【完結済み】妹の婚約者に、恋をした

鈴蘭

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何も分かっていない母と妹

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 「貴方って子は、見た目だけではなく、性格まで醜いのね!デイジーに嫉妬して、アーノルドに嘘を吹き込むなんて、浅ましいにも程があります」
 「お姉様が嘘をついたせいで、パーティへは勝手に行かない様にと言われたのよ。それどころか、デートのお誘い迄減ったの。ドレスも外出着も、仕立ててはいけないと言われたのだって、お姉様が何か言ったに決まっているわ」
 「そうよ、マーガレット。今直ぐアーノルドへ嘘を付いたと、謝罪なさい」
 「嘘を付いたのではありません。私は帳簿を見せただけです。このままでは、伯爵家の負債が増えて没落してしまいます」

 「嘘仰い。私が嫁ぐ時に、負債は全てお父様が返済したわ。この家は、私のお蔭で成り立っているのよ」
 「そうよ、お母様に嫌われているからって、嫌がらせしないで」
 「可哀想なデイジー、心配しなくてもいいのよ。ドレスは私の持参金で仕立ててあげるわ」
 「嬉しい、お母様大好き」
 「持参金なんて、ありませんよ」
 私は自分でも驚くほど、低い声が出た。

 「何ですって?」
 「お母様の浪費で、持参金は、とうの昔に底を付いています。お爺様に何度か助けて頂きましたが、お母様とデイジーの浪費で、マイナスになっています。未だ返済が出来ていない宝石やドレス代の請求書を、何度もお見せしたでしょう。これ以上は…」
 「お黙りっ」
 パシーンと音がして、私はバランスを崩し、床に転がってしまった。
 頬がジワジワと痛み出した、打たれてしまったのね。
 「生意気な事を!何処迄私を苛立たせれば、気が済むの。いい加減な事ばかり言って、性格迄サイラスにそっくりだわ。忌々しい」
 私に侮蔑の眼差しを向けた後で、デイジーに微笑みを向けるお母様の心変わりに、感心してしまう。

 「デイジー、お父様に手紙を出しましょう。今迄より、もっと豪華で素敵なドレスを仕立ててくれるわ」
 「お母様本当?私、お爺様は苦手なのだけれど、大丈夫かしら?」
 「何も心配いらないわ、私に任せなさい」
 母娘が仲睦まじく去って行くのを、黙って見送った。
 「何も分かっていないのね…」
 
 お父様は、体よくお母様を、押し付けられたのよ。
 お父様が背負った負債額よりも、お母様の浪費で増えた負債額の方が上回っている事を、まるで理解していないわ。
 お母様のせいで、伯爵家の物は皆、借金の担保になっているの。
 お爺様が匙を投げたから、レジット侯爵家が手を差し伸べてくれたと言うのに。
 このまま借金が膨れ上がったら、伯爵家は没落して、全てがレジット侯爵家の物になるのよ。

 何のメリットも無い、負債だらけの家に、入り婿なんて来る訳ないのに…
 アーノルド様も、負債の原因を知って、驚いたでしょうね。
 お母様は政略結婚の意味が分かっていないのよ、本当に困った人達。
 

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