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第3章

悪役令嬢の評価《ハルトナイツ視点》

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 カムシーナ王国の筆頭公爵家であるヴァレリア公爵家の至宝、ヴィヴィ・ヴァレリア公爵令嬢。

 真っ直ぐに伸びた銀色の髪はサラサラと風に靡き、銀の瞳は光を弾いて、キラキラと輝いている。

 齢15歳だというのに、清楚でありながら、大人っぽさのある容姿。
 真っ白な肌に、紅く色づく唇。長いまつげに、容易く手折れそうなほど細く華奢な身体。

 初めて見た瞬間から、僕は彼女から目が離せなくなってしまった。

 僕の名前は、ハルトナイツ・レンブラント。
レンブラント皇国の皇太子で、現在17歳だ。

 僕がカムシーナ王国に留学することになったのは、婚約者探しのためだ。

 カムシーナ王国の王族は王子殿下ばかりで、僕の婚約者となれる王女はいない。
 だから、当初は他国へ留学する予定だった。

 だが、以前僕の立太子の際に祝いに来てくれて以来、親交しているカムシーナの第1王子、サイラス・エトワールからの手紙で、僕はカムシーナ王国への留学を決めた。

『筆頭公爵家のご令嬢と、我が弟の婚約が解消されました』

 第2王子殿下の、サイード・エトワールと婚約していたという公爵令嬢。
 何か問題があって、婚約者の挿げ替えになったのなら、サイラス殿が僕に手紙など寄越すわけがない。

 僕は今年中には、婚約者を決めなくてはならない。
 だから、サイラス殿の手紙に一縷の望みをかけてカムシーナ王国へとやってきたのだ。

 サイラス殿に教えられ、初めて見た彼女は、さながら月の女神のようだった。

 まだ愛らしさの残る、その整った美貌。
制服姿のためにハッキリとわかるわけではないが、その女性らしい曲線に富んだ体型は、細身のドレスを着たならば蠱惑的だろう。

 しかも筆頭公爵家のご令嬢で、成績もトップクラス。

 僕の隣に並んだとして、決して見劣りせず、見た目も中身も皇太子妃として相応しい女性だと言える。

 何故、これほどの女性と婚約を解消することとなったのか。

 そう尋ねた僕に、サイラス殿は侯爵家のご令嬢がサイード殿を慕っていた為、彼女がその座を辞したのだと教えてくれた。

 美しい上に、友情にも厚いとは。
彼女は本当に女神なのかもしれない。

 サイラス殿はもちろん、彼の婚約者であるシーラ・メイヴィス公爵令嬢もヴィヴィ・ヴァレリア公爵令嬢のことを絶賛していた。

 本来なら、カムシーナ王国から出したくない。だが、齢5歳の第3王子の婚約者にするわけにはいかない。
 それに、彼女が嫁げるほどの高位貴族にはほとんど婚約者がいて、彼女もその婚約者たちと懇意にしているそうだ。

 それで、僕の存在を思い出してくれたらしい。サイラス殿には、感謝しかない。

 僕はもう、彼女を手に入れることしか頭になかった。



 



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