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やるなら徹底的だそうです

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 わたくしとジークハルト様の婚約は、セオドア王国を除いて、国内外に公表されました。

 何故、セオドア王国を除くのかというと・・・

「あそこは誰も彼も愚か者だもの。絶対に何かやらかすに決まってるわ。だから、やって来た時に徹底的に叩き潰すために知らせないのよ」

 というのが、お母様の持論ですわ。

 何故か、お父様もお兄様もキャスリーンお義姉様も、伯父様も伯母様も、ジークハルト様までご機嫌なのは何故かしら?

 その上、その話を聞いたブラシール様が、

「あの勘違いしている男爵令嬢も一緒に片付けちゃえばいいよ」

 などと提案され、お母様たちに笑顔で了承されるということがありました。

 なんだか皆様の笑顔が、とても何かを企んでいらっしゃるように見えるのですが、気のせいでしょうか。

「アリスティアもいずれは王太子妃、王妃になるのだから、こういうことも覚えないとね」

 王妃殿下である伯母様が、そうおっしゃいます。

 ジークハルト様は「アリスティア嬢は今のまま、優しく綺麗なままで・・・いや、でも社交は王妃の務めだから・・・」とかブツブツおっしゃっていますけど、わたくしは伯母様の言葉に頷きました。

「すぐには無理ですけれど、少しずつ覚えて参ります」

 わたくしにも理解っているのです。

 何もキツい性格である必要はありませんし、優しくあることも大切ですが、人の上に立つ立場には、厳しいと思われる言動が求められます。

 よくないことを考える者に、いいように利用される王太子妃や王妃では困るのです。

 まっすぐなだけでも駄目だということは、伯母様やお母様を見ていてわかります。

 それにキャスリーンお義姉様もシャルロット様も、お優しいしとても素敵な淑女ですが、それだけではないように思います。

 いえ。わたくしのは優しいというよりは甘いのでしょう。

 わたくしは、ジークハルト様のお隣に立つことを心から望みました。

 ならば、もっと心を強く、強かにならなければなりません。

 お母様もお父様も頷いて下さいます。
わたくしの考えは間違ってはいないようです。良かったですわ。

「アリスティア嬢。頑張るのはいいけれど、無理はしないで欲しい。手助けが必要な時は、僕はもちろん母上にも叔母上にも頼ればいいのだから」

「ふふっ。分かっております。ちゃんと相談いたしますわ。わたくしはまだまだ未熟者ですもの」

 淑女や王太子妃の勉強は出来ていても、人の上に立つ者としての強さはわたくしにはありません。

 でも、ジークハルト様の隣を誰にも譲りたくありませんもの。

 頑張りますわ。
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