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冤罪?どちらが?
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入学式以降、ライアンやアレックスたちは常にシシリーの側にいた。
クラスが違うシシリーは、休み時間のたびにライアンたちの元を訪れていたが、やがて教師に注意され、Sクラスに立ち入り禁止となった。
泣いて悲しむシシリーに、ライアンたちは昼休みと放課後はシシリーとの時間を作ると約束し、王族や高位貴族の専用のカフェを占領していた。
そして、ある日シシリーが泣きながら言ったのだ。
「リリアナ様に、男爵令嬢風情が王族と高位貴族専用のカフェを使うなど図々しい!身の程を弁えろ、と言われたんですぅ」
ライアンは双子の妹のリリアナが、キツい物言いをするものの、本当は優しいことをよく理解している。
それにリリアナは、自分に意見出来る高位貴族の人間には苦言を直接言うが、下位貴族には直接は文句を言うことはない。
それは分かっていたが、シシリーが嘘をついているとは思わなかった。
だから、リリアナに文句を言いに行ったのだ。
結果として、リリアナにはシシリーの言動を改めさせて、王太子妃に相応しい人間にさせろと正論を説かれ、ルーナやランスロットには冷たい目で見られた。
「きっと、リリアナ様がライアン様を取られたくなくて、私が教室に行けないように先生に言いつけたんですよぉ」
「もしかしたらフィオレンサ公爵令嬢もグルかもしれませんね」
「フィオレンサ公爵令嬢か。きっと、殿下の婚約者になろうとしているに違いない!だから、殿下の寵愛を受けているシシリーを虐げようとしているんだろう」
「え?でもフィオレンサ公爵家へ婚約を申し込んでいたのは王家・・・」
「きっとそうですぅ!」
アレックスとダグラスがフィオレンサ公爵令嬢もグルだと言い出し、それをセドリックが否定しようとするも、シシリーが大きく頷いてその声をかき消す。
ライアンは、シシリーのことを可愛いと思っている。
その貴族らしからぬ言動も、感情を表さない貴族令嬢に囲まれているライアンからすれば目新しく、好ましく見えた。
だけど王族として教育を受け、冷静に双子の妹に諭されたライアンは、今のアレックスやダグラス、そしてシシリーの言っていることが正しくないことに気付いた。
いや。
本当は最初から薄々気付いていた。
だけど、王妃である母がどれだけ望んでも婚約者となることを拒否するフィオレンサ公爵令嬢。
彼女は自分と会おうともしなかった。
公爵令嬢がそれを許されるなら、自分だって好ましく思える相手を望んでもいいじゃないか。
愚かにもライアンはあの時そう思ってしまったのだ。
クラスが違うシシリーは、休み時間のたびにライアンたちの元を訪れていたが、やがて教師に注意され、Sクラスに立ち入り禁止となった。
泣いて悲しむシシリーに、ライアンたちは昼休みと放課後はシシリーとの時間を作ると約束し、王族や高位貴族の専用のカフェを占領していた。
そして、ある日シシリーが泣きながら言ったのだ。
「リリアナ様に、男爵令嬢風情が王族と高位貴族専用のカフェを使うなど図々しい!身の程を弁えろ、と言われたんですぅ」
ライアンは双子の妹のリリアナが、キツい物言いをするものの、本当は優しいことをよく理解している。
それにリリアナは、自分に意見出来る高位貴族の人間には苦言を直接言うが、下位貴族には直接は文句を言うことはない。
それは分かっていたが、シシリーが嘘をついているとは思わなかった。
だから、リリアナに文句を言いに行ったのだ。
結果として、リリアナにはシシリーの言動を改めさせて、王太子妃に相応しい人間にさせろと正論を説かれ、ルーナやランスロットには冷たい目で見られた。
「きっと、リリアナ様がライアン様を取られたくなくて、私が教室に行けないように先生に言いつけたんですよぉ」
「もしかしたらフィオレンサ公爵令嬢もグルかもしれませんね」
「フィオレンサ公爵令嬢か。きっと、殿下の婚約者になろうとしているに違いない!だから、殿下の寵愛を受けているシシリーを虐げようとしているんだろう」
「え?でもフィオレンサ公爵家へ婚約を申し込んでいたのは王家・・・」
「きっとそうですぅ!」
アレックスとダグラスがフィオレンサ公爵令嬢もグルだと言い出し、それをセドリックが否定しようとするも、シシリーが大きく頷いてその声をかき消す。
ライアンは、シシリーのことを可愛いと思っている。
その貴族らしからぬ言動も、感情を表さない貴族令嬢に囲まれているライアンからすれば目新しく、好ましく見えた。
だけど王族として教育を受け、冷静に双子の妹に諭されたライアンは、今のアレックスやダグラス、そしてシシリーの言っていることが正しくないことに気付いた。
いや。
本当は最初から薄々気付いていた。
だけど、王妃である母がどれだけ望んでも婚約者となることを拒否するフィオレンサ公爵令嬢。
彼女は自分と会おうともしなかった。
公爵令嬢がそれを許されるなら、自分だって好ましく思える相手を望んでもいいじゃないか。
愚かにもライアンはあの時そう思ってしまったのだ。
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