152 / 200
152 謎の女《アイザック》
しおりを挟む
「今日はここまでにする」
目の前に座っている教皇にそう言いながら、アイザックは調書を閉じて、取り調べ室の簡素な椅子から腰を上げた。
本当ならヴィクター・リンメルの取り調べを担当したかったのだが、『アイザックにやらせると私怨で殺しかねない』とサディアスに止められて、教皇の方に回された。
寧ろ教皇の取り調べをサディアスが担当する方が危ないのでは? と、アイザックは思っていたので、まあ合理的ではあるけれど。
もう諦めたのか、意外にも教皇は取り調べに素直に応じている。
「どうやって、あの脱出通路を知ったのだ?」
部屋を出ようとした所で、教皇に声を掛けられ足を止めた。
振り返ったアイザックは、その疑問に答えるべく静かに口を開く。
「事前に数人の教会関係者に接触し、こちらへ寝返らせたんだよ。
あの通路の存在を教えてくれたのは、スペンサーだ」
「スペンサー?」
怪訝な表情を浮かべた教皇を、アイザックは鼻で笑う。
「自分の部下なのに分からないのか?
風属性の魔力持ちの神官だよ。
ほら、防音魔法を扱えるから、便利に連れ回していただろう?」
姫殿下の事件が起こってからずっと、アイザック達は教会周辺を慎重に調べていた。
諜報部の人間を忍び込ませて内部を探らせると、教皇への不満を密かに募らせている者がかなり多い事が分かった。
アイザック達はその中から数人を選んで、ガサ入れ直前に接触し、罪の軽減を餌に取引きを持ちかけた。
教皇と共に泥舟で沈むつもりなど、さらさら無かったのだろう。全員が取引きに応じた。
その内の一人がスペンサー。捕縛作戦時に、教皇を脱出通路へ誘導した神官である。
「まさか……、あの男が……」
「フッ……。
手駒の名前さえ覚えていないのだから、裏切られるのも当然だよなぁ」
悔しそうに大きく顔を歪めた教皇へ、嘲る様な言葉を残し、アイザックは取り調べ室を後にした。
丁度、別の取り調べ室から出て来た騎士団長であるニコラスの父親と、廊下で合流する。
「お疲れ様です。順調ですか?」
騎士団長の問いに、アイザックは頷いた。
「ええ。
どんなに頑張った所で、もう逃げられやしないですから、諦めたのでしょう。
簡単にペラペラ喋っていますよ。
そちらは如何ですか?」
騎士団長はヴィクター・リンメルを担当している。
オフィーリアを人質に取りやがった憎い相手の様子が気になって質問すると、彼は小さく溜息を零した。
「恋人がいたらしくて、その女に唆されていた部分があるみたいなんですが、情報が少なくて特定に時間がかかっています」
騎士団長の話によれば、ヴィクターは公園で知り合った若い女と恋仲であったという。
その女は人の心の隙間にスルリと入り込む様な、不思議な魅力を持っていたらしい。
ヴィクターは自分の養父母に関する悩みや、教皇の息子である事など、普通ならば隠して置くべき話まで、いつの間にか自然に語ってしまったのだとか。
それを聞いた女は、『いつまでも利用されるばかりではなく、利用する側になれば良い』とヴィクターを唆した。
『教皇はきっと、第二王子と聖女候補を祭り上げて、実権を握るつもりなのよ。
そうなる直前に、教皇とその長男を失脚させれば、教皇が握る筈だった権力は貴方の物になるでしょう?』
女はうっそりと笑みを深めながら、ヴィクターに囁いたのだ。
例の自己肯定感を高める効能がある香も、元々はその女に『お義母様に使ってみて』と勧められた物だったという。
そしてそれをクリスティアン達に処方したのも、女のアイデアだったとか。
『第二王子殿下は、傲慢そうに見えるけど、実は自信がなくて卑屈なタイプなの。
もしかしたら教皇から、兄の代わりに王太子になれと説得されても、なかなかその気にならないかもしれないわ。
だから、ちょっと自信を持たせてあげると良いんじゃないかしら?』
女は何故かクリスティアンの性格を良く知っていた。
香のお陰でクリスティアンは、気分が楽になり、同時にヴィクターに対して好意的になった。
いつか教皇の代わりに彼等を操るのだから、好感を持たれていた方が都合が良いと考え、クリスティアンに仕えるニコラスにも同じ様に処方した。
まあ、残念ながら、ニコラスには期待した効果が出なかったのだが。
ただ、姫殿下に薬を盛った侍女が何処から香を入手したのかについては、ヴィクターも知らないと話しているそうだ。
「その女、不気味ですね。
恋人だったなら、ヴィクターに権力を持たせて、自分はその妻か愛人にでも収まるつもりだったのかな。
一体何者なんでしょうね?
王子の性格なんて、身近な人間でなければ知らないでしょうし……」
アイザックの疑問に、騎士団長はもどかしそうにガシガシと頭を掻いた。
「分からんのですよ。
恋人だったという割に、ヴィクターは女について何も知らないんです。
分かっている事といえば、『レイラ』と名乗っていた事。
それから、自分は養女で義家族から疎まれていると話していた事」
「家名を名乗らなかったなら、平民の可能性も有りますね」
「ですね。
年齢は、ヴィクターの生徒達と同年代に見えたと言ってましたから、ニコラスやアイザック様と同じくらいだと思いますが、『レイラ』という名の生徒は学園に在籍していませんし」
この国では、貴族の子女は皆、アイザック達が通っている学園に入学しなければならない。
まあ、将来貴族籍を抜けるつもりならば話は別だが。
「レイラは偽名かもしれないですけど、流石に学園の生徒であればヴィクターが気付くでしょうね。
容姿についてはどうですか?」
「髪はライトブラウンで、肩までの長さのストレート。
瞳は蜂蜜色らしいです」
それを聞いて、アイザックはピクリと眉を跳ね上げた。
「蜂蜜……」
『蜂蜜色』は、人によっては『琥珀色』と表現する事がある。
琥珀色の瞳といえば、アイザックが探している女と同じ───。
目の前に座っている教皇にそう言いながら、アイザックは調書を閉じて、取り調べ室の簡素な椅子から腰を上げた。
本当ならヴィクター・リンメルの取り調べを担当したかったのだが、『アイザックにやらせると私怨で殺しかねない』とサディアスに止められて、教皇の方に回された。
寧ろ教皇の取り調べをサディアスが担当する方が危ないのでは? と、アイザックは思っていたので、まあ合理的ではあるけれど。
もう諦めたのか、意外にも教皇は取り調べに素直に応じている。
「どうやって、あの脱出通路を知ったのだ?」
部屋を出ようとした所で、教皇に声を掛けられ足を止めた。
振り返ったアイザックは、その疑問に答えるべく静かに口を開く。
「事前に数人の教会関係者に接触し、こちらへ寝返らせたんだよ。
あの通路の存在を教えてくれたのは、スペンサーだ」
「スペンサー?」
怪訝な表情を浮かべた教皇を、アイザックは鼻で笑う。
「自分の部下なのに分からないのか?
風属性の魔力持ちの神官だよ。
ほら、防音魔法を扱えるから、便利に連れ回していただろう?」
姫殿下の事件が起こってからずっと、アイザック達は教会周辺を慎重に調べていた。
諜報部の人間を忍び込ませて内部を探らせると、教皇への不満を密かに募らせている者がかなり多い事が分かった。
アイザック達はその中から数人を選んで、ガサ入れ直前に接触し、罪の軽減を餌に取引きを持ちかけた。
教皇と共に泥舟で沈むつもりなど、さらさら無かったのだろう。全員が取引きに応じた。
その内の一人がスペンサー。捕縛作戦時に、教皇を脱出通路へ誘導した神官である。
「まさか……、あの男が……」
「フッ……。
手駒の名前さえ覚えていないのだから、裏切られるのも当然だよなぁ」
悔しそうに大きく顔を歪めた教皇へ、嘲る様な言葉を残し、アイザックは取り調べ室を後にした。
丁度、別の取り調べ室から出て来た騎士団長であるニコラスの父親と、廊下で合流する。
「お疲れ様です。順調ですか?」
騎士団長の問いに、アイザックは頷いた。
「ええ。
どんなに頑張った所で、もう逃げられやしないですから、諦めたのでしょう。
簡単にペラペラ喋っていますよ。
そちらは如何ですか?」
騎士団長はヴィクター・リンメルを担当している。
オフィーリアを人質に取りやがった憎い相手の様子が気になって質問すると、彼は小さく溜息を零した。
「恋人がいたらしくて、その女に唆されていた部分があるみたいなんですが、情報が少なくて特定に時間がかかっています」
騎士団長の話によれば、ヴィクターは公園で知り合った若い女と恋仲であったという。
その女は人の心の隙間にスルリと入り込む様な、不思議な魅力を持っていたらしい。
ヴィクターは自分の養父母に関する悩みや、教皇の息子である事など、普通ならば隠して置くべき話まで、いつの間にか自然に語ってしまったのだとか。
それを聞いた女は、『いつまでも利用されるばかりではなく、利用する側になれば良い』とヴィクターを唆した。
『教皇はきっと、第二王子と聖女候補を祭り上げて、実権を握るつもりなのよ。
そうなる直前に、教皇とその長男を失脚させれば、教皇が握る筈だった権力は貴方の物になるでしょう?』
女はうっそりと笑みを深めながら、ヴィクターに囁いたのだ。
例の自己肯定感を高める効能がある香も、元々はその女に『お義母様に使ってみて』と勧められた物だったという。
そしてそれをクリスティアン達に処方したのも、女のアイデアだったとか。
『第二王子殿下は、傲慢そうに見えるけど、実は自信がなくて卑屈なタイプなの。
もしかしたら教皇から、兄の代わりに王太子になれと説得されても、なかなかその気にならないかもしれないわ。
だから、ちょっと自信を持たせてあげると良いんじゃないかしら?』
女は何故かクリスティアンの性格を良く知っていた。
香のお陰でクリスティアンは、気分が楽になり、同時にヴィクターに対して好意的になった。
いつか教皇の代わりに彼等を操るのだから、好感を持たれていた方が都合が良いと考え、クリスティアンに仕えるニコラスにも同じ様に処方した。
まあ、残念ながら、ニコラスには期待した効果が出なかったのだが。
ただ、姫殿下に薬を盛った侍女が何処から香を入手したのかについては、ヴィクターも知らないと話しているそうだ。
「その女、不気味ですね。
恋人だったなら、ヴィクターに権力を持たせて、自分はその妻か愛人にでも収まるつもりだったのかな。
一体何者なんでしょうね?
王子の性格なんて、身近な人間でなければ知らないでしょうし……」
アイザックの疑問に、騎士団長はもどかしそうにガシガシと頭を掻いた。
「分からんのですよ。
恋人だったという割に、ヴィクターは女について何も知らないんです。
分かっている事といえば、『レイラ』と名乗っていた事。
それから、自分は養女で義家族から疎まれていると話していた事」
「家名を名乗らなかったなら、平民の可能性も有りますね」
「ですね。
年齢は、ヴィクターの生徒達と同年代に見えたと言ってましたから、ニコラスやアイザック様と同じくらいだと思いますが、『レイラ』という名の生徒は学園に在籍していませんし」
この国では、貴族の子女は皆、アイザック達が通っている学園に入学しなければならない。
まあ、将来貴族籍を抜けるつもりならば話は別だが。
「レイラは偽名かもしれないですけど、流石に学園の生徒であればヴィクターが気付くでしょうね。
容姿についてはどうですか?」
「髪はライトブラウンで、肩までの長さのストレート。
瞳は蜂蜜色らしいです」
それを聞いて、アイザックはピクリと眉を跳ね上げた。
「蜂蜜……」
『蜂蜜色』は、人によっては『琥珀色』と表現する事がある。
琥珀色の瞳といえば、アイザックが探している女と同じ───。
1,789
あなたにおすすめの小説
白い結婚を捨てた王妃は、もう二度と振り向かない ――愛さぬと言った王子が全てを失うまで』
鍛高譚
恋愛
「私は王妃を愛さない。彼女とは白い結婚を誓う」
華やかな王宮の大聖堂で交わされたのは、愛の誓いではなく、冷たい拒絶の言葉だった。
王子アルフォンスの婚姻相手として選ばれたレイチェル・ウィンザー。しかし彼女は、王妃としての立場を与えられながらも、夫からも宮廷からも冷遇され、孤独な日々を強いられる。王の寵愛はすべて聖女ミレイユに注がれ、王宮の権力は彼女の手に落ちていった。侮蔑と屈辱に耐える中、レイチェルは誇りを失わず、密かに反撃の機会をうかがう。
そんな折、隣国の公爵アレクサンダーが彼女の前に現れる。「君の目はまだ死んでいないな」――その言葉に、彼女の中で何かが目覚める。彼はレイチェルに自由と新たな未来を提示し、密かに王宮からの脱出を計画する。
レイチェルが去ったことで、王宮は急速に崩壊していく。聖女ミレイユの策略が暴かれ、アルフォンスは自らの過ちに気づくも、時すでに遅し。彼が頼るべき王妃は、もはや遠く、隣国で新たな人生を歩んでいた。
「お願いだ……戻ってきてくれ……」
王国を失い、誇りを失い、全てを失った王子の懇願に、レイチェルはただ冷たく微笑む。
「もう遅いわ」
愛のない結婚を捨て、誇り高き未来へと進む王妃のざまぁ劇。
裏切りと策略が渦巻く宮廷で、彼女は己の運命を切り開く。
これは、偽りの婚姻から真の誓いへと至る、誇り高き王妃の物語。
悪女と呼ばれた死に戻り令嬢、二度目の人生は婚約破棄から始まる
冬野月子
恋愛
「私は確かに19歳で死んだの」
謎の声に導かれ馬車の事故から兄弟を守った10歳のヴェロニカは、その時に負った傷痕を理由に王太子から婚約破棄される。
けれど彼女には嫉妬から破滅し短い生涯を終えた前世の記憶があった。
なぜか死に戻ったヴェロニカは前世での過ちを繰り返さないことを望むが、婚約破棄したはずの王太子が積極的に親しくなろうとしてくる。
そして学校で再会した、馬車の事故で助けた少年は、前世で不幸な死に方をした青年だった。
恋や友情すら知らなかったヴェロニカが、前世では関わることのなかった人々との出会いや関わりの中で新たな道を進んでいく中、前世に嫉妬で殺そうとまでしたアリサが入学してきた。
ある王国の王室の物語
朝山みどり
恋愛
平和が続くある王国の一室で婚約者破棄を宣言された少女がいた。カップを持ったまま下を向いて無言の彼女を国王夫妻、侯爵夫妻、王太子、異母妹がじっと見つめた。
顔をあげた彼女はカップを皿に置くと、レモンパイに手を伸ばすと皿に取った。
それから
「承知しました」とだけ言った。
ゆっくりレモンパイを食べるとお茶のおかわりを注ぐように侍女に合図をした。
それからバウンドケーキに手を伸ばした。
カクヨムで公開したものに手を入れたものです。
悪役令嬢なので最初から愛されないことはわかっていましたが、これはさすがに想定外でした。
ふまさ
恋愛
──こうなることがわかっていれば、はじめから好きになんてならなかったのに。
彩香だったときの思いが、ふと蘇り、フェリシアはくすりと笑ってしまった。
ありがとう、前世の記憶。おかげでわたしは、クライブ殿下を好きにならずにすんだわ。
だからあるのは、呆れと、怒りだけだった。
※『乙女ゲームのヒロインの顔が、わたしから好きな人を奪い続けた幼なじみとそっくりでした』の、ifストーリーです。重なる文章があるため、前作は非公開とさせていただきました。読んでくれたみなさま、ありがとうございました。
いくら政略結婚だからって、そこまで嫌わなくてもいいんじゃないですか?いい加減、腹が立ってきたんですけど!
夢呼
恋愛
伯爵令嬢のローゼは大好きな婚約者アーサー・レイモンド侯爵令息との結婚式を今か今かと待ち望んでいた。
しかし、結婚式の僅か10日前、その大好きなアーサーから「私から愛されたいという思いがあったら捨ててくれ。それに応えることは出来ない」と告げられる。
ローゼはその言葉にショックを受け、熱を出し寝込んでしまう。数日間うなされ続け、やっと目を覚ました。前世の記憶と共に・・・。
愛されることは無いと分かっていても、覆すことが出来ないのが貴族間の政略結婚。日本で生きたアラサー女子の「私」が八割心を占めているローゼが、この政略結婚に臨むことになる。
いくら政略結婚といえども、親に孫を見せてあげて親孝行をしたいという願いを持つローゼは、何とかアーサーに振り向いてもらおうと頑張るが、鉄壁のアーサーには敵わず。それどころか益々嫌われる始末。
一体私の何が気に入らないんだか。そこまで嫌わなくてもいいんじゃないんですかね!いい加減腹立つわっ!
世界観はゆるいです!
カクヨム様にも投稿しております。
※10万文字を超えたので長編に変更しました。
悪役令嬢は自称親友の令嬢に婚約者を取られ、予定どおり無事に婚約破棄されることに成功しましたが、そのあとのことは考えてませんでした
みゅー
恋愛
婚約者のエーリクと共に招待された舞踏会、公の場に二人で参加するのは初めてだったオルヘルスは、緊張しながらその場へ臨んだ。
会場に入ると前方にいた幼馴染みのアリネアと目が合った。すると、彼女は突然泣き出しそんな彼女にあろうことか婚約者のエーリクが駆け寄る。
そんな二人に注目が集まるなか、エーリクは突然オルヘルスに婚約破棄を言い渡す……。
【完結】この運命を受け入れましょうか
なか
恋愛
「君のようは妃は必要ない。ここで廃妃を宣言する」
自らの夫であるルーク陛下の言葉。
それに対して、ヴィオラ・カトレアは余裕に満ちた微笑みで答える。
「承知しました。受け入れましょう」
ヴィオラにはもう、ルークへの愛など残ってすらいない。
彼女が王妃として支えてきた献身の中で、平民生まれのリアという女性に入れ込んだルーク。
みっともなく、情けない彼に対して恋情など抱く事すら不快だ。
だが聖女の素養を持つリアを、ルークは寵愛する。
そして貴族達も、莫大な益を生み出す聖女を妃に仕立てるため……ヴィオラへと無実の罪を被せた。
あっけなく信じるルークに呆れつつも、ヴィオラに不安はなかった。
これからの顛末も、打開策も全て知っているからだ。
前世の記憶を持ち、ここが物語の世界だと知るヴィオラは……悲運な運命を受け入れて彼らに意趣返す。
ふりかかる不幸を全て覆して、幸せな人生を歩むため。
◇◇◇◇◇
設定は甘め。
不安のない、さっくり読める物語を目指してます。
良ければ読んでくだされば、嬉しいです。
この婚約は白い結婚に繋がっていたはずですが? 〜深窓の令嬢は赤獅子騎士団長に溺愛される〜
氷雨そら
恋愛
婚約相手のいない婚約式。
通常であれば、この上なく惨めであろうその場所に、辺境伯令嬢ルナシェは、美しいベールをなびかせて、毅然とした姿で立っていた。
ベールから、こぼれ落ちるような髪は白銀にも見える。プラチナブロンドが、日差しに輝いて神々しい。
さすがは、白薔薇姫との呼び名高い辺境伯令嬢だという周囲の感嘆。
けれど、ルナシェの内心は、実はそれどころではなかった。
(まさかのやり直し……?)
先ほど確かに、ルナシェは断頭台に露と消えたのだ。しかし、この場所は確かに、あの日経験した、たった一人の婚約式だった。
ルナシェは、人生を変えるため、婚約式に現れなかった婚約者に、婚約破棄を告げるため、激戦の地へと足を向けるのだった。
小説家になろう様にも投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる