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第五十三話 マリー・ゴホーン男爵令嬢 side ⑤
ちょっと一体どうなってるのよ!?
『ゴホーン男爵令嬢。国家反逆罪及びルーベンス公爵家一家殺人未遂、及び禁忌の魔道具を用いての殺人、一部の貴族を陽動した罪にて後日裁判を行うことが確定した』
たんたんと読み上げられた罪状は身に覚えのないものばかりだった。
しかもあの後捕まって地下牢に収容されてるんだけど!!
国家反逆罪!? 殺人未遂!? 何を言ってるのか分からないってば!!
私はこの乙女ゲームの世界でジュズワーズ様と幸せになりたいだけなのに!!
あのユーフィリアが悪役令嬢のクセに全然邪魔してくれなかったから、ちょっとフライングみたいなことしただけなのに。
そうよ。何かおかしいと思ってたら悪役令嬢も転生者だったなんて!!
どうりでこっちに絡んでこないと思ったわ。
あれでしょ? 断罪されたくないから良い子にしてます、ついでに逆ハーもしちゃおうかな、とか何か考えてたんでしょ!?
そんなおいしいとこ取りなんてさせないんだからね!!
そう思って闇の魔道具まで使ったのに、まさかジュズワーズ様に邪魔されちゃうなんて。
あそこで転移の魔道具はないでしょ!!
私も魔力込めて逃走すればよかったんだけど、闇の魔道具に魔力使ってたからできなかった。
く、チートが欲しい!!
何? すでに転生してるのがチートじゃないかって? それは基本装備だから無視よ無視!!
どうやら込める魔力は少しでもいいらしくて、気が付いた時には室内には私ひとりだった。
ちょっとちょっと!!
嘘でしょ、と呆然としてる間に捕縛されちゃったんだけど、あれは動けないと思う。
だってせっかく闇の魔道具使ったのに。
ちなみに外に放り出された闇の魔道具の小箱はすぐに封印の効果を持つ布の形をした魔道具に包まれて不発だった。
ええー、何でここまで先読まれてるのよ!!
有り得ない、と思っているとどうやら王家の影に見張られていたらしい。
影って本来は王族とか、その伴侶となる相手を守るために動くのが基本なんだけど、私の場合は要注意人物、ってことで付けられていたみたい。
何でよ、こんなか弱い乙女に何考えてるのよ!!
あ、そうそう。こっちの世界の父親のゴホーン男爵はこの間面会に来て、親子の縁を切る、とか怒鳴られちゃったけど、別にふーん、そうですか、みたいな感じにしか思えなかった。
だって私、転生者だもの。
衣食住は面倒見て貰ったから一応感謝はしてるけど、それだけ。
あとは特にないかな。
言葉にしたらまた怒鳴られそうだから言わなかったけれど、何となく察したみたいで『もう二度と顔を見せるな』
とか言われたけど、そうですか、って感じだよね。
だってここ、乙女ゲームの世界だもの。
そんな薄い膜隔てたような距離感の相手に構ってられないじゃない。あ、ジュズワーズ様は別ね。
でもどうしようかな、これ。
今頃はジュズワーズ様とハピエンなっていたはずなのにな。
室内をざっと見てみるけど、石の壁にすごい地味なベット。それ以外何もない。
何かザ・独房、って感じよね。
食事は一応出るけど、一日二回固いパンに水、ってちょっと失礼じゃない?
肌に良いコラーゲン入りのスープとか、ビタミン補う果物とか、って思ったけど、こっちでは果物って高価な食べ物なんだよね。
何か輸入ルートが確立されてないから、欲しかったら自分で買いに行くか伝手で手に入れるしかないのよね。
ま、私は商人上がりの男爵家の令息に頼んで幾らでも手にいれてたけど。
ああ、考えたらまた食べたくなってきちゃったな、あのオレンジみたいな果物。
運んでくるまでに萎びちゃうから、ってそのまま運ばせてから目の前で綺麗な形にカットする、ってのを薦めたらトマスにめちゃくちゃ感謝されてたっけ。
何かこれで上位貴族をお得意様にできる、とか何とか。
商人の世界っていろいろあるのね。
そう言えばアルトやダクソンもどうしちゃったのかしら。
ちゃんと媚薬は飲ませたんだけどな。少し間が空いたから効き目切れちゃったかな。
なんてことを考えていた時だった。
鉄格子の向こうの廊下の先から何か叫び声が幾つも聞こえて来た。
何?
待て、とか聞こえるけれどもしかして――
「マリー。迎えに来たよ」
息を切らせながら鉄格子の向こうに現れたのはトマスだった。
『ゴホーン男爵令嬢。国家反逆罪及びルーベンス公爵家一家殺人未遂、及び禁忌の魔道具を用いての殺人、一部の貴族を陽動した罪にて後日裁判を行うことが確定した』
たんたんと読み上げられた罪状は身に覚えのないものばかりだった。
しかもあの後捕まって地下牢に収容されてるんだけど!!
国家反逆罪!? 殺人未遂!? 何を言ってるのか分からないってば!!
私はこの乙女ゲームの世界でジュズワーズ様と幸せになりたいだけなのに!!
あのユーフィリアが悪役令嬢のクセに全然邪魔してくれなかったから、ちょっとフライングみたいなことしただけなのに。
そうよ。何かおかしいと思ってたら悪役令嬢も転生者だったなんて!!
どうりでこっちに絡んでこないと思ったわ。
あれでしょ? 断罪されたくないから良い子にしてます、ついでに逆ハーもしちゃおうかな、とか何か考えてたんでしょ!?
そんなおいしいとこ取りなんてさせないんだからね!!
そう思って闇の魔道具まで使ったのに、まさかジュズワーズ様に邪魔されちゃうなんて。
あそこで転移の魔道具はないでしょ!!
私も魔力込めて逃走すればよかったんだけど、闇の魔道具に魔力使ってたからできなかった。
く、チートが欲しい!!
何? すでに転生してるのがチートじゃないかって? それは基本装備だから無視よ無視!!
どうやら込める魔力は少しでもいいらしくて、気が付いた時には室内には私ひとりだった。
ちょっとちょっと!!
嘘でしょ、と呆然としてる間に捕縛されちゃったんだけど、あれは動けないと思う。
だってせっかく闇の魔道具使ったのに。
ちなみに外に放り出された闇の魔道具の小箱はすぐに封印の効果を持つ布の形をした魔道具に包まれて不発だった。
ええー、何でここまで先読まれてるのよ!!
有り得ない、と思っているとどうやら王家の影に見張られていたらしい。
影って本来は王族とか、その伴侶となる相手を守るために動くのが基本なんだけど、私の場合は要注意人物、ってことで付けられていたみたい。
何でよ、こんなか弱い乙女に何考えてるのよ!!
あ、そうそう。こっちの世界の父親のゴホーン男爵はこの間面会に来て、親子の縁を切る、とか怒鳴られちゃったけど、別にふーん、そうですか、みたいな感じにしか思えなかった。
だって私、転生者だもの。
衣食住は面倒見て貰ったから一応感謝はしてるけど、それだけ。
あとは特にないかな。
言葉にしたらまた怒鳴られそうだから言わなかったけれど、何となく察したみたいで『もう二度と顔を見せるな』
とか言われたけど、そうですか、って感じだよね。
だってここ、乙女ゲームの世界だもの。
そんな薄い膜隔てたような距離感の相手に構ってられないじゃない。あ、ジュズワーズ様は別ね。
でもどうしようかな、これ。
今頃はジュズワーズ様とハピエンなっていたはずなのにな。
室内をざっと見てみるけど、石の壁にすごい地味なベット。それ以外何もない。
何かザ・独房、って感じよね。
食事は一応出るけど、一日二回固いパンに水、ってちょっと失礼じゃない?
肌に良いコラーゲン入りのスープとか、ビタミン補う果物とか、って思ったけど、こっちでは果物って高価な食べ物なんだよね。
何か輸入ルートが確立されてないから、欲しかったら自分で買いに行くか伝手で手に入れるしかないのよね。
ま、私は商人上がりの男爵家の令息に頼んで幾らでも手にいれてたけど。
ああ、考えたらまた食べたくなってきちゃったな、あのオレンジみたいな果物。
運んでくるまでに萎びちゃうから、ってそのまま運ばせてから目の前で綺麗な形にカットする、ってのを薦めたらトマスにめちゃくちゃ感謝されてたっけ。
何かこれで上位貴族をお得意様にできる、とか何とか。
商人の世界っていろいろあるのね。
そう言えばアルトやダクソンもどうしちゃったのかしら。
ちゃんと媚薬は飲ませたんだけどな。少し間が空いたから効き目切れちゃったかな。
なんてことを考えていた時だった。
鉄格子の向こうの廊下の先から何か叫び声が幾つも聞こえて来た。
何?
待て、とか聞こえるけれどもしかして――
「マリー。迎えに来たよ」
息を切らせながら鉄格子の向こうに現れたのはトマスだった。
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