関係者の皆様、私が立派な大人になれるその日まで、あと少しだけお待ちください。

羽月☆

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21 三人暮らしに必要ない事、手つかずの課題は人生に溢れてる。

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土曜日のお昼、ゆっくり起きだしたので、早めにお昼ご飯を食べることにしてくれた。

私は残業がなくても、お父さんはもう少し遅い。
だから本当に一緒に食事をするのは週末だけ。
よく考えるとお母さんも大変そう・・・・だけど好きみたいでいつも楽しそうだ。

私は週末も自宅にいてまったりすることが多くて、よって、あんまりお金も使わない。
『お母さんが夕飯めんどうなときには、珍しいご飯を買ってくるよ。』
前にそう言った。
『別にいい。誰かと食べてくる時だけ連絡頂戴。』

そして私の家事手伝いは指先すら貸してない状態。
掃除洗濯食事の支度、すべて任せてる。

大掃除の時期だけちょっとだけ手伝うけど、その時はお父さんも手伝う。
なのでお父さんレベルの家事参加率。
どうなんだろう?


1人暮らしをしている子は大学の時からやってる。
お母さんがやることを全部。

このまま自宅から離れられない気がする。
どうしよう。
いまどき花嫁修業なんて、まさか一から教わる必要があるなんて。



昨日堤さんと話をしていた時に、普通だと思った私の感覚が間違いだと分かった。
堤さんは社会人になって1人暮らしを始めたらしい。

男の人だし・・・・・。
でもお母さんがやること全部、本当に自分のお世話を全部自分でしているということだ。



それでもちょっと聞いてみた。

「あ、彼女と一緒に住んでるんですか?」

平木さんパターンもある。

「・・・ないよ。・・・彼女は今いないし。」

「そうなんですか。すごいですね。」

「え?何が?」

「掃除洗濯、食事にいろいろ、全部自分してるんですよね。」

「そうだけど、普通だよね?あ、実家暮らしなんだ。それでも少しは・・・しない?」

「するべきですか?本当に就職が決まるのが遅くて、おまけに就職までにいろんなセミナーに参加していて。本当に手伝ってないんです。お母さんがすごく器用で。」


「たまには私が何か買って帰ろうかって言っても、それも断られました。」


「じゃあ、好きなんだね。だったら芽衣ちゃんもきっとやればすぐできるよ。そういうお母さんの背中を見てるんだから。」

「本当にそう思いますか?」

「うん、そう思うよ。・・・・ごくまれに例外がいるかも。朝は1人で起きれてる?部屋の掃除もお母さん?」

「朝は目覚ましが起こしてくれるので偉そうには言えませんが、ぐずらずに一人で起きます。部屋の掃除も一応は自分でやってます。」

ゴミ箱がたまに空になり、さり気なくベッドの脇に置いてあった空のグラスやペットボトルがなくなってたり、そんな事は非公開情報で。

「子育ての方法もいろいろだね。」

それは一般的意見と思いたい。
本当に甘やかされて育ったのかもしれない。

「でも、20年以上お母さんと一緒にいるお父さんは、そんなにだらしなくないんです。」

「そうなんだ。」

「はい、だから私もそうだと思います。」

「・・・・・・・そうなんだ。」

堤さんが明らかに笑いをこらえてる気がする。

「だらしなくはないと思います。」

小声で付け加えた。

お部屋は一応綺麗だし・・・・・。





「ねえ、お母さん、私はちゃんと家事全般が出来るようになった方がよくないかな?」

「そうね。」

「そうねって、お母さん。今まで手伝いなさいって言ったことなかったよね。」

「だってお父さんのおかげでお母さんはプロの主婦だから、これが仕事だからね。でも芽衣を一人前の女性にするのもお母さんの役目だから、そろそろ手伝う?」

「・・・・・うん、そろそろ。」

「楽しくやらないと、家事は面白くないから。好きな人の顔でも思い浮かべて、気に入られたいとか、喜んでもらいたいとか、驚かせたいとか。隠れた才能を披露したいとか、負けたくないとか、参りましたと言わせたいとか。」

「後半はスタート時点で馬鹿にされてる前提?」

「だって急にそんなことを言うなんて、誰かの事を考えてた?そういえば、昨日会社の人と飲み会だったんでしょう?どうだった?」

「うん、楽しかったんだけど、今一つ仲良くなれそうな女の人は見つけられなかった。隣に座った男の人と喋ってたの。その人が一人暮らしみたい。」

「年上でしょう?」

「うん、30歳くらいかな?よくわからないけど。」

「じゃあ、一人暮らしでしょう。実家暮らしで何にもしてない人だったら、そんな人と芽衣が結婚なんてしたら、お母さんは心配で家事代行に通いそうよ。」

「その前には練習するから。ちゃんと一通りは出来るようになるし。」

「『その前』じゃなくても、夕飯から手伝ってもいいのよ。」

「はい。ご指導お願いします。」

お父さんが途中から参加していたけど、何も言わず。

「ね、お父さん、芽衣のご飯楽しみでしょう?」

「そうだね。きっとお母さんの味を覚えてるんだから、上手だよ。」

「それはその人にも言われた。お母さんが家事をきちんとしてるんだったら、私もできるから大丈夫だよって。」

「芽衣、それはあくまでも可能性よ。お母さんはおばあちゃんのお手伝いを小さいころからやってたんだから。」

「未知の可能性って言われたよ。」

「それはどのレベルか神のみぞ知るってってことね。今夜分かるわよ。」

「掃除も洗濯も・・・・。」

「とりあえず部屋をきれいにしなさい。」

「汚くないよね?」

まさか自分では綺麗だと思ってるし、だらしないなんて思ってもないから。

「まあまあです。今すぐ社長さんが来たらどうする?芽衣の部屋にご案内出来る?」

想像してしまった。
顔が熱くなる。
恥ずかしいというか・・・・何だろう?
ありえないシチュエーションだし。
なんで社長が私の部屋に興味を持つの?


「出来るって即答できるくらい、きれいにしたら?」

「・・・・はい。」



夕飯は約束した通り、買い物から手伝った。

昔は小さい子供用の籠を持って、買ってもらったおやつは小さい袋に入れてもらって、そんな懐かしい記憶が思い出される。
買い出しは大丈夫。袋にも上手に入れられる。
冷蔵庫にきちんとしまって。

ここまではOK。

後は指示に従って野菜を洗って、切って、順番を考えてフライパンに入れて。

取りあえず誰でもできそうなメニューで助かった。
野菜炒め。
失敗はない。

ご飯も炊いて。

片付けまでした。


「芽衣、上出来上出来。」

お父さんが美味しそうに食べて、褒めてくれた。

「もう、これくらい誰でもできるよ。」

そう言いながらも満足してバクバク食べた。

「芽衣の時代は料理器具が賢いからね。皮をむくのも、ソースも、お米の水加減も、簡単でいいわね。」

「お母さんもいつもそれを使ってるんじゃない。」

「まあね。あとはハラハラさせないように、練習あるのみ。」

「はい。」

実際、包丁があまりに独創的な動きをして、すべてを切り終わった時には、お母さんが一人疲れていた。

『しばらくはイチゴのヘタを落とすところから練習しなさい。』って酷い。



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