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15 帰り道
「私と一緒にいた所為で、嫌な思いをさせてしまって、済みません。
せっかく楽しい気分でしたのに、何故いつも絡まれてしまうのでしょうね」
夜会からの帰りの馬車の中。
窓の外を流れる街の灯りをぼんやりと眺めつつ、先程の騒動を思い出して、ため息を吐いた。
クッションの良い座席に横並びで座り、ジェラルド様は私の腰に手を回して、ピッタリと寄り添う。
時折優しく髪を撫でていた。
「貴女の所為ではありません。
先程のご令嬢達は、私がしっかりと覚えてますので、後日正式に書面で抗議しましょう。
誰に喧嘩を売ったのか、理解させてやらなければいけませんので」
目が笑っていないわ。
本気で潰す気かも知れない。
「あの程度の事で、あまり大袈裟にするのはどうでしょう?
私も充分に言い返しましたし、彼女達が言っていた事も、あながち間違いじゃないと思うのです」
私の言葉にジェラルド様の眉がピクリと反応した。
「どの辺りがです?」
「うーん・・・そうですね、〝小賢しい〟とか〝計算高い〟とかの辺りですかね」
ジェラルド様は、少し不機嫌そうな表情になる。
「それはちょっと違うのでは?
経営者として、どう動けば良いのかを計算する。そう言う意味での〝計算高さ〟ならばあるでしょうけれど、それは必要な能力で、蔑まれる意味合いの言葉とは違います。
〝小賢しい〟に至っては只の言い掛かりに過ぎないですよ」
「買い被り過ぎでは?」
「いいえ。
例えば、伯爵領は決して、最初から豊かな土地だった訳ではないですよね。
その土地でも収穫できるよう作物を品種改良し、採れた作物をブランド化して販路を拡充したのは、貴女と父君との功績です」
「お父様については、そうかもしれませんが、私の功績ではありませんよ。
領民が協力してくれたから、出来た事ですし」
「それだって、貴女達が領民から慕われているからこそです。
貴女は自己評価が低過ぎます」
ずっと強がって生きてきたのに、ジェラルド様は、私が貰ったことのない優しい言葉ばかりをくれる。
だから、つい、縋りたくなってしまうのだ。
「・・・仕事ばかりしている私の事を、生意気だとは思わないのですか?」
ジェラルド様は両手で優しく私の頬を挟んで、自分の方を向かせた。
「貴女のそれは〝矜持がある〟と言うのですよ」
気付けば視界がぼやけていた。
頬に伝った涙を、ジェラルド様がそっと指で拭う。
「ふふっ。役得ですね。
これからは貴女の涙を拭うのも、私の役目です。
セシリア、愛してます」
もう何度贈られたか分からないその言葉を、心地よく思いながら、彼の肩に頭を預け、静かに瞳を閉じた。
せっかく楽しい気分でしたのに、何故いつも絡まれてしまうのでしょうね」
夜会からの帰りの馬車の中。
窓の外を流れる街の灯りをぼんやりと眺めつつ、先程の騒動を思い出して、ため息を吐いた。
クッションの良い座席に横並びで座り、ジェラルド様は私の腰に手を回して、ピッタリと寄り添う。
時折優しく髪を撫でていた。
「貴女の所為ではありません。
先程のご令嬢達は、私がしっかりと覚えてますので、後日正式に書面で抗議しましょう。
誰に喧嘩を売ったのか、理解させてやらなければいけませんので」
目が笑っていないわ。
本気で潰す気かも知れない。
「あの程度の事で、あまり大袈裟にするのはどうでしょう?
私も充分に言い返しましたし、彼女達が言っていた事も、あながち間違いじゃないと思うのです」
私の言葉にジェラルド様の眉がピクリと反応した。
「どの辺りがです?」
「うーん・・・そうですね、〝小賢しい〟とか〝計算高い〟とかの辺りですかね」
ジェラルド様は、少し不機嫌そうな表情になる。
「それはちょっと違うのでは?
経営者として、どう動けば良いのかを計算する。そう言う意味での〝計算高さ〟ならばあるでしょうけれど、それは必要な能力で、蔑まれる意味合いの言葉とは違います。
〝小賢しい〟に至っては只の言い掛かりに過ぎないですよ」
「買い被り過ぎでは?」
「いいえ。
例えば、伯爵領は決して、最初から豊かな土地だった訳ではないですよね。
その土地でも収穫できるよう作物を品種改良し、採れた作物をブランド化して販路を拡充したのは、貴女と父君との功績です」
「お父様については、そうかもしれませんが、私の功績ではありませんよ。
領民が協力してくれたから、出来た事ですし」
「それだって、貴女達が領民から慕われているからこそです。
貴女は自己評価が低過ぎます」
ずっと強がって生きてきたのに、ジェラルド様は、私が貰ったことのない優しい言葉ばかりをくれる。
だから、つい、縋りたくなってしまうのだ。
「・・・仕事ばかりしている私の事を、生意気だとは思わないのですか?」
ジェラルド様は両手で優しく私の頬を挟んで、自分の方を向かせた。
「貴女のそれは〝矜持がある〟と言うのですよ」
気付けば視界がぼやけていた。
頬に伝った涙を、ジェラルド様がそっと指で拭う。
「ふふっ。役得ですね。
これからは貴女の涙を拭うのも、私の役目です。
セシリア、愛してます」
もう何度贈られたか分からないその言葉を、心地よく思いながら、彼の肩に頭を預け、静かに瞳を閉じた。
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