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80.この涙の意味は
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「アイシュ・フローレンス公爵令嬢。俺の妻になってもらえませんか」
妻・・・
今、リュカは妻って言った?
ドクドクと心臓が大きな音を立てる。
跪いたリュカの手には、銀色の華奢な指輪が入った小箱が。
「・・・ッ!お嬢様っ!そんなにお嫌だとは思わず、申し訳ございません!」
嫌だわ、リュカってば。
嫌なわけないのに、どうしてそんなことを言うのかしら。
そう思った私は、頰に手を当てて首を傾げようとして・・・
その頬が濡れていることに初めて気付いた。
え?
私、泣いてる?
「リュカ・・・」
「泣くほど嫌だとは思わず。異性としてではなくとも、少しくらいは好意を持ってくださっていると自惚れ・・・本当に申し訳ございません」
「違う」
「は?」
嫌なわけない。
異性として見ていたかと言われると、そこは少し違うけど、でも!
「違う。嫌なわけない。絶対そうだとは言えないけれど、この涙は・・・多分だけど、嬉しいからだと思う」
「嬉しい・・・」
「そう。リュカに、好きだと言ってもらえて嬉しいと思ったわ。だから、嬉しくて出た涙だと思うの」
私がそう言うと、リュカはその端正な顔でそれこそ嬉しそうに微笑んだ。
何、この破壊力。
美形なのは分かってたけど、そういう目で見たことがなかったのよね。
リュカって、モテるんじゃないかしら。
男爵家の次男だけど、公爵家の令嬢つまり私ね、に仕えているし、絶対にモテるわよね。
「リュカって・・・すごくモテるんじゃないの?」
「は?」
「だってかっこいいもの。絶対モテるでしょ?恋人がいたこととか・・・」
「ちょ、ちょっと待って下さい。俺がかっこいい?お嬢様はそう思ってくださるんですか?」
え?リュカってば何言ってるの?
「リュカこそ、何言ってるの?周囲にだって言われたことあるでしょ?どう見てもかっこいいじゃない」
「〰︎!」
リュカが真っ赤になって、蹲ってしまった。
え?なに?
こんなリュカを見たの初めてだわ。
私は自分がリュカにプロポーズされたことも忘れて、マジマジとリュカを見つめリュカの前にしゃがみ込んだ。
「ふふっ。リュカってば照れてるの?可愛いわ」
「っ!」
「え?」
ニコニコとリュカを見ていると、そのまま顔を上げたリュカに抱きしめられた。
「ちょ、リュカ!」
「お嬢様が揶揄うのが悪いんですよ!俺はお嬢様が好きなんです。他の人間にモテても何も嬉しくありません。まぁ、綺麗で可愛らしいお嬢様の隣に立つに相応しい容姿ではありたいと思いますけどね」
妻・・・
今、リュカは妻って言った?
ドクドクと心臓が大きな音を立てる。
跪いたリュカの手には、銀色の華奢な指輪が入った小箱が。
「・・・ッ!お嬢様っ!そんなにお嫌だとは思わず、申し訳ございません!」
嫌だわ、リュカってば。
嫌なわけないのに、どうしてそんなことを言うのかしら。
そう思った私は、頰に手を当てて首を傾げようとして・・・
その頬が濡れていることに初めて気付いた。
え?
私、泣いてる?
「リュカ・・・」
「泣くほど嫌だとは思わず。異性としてではなくとも、少しくらいは好意を持ってくださっていると自惚れ・・・本当に申し訳ございません」
「違う」
「は?」
嫌なわけない。
異性として見ていたかと言われると、そこは少し違うけど、でも!
「違う。嫌なわけない。絶対そうだとは言えないけれど、この涙は・・・多分だけど、嬉しいからだと思う」
「嬉しい・・・」
「そう。リュカに、好きだと言ってもらえて嬉しいと思ったわ。だから、嬉しくて出た涙だと思うの」
私がそう言うと、リュカはその端正な顔でそれこそ嬉しそうに微笑んだ。
何、この破壊力。
美形なのは分かってたけど、そういう目で見たことがなかったのよね。
リュカって、モテるんじゃないかしら。
男爵家の次男だけど、公爵家の令嬢つまり私ね、に仕えているし、絶対にモテるわよね。
「リュカって・・・すごくモテるんじゃないの?」
「は?」
「だってかっこいいもの。絶対モテるでしょ?恋人がいたこととか・・・」
「ちょ、ちょっと待って下さい。俺がかっこいい?お嬢様はそう思ってくださるんですか?」
え?リュカってば何言ってるの?
「リュカこそ、何言ってるの?周囲にだって言われたことあるでしょ?どう見てもかっこいいじゃない」
「〰︎!」
リュカが真っ赤になって、蹲ってしまった。
え?なに?
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「ふふっ。リュカってば照れてるの?可愛いわ」
「っ!」
「え?」
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「ちょ、リュカ!」
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