいタイプだろう。
じゃあ、そこには何が入ってる?
いつ準備した?
「あ、いろいろなパターンを想定して。備えあれば何とやらって言うし。」
私の視線に気がついたらしい。
ヘラヘラと答えてる。
一人立っているのもバカバカしくなってきた。
距離をあけてソファに座り、聞いた。
「いつもこんなことをしてたんですか?」
「まさか。」
返事は早かった。
チラリと顔を見ると嫌そうな顔をしてる。
その表情をするのは私でもいいはず。
私はもう諦めただけだ。
呆れるのすら諦めただけ。
「会いたかったんです。どうしても。もっと一緒にいたいと思ったんです。どうしても。気がついたら車を運転して、駅近くにいました。」
最寄り駅はちゃんと覚えてたんだろう。
「夕方、お酒を飲まなかったですよね。」
「・・・・あ、気がついてた?」
当たり前だ。実際聞いたのだ。
『お酒を飲みたかったんじゃないんですか?』って。
『ほろ酔いの有希さんを見る方を優先させます。』
そう言われて、照れてしまいそうになる自分の心を無理に抑えたのに。
「あの部屋に泊まらないと言ったところから、決めてたんですよね。ここまで車で来ることを。」
「飲酒運転にはならなくて良かったです。我慢したおかげで問題なく運転も出来ました。」
飲んだら電車で来ただろうに。
「で、そのバッグに入ってる『備え』は何ですか?地震ですか?それとも?」
「もちろん、それともの方です。でも地震で悲惨なことになったとしても、一人よりはいいです。一緒にいたいです。助け合いましょう。一緒に避難して、励まし合って。でもそんなことまでは考えてませんでした。」
それはそうでしょう。
敢えて、私も聞いたんですから。
「本当にいつもこんな感じなんですよね。適当なふりして強引に進めて。最後に丸く収めようとするんでしょう?」
「違います。もしそうだったら、最初の運命の出会いの日に、スリッパででも追いかけました。」
それはあんまり関係ないと思う。
あんなすれ違い、あちこちであるから。
あそこで待ち時間が長かったらもう少しは仲良くなったり、運命を感じさせるくらい訳なく出来たんじゃないかと。
少なくとも楽しんでお酒が飲めそうな相手と思われれば、連絡先くらい交換する人はいるかもしれない。あの名刺の情報はそれくらいの信用はありそうだし。
「どうしても、もっとしっかり、確かめたいんです。ここまで自分のペースで進めて、本当はどう思われてるのか、そこははっきり言うと半分くらいしか自信はないです。信じてるのは自分の心だけです。有希さんの分はまだまだ。」
「何でそんなに急に距離を詰めたいんですか?そんなやり方じゃなくてももっとゆっくり何度かデートしてからでもいいじゃないですか?」
今、デートに誘われれば断りませんと言ったも同然だけど。
喜んでもいないから気がついてないらしい。
「それじゃあ、あの気取り屋に並べないです。連絡が来たらどうしますか?」
「来ないです。」
「来たら、です。」
「必要なら挨拶だけです。それも多分必要ないです。」
「無視します、断ります、とは言わないんですね。」
「それは誘われる前提です。私が振られたんです。明らかに私は見限られたんです。もう一度なんて絶対にないです。私もないです。」
まったく、イライラする理由をまた思い出させてくれる。
だいたい最初から下の名前で呼んできて、礼二だって訳ありだろうかってちょっとは思ったと思う。そうじゃなくても二度はない。最後に見たあの目を思いだす。
あんな視線、礼二が心が海のように広くならない限りまた同じことが繰り返されるだろう。
本当に・・・・ない。
「だから、そんな顔をするから・・・・。」
近くに来られて肩に手をかけられた。
「じゃあ、二度とあの気取り屋の話はしないでください。」
「したくない。したいわけじゃない。ただ、なんとなく消せないだけで。」
「綺麗に消してください。残しておく意味もないです。」
顔を見た。
思った以上近くに顔があった。
なんで叫ぶように喋っていたのか、こんなに近くにいたんだったら囁く声でも良かったらしい。
「泊まってもいい?」
「そのつもりじゃないですか。」
「一応そこは許可がないと。・・・・玄関じゃなくてソファでもなくて、できたら寝室がいい。勿論同じ高さの、すぐ隣の、隙間なくくっつくところでお願いします。」
「ソファ以外、寝るのに貸せる場所はないんです。狭いソファと固い床が嫌なら、狭いベッドで我慢してください。」
「する。我慢する。」
「じゃあ、それで、よろしくお願いします。」
結局トイレは全く言い出さずに、丸く収めたじゃない。
スパイというよりも・・・・・・策士。
じゃあ、いつまでも普通の恰好じゃなくて、パジャマにどうぞ。
シャワーに案内する。
当然バッグを持って行く藤井さん。
「あっ。」
途中でバッグを見て止まる足。
情けない顔になり、こっちを見た。
「パジャマを忘れた。」
はい?
「パジャマがないとしたら、その大きなバッグの中には何が入ってるのでしょうか?」
聞きたい、そんなに重くはなくてもかさばるものが入ってるだろう。
「着替えのTシャツと下着と、後はそれとあれかな。」
それとあれが何かは分からない。
入れたものを思い出せないの?何て思わない。
『備え』の部分だろう。
なにか必要だと思ってるものが入ってるんだろう。
じゃあ、中身はスカスカじゃない。
「とりあえず・・・・適当、それなりの恰好で出て来てください。貸してあげれる服は期待しないでください。」
バスタオルと小さいタオルを渡す。
「歯ブラシは?」
「大丈夫。ちゃんと入ってるよ。」
バッグを叩いて答えてくれた。
サクッと音がした。やっぱり軽いらしい。
本当に申告通りに下着とTシャツくらいなんだろう。
「じゃあ、ごゆっくり。」
そう言ったのにあっという間に出てきた。
また手にはバッグ。
Tシャツと下着を着てる。
じゃあ中はほとんど空だろう。
脱いだ服は手に持っている。
「ハンガー使いますか?」
「大丈夫。」
バッグを置いてその横に綺麗に畳んで置いてる。
几帳面らしい。
部屋も綺麗だったからそうなんだろう。
ソファに戻ってくる時に、手にはトランプの箱があった。
何?・・・・・それに入れてるの?
だとしても持ってこなくていいよね?
「する?」
カラカラと手に持ったトランプの箱を振る。
音がした。多分中身もぎっしり入ってる音。
本当に中身もトランプ?
冗談?
それともカードマジック披露?
二人で何をするの?
「あ、嫌いだった?やっぱり夜はこれかなって思って、修学旅行には絶対持って行ったよね。」
嬉しそうに懐かしそうに語りたいらしい。
全く同意も出来ない。
トランプが好き嫌いの判断が必要なものだとも思わない。
「実はマジックが得意でカードマジックを披露してくれるつもりじゃ・・・・ないんですね。」
一応確認してみた。
修学旅行の話の後に確かめることでもないけど、それくらい現実感のない娯楽、彼女の・・・・・部屋に持って行く娯楽で選ぶもの?
「ああ、そんな器用だったら毎年の忘年会で披露するけど。」
どうぞご自由に。
「やっぱり二人だと少ないか。修学旅行は五人以上は集まってたからね。あんまり多すぎてババ抜きが終わらないんだよね。ほどほどの人数がいいよね。」
修学旅行以降の思い出がないのだろうか?
大学の頃とか、その後とか。
じゃあ、何で今回持ってこようとした?
トランプの箱をテーブルに置く。
「じゃあ、することないか。寝る?」
思わず顔を見る。
箱を見る。
二度の往復。
もしかして小道具だった?
普通に『もう、寝よう。』というよりも、ちょっとだけ自然に・・・・って、不自然でしょう!!
「トランプでもいいです。」
「ええ~っ、二人でするの~。」
はい、小道具決定。
・・・・疲れる。
こうなったらパジャマもワザとよね。
脱ぎ着しやすいように、とりあえず脱ぎやすいように。
ため息が出る。
また真剣に考えてしまった自分に腹が立つ。
トランプに手を伸ばしてカラカラと音を出してる。
あんまり楽しそうでもない。
「もう寝ますよ。私は予定ではすっかり夢の中のはずだったんです。」
私が立ち上がると、藤井さんもトランプの箱を手放して立ち上がった。
先に寝室に行く。後ろについて来てるのを感じて、電気を消した。
ベッドまであと少し。
「ああっ。」
またですか?今度は何ですか?
後ろを見ると急いで寝室を出た藤井さん。
本当に落ち着かない人。
「忘れ物。」
トランプより大きな箱を持ってフリフリと軽い音を立てながらやってきた。
「おやすみなさい。」
先にさっさとベッドにもぐりこんだ。
後は好きにどうぞ。
どう丸め込むのか、まだ何か腹案があるならさっさとどうぞ。
気が向いたら・・・・ってもいい。
そう思ってる事なんて、まったく見せたくないから大人しく寝た・・・ふりで。
奥にいってベッドの半分は空けた。
「お邪魔します。」
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