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17.恋を知るかもしれません
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私とアスラン第二王子殿下の婚約が結ばれた。
ウィリアム殿下のお母様であるマデリーン王国王妃殿下は、異議を唱えられていたらしいけど、国王陛下がお認めになり、私はマデリーン王国王太子殿下の婚約者ではなく、クライゼン王国第二王子殿下の婚約者となった。
やっぱり王妃様は、私をウィリアム殿下の正妃にしたかったようね。
そして婚約が成立して一週間後に、私とアスラン様に王宮で開かれる夜会への招待状が届いた。
「夜会か。なら、急いでアイシュのドレスを作ろう」
「・・・お願いします」
アスラン様は、蜂蜜色の髪にエメラルド色の瞳をされている。
夜会のドレスは、基本的に婚約者が贈ってくれるものだから、今回はお願いしておこう。
一度袖を通したドレスでも、宝飾品を変えて着ることもあるけれど、夜会で同じドレスを着ることはない。
それに、私のドレスはウィリアム殿下のお色で作ってあるものが大半だから、全て作り直さなきゃだわ。
クライゼン王国での流行もあるだろうし、調べてから作らないといけないわね。
今までは、ウィリアム殿下のエスコートで、王族の入場のタイミングだったけど、今回初めて公爵家として入場になるわ。
ウィリアム殿下は、意中の男爵令嬢をエスコートされるのかしら?
そういえば、あの最後のお茶会以降お会いしていないわ。
婚約解消はお父様にお任せしていたし。
「アイシュ、何か考え事?」
「いえ。ウィリアム殿下は今回、意中の方をエスコートされるのかなと考えていたんです。婚約解消もお父様にお任せしていましたし、こんなふうに会わなくても何も思うところがないので、やっぱり私と殿下は友人だったのだなと思っていたのです」
「・・・他の男のことを考えては欲しくないけど、ウィリアムは十六年間ずっとアイシュの婚約者だったんだものな。でも、今後は僕のことだけを考えて欲しい」
「・・・努力しますわ」
ウィリアム殿下にそんなことを言われたことがないから、戸惑ってしまうわ。
でも、少し胸がドキドキする。
私の中で、アスランは『優しいお友達』だった。
最初は全然打ち解けなくて、笑わなくて、とにかく笑って欲しくて毎日毎日話しかけたわ。
部屋に閉じこもっていたアスランに、お菓子を持って会いに行って、そのままアスランの部屋で眠ってしまって翌日にお母様に叱られたこともあったわね。
あの頃は『お友達』だと思っていたけど、ウィリアム殿下からは向けられたことのない気持ちを向けられて・・・
私、アスランとなら恋をするかもしれないと思った。
ウィリアム殿下のお母様であるマデリーン王国王妃殿下は、異議を唱えられていたらしいけど、国王陛下がお認めになり、私はマデリーン王国王太子殿下の婚約者ではなく、クライゼン王国第二王子殿下の婚約者となった。
やっぱり王妃様は、私をウィリアム殿下の正妃にしたかったようね。
そして婚約が成立して一週間後に、私とアスラン様に王宮で開かれる夜会への招待状が届いた。
「夜会か。なら、急いでアイシュのドレスを作ろう」
「・・・お願いします」
アスラン様は、蜂蜜色の髪にエメラルド色の瞳をされている。
夜会のドレスは、基本的に婚約者が贈ってくれるものだから、今回はお願いしておこう。
一度袖を通したドレスでも、宝飾品を変えて着ることもあるけれど、夜会で同じドレスを着ることはない。
それに、私のドレスはウィリアム殿下のお色で作ってあるものが大半だから、全て作り直さなきゃだわ。
クライゼン王国での流行もあるだろうし、調べてから作らないといけないわね。
今までは、ウィリアム殿下のエスコートで、王族の入場のタイミングだったけど、今回初めて公爵家として入場になるわ。
ウィリアム殿下は、意中の男爵令嬢をエスコートされるのかしら?
そういえば、あの最後のお茶会以降お会いしていないわ。
婚約解消はお父様にお任せしていたし。
「アイシュ、何か考え事?」
「いえ。ウィリアム殿下は今回、意中の方をエスコートされるのかなと考えていたんです。婚約解消もお父様にお任せしていましたし、こんなふうに会わなくても何も思うところがないので、やっぱり私と殿下は友人だったのだなと思っていたのです」
「・・・他の男のことを考えては欲しくないけど、ウィリアムは十六年間ずっとアイシュの婚約者だったんだものな。でも、今後は僕のことだけを考えて欲しい」
「・・・努力しますわ」
ウィリアム殿下にそんなことを言われたことがないから、戸惑ってしまうわ。
でも、少し胸がドキドキする。
私の中で、アスランは『優しいお友達』だった。
最初は全然打ち解けなくて、笑わなくて、とにかく笑って欲しくて毎日毎日話しかけたわ。
部屋に閉じこもっていたアスランに、お菓子を持って会いに行って、そのままアスランの部屋で眠ってしまって翌日にお母様に叱られたこともあったわね。
あの頃は『お友達』だと思っていたけど、ウィリアム殿下からは向けられたことのない気持ちを向けられて・・・
私、アスランとなら恋をするかもしれないと思った。
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