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第十二話 迎えの馬車 エリス side
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私に手に入れられないものはない。
どんな綺麗な服だって宝石だって――
だけど今の身分では全部は難しい。
このところの悩みはそれなのよね。
暇つぶしにお姉様の物を貰ってみたけれど、だんだん飽きてきちゃった。
婚約者も子爵家じゃ、たいしたものないだろうしなぁ。
え? 神託の花嫁!? それって王族と結婚できるのよね!?
私に似合うドレス、装飾品、宝冠だって貰えるかも!!
そう思ったのに――
は? 選ばれたのはお姉様っ!?
ちょっと待ってよ、何の冗談なの!? お姉様が『神託の花嫁』だなんてそんなこと有り得ないじゃないのっ!!
私がそう言うとお父様とお母様、そしてもちろんお姉様もすんなり認めてくれて、私が『カーラ・マルボーロ男爵令嬢』として王城へ向かうことになった。
これで私が王太子妃だわっ!!
婚約者のテオには悪いけど、もう一度お姉様の婚約者に戻るだけだし、何の問題もないわよね。え? お姉様の婚約者はお断りですって? まあ、お姉様って地味だから。
もう少しおしゃれすればいいのにね。
お姉様って昔からそうだった。
いつも勉強ばかりさせられてかわいそうなお姉様。
以前どうしてなの? とお母様に聞いたら、
『あの子にはそれくらいやって貰わないとね』
って言っていたけれど、それってやっぱりお姉様にはお勉強くらいしか取り柄がない、ってことなのよね。
実際テオとの婚約も結婚後はお姉様が実務をする、ってことでまとまったみたい。
そうまでしないと婚約もまとまらないなんて、お可哀そうなお姉様。
そんなお姉様が『神託の花嫁』?
有り得ないわ。
絶対これって何かの間違いだわ。
だから修正したのよ。
そうしてお姉様はもう一度テオと婚約し直すことになったのだけど、あらら、断られちゃった。
よっぽどお姉様のことが嫌だったのね。
結局お姉様は『エリス・マルボーロ男爵令嬢』として修道院へ入ることが決まった。
可哀そうなお姉様。
そしてマルボーロ男爵家へ『神託の花嫁』を迎える王城からの馬車が来た。
いよいよだわ。
「カーラ・マルボーロ男爵令嬢をお迎えにあがりました」
そう言って来たのは白髪交じりのおばさんでベス・マスクリューと言った。
なんか厳しそうなおばさん。ちょっと嫌かも。
そう思ったのは向こうも同じみたいで馬車の中でも、
「まったく。こんな教養のかけらもない娘だったんなんて」
小さく呟いたつもりだろうけど、聞こえてるんだから!!
ここで黙ってるなんて許せないわ!!
正しい人に神様は味方するんだからね!!
「ちょっと、聞こえてるんですけど!! 今のって『神託の花嫁』の私に対してずいぶん失礼じゃないの!?」
思わず怒鳴っちゃったけど、いいよね。
というか何か馬車も思ったより豪華じゃなくて、あんまり煌びやかじゃないんだけど。何で?
そう思った時、ため息が聞こえてきた。
「一応王太子殿下とは面会させます。ですがその後のことはこちらは関与しませんので」
え?
もしかして私がお姉様じゃないってバレてる?
まあ、そりゃあそうかもね。
見た目は全然似てないもの。
だけど、この私の姿を見たら王太子殿下だって考えを変えるに決まってるわ。
「ああ、だからこんな馬車なのね。でもそんな心配いらないのに」
ご苦労様だこと。
そう続けると苦い表情が返って来た。
「王城までは出来る限り人と顔を合わせないようにお願いします」
ふうん、どこまでも私が王太子殿下に振られる、って考えなんだ。
そう言えばお父様たちも付いて来たがったのよね。
あっさり断られていたけれど。
そんなに私と離れたくなかったのかしら。
「とにかく王城へ着くまではおとなしくなさってください」
嫌な言い方。
王城までは二週間。
その間私が思ったのは――
何か扱い雑じゃない?
寝台は固いし、食事はパンとスープ。
これじゃ家にいた方がずっと良い生活してたわよ!!
でも向こうに着いたら全然違うわよね!!
楽しみだわ!!
それなのに――
「何だ。この無礼な女は」
……は?
どんな綺麗な服だって宝石だって――
だけど今の身分では全部は難しい。
このところの悩みはそれなのよね。
暇つぶしにお姉様の物を貰ってみたけれど、だんだん飽きてきちゃった。
婚約者も子爵家じゃ、たいしたものないだろうしなぁ。
え? 神託の花嫁!? それって王族と結婚できるのよね!?
私に似合うドレス、装飾品、宝冠だって貰えるかも!!
そう思ったのに――
は? 選ばれたのはお姉様っ!?
ちょっと待ってよ、何の冗談なの!? お姉様が『神託の花嫁』だなんてそんなこと有り得ないじゃないのっ!!
私がそう言うとお父様とお母様、そしてもちろんお姉様もすんなり認めてくれて、私が『カーラ・マルボーロ男爵令嬢』として王城へ向かうことになった。
これで私が王太子妃だわっ!!
婚約者のテオには悪いけど、もう一度お姉様の婚約者に戻るだけだし、何の問題もないわよね。え? お姉様の婚約者はお断りですって? まあ、お姉様って地味だから。
もう少しおしゃれすればいいのにね。
お姉様って昔からそうだった。
いつも勉強ばかりさせられてかわいそうなお姉様。
以前どうしてなの? とお母様に聞いたら、
『あの子にはそれくらいやって貰わないとね』
って言っていたけれど、それってやっぱりお姉様にはお勉強くらいしか取り柄がない、ってことなのよね。
実際テオとの婚約も結婚後はお姉様が実務をする、ってことでまとまったみたい。
そうまでしないと婚約もまとまらないなんて、お可哀そうなお姉様。
そんなお姉様が『神託の花嫁』?
有り得ないわ。
絶対これって何かの間違いだわ。
だから修正したのよ。
そうしてお姉様はもう一度テオと婚約し直すことになったのだけど、あらら、断られちゃった。
よっぽどお姉様のことが嫌だったのね。
結局お姉様は『エリス・マルボーロ男爵令嬢』として修道院へ入ることが決まった。
可哀そうなお姉様。
そしてマルボーロ男爵家へ『神託の花嫁』を迎える王城からの馬車が来た。
いよいよだわ。
「カーラ・マルボーロ男爵令嬢をお迎えにあがりました」
そう言って来たのは白髪交じりのおばさんでベス・マスクリューと言った。
なんか厳しそうなおばさん。ちょっと嫌かも。
そう思ったのは向こうも同じみたいで馬車の中でも、
「まったく。こんな教養のかけらもない娘だったんなんて」
小さく呟いたつもりだろうけど、聞こえてるんだから!!
ここで黙ってるなんて許せないわ!!
正しい人に神様は味方するんだからね!!
「ちょっと、聞こえてるんですけど!! 今のって『神託の花嫁』の私に対してずいぶん失礼じゃないの!?」
思わず怒鳴っちゃったけど、いいよね。
というか何か馬車も思ったより豪華じゃなくて、あんまり煌びやかじゃないんだけど。何で?
そう思った時、ため息が聞こえてきた。
「一応王太子殿下とは面会させます。ですがその後のことはこちらは関与しませんので」
え?
もしかして私がお姉様じゃないってバレてる?
まあ、そりゃあそうかもね。
見た目は全然似てないもの。
だけど、この私の姿を見たら王太子殿下だって考えを変えるに決まってるわ。
「ああ、だからこんな馬車なのね。でもそんな心配いらないのに」
ご苦労様だこと。
そう続けると苦い表情が返って来た。
「王城までは出来る限り人と顔を合わせないようにお願いします」
ふうん、どこまでも私が王太子殿下に振られる、って考えなんだ。
そう言えばお父様たちも付いて来たがったのよね。
あっさり断られていたけれど。
そんなに私と離れたくなかったのかしら。
「とにかく王城へ着くまではおとなしくなさってください」
嫌な言い方。
王城までは二週間。
その間私が思ったのは――
何か扱い雑じゃない?
寝台は固いし、食事はパンとスープ。
これじゃ家にいた方がずっと良い生活してたわよ!!
でも向こうに着いたら全然違うわよね!!
楽しみだわ!!
それなのに――
「何だ。この無礼な女は」
……は?
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