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「わー、すごい悩む…。何か買って帰りたいけど、この中から一つだけ選ぶのってなかなか難しいですよねぇ」
「全部買ってやるよ。欲しいのじゃんじゃん持って来いよ」
「な、何大富豪みたいなこと言ってるんですか……自分で買いますよ……」
あっという間に夕方になり、そろそろ土産でも買って引き上げようということになった。美晴は山ほどある土産物を目を輝かせて物色している。それにしてもすげぇ種類の豊富さだな……。
「お、これがいいんじゃねぇか?お前に似合うよ絶対」
「えっ?どれですか?」
「ほら、これだよ」
俺はリスか何かのキャラクターの耳がついたカチューシャを手に取って見せた。
「……ふざけてます?」
「大真面目だよ。ほら」
美晴の頭にちょこんとカチューシャをつけた。
「…………っ、」
(げぇっ!……よ、予想以上に可愛いじゃねぇかおい!!)
ぷくっと頬を膨らませて俺を上目遣いでジッと睨んでくる耳が生えた美晴。…………やっべぇなこれ。こういう小動物みてぇだ。
「…………ふ」
「……何ニヤけてるんですか、響さん。そんなに面白いですか?」
「これ買ってやる」
「っ?!なっ、何でですか!べ、別にそれはいりません!」
「時々車の中でつけろ。俺のために」
「何でそんなことしなきゃいけないんですか!」
(俺が見たいんだよバーカ)
絶対にカチューシャを棚に戻さない俺を、美晴がもー、とか言いながら見ていた。
マグカップだのパズルだのパーカーだの、いちいち手に取っては可愛い可愛いとはしゃいでいた美晴が、何かのコーナーの前でピタリと立ち止まり静かになった。
「?……どうした?何か欲しいのがあったか?」
「…………いえっ、……べつに……」
俺が声をかけると美晴が肩をピクッと動かして他のところに移動する。
(……?…キーチェーン?)
美晴が立ち止まっていたのはいろいろな種類のキーチェーンが並んでいるコーナーだった。
(欲しいわけじゃねぇのかな)
その後クッキーだの何やら甘そうなものの箱をいくつか手に取った美晴を見て俺は声をかけた。
「もう満足したか?それだけでいいのか?貸せよ、持っててやるから」
「……。…あ、……はい、ありがとうございます。…………ちょっと、もう少し待って」
「おお」
美晴が手に持っていた箱やら缶やらを俺が受け取ると、美晴はまたさっきのキーチェーンのところに戻っていった。
(なんだ。やっぱり欲しいんじゃねーか。迷うなら買っときゃいいのに)
全部買ってやる気満々の俺はそんなことを思いながら美晴の後を追う。豊富に揃ったキーチェーンのコーナーの前でじっと立ち止まる美晴に後ろから話しかけた。
「どれ迷ってんだ?」
「っ!…………こ、……これ……」
美晴はもじもじしながら指を差す。ペアのデザインが2つで1セットになっているキーチェーンだ。真ん中から割れるハートのモチーフと、その下で向かい合ってキスをしているキャラクターが2人。2つのキーチェーンをピタッと合わせればハートとキスをする2人が完成するっていうよくあるタイプのやつだ。
(……げ。よりによってこれかよ。何でだ?だ、……誰と二人で使いたいんだよこいつ。……っ!!ま、……まさか……)
俺の脳内に身長188センチの爽やか笑顔野郎がチラつく。あ、あいつとペアで使いたいとか思ってねーよなこいつ!
(ダメだ美晴!俺はそれは買ってやらねーぞ!!)
嫌な予感がするもんだから、どうにか美晴をここから立ち去らせられないかと思案している俺に、美晴が言った。
「…………ひ、……響さん。…………こんなのつけるの、……は、…恥ずかしい……?」
「……。……え?」
振り返って俺を見上げる美晴の顔は真っ赤だ。
「…………いらないですか?こんなの」
「………………俺?」
コク。頷く美晴。
……え?
「…………俺とお前が?持つってこと?」
「…………。」
コク。
「………………。」
…………え?…………マジで?
「今日の記念に……みたいな……」
潤んだ瞳で俺を見上げジッと見つめてくる美晴の、凶悪なまでのその可愛さ。
「………………このウサギのやつがいいんじゃねーか。ねずみとかアヒルより、何かお前っぽくて」
「……じゃあ、これ」
美晴はウサギのペアのキーチェーンを大切そうに一つ手に取ると、そのまま会計待ちの列に直行した。
(……もう止めてくれ、美晴。マジでもうこれ以上耐えられそうにない)
俺とペアのものを持ちたがるなんて、どうなってんだよ。どう思ってんだよ、俺のこと。胸が激しく揺さぶられて無表情を保つのに必死な俺は、叫びだしたいほどの衝動を抑えるためにひそかに何度も息をついた。目を合わせたら赤面しそうで美晴の顔が見られない。
互いにあらぬ方向を向いて、ゆっくり進んでいく列に無言で並んでいた。
パンッ!……パンッ!
「おい!止めろバカ!いいから大人しく寝とけっつってんだろーが!」
「…………らって…………、僕ばっかり…………甘えてばかりれ……」
すっかり日が沈んだ帰りの車内。疲れきった体で車に揺られたからだろう。眠くてたまらなくなった助手席の美晴は意地でも起きていようと自分の頬をパンパン叩きはじめた。止めろ、その可愛い顔を痛めつけるのは。頼むから大人しく寝てくれ。
「いいんだよ俺が甘やかしてんだから。俺とお前じゃ体力が違うんだからよ、気にせず大人しく寝とけ」
「…………連れてきてもらって……いっぱい買ってもらって…………うんてんしてもらって…………さらに…………ねる……」
「おーおー。いいじゃねぇか。寝ろ。着いたらちゃんと起こしてやっから」
「…………ごめんね、……ひびきさん……」
「別にごめんじゃねーって。ふ。……おやすみ」
「………………。」
可愛い。夜の高速道路、車を走らせながら俺は幸せに浸っていた。助手席に座っていてくれるだけでこんなに幸せだ。こいつのことが愛おしくてたまらない。
望むように触れられないもどかしさと胸が痛いほどの愛情がせめぎあい、俺は時折美晴の可愛い寝顔を盗み見ながら切ない溜息をついた。
「全部買ってやるよ。欲しいのじゃんじゃん持って来いよ」
「な、何大富豪みたいなこと言ってるんですか……自分で買いますよ……」
あっという間に夕方になり、そろそろ土産でも買って引き上げようということになった。美晴は山ほどある土産物を目を輝かせて物色している。それにしてもすげぇ種類の豊富さだな……。
「お、これがいいんじゃねぇか?お前に似合うよ絶対」
「えっ?どれですか?」
「ほら、これだよ」
俺はリスか何かのキャラクターの耳がついたカチューシャを手に取って見せた。
「……ふざけてます?」
「大真面目だよ。ほら」
美晴の頭にちょこんとカチューシャをつけた。
「…………っ、」
(げぇっ!……よ、予想以上に可愛いじゃねぇかおい!!)
ぷくっと頬を膨らませて俺を上目遣いでジッと睨んでくる耳が生えた美晴。…………やっべぇなこれ。こういう小動物みてぇだ。
「…………ふ」
「……何ニヤけてるんですか、響さん。そんなに面白いですか?」
「これ買ってやる」
「っ?!なっ、何でですか!べ、別にそれはいりません!」
「時々車の中でつけろ。俺のために」
「何でそんなことしなきゃいけないんですか!」
(俺が見たいんだよバーカ)
絶対にカチューシャを棚に戻さない俺を、美晴がもー、とか言いながら見ていた。
マグカップだのパズルだのパーカーだの、いちいち手に取っては可愛い可愛いとはしゃいでいた美晴が、何かのコーナーの前でピタリと立ち止まり静かになった。
「?……どうした?何か欲しいのがあったか?」
「…………いえっ、……べつに……」
俺が声をかけると美晴が肩をピクッと動かして他のところに移動する。
(……?…キーチェーン?)
美晴が立ち止まっていたのはいろいろな種類のキーチェーンが並んでいるコーナーだった。
(欲しいわけじゃねぇのかな)
その後クッキーだの何やら甘そうなものの箱をいくつか手に取った美晴を見て俺は声をかけた。
「もう満足したか?それだけでいいのか?貸せよ、持っててやるから」
「……。…あ、……はい、ありがとうございます。…………ちょっと、もう少し待って」
「おお」
美晴が手に持っていた箱やら缶やらを俺が受け取ると、美晴はまたさっきのキーチェーンのところに戻っていった。
(なんだ。やっぱり欲しいんじゃねーか。迷うなら買っときゃいいのに)
全部買ってやる気満々の俺はそんなことを思いながら美晴の後を追う。豊富に揃ったキーチェーンのコーナーの前でじっと立ち止まる美晴に後ろから話しかけた。
「どれ迷ってんだ?」
「っ!…………こ、……これ……」
美晴はもじもじしながら指を差す。ペアのデザインが2つで1セットになっているキーチェーンだ。真ん中から割れるハートのモチーフと、その下で向かい合ってキスをしているキャラクターが2人。2つのキーチェーンをピタッと合わせればハートとキスをする2人が完成するっていうよくあるタイプのやつだ。
(……げ。よりによってこれかよ。何でだ?だ、……誰と二人で使いたいんだよこいつ。……っ!!ま、……まさか……)
俺の脳内に身長188センチの爽やか笑顔野郎がチラつく。あ、あいつとペアで使いたいとか思ってねーよなこいつ!
(ダメだ美晴!俺はそれは買ってやらねーぞ!!)
嫌な予感がするもんだから、どうにか美晴をここから立ち去らせられないかと思案している俺に、美晴が言った。
「…………ひ、……響さん。…………こんなのつけるの、……は、…恥ずかしい……?」
「……。……え?」
振り返って俺を見上げる美晴の顔は真っ赤だ。
「…………いらないですか?こんなの」
「………………俺?」
コク。頷く美晴。
……え?
「…………俺とお前が?持つってこと?」
「…………。」
コク。
「………………。」
…………え?…………マジで?
「今日の記念に……みたいな……」
潤んだ瞳で俺を見上げジッと見つめてくる美晴の、凶悪なまでのその可愛さ。
「………………このウサギのやつがいいんじゃねーか。ねずみとかアヒルより、何かお前っぽくて」
「……じゃあ、これ」
美晴はウサギのペアのキーチェーンを大切そうに一つ手に取ると、そのまま会計待ちの列に直行した。
(……もう止めてくれ、美晴。マジでもうこれ以上耐えられそうにない)
俺とペアのものを持ちたがるなんて、どうなってんだよ。どう思ってんだよ、俺のこと。胸が激しく揺さぶられて無表情を保つのに必死な俺は、叫びだしたいほどの衝動を抑えるためにひそかに何度も息をついた。目を合わせたら赤面しそうで美晴の顔が見られない。
互いにあらぬ方向を向いて、ゆっくり進んでいく列に無言で並んでいた。
パンッ!……パンッ!
「おい!止めろバカ!いいから大人しく寝とけっつってんだろーが!」
「…………らって…………、僕ばっかり…………甘えてばかりれ……」
すっかり日が沈んだ帰りの車内。疲れきった体で車に揺られたからだろう。眠くてたまらなくなった助手席の美晴は意地でも起きていようと自分の頬をパンパン叩きはじめた。止めろ、その可愛い顔を痛めつけるのは。頼むから大人しく寝てくれ。
「いいんだよ俺が甘やかしてんだから。俺とお前じゃ体力が違うんだからよ、気にせず大人しく寝とけ」
「…………連れてきてもらって……いっぱい買ってもらって…………うんてんしてもらって…………さらに…………ねる……」
「おーおー。いいじゃねぇか。寝ろ。着いたらちゃんと起こしてやっから」
「…………ごめんね、……ひびきさん……」
「別にごめんじゃねーって。ふ。……おやすみ」
「………………。」
可愛い。夜の高速道路、車を走らせながら俺は幸せに浸っていた。助手席に座っていてくれるだけでこんなに幸せだ。こいつのことが愛おしくてたまらない。
望むように触れられないもどかしさと胸が痛いほどの愛情がせめぎあい、俺は時折美晴の可愛い寝顔を盗み見ながら切ない溜息をついた。
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