婚約破棄を告げたら、氷の侯爵の溺愛が限界を超えました

ひなた翠

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第三章:エドワールの寝室

浴室で

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 身体の力が抜け、ソファにぐったりと身を沈めた。

 全身が疲れ果て、指一本動かすことができそうにない。エドワールが私を抱きしめたまま、額にキスを落とす。優しく、慈しむような口づけだ。

「もっと一緒にいたい」
 囁きが耳元で響いた。

「今夜は泊まっていってくれないか」

 エドワールの声が甘く、懇願するような響きを含んでいた。私は疲れた身体を起こし、エドワールを見上げた。銀青色の瞳が私を見つめている。優しく、愛おしそうな眼差しに胸が温かくなった。

「私も……一緒にいたいです」

 エドワールの顔がほころび、笑顔になった。柔らかく、温かい笑顔。私だけに向けられた特別な表情だと思うと嬉しい。

「レティシアの家には私から伝えておく」
 エドワールが微笑んだ。立ち上がり、服を整える。書斎の扉を開け、使用人を呼んだ。

「客室の準備を。レティシア様が今夜は泊まられる」

 命令する声。使用人が恭しく頭を下げ、準備に向かった。エドワールが私に手を差し伸べる。大きく、温かい手。手を取り、立ち上がった。足が震え、まっすぐ立てない。エドワールが私の腰を支え、身体を寄せてくれた。

「歩けるか」
「大丈夫です」

 強がってみたものの、足に力が入らず、一歩踏み出すのも辛かった。エドワールが私を抱き上げた。腕の中で身体が宙に浮き、思わず首に腕を回す。

「無理をするな」
 優しく叱られ、頬が熱くなった。

 廊下を歩く使用人たちが行き交い、私たちを見て目を伏せる。恥ずかしさが込み上げてきた。抱きかかえられて運ばれる姿を見られている。何があったか、察せられているだろう。

 客室へと案内され、エドワールが私をベッドに降ろした。柔らかい感触が背中に伝わる。

「入浴の準備が整いました」
 メイドが部屋に入ってきて告げた。エドワールが頷き、私を再び抱き上げる。

「一人で大丈夫です」
「いや、送る」

 有無を言わせない口調。浴室まで運ばれ、扉の前で降ろされた。

「ゆっくり浸かっておいで」
 エドワールが髪を撫でた。頷き、浴室へと入る。扉を閉め、息をついた。

 浴室は湯気が立ち込めていた。大きな浴槽に温かい湯が張られ、薔薇の香りが漂っている。服を脱ぎ、身体を洗う。太腿の内側に、白濁した液体が伝っている。エドワールに抱かれた痕跡だ。頬が熱くなり、胸が高鳴った。

 湯船に身体を沈めると温かさが身体を包み込み、疲れが溶けていく。目を閉じ、深く息を吸い込む。薔薇の香りが鼻をつき、心地よい気分になる。

(婚約破棄をしてもらおうと思ったのに)
 予想外の展開に驚いている。

 ソファでのことを思い出し、エドワールに貫かれた感覚が蘇ってくる。熱く、大きく、奥深くまで入り込んできた彼の熱。痛みと快楽が入り混じった感覚。

 お腹の奥が疼き始めた。じんわりと熱が集まり、身体が反応する。

「ここに……エドワール様のが……」

 小さく呟き、手を秘所に当てた。ぬるっとした感触。指先に白濁した液体が付着する。エドワールの体液だ。まだ中に残っている。胸が熱くなり、顔が火照った。

「何をしている?」
 声が響いた。

 びくっと身体が跳ねる。顔を上げると、扉の前にエドワールが立っていた。袖を肘まで捲り上げ、腕を組んで真っ直ぐに私を見つめている。秘所に指を当てている姿を、しっかりと見られていた。

「エドワール、様……」

 声が震えた。恥ずかしさで顔が熱くなり、手を引っ込めようとした。エドワールが浴槽に近づいてきた。膝をつき、私の目線に合わせる。

「足りなかった?」
 にっこりと微笑んだ。優しく、少しからかうような笑顔。

「ちが……」

 否定しようとしたが、言葉が続かない。顔が真っ赤になり、視線を逸らした。エドワールの手が湯船に入ってきた。温かい湯の中を進み、私の太腿に触れる。

「君は若いからね」
 囁きが耳元で響いた。指が秘所に触れ、割れ目をなぞる。吸い込まれるように、指が中へと入ってきた。

「あっ」
 声が漏れる。エドワールの指が奥へと進み、すんなりと入っていく。

「すっかり柔らかくなって。お湯よりも中のほうが熱いね」
 エドワールの声が掠れていた。指が動き始める。出し入れを繰り返し、中を掻き回す。

「……恥ずかしい」
 小さく呟いた。エドワールの指が奥の一点を擦り、身体が跳ねる。

「すぐに恥ずかしさなんて分からなくなるよ」

 指の動きが激しくなった。奥を執拗に擦られ、快楽が波のように押し寄せてくる。湯船の縁を掴み、身体を支えた。

「あっ、ん、ああ」

 声が漏れ続ける。止められない。エドワールの指が二本になり、中を広げながら掻き回す。奥を擦られるたびに、身体が震える。

「ここが気持ちいいんだったね」
 エドワールが同じ場所を何度も擦ってくる。

「もう、イキそう……」
「いいよ。イッて」

 エドワールの声に促され、全身が痙攣した。甘い悲鳴が喉から漏れ、視界が白く染まる。快楽が全身を駆け巡り、身体の力が抜けた。

 ぐったりと浴槽に沈み込む。エドワールが私を抱き上げた。お湯が滴り、床に水溜まりができる。横抱きにされ、タオルで身体を拭かれた。優しく、丁寧に。髪も拭われ、寝衣を着せられる。全て、エドワールがしてくれた。

「歩けないだろう」

 囁きに、頷くことしかできなかった。エドワールが私を抱きしめたまま、廊下を歩く。客室ではなく、別の扉の前で立ち止まった。

「私の部屋だ」

 エドワールが扉を開けた。寝室は暖炉の火だけが灯り、薄暗かった。

 炎が揺れるたびに、影が壁を這う。中央には天蓋付きの大きなベッドがあり、深紅のカーテンが垂れ下がっている。

 窓からは月明かりが差し込み、床に淡い光の帯を作っていた。空気は暖かく、木の香りが混ざり合っている。

 ベッドへと運ばれ、柔らかい感触が背中に伝わった。エドワールが私の隣に横たわった。横向きになり、私の頬に手を添える。

「疲れただろう」
「はい……」

 正直に答えた。エドワールが微笑み、額にキスを落とす。

「休んでいい。ただ、隣にいさせてくれ」

 優しい声。エドワールが私を抱きしめた。温かい胸板に顔が押し付けられ、心臓の音が聞こえる。規則正しく、力強い鼓動。

「愛している」
 囁きが頭上で響いた。

「私も、愛しています」

 囁き返した。エドワールの腕に力が込められ、強く抱きしめられる。

 キスが落とされた。額に、頬に、唇に。優しく、愛おしむような口づけ。唇が重ねられ、舌が絡み合う。
 深く、甘いキス。エドワールの手が寝衣の上から身体を撫でる。肩から腕へ、腰から太腿へ。優しく、丁寧に。

「触れていいか」
「はい」

 エドワールの手が寝衣の紐を解き、肌を露わにしていく。冷たい空気が肌に触れ、鳥肌が立った。胸が晒され、エドワールの手が柔らかい膨らみを包み込む。大きな手が、胸を覆い尽くす。揉みしだかれ、形が変わる。

「ん……」

 声が漏れた。エドワールの唇が胸に移動し、先端を吸い上げた。舌で転がされ、歯で軽く噛まれる。もう片方の胸も同じように愛撫され、身体が熱くなっていく。

「君の身体、全部が愛おしい」

 エドワールの声が掠れていた。唇が腹を撫で、腰骨にキスを落とす。太腿を撫でられ、内側を這われる。熱が集まり、身体が反応する。

「休んでいいと言ったが……悪い。もう一度、君を感じたい」

 囁きに、胸が高鳴った。エドワールの瞳が私を見つめている。熱を帯びた、愛に満ちた眼差し。

「はい……」
 囁いた。エドワールが微笑み、私を優しく抱きしめた。
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