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10歳

80ページ:帰還

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 結局、アル兄様は何も異論を唱えないまま、その場から立ち去った。
 マモンとマズルも、明日の朝に王宮に来ることを約束した上で、ブロワー伯爵家へ帰って行った。

 お父様とお母様には、明日の朝にマモンたちを送って行く前に、ノワールたちからの調査についての報告をすると伝えて、全員、謁見の間から下がることとなった。

 私は、部屋に戻ると湯浴みをしてから楽なドレスへと着替える。

 12歳の身としては、そろそろ眠るべきなんだろうけど、幸いチート能力のおかげで寝不足でも支障はない。

 ノワールたちが戻ってくるのを待つ間、呪具に対抗する魔法具が作れないか考えることにした。

 呪法は無魔法の管轄だから、出来ないことはないはず。よくラノベとかで魅了の魔法を防ぐアイテムや魔法って出てきてたし。

 で。結論。
思いつく前に、ノワールたちが帰って来ちゃった。

『マスター。ただいま戻りました』

「お帰りなさい、ノワール。アポステリオリ」

 部屋にあるソファーに座ってもらって(座る座らないで、しばらく押し問答があった。で、権力強行で無理やり座らせた)話を聞くことにする。

 え?ベッドのある部屋に男?の人を入れて恥ずかしくないのかって?

 いや。全然?
だって精霊王だし。お父様やアル兄様たちだって普通に入ってくるし。

 恥ずかしと思わない時点で、やっぱりアル兄様は家族だったんだろうなぁ。

 悪いことしちゃったな。もっと早く、恋愛対象として見れないって断ってあげるべきだった。

「報告を」

『かしこまりました。まずは、あの教皇という人間についてですが・・・』

『マスターぁぁぁ!申し訳ございませんんんんん!!!』

 いきなりの叫び声と共に、金髪を振り乱した美女が空間から現れた。

 えーと。誰だ?
金髪ということは、光の精霊王?確か、名前は・・・

『レディアント!大声を出すな』

 そうそう。レディアントだ。
ロイおじ様は教会関係者だし、加護を与えてるのは光か。

 それはともかく、何故に謝罪?
大声出しても防音魔法はかけてるから構わないけど、突然だったからびっくりしたわ。

『うゔっ!マスター、申し訳ございませんんん。私が!私が!あの者に力を貸し与えたばかりにぃぃぃ』

「・・・ノワール。説明を」

 泣きわめくばかりで、全く分からん。
光の精霊王と契約してるんだ、ロイおじ様。さすが、教皇というべきかな。

 というか、ノワールとアポステリオリは落ち着いてるのに。セイクレッドもだけど、女性体の方がテンション高めなのかな。


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