私の愛した婚約者は死にました〜過去は捨てましたので自由に生きます〜

みおな

文字の大きさ
104 / 105

番外編:この手の中の幸せ〜リュカ視点〜

しおりを挟む
「ん・・・」

 静かに寝息をたてる妻。

 俺の腕枕で、俺に身を擦り寄せるようにして眠るアイシュお嬢様。

 俺がお仕えするフローレンス侯爵令嬢であるアイシュお嬢様と、三日前に結婚した。

 結婚式のお嬢様は・・・
控えめに言って女神だった。

 お嬢様が美しいのは容姿だけではない。
 所作も、いやその存在自体が美しい。

 結婚式には、クライゼン王国の王族にアンブレラ王国の王族まで参列した。

 お嬢様は眉を下げて「ごめんなさいね?」と謝って下さった。

 謝ることなんてない!

 俺が小さな教会で式を挙げることを望んでいたことを知っていたお嬢様は、結婚式の数日前に、二人きりで小さな教会で愛を誓ってくれたのだから。

 それに。
お嬢様は、たくさんの人たちに祝って貰うべきだ。

 誰もがお嬢様のことが大好きなんだから。

 結婚を祝うパーティー途中で、初夜の準備のために俺たちは退出し・・・

 俺は、ちょっと、その・・・
暴走してしまった。

 だって、仕方ないだろう?
ずっとお慕いしていたお嬢様が、俺の妻になって、俺の腕の中で乱れてるんだから。

 歯止めなんて効かなかった。

 お嬢様が気を失ってしまわれたことで、ようやく自我を取り戻した俺は、翌朝目覚めたお嬢様に誠心誠意謝罪した。

 お嬢様は苦笑しながら「いいの。リュカは私の旦那様なんだから、そんな謝らないで」と優しく許して下さった。

 やはり、お嬢様は女神だ。

 その後、お嬢様の願い通りにエルハザード王国に旅行に出て、三日三晩お嬢様・・・あ、あ、アイシュを愛で・・・

 そして今朝に至る。

 お嬢様からは、散々アイシュと名で呼ぶように言われるのだが、中々染みついた習慣は抜けない。

 それに夫となったからと言って、お嬢様がフローレンス侯爵家のお嬢様だということは変わらない。

 い、いや・・・
若奥様か。

「んっ・・・リュカ?」

「おはようございます・・・いや、えと、おはよう」

「おはよう、旦那様」

 旦那様!

 その愛らしい笑顔に、俺はお嬢・・・アイシュを強く抱きしめた。

「ちょ、ちょっと・・・リュカ・・・んっ!」

 何度も触れるだけのキスを繰り返して、そして深く口付ける。

 腕の中で乱れるアイシュをベッドに縫い付け、強く、強く、俺のものだと印を付けていく。

 エルハザード王国で、アイシュに観光させてあげられたのは、初日と最後の二日だけだった。

 往復八日かかるため、二十日休みを貰ったが一ヶ月もらうべきだったか。

「今度来る時は、で来ましょうね」

 観光はあまり出来なかったが、ご機嫌な妻の肩を抱く。

 次に来る時は、その手に愛しい我が子を抱いて来ることになるのかと、頬が緩んだ。

しおりを挟む
感想 214

あなたにおすすめの小説

【完結】もう誰にも恋なんてしないと誓った

Mimi
恋愛
 声を出すこともなく、ふたりを見つめていた。  わたしにとって、恋人と親友だったふたりだ。    今日まで身近だったふたりは。  今日から一番遠いふたりになった。    *****  伯爵家の後継者シンシアは、友人アイリスから交際相手としてお薦めだと、幼馴染みの侯爵令息キャメロンを紹介された。  徐々に親しくなっていくシンシアとキャメロンに婚約の話がまとまり掛ける。  シンシアの誕生日の婚約披露パーティーが近付いた夏休み前のある日、シンシアは急ぐキャメロンを見掛けて彼の後を追い、そして見てしまった。  お互いにただの幼馴染みだと口にしていた恋人と親友の口づけを……  * 無自覚の上から目線  * 幼馴染みという特別感  * 失くしてからの後悔   幼馴染みカップルの当て馬にされてしまった伯爵令嬢、してしまった親友視点のお話です。 中盤は略奪した親友側の視点が続きますが、当て馬令嬢がヒロインです。 本編完結後に、力量不足故の幕間を書き加えており、最終話と重複しています。 ご了承下さいませ。 他サイトにも公開中です

婚約破棄を望むなら〜私の愛した人はあなたじゃありません〜

みおな
恋愛
 王家主催のパーティーにて、私の婚約者がやらかした。 「お前との婚約を破棄する!!」  私はこの馬鹿何言っているんだと思いながらも、婚約破棄を受け入れてやった。  だって、私は何ひとつ困らない。 困るのは目の前でふんぞり返っている元婚約者なのだから。

私のことはお気になさらず

みおな
恋愛
 侯爵令嬢のティアは、婚約者である公爵家の嫡男ケレスが幼馴染である伯爵令嬢と今日も仲睦まじくしているのを見て決意した。  そんなに彼女が好きなのなら、お二人が婚約すればよろしいのよ。  私のことはお気になさらず。

私との婚約は政略ですから、恋人とどうぞ仲良くしてください

稲垣桜
恋愛
 リンデン伯爵家はこの王国でも有数な貿易港を領地内に持つ、王家からの信頼も厚い家門で、その娘のエリザベスは10歳の時にコゼルス侯爵家の二男のルカと婚約をした。  王都で暮らすルカはエリザベスより4歳年上で、その時にはレイフォール学園の2年に在籍中。  そして『学園でルカには親密な令嬢がいる』と同じ学園に通う兄から聞かされたエリザベス。  エリザベスはサラサラの黒髪に海のような濃紺の瞳を持つルカに一目惚れをしたが、よく言っても中の上の容姿のエリザベスが婚約者に選ばれたことが不思議だったこともあり、侯爵家の家業から考え学園に入学したエリザベスは仲良さそうな二人の姿を見て『自分との婚約は政略だったんだ』と、心のどこかでそう思うようになる。  そしてエリザベスは、侯爵家の交易で使用する伯爵領地内の港の使用料を抑える為の政略結婚だったのだと結論付けた。    夢見ていたルカとの学園生活は夢のまま終わり、婚約を解消するならそれでもいいと考え始めたエリザベス。  でも、実際にはルカにはルカの悩みがあるみたいで……   ※ 誤字・脱字が多いと思います。ごめんなさい。 ※ あくまでもフィクションです。 ※ ゆるふわ設定のご都合主義です。 ※ 実在の人物や団体とは一切関係はありません。

私のことを愛していなかった貴方へ

矢野りと
恋愛
婚約者の心には愛する女性がいた。 でも貴族の婚姻とは家と家を繋ぐのが目的だからそれも仕方がないことだと承知して婚姻を結んだ。私だって彼を愛して婚姻を結んだ訳ではないのだから。 でも穏やかな結婚生活が私と彼の間に愛を芽生えさせ、いつしか永遠の愛を誓うようになる。 だがそんな幸せな生活は突然終わりを告げてしまう。 夫のかつての想い人が現れてから私は彼の本心を知ってしまい…。 *設定はゆるいです。

あなたなんて大嫌い

みおな
恋愛
 私の婚約者の侯爵子息は、義妹のことばかり優先して、私はいつも我慢ばかり強いられていました。  そんなある日、彼が幼馴染だと言い張る伯爵令嬢を抱きしめて愛を囁いているのを聞いてしまいます。  そうですか。 私の婚約者は、私以外の人ばかりが大切なのですね。  私はあなたのお財布ではありません。 あなたなんて大嫌い。

【完結】彼の瞳に映るのは  

たろ
恋愛
 今夜も彼はわたしをエスコートして夜会へと参加する。  優しく見つめる彼の瞳にはわたしが映っているのに、何故かわたしの心は何も感じない。  そしてファーストダンスを踊ると彼はそっとわたしのそばからいなくなる。  わたしはまた一人で佇む。彼は守るべき存在の元へと行ってしまう。 ★ 短編から長編へ変更しました。

もうあなた達を愛する心はありません

佐藤 美奈
恋愛
セラフィーナ・リヒテンベルクは、公爵家の長女として王立学園の寮で生活している。ある午後、届いた手紙が彼女の世界を揺るがす。 差出人は兄ジョージで、内容は母イリスが兄の妻エレーヌをいびっているというものだった。最初は信じられなかったが、手紙の中で兄は母の嫉妬に苦しむエレーヌを心配し、セラフィーナに助けを求めていた。 理知的で優しい公爵夫人の母が信じられなかったが、兄の必死な頼みに胸が痛む。 セラフィーナは、一年ぶりに実家に帰ると、母が物置に閉じ込められていた。幸せだった家族の日常が壊れていく。魔法やファンタジー異世界系は、途中からあるかもしれません。

処理中です...