私の愛した婚約者は死にました〜過去は捨てましたので自由に生きます〜

みおな

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34.しばらく留守にします

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 フランチェスカ様の婚約者である王太子殿下が、一ヶ月の海外視察に向かわれることになった。

「寂しいですね、フラン様」

「仕方ないわ。王太子としての公務ですもの。アイシュとアスランがいてくれるのが救いだわ」

「あの・・・それなんですけど、婚約解消の書類の血判が必要らしくて、マデリーン王国との国境の街まで両親が来ることになっていますの。それで、両親と会うのも久しぶりなので数日間一緒に過ごそうかと・・・」

 運悪く、王太子殿下が公務に出かける時期と重なってしまったのよね。

 国王陛下が認めてくださった婚約解消だけど、ちゃんと書類を提出しないと後で不備だと揉める元になるのよね。

 私が帰るのが危険だからと、わざわざ両親が来てくれるので、私としても日にちをずらすわけにはいかないのよ。

 特にお父様はお仕事を、その数日のために調査してくださったんだもの。

「え・・・ええーっ?」

 寂しそうなフランチェスカ様に申し訳なくて、ずっと言えなかったのよね。

「え?じゃあ、アスランもいなくなるの?」

「い、いえ、私だけですわ。アスラン様は王太子殿下がいらっしゃらない間の公務もありますから」

 本当は付いて来ると言ってくださったんだけど、フランチェスカ様のこともあるし、本当に公務もあるのでお断りした。

 リュカとアデラがいるし、お父様たちも二人の両親と一緒に来ると言ってたから、やっとアデラをご両親に会わせてあげられるわ。

「じゃあ、アスランはお留守番なのね?」

「僕だってついて行きたかったさ。だけど、これでも第二王子だからな。兄上の留守の間の公務は、ちゃんとやらないと」

「ふふっ。両親と少し一緒に過ごしますが、半月ほどで戻って来れますわ。王太子殿下よりは早く戻って来られると思います」

 クライゼン王国に来てから、ずっとアスラン様とご一緒だったから・・・私も寂しいけれど、フランチェスカ様の前では言えないわ。

「仕方ないわ。長いことご家族と会ってなかったものね。アスランでするわ。せっかく会えるんですもの、ゆっくり過ごしてらっしゃいな」

「僕で我慢ってなんだよ。アイシュ。離れるのは寂しいけれど、婚約解消の書類のためだし、僕も我慢するよ。楽しんでおいで」

「アスラン様、フラン様、ありがとうございます。明後日の王太子殿下の出立の後に私も国境に向かいますわ。フラン様、何かお土産を買って来ますわ。アスラン様、お仕事頑張って下さいね?」

「「帰りを待ってる(わ)。気をつけて(ね)」」
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